「質問」の不思議

討議の場面で司会者が「質問」を聞くことがあります。

「質問」を聞いているのに】
 ある研究大会で,提案をしたことがありました。提案レポートを説明した後,司会者が「質問」を聞きました。すると,
「私はこう思う。」
といったような,「意見」を言われる方がおられました。

 この現象は,校内研から始まって,様々な討議の場でよく見られます。
 なぜ,「質問は?」と聞かれているのに,「意見」を言われるのでしょう。これが不思議です。

 中には,質問をしながら,途中から意見になる人もおられます。まずは不明な点をはっきりさせて,相手の本意を聞いてから,意見を出す場で自分の意見も出されたらいいのにと思うのですが。

 私の提案の時も「質問」の時に「意見」が出され,またそれに対して司会者が人のいい人で,「それについてどうですか?」と聞いてこられたので,私は「意見」は素直に聞こうと最初から決めていましたから,

「今のは意見ですね。」

で済ませました。言外に

“「質問」の時にあなたは「意見」を出しているのですよ。”
“意見は意見として参考にさせてもらいます。”

というメッセージを送ったつもりです。もし,「意見を出す」場面で言われていれば,それなりに自分の考えも言っていたかもしれません。
 また討議の場で出される意見はたとえ反対意見であろうと『そういう考えもあるだろうし,使えるところは使って,参考にさせてもらおう』と思っていました。ですから提案の後は,反対や批判意見に対して,それ以上自分の提案の正当性をむきになって主張する必要もないのです。

 この後はご多分に漏れず,司会者が気を利かせて「では,質問も意見も合わせてお願いします。」となったのでした。