6月30日(土)晴れ時々雨 午後、思い立ち、中目黒のウッディシアターで上演中の「マリア…映画館、襲撃!…そして優しい闇の訪れ」を見に行く。増田未亜が出ているので興味半分。客席は結構高齢の人たちで埋まっている。出演者の親戚縁者だろう。声優としてしか増田未亜は知らないが、実物は結構美形。これから本格的な女優を目指すという。その意気込みが劇中で半裸になったシーンに現れている。 PM6・30。新宿で九條さんと待ち合わせ。アスターで食事をしてその後、ピットインに。浅川マキのライブ。最終日とあって立ち見も出る盛況。若いミュージシャンとのコラボレーションでいつになく華やいだ雰囲気。植松孝夫、渋谷毅の両ベテランのプレーはいうまでもなく絶品。アンサンブルの妙で、マキ節も絶好調。アンコールも受けて2時間15分。 終演後、九條さんと一緒に楽屋へ。九條さんとマキさん、ホントに久しぶりみたい。「昨日、蠍座で聴いたような錯覚をしちゃうわ。マキ、変わらないね」と九條さん。「なによ、太ったなんて電話で言って。やっぱり女優さんよね。あなたこそ変わらないわよ」とマキ。ひとしきり昔話。いつもなら寝ている時間なので、九條さん疲れ気味。三沢でのコンサートの打ち合わせを少しして、楽屋を後にする。それにしても、ミュージシャンはいい。特に年配のジャズマン。植松孝夫など、ぴしっと決めたスーツ姿でテナーを持つと、ホントにカッコいい。今度生まれ変わったらジャズマンもいいな。 11時。九條さんはタクシーで帰宅。新宿を歩きながら、携帯で博多オフ会に電話。3人と話をする。楽しそうな様子が伝わってくる。 0・30帰宅。HP更新。明日はADSLに切り替え。さて、うまくできるか? 6月29日(金)快晴。夕方雨 夏休みの日程が決まる。今年はお盆期間は休みがとれず。8月上旬の休暇が割り当てられる。毎年、この時期は夏休み日程の調整で悩む。部署の一人ずつが交替で休むのだが、お盆期間は希望者が重なってしまう。今年は外れ。私のような”出稼ぎ者”にとって、お盆に墓参りできないのはツラい。 仕事の帰りに秋葉原・石丸電器のDVD売り場をのぞく。迷ったあげく「ウルトラQ」を買ってしまう。ビデオを持ってはいるが、デジタルリマスタリングした映像と新しく見つかったという原音はかなりクリア。さっそくパソコンで見る。しかし、この手のDVDは一度見たら二度と見ないと思うが、つい郷愁で…。 6月28日(木)快晴 熱帯夜疲れで、寝不足。こんな日に限って仕事が忙しい。午後2時、コンビニのおにぎりが昼食代わり。 PM6・30.新宿紀伊国屋ホールで仕事プロジェクト「お隣りの脱走兵」。ベトナム戦争で徴兵を拒否して脱走した米兵たちを匿って逃亡させたベ平連の別組織「ジャテック」。その活動記録をもとにした舞台。脱走兵が転がり込んだ、ある家族と支援組織などの人間模様が描かれる。家族間の対立、ジャテック内部の人間関係、そして若さをもてあます脱走兵の生と性の葛藤が実に丹念に描かれ、非常に面白い。当時、怒れる若者の一人だった山本圭が息子の無軌道を慨嘆する初老の男を演じており、感慨深いものがある。 居合わせたとりふね舞踏舎の三上さんと立話。 9・10終演。10・30帰宅。 6月27日(水)快晴 公休。昼、タワーレコードに行って頼んでおいたakikoの「ガール・トーク」ほか2枚を買う。aiko、ヤイコの新譜も出てるが、もう興味の対象外。ついでに雑貨屋ビレッジバンガードを覗く。ムロタニツネ像の「地獄くん」や「スーパージェッター」を手にとる。懐かしいが買うには至らず。懐かしマンガを復刻させた雑誌が話題を呼んでいて、「鉄腕アトム」の新作を掲載しているが、これが絵も雑なら中身もスカスカのパロディー。ガク然とする。手塚プロが書いたものだが、何を考えているのか。もう、こんなバカげた企画に乗るのはやめてほしい。手塚治虫への冒涜だ。 家に帰りHP更新。 暑い。ついクーラーにあたってしまう。軟弱だ。 しかし、この蒸し暑さは何だろう。寝苦しくて輾転反側。ようやく涼しくなった頃、起きなきゃいけないのでこのところ寝不足続き。 6月26日(火)快晴 梅雨は明けたのか? 