
(その13)
| 新採時代は,学校の近くに小さな庭付きの平屋の半分(2DK)を借りて住んでいました。庭にはネギやトマトを植えていました。壁を隔てた隣の半分の部屋は一人暮らしのおばあさんが借りておられて,時々鍋に煮物を入れて差し入れに来て下さっていました。 小さな庭でも草が生えます。庭の草取りに来てくれないかと子どもたちに冗談半分に言っていたところ,本当に何人か近くの子が日曜にやってきてくれたこともあります。さすがにこれは人聞きが悪いので,一度だけでやめてもらいました。 学校から帰ると,まず近くのスーパーに夕飯の材料の買い出しに行きます。大したものは作れませんでしたが,毎日自炊していました。それでも炊き込みご飯を作ったり,おでんを作ろうと,鶏のガラを買って帰った後家に電話して作り方を聞いたりしたこともありました。 ある夕方スーパーでいつものように買い物をしてレジに行くと,そのレジの人が隣のレジにいた人から預かったものを私のカゴに入れられたことがありました。 「あちらの方からです。」 と言われて初めて気づいたのは,その日がバレンタインデーだということでした。急なことでびっくりして,小さく「ど,どうも。」ぐらいしか言えずそそくさと帰ってしまいました。それまで話したこともなく,どの人かもよく分からなくて,それからは何となく恥ずかしくなって,ほとんどその店には行かなくなってしまったのですが,もう少し礼儀のある行動をすればよかったのにと反省しています。 新採時代のバレンタインデーにはもう1つ思い出があります。 |