音読

 音読は大切な学習方法ですが,ただ「読む」だけでは単調になりがちです。
 また,音読という「発信」の練習を繰り返すばかりでなく,人の読み方を「意識的に聞く」ような「受信」も多く経験することで,「読み方」や「表現力」というものは豊かになっていくように思います。

 人の音読を「意識的に」聞き,自分も「聞かれる」ことを意識して音読するようになり,しかもそれを楽しみながらできないだろうかと考えて行ったのが次のような方法です。


肯定的相互評価法で

 音読に対して,お互い評価し合う方法は「受信」と「発信」の練習ができ,とてもいい方法だと思うのですが,そのままでは意見を言える子が限られてきたり,面白味を感じることがあまりないように思います。

 そこで,次のようなルールを決めて音読を行うことにしました。
  • 一人が音読したら,それに対して他の全員が必ず一言ずつ意見,感想を言う。
  • 音読する範囲は教科書1ページ。
  • 聞く子は音読を聞きながらノートに感想を1行書く。
  • その感想には必ずたとえを入れる。
  • 音読に対する意見,感想は肯定的なものだけを書く。
 このルールのポイントは「たとえ」です。ここをできるだけ面白くすることを強調します。
 まずは最初に誰か一人音読する子を決めて,1ページ分ほど読ませます。
 その音読に対して教師が実際にノート1行分ほどの一言感想を言ってみせます。
 例えば,
「今の○○君の読む声の大きさは,まるでゴジラの声のように大きくて迫力がありました。」
とか,
「○○さんの「      」という部分の読み方はまるでハンバーグのようにうまい読み方でした。」
とか,
「○○君が読んでいる時の目は(俳優や歌手の名前を出して)のようにキラキラ輝いて,目でも表現していました。」
というようなタイプのものです。
 
 1回目は教師だけがそのような感想の見本を示し,次の子の音読では全員にノートを開いて用意させ,聞きながら何か感想を思いついたらその場ですぐメモするよう伝えて練習してみます。そして言える子だけ発表させ,その表現のおもしろさをしっかりほめて,感想のパターンを全員に例示していきます。
 どうにかしていいところを見つけ出し,それを面白く表現するよう求めていきますが,難しい子には「何何が良かったです。」だけでもいいことにします。
 最初,教師が1,2回感想の見本を示せば,必ず何人かは同じような種類の感想を言える子がいるはずです。パターンが分かってくれば段々音読を聞きながらほめるポイントをうまく見つけられるようになってきます。そして,見つかったらその場ですぐノートにメモしていく姿が見られるようになります。
 人数が多い場合は,練習した後班毎に行っていきます。
 
 何か意見,感想を必ず言わなければならないと思いながら聞くことによって,知らず知らず「読み方」のポイントが身につき,「何か言われる」ことを意識して音読することで,自分なりにどこか工夫した読み方ができるようになるのが目的ですが,全体の雰囲気としては,「音読を材料にして,友だちの読み方,意見,感想を楽しむ」というイメージを持って取り組んでいます。