夏のような暑い一日。 PM7。シアタートラムでTHE・ガジラ「ベクター」。ほとんど男だけの出演者による戦争極限下の物語。鐘下辰男の演出はいつになく濃厚。しかしこの緊密さはオレ好み。終演後、楽屋に行く。「どうも、お久しぶりです」とKONTA。鐘下、近童弐吉と立話。弐吉に去年のテレビドラマ「殺意の涯て」のことを聞く。ワンシーン出演していたのだ。渡辺えり子のダンナで漁に出て海で死ぬ役。「あれは日帰りだったんですよ。オレと入れ替わりで有薗なんかが来て。泊まらなかったからうまいもの食えなかったな」。 海津夫妻がKONTAの楽屋見舞いに。「”こち亀”稽古中です。海パン刑事、また面白いですよ」 PM10。上野の庄屋でTGCメンバー、D、Oさんと某賞応募の秘密会談。11・40解散。0・30帰宅。 6月25火(月)快晴 PM2。元黒テントのM氏と会う。「清水紘治や石橋蓮司、麿赤兒、十貫寺梅軒、緑魔子などを集めて、アングラ梁山泊をやったら面白いだろうね。今の若い連中、びっくりしますよ。50代の役者がこんなに元気だってとこを見たら」などと過去現在のよもやま話を1時間。 スポーツ紙も一般紙も都議選の結果に対して「小泉効果で自民復調」と、無批判でまるで他人事のような感想。小泉の「痛みを伴う改革」の”痛み”が自分に降りかからないとタカをくくっている人が多いというのも仕方ない。人は自分だけは宝くじに当たると思う反面、自分だけは決して厄災に遭わないと信じる矛盾した生き物だから。痛みを感じてはじめて自分の失敗に気がつく。 それにしても、今でさえ地方自治は形式的なものに成り下がっているのに、この上、兵糧攻めされては地方がネをあげるのは目に見えている。その結果、国策とされる様々な施設を受け入れざるをえなくなる。背に腹はかえられない。今、廃棄物や核施設を受け入れている青森などその典型。貧しいが故に甘味入りの毒薬を飲まざるをえない矛盾。 今の国会で成立しそうな「土地収容法」の簡素化もその一環だろう。全国各地で展開する一坪運動や環境トラスト運動は国家にとって目障り。公害・原発・廃棄物に反対する輩は「公共の利益」を錦の御旗にして、叩き潰せる。法律がそれを後押しする。 「何かやってくれそう」という漠然とした期待感だけで小泉首相を支持している80%の国民は自分の棺桶をせっせと作ってるようなもの。「小泉政権はファシズムの萌芽である」としごくまっとうな事を言ってる大橋巨泉が選挙に出てきても、おそらく大多数の小泉コールにかき消されるだろう。新潮・文春の右派メディアの巨泉バッシングも始まるだろうし。「巨」は「小」の勢いを止められるか…。それは今後の田中真紀子の処遇にかかっていそうな気が……。 「日記とは自分との対話である」(トルストイ)。 この頃、睡眠不足で毎日眠たいわ…。なんちて。 6月24日(日)快晴 9時起床。子供とサイクリング。買ってもらったばかりの新しい自転車に乗るのがうれしいらしく、昨夜のうちから「明日は一緒に自転車だよ」とクギを刺される。 なるべく交通量の少ないところを選んでサイクリング。駅から5分ほどの場所に科学館があるのを発見。初めて通る道なので知らなかったが、5月に開館したばかりという。 産業・企業のヒモつき科学館とは趣が違って、科学「信仰」を強制する無粋な展示はない。子供と暇をつぶすにはもってこいの場所。外には立派な遊具施設を備えた公園も。 しかし、そこでしばらく遊んでいたと思ったら、工事用にか、空き地に積み上げられた土の山に登り始めた。ほかの子供たちも、その巨大な山に興味が移ったらしい。嬌声をあげて山によじ登っていく。堅い土山だから危険はないもののちょっとハラハラする。やっぱり子供は「自然」が好きなんだ。整備され、安全性を確認された公園の遊具より、ただの土山。 昔、ところどころ崩壊した木橋を渡ったり、崖から駆け下りたり、高い木の蔓でターザンごっこやったり、空き缶のカンテラで防空壕探検したものだが、子供は「危ない所」に魅力を感じる。安全性は大事。立派な遊具施設も結構だが、なんにもないただの原っぱを遊び場として残すほうが子供にとっていいことなのではと思う。