跳び箱運動

 マット運動と同じように,跳び箱についても,それにかかわる運動を体育の時間には毎回行います。器械は何も使いません。腕で自分の体を支える感覚を持たせるために「馬跳び」をします。これを体育の準備運動の1つに取り入れ,1年中行います。

 馬跳びの方法はいろいろあるでしょうが,例えば,横2列に並んでいれば,その列ごとに端から次々と跳んでいきます。最後まで跳んだ子は走って元の場所にもどり馬になります。次に帰って来た子はその端の子を跳んでから自分の位置にもどり,その次の子は2人を跳んでから自分の位置にもどる・・・というようにすると,全員がお互いを一度ずつ跳び,隊形も元にもどることになります。
 児童の実態をみて,時には2つの列でどちらが早く終わるか競争することもあります。全員が跳び終わると座ることにすると結果がよく分かり,面白みも出てきます。
 但し,片足だけ上げて跳ぶようないい加減さがみえた列は,やり直しをさせたりします。
 跳び越すことが難しい子には,子どもたちがちゃんと考えて跳べるように高さを調節します。

 体育の時間には必ず馬跳びをしてきて本番の跳び箱運動を迎えます。それまでずっと馬跳びをしてきていてもやはり跳べない子はいるものです。
 跳び箱を跳べない子に対する指導はたくさん紹介してありますが,最近私の行っている指導は,次のようなものです。
  1. できるだけ小さな(短い)跳び箱の真ん中に座らせ,そこから手をついて一度で飛び降りさせる。(跳び箱の高さはまたげて足がつかない程度)
  2. 1ができるようになると,跳び箱の端に跳び箱の高さの半分くらいの踏み台を置き,その上に立ち,そこから一気に手をついて跳び越しをさせる。
  3. 踏み台なしで振りをつけずに跳び箱の端から跳び越しをさせる。
  4. 2,3歩振りをつけて踏み切り版を使って跳び越す。(踏み切りに両足をそろえるようなことは注意しない。)
  5. 4を何度も行い,段々助走を長くしていく。(両足をそろえた踏み切りもさせてみる。)
  6. 踏み切り版を少しずつ跳び箱から離していく。
 短い跳び箱があることが大切な条件です。

 今まで「馬跳び」をしてきて,それが跳び箱にどれだけ効果があったかはよく分からないところですが,少しは「跳び越す」感覚が身につくのではないかと思っています。