パレットで分かる色塗り技術


「下絵を描く所まではうまくいっているのに,
色を塗って,ダメになるんよね。」
絵の展示会場に準備に行った時に聞いた話です。

色塗りを始めて,
ちょっと目を離している間に
とんでもないことになっている・・・
長い間この繰り返しでした。
それが,最近ちょっと変わってきました。
キーワードは,
三原色

水加減
です。

そして,
「パレットに残る絵の具の跡」
を気にさせることで,画用紙の上の色も変わってきました。






 下の写真は,「パレットに残る絵の具の跡」を気にさせた子どもの使用後のパレットの様子です。こういうパレットになるように色を出して描いた絵をいくつか紹介しています。矢印をクリックしてみて下さい。


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 この時の指導は次のようにしています。

 
使う色は白と三原色だけです。3つの色でいろんな色が作り出される話をして,テレビの画面を観察させ,カラーテレビのブラウン管も3色で色をつくっていることを確認させます。

 
水加減の目安としては,
・色塗りをして,スケッチの線が透けて見える程度。
・パレットに色を出して,少しすると乾いて上の写真のようになる程度。
・画用紙に色を塗ると,隣の色ににじんでいくぐらいの水加減。

 
パレットには,
・(10円玉とよく言われますが)1色1円玉ぐらいに広げること。
・まず色をパレットに作ってみて,気に入らない場合は,筆を洗い,その隣にまた色を作ってみること。
・一度使った色はもう使わず,また新しく隣に作ること。
・少しずつ色を変えていくこと。
・パレットに残った色の跡がお母さんの化粧道具(あれもパレットと言うのでしょうか?)みたいになるようにすること。

と,いうようなことをやって見せながら話していきます。

 水彩画ですから,水の使い方が大きなポイントになると思います。しかし,絵の世界は,はっきり言って
好きずきですから,この方がいいというものは無いと思います。しっかり色を出させることが大切だと思えば,そう指導していけばいいわけです。

 パレットへの色の出し方を気にさせるまでは,ただ何となく「よく見て描きなさい。」「いろんな色を出しなさい。」「丁寧に塗りなさい。」で,ポスターのような絵ができていました。それに比べて自分のレベルでは前より少しはましな指導になってきたと思っています。



参考文献
  • 「前田式絵画指導の基礎基本」 前田康裕 著   (明治図書)
  • 「ツルリ」とした顔よさようなら −酒井式描画指導法の追試− 大河内義雄 著  (明治図書)