ひいては無から有を作り出す、創意工夫の心を育てる場になるのではないか。 宝塚記念外れ。カタすぎた。 夜9・30、就寝。暑くて寝苦しい夜。 都議選で自民大勝。帽子とキャッチフレーズを代えただけで中身が問われないのだから、政党にとっては都民もちょろいもの。「英雄のいない時代は不幸だが英雄を待望する時代はもっと不幸だ」。今の英雄がコケた後、さらに強権的な英雄が出てくる。そのときこそホントウの不幸の始まり…か。 6月23日(土)晴れ PM2。内幸町ホールで「天切り松」。主演の中村亮チャンが招待状をくれたので見に行く。浅田次郎原作をアングラ劇に。客のじいいさん、ばあさんビックリ仰天。終演後、亮チャン、高木尋士らと立話。 PM6。パブリックシターでピーター・ブルックの「ハムレットの悲劇」初日。並びの列の坂手洋二に挨拶。6時開演とあって、食事をしてこない観客が多く、あちらこちらから空腹音、居眠りするお偉い評論家…。 10時。2日ぶりに帰宅。 6月22日(金)晴れ 国立劇場ピットで遊◎機械オフィス「ムーンパレス」。シンプルな舞台装置、白井晃のスタイリッシュな演出手腕。最後まで堪能する。しかし、帰りの電車で江森盛夫さんは「オレはだめだね。ああいうもったぶったような演出は受け付けない」とばっさり。やはり人それぞれか。 6月21日(木)晴れ 書店で花輪和一の「刑務所の中」を買う。銃刀法違反で服役した花輪の体験マンガ。「死刑囚に会いたい」と刑務所の中でキョロキョロする花輪の子供のような好奇心と無神経に辟易。 6月20日(水)曇り 休日。9時起床。ビデオで映画「貸間あり」を見ているうちにウトウトしてしまう。どうも、家で映画鑑賞は鬼門だ。 午後、小学校のPTA企画で手話教室があり、カメラマンとしてかり出される。4時まで小学校の教室。この前の事件の余波で、2カ所ある通用門のひとつは閉鎖されている。腕章をつけないと、校内もうかつに歩けない雰囲気。 イベント終了後、子供と公園に行き、自転車の練習。もうすっかり乗れるので、うれしくてたまらないらしい。 帰宅して、近所の整骨院でマッサージ。ふだんは30分で終わるのに、混雑していたので1時間もかかってしまう。家に帰って夕食を食べ終えたらもう8時過ぎ。なんだか、あっという間の一日。 先日の山本美絵ライブの影響か、ふとCD棚から石川セリのベストルバムを取り出して聴く。「セクシー」。下田逸郎の名曲。アルバムの冒頭は「八月の濡れた砂」。もう30年近く、夏が近づくと聴いている。2度ほど聴くとあとは聴かない。聴きすぎると飽きるから。1年に1度。男と女のつきあいもそれくらいがちょうどいいのか…? 6月19日(火)晴れ時々雨 忌引きで一人欠員のため、仕事量が増え、朝からハードワーク。 PM7、大塚萬スタジオでピンクアメーバ「青い島の橋の上」。ユニット名とタイトルからは想像できないが、阪神大震災をモチーフにしたハードな舞台。作・演出の永元絵里子(28)は離風霊船、ストレイ・ドッグと小劇場正統派を歩んできただけに、物語性の強い舞台に惹かれるようだ。 9時終演。客出しの間、外で脚本家の森岡利行と立話。「うちの黒川麻衣が今度NHKの”月9ドラマ”で主演することになったんですよ。今14歳。8歳のときからボクがマネジャーとして面倒見てたんです」と嬉しそう。 客出しが終わった後、初日乾杯。椅子に座って永元絵里子とひとしきり話し込む。作・演出を始めて3年。今は女優ではなく作家の顔。線の細かった彼女のどこに数十人のスタッフ、キャストを束ねるバイタリティーが潜んでいたのか。女は強い。 顔色がいまいちさえないのでどうしたのかと思ったら、芝居の途中で年配の客が何人か帰ったことを気にしている。「つまらなかったのかなあ…。ちょっとヘコンじゃった」と。10時。永元に見送られ、萬スタジオを後にする。11・30帰宅。 6月18日(月)晴れ 久しぶりの晴れ間。午後にはピーカン照りとなる。 ノドの痛みはとれず、うがいを励行。夕方、いくぶん楽になる。 PM7。渋谷ON AIR WESTで山本美絵のスペシャルライブ。観客は200人ほど。舞台には巨大な三面鏡が置かれ、その前に立つ山本美絵。