魅力ある学校づくり

 この1学期に受けている教育センターの研修の中で,
「魅力ある学校づくりについて自分の構想をレポートする」
という宿題が出されたことがあります。
 まず題名を考え,学校経営目標を自分で立ててから構想を綴るよう指示されました。用紙はA4に2枚です。
 暑い中,苦しみながら締め切り前日に半日かけて作り上げた拙いレポートを紹介します。

 この研修では70人が6つのグループに分かれ,それぞれのグループでレポートの発表,協議を行いました。発表は一人5分以内でという制限がつけられていました。指導主事さんから,この時間を守れない人が教師には特に多いと言われ,みんな時間にピリピリしながら発表していました。
 
 12人中,私は10番目でした。できるだけ早口にならず,ゆっくりとしたペースで話そうと意識して
 レポートの題名は「魅力ある学校づくりについての一構想」としました。
 まず,「魅力ある学校」というのは,「当たり前のことが当たり前にできる学校」ではないかと私は考えました。例えば,家庭で考えてみると,「当たり前のことが当たり前にできる父親,当たり前のことが当たり前にできる母親がいる家庭」は,それだけで十分魅力のある家庭ではないかと思います。これと同じように,学校でも当たり前のことが当たり前にできることを,魅力ある学校づくりの基本にして考えてみました。
 ですから,ここに書いていることは全て当たり前のことです。
という前置きからレポートの発表を始めました。主に枠の中に書いていることを中心に発表していき,終わって時計を見ると,4分台で終わっていました。 


   魅力ある学校づくりについての一構想


               
目 次 

 1 学校教育目標
 2 魅力ある学校とは
     【「学校」に人の心をひきつけるものがあるということ】
 3 児童にとっての魅力
     【新しい自分を見つけられる場であること】
 4 教師にとっての魅力
     【実践課題と方法が明らかになる場であること】
 5 保護者にとっての魅力
     【安心して預けられる場であること】
 6 地域にとっての魅力
     【知の需要と供給に応えられる場であること】

1 学校教育目標
豊かな心と確かな学力をもちたくましく生きる子ども
     
2 魅力ある学校とは
 学校とは「一定の教育目的のもとで教師が児童・生徒に組織的・計画的に教育を行う所」であり,魅力があるとは「その中で日々行われている組織的・計画的な教育活動に人の心をひきつけるものがある」ということと考える。

3 児童にとっての魅力
 学校で学ぶ者にとって何よりそこに魅力を感じるのは,その教育を受けることによって,自分の向上的変容を確かに感じることができたときである。新しい考え,新しい人間関係,新しい技能,新しい知識等を得ることで,新しい自分・進歩した自分を感じられたとき,その場を与えてくれたものに児童は魅力を感じるはずである。
    具体的実践課題
  (1)学級経営及び全校集団づくりの充実
    ○ 個性を認め合い,友達の痛みがわかり,共に伸び合う民主的な学級経
     営を創造する。
    ○ 自己教育力を養う場としてきめ細かな経営をする。
    ○ 学級集団と全校集団との連携の中で,磨き合って育てる。
    ○ 学力形成の基礎・基本を養うための学級づくりを創造する。
  (2)主体的学習態度と授業の充実
    ○ 学習規律の定着と全員参加による分かる授業を創造する。
    ○ 新学力観にもとづく基礎・基本の学力の追求を図る。
    ○ 校内研修の充実に努め,支援・助言・評価活動のあり方を研究する。
    ○ 「学力形成」と「人間形成」との有機的なつながりを追求する。

4 教師にとっての魅力
 教師が,子どもにとって少しでも価値ある存在になりたいと願う場合,その目指すべき理想の姿や,共に同じ方向を向いて磨き合える人間関係を得ることは大きな進歩の前提とな る。自分にとって今必要な課題は何かをはっきりさせてくれる環境,その課題に取り組む方向性や具体的方法が明確に示されるような環境があれば,教師はそこに魅力を感じるはずである。 
    具体的実践課題
  (1)研修体制の確立
    ○ 学校教育目標に対する具体的実践課題を明らかにする。
    ○ 児童の実態,その時代に即した研修課題の設定をする。
    ○ 各自の研修課題の設定,取り組みの具体的計画,方向性の検討等の
     場を設定する。
    ○ 定期的な検討会の実施。
  (2)情報交換による深化
    ○ サークル的活動の日常化の促進をする。
    ○ 多様な情報発信ができる雰囲気,状況を創造する。

5 保護者にとっての魅力
 昨日より今日,今日より明日,と学校から帰ってきた子どもの言動に何らかの望ましい変化が見られるとき,保護者は学校に対して信頼感を増していく。保護者には見えない学校での子どもの小さな成長,そのままでは気づいてもらえない些細な言動や表現物の奥に含まれているドラマ等も,多様な伝達手段を用いて日常的に家庭に紹介していくことにより,保護者はその教育活動に魅力を感じるはずである。
   具体的実践課題
  (1)助け合い,高め合う集団づくり
    ○ いじめ等の早期発見,解決ができる態勢づくりをする。
    ○ 毎週児童の中に見られた望ましい行動等のエピソードの紹介を通して,
     その行動の評価と全校の意識づくりをする。
    ○ かかわり合う場の設定と肯定評価による方向付けをする。
  (2)技能を高める
    ○ 書写能力,暗誦能力,作文能力,描画能力等を高める効果的指導法の
     研修をする。 
    ○ 児童の作品の紹介により意欲化と意識化を図る。
    ○ 各児童の技能の高まりを随時家庭に伝えていく。
  (3)連絡の多様化
    ○ 連絡帳の活用をする。
    ○ 個人的Goodニュースの早期電話連絡。
    ○ タイムリーな写真付き通信の発行。

6 地域にとっての魅力
 ある日,地域の方が大きなスズメバチの巣を学校に持って来られたことがある。子どもたちに見せてやりたいとの思いだった。地域の方は自分の知識を子どもたちに披露したい,伝えたいという思いを持っておられる。また特に山間部では新しい情報や情報操作機器等に触れる機会や環境が整っていない点がある。学校はそういう状況の中で「知」の需要と供給に応えられる場としての意義もあり,進んで地域に提供していくことにより魅力ある存在になると思われる。
   具体的実践課題
  (1)特色ある学校づくり
    ○ 総合的な資質や能力を育成する学習活動を創造する。
    ○ 開かれた学校づくりをする。
    ○ 地域教材を生かし,地域の文化を取り入れ,人々の歩んでこられた生き
     ざまを学び,児童の表現力,豊かな感性,実践力を高める学習指導を追求
     する。
    ○ 地域の環境を生かす教育を推進する。
    ○ 自然の事象や現象との出会いを大切にし,筋道を立てて考えていく態度
     を育成する。
  (2)地域のカルチャーセンター的存在性の創造
    ○ パソコン操作の紹介,習熟を図る。
    ○ 各施設の活用を図る。