1979年ラジオドラマ物語抄
寵児
津島祐子の「寵児」をドラマ化。想像妊娠という虚構を通して、愛への渇望と深い孤独をみずみずしいタッチで。
管絃祭
古くから広島の人々が楽しみにしてきた、海向うの宮島・厳島神社の夏祭り”管絃祭”に収斂される平和への思いを底流に、”あの日”の広島で死んだ人、生き残った人など、さまざまな30年後を描く。
途方に暮れて
大学闘争と母の看病、加えて、惨めなアルバイトに明け暮れる若者の姿を通して、目的を失い、途方に暮れて佇む現代の青春像を深い共感をもって描く
妻の嫁入り
週刊誌のフリーライター誠一は、愛人志願という風変わりな女・すみ子と暮らし始めるが……。都会の片隅に居きる一組の男女の生活を通し、人生のほろ苦さと愛の有り様を描く。
1978年に他界した観世寿夫が病をおして謡曲をうたっている。盲目の夫が心臓病のため、妻につきそわれて入院することになった。折りバトを持って病院をさまよう2人の姿。生者と死者の不思議な交歓を描く。
三人家族
 親の反対を押し切って暮らしている若い恋人たち。男は世間知らずの大学生。女はバイトで生活費を稼いでいる。少しずつほころびが出てきた2人の心のすれ違い。ある日、「中年男みたい」と思いながら、2人は思い出の公園を訪ねる。そこで一人の老人と出会う。古びたラッパをぶら下げた放浪者。ある思惑から彼らは老人と共同生活を始めることに。しかし…。戦争を引きずる老人と恋人たちの出会いと別れ。
橋の上
長州の過激派浪士・大楽源太郎は絵師・冷泉為恭をつけ狙っていた。屋敷に踏み込み、為恭を斬ろうとすると、その前に妻・綾衣が身を投げ出して夫を救おうとする。その姿になすすべもなく引き上げる源太郎。6年後、落人の身となった大楽は、筑紫のとある橋の上で盲目のこじき女に呼びとめられる。
荒野の決闘
アメリカ西部を舞台に、ユダヤの老人と若いインディアンの対立と友情を描いたもの。イタリア賞受賞作。
別れ
ハンガリー生まれの戯曲家・小説家の作品。貧しい工員・アーメントは、彼を裏切った妻のもとを去って間もなく別の貧しい女と知り合うが……。
ワイドドラマスペシャル「太陽の石・日本のピラミッド」
広島県庄原市本村近くににある巨石遺跡・葦嶽山にまつわる不思議な物語。ドキョメンタリードラマ。
ごらん今日もすてきに始まる
1975年、ユーゴスラビア・ラジオ・ザグレブ制作のコメディー。単調で退屈な毎日を送る未亡人に初老の男が言葉巧みに接近する。
竜馬を斬った男
明治維新、函館で捕らえられた久世は官軍の日高に伴われて札幌に護送されることになった。坂本竜馬を斬ったという嫌疑だが、久世にはおぼえがなかった。
ちょうなっくび
10年前、大学闘争の中で知り合い、一緒に暮らしていた女がある日、突然蒸発する。浪曲、歌舞伎などの劇中劇を取り込みながら、状況と青春の関わりを描く。
同窓会まで
小学校時代からの旧友二人。一人は大企業の窓際族。一人は下町の小さな店を経営し、折りからの不景気か是にさらされ苦しい生活。ある日、何十年ぶりかの同窓会が開かれる事になり、窓際族が町工場を誘いに来るが、一人は躊躇。彼には一人娘がおり、彼女には親に言えない秘密があった。娘からそのことを打ち明けられた友人はいつしかある考えを夢想する。二人の老齢の男の同窓会までの心の軌跡を描くハートフルストーリー。
屏風の女
インチキ万年筆のセールスマンが山村の宿で枕屏風の破れ目に張りつけられた美女の写真に心をひかれる。
激流
激流を下る筏の上で展開される筏師兄弟の愛憎。1965年放送作品。
ヤツデの掌
妻に先立たれて数年。平穏な老後を過ごす老人が妻の命日の夜、早目に自室に引き上げ、妻をしのぶが……。平凡な夫婦にも計り知れない断層があつという”生の不安”を探る物語。
息子
戦争中、息子を樺太に残し、一人、北海道に引き揚げて来た母。34年たったある日、その息子が妻を連れて帰ってくるが……。戦争で引き裂かれた人々の、肉親を求めてやまない思いと哀歓を描く。 サハリンから34年ぶりに引き揚げてきた息子を迎える老母。再会を喜ぶ2人。そして息子のロシア人妻。しかし、2人を引き合わせた担当員はある危惧を抱いていた…。
うしろすがたのしぐれてゆくか
40代の半ばに出家、禅僧となりながらも、捨てきれないおのれの業の前に、酒におぼれ、流転の日々を送った漂泊の俳人・種田山頭火。その半生と俳句を通して、人間のあわれさ、哀しさを描く。
風の盆
70年ぶりに墓参りのため生まれ故郷に帰ってきた88歳の大店の刀自。連れは出入りの菓子屋の娘(斉藤けい子)。草深い山の中から見つけた墓石を前に老女が切り出した言葉は「これがお前のご先祖様のお墓だよ」という言葉。18歳の時、娘と夫を捨てて、旅の男と出奔、その捨てた娘の子供が菓子屋の娘だというのだが…。刀自の死の後、明らかになった真相とは…。
今日も雨
帰社もままならず、支社工場の間を延々と出張させられるサラリーマンの悲哀をユーモアたっぷりに。いつ終わるともなく降り続く雨。
九里子とリン
九里子はおでん屋のおかみ。猫のリンだけが唯一の身寄りだった。晩年を迎えた老女と孤独な若者のふれあいを通して、居きるとは何かを問う。
風よりつらき〜幻の大投手
プロ野球草創期に活躍した沢村栄治の青春を。沢村は京都商業を中退し、プロ野球に入る。しかし、昭和19年に台湾沖で戦士する。
白面の相場師・岩本栄之助栄光と挫折の生涯
明治40年、大阪・北浜。初陣にして巨額の金を手にした岩本は公会堂建設にと100万円(20億円)を大阪市に寄付する。名相場師の栄光と挫折。