マジックミラー越しに裸のマネキンが浮かび上がる。いくぶんシュールな美術。自分のことを「山本は」と言う彼女、昔の楳図かずおの恐怖少女漫画か丸尾末広の怪奇漫画に出てくる美少女のように、切れ長で大きな目、腰まで伸びた長い髪、すらりと伸びた手足、ぼそぼそとつぶやくようなMC。22歳。やはり一風変わったキャラクターだ。 「バンドをやってた頃はツェッペリンのマイナーな曲をやっていて、縦ノリ、斜めノリのバンドの後にやると、お客さんは呆然と見てるだけ…。拍手のないのは慣れてますけど、今日はいっぱい拍手もらってありがとう」 「山本の歌は20年か30年前の歌みたいだってよく言われるんです。それで、自分で当時の音楽を聴いてみたら、いい曲がたくさんあるんです。きょうは石川セリさんの”セクシー”をカバーしてみました」 ウーン、なかなかいいではないか。アンコールは一番思い入れがあるという「17」。 PM8・30終演。アットホームなライブだった。 渋谷の雑踏を通り抜けて家路に。10時前に帰宅。 6月17日(日)曇り 10時起床。ノドが痛い。やはり風邪か。昨日、飲みに行ってたら完全にダウンしてた。 2時間ほど公園に行き、子供の自転車の練習を見る。うまく自転車が乗れるようになったら新しい自転車を買ってあげると約束していたが、この分では約束の履行が早くなりそう。 家に帰りPCの前に座ろうと思ったが、頭がふらふらする。熱っぽい。ふとんの上に横になったらそのまま夕方までぐっすり。夜、眠れるのか? 6月16日(土)雨 PM1、銀座・博品館劇場で「まさかのCHANGE!?」。タップダンサー、玉野和紀が作・演出・出演のミュージカルコメディー。ストーリーに重きが置かれており、肝心の歌とダンスが思ったほど多くない。メインキャストの今陽子の鍛え上げたノドはさすがの貫禄。中学のときピンキー好きだったのに、もう50歳か。時の流れは速い。2時間50分はちょっと長すぎる。 夜は天王洲アイル・アートスフィアでとりふね舞踏舎の「ひのもと」。暗黒舞踏独特の緩慢な動きの中に内在する壮大なエネルギー、圧倒的なスペクタクルに陶然となる。ゲストの玉野黄市、工藤丈輝、若林淳の肉体の流麗なこと。「とりふね」は初めて見たが、海外公演で絶賛されるはずだ。終演後、演出の三上宥起夫、出演の三上加代夫妻に挨拶。 ロビーで蘭妖子さん、元桟敷の林檎童子さん、タリさん、市川正さん、テラヤマ新聞の稲葉さん、金子千絵さん、若い女のコを連れた松田政男さん、第七病棟の毛利さんらと立話。毛利さんから、石橋蓮司が子役時代に主演した教育映画の話などを聞く。PM10。モノレールで浜松町へ。みんなはそのまま榎本了壱さんに引き連れられて飲み会に流れていくが、さすがに今日はクタクタ。飲みに行く元気なし。今からだと完全に午前様だ。ノドも痛いので名残惜しいが一人家路につく。帰宅はPM11。ようやく1週間が終わった。 6月15日(金)雨 今日も雨。PM4・30、麻布十番の喫茶店「C」で浅川マキさんと待ち合わせ。雨で神谷町からのタクシーがなかなかつかまらず、30分ほど遅れてしまった。お会いするのは去年の暮れ以来。いつもの黒づくめのスタイルで煙草を喫いながら待っていた。「あらまあ、遠くまでわざわざ来ていただいて…」とマキさん。テーブル2つとカウンターだけの小さな喫茶店。マキさんによれば「オーナーが道楽でやってる店」とか。6月末のライブのこととか、よもやま話で1時間半はあっという間に過ぎる。6時10分。マスターとマキさんに見送られて店を出る。 霧雨が足元を濡らす。タクシーを拾って、赤坂へ。赤坂BLIDZでSAKURAの「シシラ・ツアー」最終東京公演があるのだ。 近くで降りて牛丼屋で腹ごしらえ。カルビ定食580円。 会場に着くと傘と人の波。大きなライブ会場はお台場でのシュガーソウル「うず」ライブ以来か。7時過ぎにスタート。初めアップテンポの曲が2曲続く。ほとんどが20代の女のコかカップル。たまに会社帰りのサラリーマンふうがぽつりぽつり。 ウーン、こんないいライブはなかなかない。客種もいいし、SAKURAのMCもいい。