1976年のラジオドラマ物語抄 |
雪の青く光る |
蝦夷地と呼ばれた昔から中央権力の圧制と貧しい風土の中で苦しんできた東北地方。このような歴史を見守ってきた岩手県・後藤野を舞台に、現代の出稼ぎ家庭に残された妻の悲しみと孤独を描く。
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一文笛 |
勘七という腕利きのスリを主人公に、仕立て屋銀次の姪の女スリ・お銀とのスリ競争の話などを交えて展開するさわやか人情ドラマ。
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あれ達の鈴 |
信吉と妻・ひさの生活は古く広い家の中で何不自由なく営まれていたが……。死に直面した老夫婦の内面を細やかに。
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コメット・イケヤ |
1963年1月。一人の少年が工員がホウキ星を発見した。同じ頃、一人の幸福なエリート管理職が失踪した。ほうき星のナゾと人の心の旅をオーバーラップさせて描く青春詩劇。
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守ルモ攻メルモクロガネノ |
閉店間際のパチンコ店。一人の男が玉を弾いている。店員が彼に声をかけたことから、冗談交じりの駆け引きが口論、暴力に発展し……。
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旅は道づれ |
祭や縁日を追いかけ、全国各地を歩き回る気のよい九州男児の旅商・中尾が主人公。各地の方言や民俗色豊かな祭の音を背景に、北海道の同業の未亡人・ひさとの恋が実るまでをペーソスあふれるタッチで描く。
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絆 |
息子夫婦と一緒に同居している父が脳出血で倒れたことから一家に波紋が広がる。父と子の運命的ともいえる対立と、その中にあってなお、二人を結びつける絆を求める男たちの悲しみ。
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鮫のいる海 |
一人息子が結婚を前に山で死ぬ。悲しみに打ちひしがれる両親は息子が新婚旅行で行くはずだったハワイへ出かける。そして、醜い死後の姿をさらさないようにとサメのいつ海へ入っていくのだった。
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遥かなるペテルブルグ |
ロシア駐在武官・広瀬武夫と、ロシア貴族の娘・アリアズナとの秘められたロマンを二人の往復書簡、兄嫁、友人への手紙をもとに構成し、明治という骨太の時代を生きた青年の愛を戦争の悲劇を背景に描く。
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たそがれ |
妻を東京に残し、単身赴任してきたある商事会社の支社次長。ふとしたことから、一人の女を自分の部屋へ連れてくることに……。"家族や会社にしばられた初老の男が人生の黄昏に知った一瞬のときめき。
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