最近のライブでは、CDを聴いて、せっかく「いい線いってる」と思っても、同世代の客にタメ口きくように雑な言葉遣いをする歌姫もいて、がっかりすることが多い。でも、SAKURAはMCの組み立てもきちんと考えて臨んだようで、意味のない客いじりMCもなく、スッキリはっきり。なによりも艶のある、のびやかなボーカルが最後まで持続する。Misiaなんかでも途中でヨレったりするが、SAKURAのうまさは半端じゃない。まったく音程に狂いは生じないし、その表現力たるや、思わず肌が粟立つほど。中盤で名曲「君のために」のイントロが始まった時には、もう興奮の極み。 アンコールのラストソング「プレシャス・ラヴ」は堂々25人のクワイヤを従えてのド迫力熱唱。いや、いいもの見せてもらいました。今年のベスト・ライブ決定。でも、2時間半スタンディングはやっぱり疲れる。 10時45分帰宅。まだ雨は降り続く。 6月14日(木)雨 夕食前にビールを飲む。家で飲むビールはたった1本でも回りが早い。 人はなぜエレベーターの中で互いに押し黙ったまま階数を表示するパネルを見つめてしまうのか。十数秒が10分にも長く感じるのはなぜか。 私有空間の侵害による緊張であるとの説がある。 人は他人との距離が70センチ以内になると不快になり、その距離が縮まれば縮まるほど不快感は増大する。ストレスは体の側面より顔の正面の方がはるかに大きい。だから、体の向きを変える。なるほど、説得力ある。満員電車の中の光景も似たようなものだ。 でも、それだけじゃない。エレベーターの中は予期できない細切れの時間が共存しているせいもあるだろう。次の階で降りる人もあるし、最上階まで行く人もいる。互いの時間を侵害しないための動物的防衛本能が働くに違いない。 しかし、もし、そのエレベーターが100階までノンストップのエレベーターだとしたら、箱の中に居合わせた人はにこやかに談笑するか? いや、やっぱり押し黙ったまま、パネルを見つめるんだろう。ということは、人と人の距離に原因を求めるのが正解かもしれない。 人と人の距離か…。 1年会わないということは、互いに1光年離れた星に住んでいるのと同じ。10光年、20光年彼方の星に去った人もいる。今夜は空を見上げて1光年離れた星を思うのだろうか。限りなくゼロ光年のトモダチ……。 ウン? 一体何を書いていたんだっけ。 ♪ボクはすっかり酔っちまって…。早く寝よ。 6月13日(水)晴れ 公休日。ビデオにとった川島雄三の「貸間あり」を見たかったのだが、その前に部屋の片付けを、なんて始めたら底なし沼。パソコンのラックを少しずらして掃除機をかけただけなのに、元に戻してパソコン立ち上げたら、モニターが真っ暗。あれま? どこか差込がずれたかな、と点検するも異常なし。何度かやってるうちに今度は画面が出るも解像度が低く、小さな画面。仕方なくメーカーのサポートに電話。指示に従って何度か試みるが、ダメ。色々試したあげくようやく復旧したのが30分以上たってから。何のおぼえもないのに、いきなりこんな目に遭うなんて。やっぱりパソコンは怖い。 昨日、三軒茶屋のTSUTAYAで買ってきたエゴ・ラッピンのインディーズ旧譜CD3枚を聴く。あれ? 印象が今とだいぶ違うではないか。ときめかない。感じない。ぬるい。「色彩のブルース」は奇蹟だったのか。 さて、今日も早めに寝ようか。 6月12日(火)晴れ時々雨 PM7、世田谷パブリックシアター・シアタートラムで空中庭園第4回公演「バルカン」。休憩込み3時間と長丁場。渡邊守章訳・演出の格調高い芝居だけに中高年の観客が多い。主演・篠井英介目当ての若いコが圧倒的ではあるが。 終演後、楽屋に顔を出す。塩野谷正幸に挨拶。「昨日、流山児が来てましたよ」「なんで頭を丸坊主にしたのかって? へへ、ちょっと悪さをしてそのバツですよ」。映画の役つくりか? 篠井英介と”紅2点”の西牟田恵、池田有希子の3人は同じ楽屋。そうか、篠井英介は”女”だもんなぁ。 顔を洗ってきた西牟田と立話。「こういう芝居までわざわざ見に来てくれてありがとうございます。今日は昼夜2回公演。でも、動きがないから3時間出ずっぱりでもそんなに疲れないんですよ。舞台は今年はこれでおしまいかな」 楽屋から池田有希子が笑顔で飛び出してくる。「わーっ、お久しぶり。会うのは今年初めてじゃないですか。元気でした? 今回は出番がずっと後だから、その間、楽屋でストレッチやってるんですよ。みなさんに申し訳なくて肩でももんであげたいくらい。そうそう、8月にピーターパンがあるからぜひ見に来てくださいね。割とオトナ向けだから。その後は10月に博品館劇場。池田、頑張りま〜す」 キュートで元気いっぱいのユッコ。いつ会ってもすがすがしい。 PM11・50帰宅。 ドイツで2030年までに現在稼動中の原発19基を全廃するという政府・電力業界の調印が行われたとの夕刊報道。クリーンなエネルギーへの転換は世界の趨勢。ブッシュ政権が誕生したために、アメリカでは原発推進派が息を吹き返したが、世界の脱原発の流れは止められない。日本だけが孤立し、最後にババを引かされるのはカネで自然と誇りを売った貧しい地方自治体。残るのは放射能の塊だけ、にならなきゃいいが……。 ベランダで素振り。割と続くじゃないか。よしよし。 6月11日(月)晴れ 昨夜も10時に就寝。いつもと睡眠のサイクルが狂ってしまい、夜中に何度も目が覚める。結局、早く寝ると、余計疲れるという矛盾が生じる。なんのこっちゃ。 駅の本屋で山田風太郎「夜よりほかに聴くものもなし」を買う。喫茶店に入って読もうと思ったが、なぜか行く先々、閉店している。家に直行して夕食。 昨日撮った川島雄三の特集番組を見る。サラリと見るつもりがつい引き込まれてしまう。たたずまいに引力がある。こんなに長い時間、動いている川島雄三の映像を見たのは初めてだ。弟子の藤本義一、小沢昭一、今村昌平らが川島雄三を語る。こんなに慕われた人もいないのではないか。回想する水上勉の姿に思わず涙が出る。小沢昭一は顔がむくんで、肝臓でも病んでいるのか。しばらくテレビで見ないうちに急に年老いた。この前の最後の舞台を見ておけばよかった。川島を知る世代は確実に年老いていく。淡島千景もインタビューでアップを撮らせない。サヨナラだけが人生…か。 6月10日(日)雨時々晴れ 睡眠は十分。8時半に目がさめ、部屋の片付け。午後、子供の自転車の練習に付き合う。息せき切って自転車の後を追いかける。いい運動になった。全力疾走なんて久しぶり。足が上がらん…。 日曜の時間が過ぎるのは早い。あっという間に寝る時間に。 6月9日(土)晴れ 昨日の事件がひっかかっていたのか、明け方いやな夢にうなされ飛び起きる。じっとりと寝汗。 土曜日は1週間のうちでもっとも慌しい。 木山事務所「桜の園」を見て家に帰る。ふと昔テレビでやってた「さよなら、こんにちは」を思い出す。栗田ひろみが家の中に吊ったブランコに乗っていたっけ。原田芳雄、浅丘ルリ子、藤竜也も出演していた。今にして思えば、あれは「桜の園」だったんだ。昔はずいぶんしゃれたドラマをつくっていたものだ。 6時半来客。8時過ぎまで話を聞く。その後、遅い夕食。さまざまな思いが交錯し、急に疲労感。HP更新する気力もなくなり、PM10、早々と就寝。 6月8日(金)晴れ 朝、電車の中でうたた寝していたら、夢の中で高校時代の同級生の顔が出てきた。話した記憶もほとんどないし、卒業以来、思い出すこともまったくなかったのに。なぜだろう。不思議…。 大阪池田市で小学校に包丁を持った男が乱入。児童8人が刺されて死亡する。犯人は精神障害者らしい。なんとも痛ましい事件だ。死者の数が増えていくのをテレビで見ながら、殺された子供、そして子供を亡くした親のことを思うと、憤怒と悲しみで胸が痛くなる。子供を亡くすほど世の中でつらいことはない。同時に容疑者の家族・縁者もまた厳しい風を受けることになる。犯罪は周囲を不幸に巻き込む。 しかし、こんな事件があると、またぞろ「被害者の人権」論が台頭して、保安処分のような危険な法律が息を吹き返すのではないかと心配になる。精神病患者のみならず政治的”要注意人物”とみなされた人間はすべからく隔離拘禁される保安処分。今審理中の個人情報保護に名を借りた”言論弾圧法”とセットになったら、まさに戦前の暗黒時代の復活。目も耳も口もふさがれた国民がたどるのはいつか来た道。死屍累々たる先人の闘いによって勝ち取った”平和”が水泡に帰すのは必然。戦争を美化する「新しい教科書」と流れを一にして、時代はどんどん逆回転を始めている。犯罪への怒りは当然だが、ムードに流され、判断を誤ると、とんでもない時代がやってくる。 PM6・30帰宅。郵便物が2つ。うれしい贈り物。 ふだんテレビを見ないのに、嗅覚か? 唐沢美帆がミュージックステーションに出るという予告が目に入り、ビデオにとってそこだけ見る。ウーム、高校3年か。素顔もなかなか可愛い。 6月7日(木)晴れのち雨 新宿、紀伊国屋サザンシアターで「プルーフ」。4日(日本時間)発表のトニー賞で最優秀作品賞を受賞、制作者にしてみればグッドタイミング。しかし、初日なのに空席も目立つ。寺島しのぶが熱演。秋山菜津子が姉役で、釣り合うかどうか気になったが思ったほど違和感はない。秋山って意外に年齢が上なのか? M新聞Tさんに会ったので、杉山正樹本の話をしたら、「そうだったんですか。もっと早くに話を聞いてれば…」と驚いた様子。「悪いことしちゃった…」と恐縮しきり。 11時帰宅。運動というのはクセになる。どんなに疲れていても習慣づけられると、それをやらないと気持ちが悪い。ベランダに出て素振り。 0時、更新・就寝。 6月6日(水)雨 昔、「休みの国」っていうフォークグループがあったけど、メンバーはどうしてるんだろう。てなことはさておき、今日は休みの日。家人はPTAの集まりで出かけ、私一人。時間がフルに使えると思うと、何をしようか、テレビで映画を観ようか、本を読もうかなどとうれしくなってくる。 しかし、パソコンの前に座ったら、「ずいぶん芝居のレビュー更新してないなあ」とか思い始め、いざ手をつけようとしたら今度は「半券を整理しなきゃ」と、試験前の部屋整理の気分。 結局、朝からスキャナーで半券を取り込んでいるうちに半日が過ぎる。スキャンするのって結構時間がかかる。半券ギャラリーを追加しようと思ったが、公演の年月日がわからない切符が多い。取りあえずアップして、後で整理するようにしないといつまでもそのままだ。まずは跳べ? 「ビニールの城」や最後の天井桟敷公演「レミング」、伝説の東京グランギニョルの「ライチ・光クラブ」の半券は希少だと思う。中には2枚ずつ保存してある半券もあり、胸中複雑。あの日、あの時、二人でみた舞台…。 同時進行でラジオドラマの録音も。そんなこんなしているうちに一日はあっという間に終わる。ウーン、これでいいのか? 一日が48時間あれば。 6月5日(火)晴れ なるべく空白がないように自分の日常を埋めているのに、たまにぽっかり空白ができるとちょっぴり不安になる。今日は四谷のライブハウスに行こうと思っていたのだが、体調がいまいち。次の日が休みという絶好の日にも関わらず、エンジンがかからない。それは夕方まで続き、ついにリタイヤ。結局、仕事を終えて帰宅。火曜日に家に滞在するのは何カ月ぶりだろう。とはいっても、ファミリーサービスをしていたら、あっという間に時間が過ぎ、いつもの帰宅時間になってしまったが。 「イチ押し」でも紹介したが、突然ハマッてしまったのが「EGO WRAPPIN’」というバンド。久しぶりに音楽性のあるオトナのバンドにぶつかったわけで、こまめにCD屋を歩けばイイものに当たる。2枚続けて聴いてもアラが見つからない。中納良恵というボーカリストを聴くと、時代は変わった、と思う。あまりにもウマ過ぎる。 佐々木昭一郎氏から昨日映像新聞に掲載された記事のコピーをいただく。 6月3日(月)晴れ 各HPの掲示板にオフ会のお礼書き込み。 4時、仕事が終わった後、家に直行。HPの原稿を書いてると、家族から「いつも出かけてばかりで、たまに家にいるときはパソコンの前に座ってばかり」の冷たい視線の集中攻撃。嗚呼、男はつらいよ。さて、今日こそ早寝しよう。 6月3日(日)晴れ 銀座で開催中の「龍居道子・小西由紀子 二人展」に行く。小西さんは秋田在住のネット仲間。もともとは東京生まれ。東京近郊在住の仲間を集って見に行こうという話になり、11時半にソニービル前に集合。okoppeさん、でんでん、BARAさん、古川さん、森魚さんそして相模原から自転車で大治郎さんも参加。関西からは朝の飛行機で宝塚の女さん一家が駆けつける。まずは画廊に行き、絵画鑑賞。さすが芸術家一家、どれもが素晴らしい作品。絵画の才能のある人には素直に尊敬の念を抱いてしまう。 PM1に近くのレストランで昼食オフ会。ズラリと勢ぞろいの面々。壮観。やや遅れて大治郎さんが到着。自転車で4時間かかったという。相馬さんと友人の杉原さんが合流。2時半まで歓談。その後、ぐーさんは画廊に戻り、メンバーは喫茶店に。宝塚の女さん一家は5時15分の飛行機に乗るため、3時半過ぎにお別れ。森魚さん、相馬さんたちも帰り、残ったメンバーで三次会。 5時過ぎに古川さんの友人のスガワラケンさん登場。6人でワイワイやってるうちに時間は過ぎてあっという間の夜8時。今日は昼からずっと飲み続けていたことになる。さすがに疲れた。しかし、天の配剤というべきか、今日集まってよかったと思う出来事があった。それは…1週間後に…。 9時半帰宅。HP更新して11時半就寝。 6月2日(土)晴れ PM2、上野の奏楽堂(旧東京音楽学校)で竹本素京義太夫の会「壺坂霊験記」(「三十三所華ノ山観音霊験記)。 日本で最も古い木造の様式音楽ホールで87歳の竹本素京の義太夫を聴く。なんという贅沢さ。さすがに客席は高齢者がほとんど。87歳とは思えない張りのある、艶のある声、そして三味線。圧倒される。約1時間半。終演後の質疑応答もあったが、上野の森を駆け抜け、地下鉄に飛び乗り下北沢へ。 5時開演の加藤健一事務所「セイムタイム・ネクストイヤー」に滑り込みセーフ。 何度も再演されているが、見る時の自分の年齢によって印象や見方がずいぶん違う。 25歳から51歳まで毎年、1年に1回、海辺のコテージで逢瀬を重ねる2人の男女の物語。どちらも家庭がある。罪悪感を持ちながら、会うたびに信頼関係を深める二人。何度も見ているのに、いつも感情移入できなかったお話。しかし、今回は二人の思いが理解できるような気がする。観客の立場、年齢で芝居の見方は変わる。 休憩時間、ロビーで女優の風間水希ちゃんに会う。「こくまろな女達」の稽古は7月からとか。その前に役作りのため、ボクシングジムでボクササイズの練習をするのだという。 7時半終演。9時までに帰らないとマズイ。制作・中島さん、阿部さんへの挨拶もそこそこに、駅にダッシュ。電車に飛び乗る。 電車の中で、ロビーにあった日本劇作家協会の会報を読んでいたら、渡辺えり子が福田善之にインタビューしている。 その中で、「駆逐艦雷電の告別」の話が出る。佐藤信が「自分は役者としてドラマに出たことはない」と語った前号のインタビューに関して、福田が「それは勘違い。彼は私のテレビ作品で主演しているし、ラジオドラマでもサム(串田和美)と主演している」と証言しているのだ。 その証拠として、「駆逐艦雷電の告別」のCDを挙げる。それは演出の沖野氏が1996年に保存用に作ったものらしく、福田さんも3枚持っているという。 渡辺えり子はそのラジオドラマを知らないらしくびっくりしていた。 「駆逐艦ーー」は、たまさんの好意で、最近聴いたばかり。渡辺えり子より先だ。ちょっぴり優越感(笑い)。しかも、このドラマはラジオ第一と第二の立体ステレオ放送だったということを初めて知る。この作品を最後にステレオドラマはFMに移行するのだ。新しい事実を発見。 PM9帰宅。メールチェック、返事、日記で深夜に。明日は銀座で臨時オフ会。早く寝よう。 6月1日(金)晴れ 睡眠時間4時間。完璧に寝不足のままいつものように5時起床。会社へ。懸案の事件にひとつの結果出る。 昼、食事に出たついでにロト6を購入。 午後、1時間ほど仮眠。PM5退社。PM7・30、小竹向原のMODEアトリエで「あーぶくたった、にいたった」。別役実、74年の作品。言葉も芝居も古びていない。松本修が役者として登場。「月ノ光」以来、役者復帰かと思いきや、病気降板の代役とか。PM9・30終演。松本氏と外で立話。 11・00帰宅。今日もハードな一日だった。 |