5月31日(金)快晴

 W杯開幕で明日からハードな日々が1カ月続く。見ているぶんにはいいが、仕事ともなると…。夕方、急に忙しくなり、帰宅が遅れる。S駅で降りて買い物。

 夕食は冷凍庫から出した大きなアワビ。田舎から送ってきたのをとっておいたのだ。これでも数千円はするだろうなあ。ビールをクイッといきたいところだが、買い置きがなく、断念。うれしさ半分の夕餉。
 もう薄がけ一枚でもいいような暑さ。5月末というのにクーラーが回り始める。明日から6月。月日の流れは早い。
5月30日(木)快晴

 PM4・30〜6、根津の鍼灸院。
PM7・30、三軒茶屋・シアタートラムで遊機械プロデュース「ピッチフォーク・ディズニー」。白井演出冴えわたる世紀末悪夢。友人のYさんと久しぶりに会う。席が近かったので開演前のおしゃべり。PM9・15終演。萩原聖人の事務所の社長Bさんに挨拶。「高橋和也も頑張ってますから見てください」とBさん。6〜8月に連続公演がある。Mさん、江盛さんと帰りの電車で一緒。PM11帰宅。疲労困憊。
5月29日(水)快晴

 9時起床。昨夜は早めに寝たので10時間以上も眠ってしまった。さすがに腰が痛い。
 午後、歯医者でブリッジ固定。痛まないように1カ月間放置し、ようやく完全固定。これで一息。
 PM4、学校から帰ってきた子供と空き地で野球。家内も加わり、3人で打ったり走ったり。心地よい汗。帰宅してビールをクイッ。せっかく運動しても元の木阿弥?

 防衛庁の個人情報リスト作成は「三等海佐の個人的行動」に矮小化されそうな雲行きだが、組織ぐるみなのは明白。いつも通り、とかげのシッポ切りでごまかそうとしても、自らの首を締めるようなもの。
 しかし、情報公開請求者を「市民グループ」「マスコミ」「元自衛官」「学校」「反戦自衛官」などに分類し、「市民グループ」はさらに「市民オンブズマン」という項目に分類していたというのだから巧妙だ。こんなことが1人でできるわけがない。要は情報開示を求めた団体を「反政府グループ」として監視・追跡しようというのが狙いなのは明らか。どこで情報を得たかという問いに対し、「インターネット」が入っていたが、語るに落ちるとはこのこと。

 審議中の「個人情報保護法案」の”個人情報取扱者”は2000人程度の個人情報が得られる一般市民も含むわけだから、インターネット利用者はすべからく”個人情報取扱者”になることを暴露したようなもの。
 つまり、個人情報保護法案はインターネット利用者=すべての国民に網をかけようとした法律であることが証明されたといえる。この期におよんでまだ「修正案」で政府のご機嫌取りしてるのは犯罪といえるだろう、読売新聞よ。

 おっと、晩酌でつい気が昂ぶってしまった。

 HPのアクセスカウンターが4万を突破した。拙いHPだけど、こんなに”仲間”がいるのはうれしいし、心強い。これからも疲れないように、マイペースで続けていこうと思う。訪れてくれるすべての人に感謝!
5月28日(火)快晴

 防衛庁が情報公開請求者のリストを作っていたと毎日新聞がスクープ。情報公開請求者のデータは書面に記載されたデータ以外の個人情報を収集して作られたものだという。情報公開を求めた人の中には自衛隊に応募して不合格になった少年の親もいた。「なぜ不合格になったのか知りたい」というのは親の感情として当然のことだろう。情報公開請求者を「お上にたてつく連中」と見なす防衛庁がどんな組織か分ろうというもの。審議中の個人情報保護法案はこんな場合も罰則規定はない。一番個人情報が集中し、漏洩しやすい公権力は野放しにして、個人や市民活動を縛る法律。それが個人情報保護法。今回の事件でその法案の欠陥が露呈したわけだ。読売新聞試案など愚の骨頂。廃案以外の道はない。
 法とは公権力の横暴から国民を守るものであって国民の自由を縛るものではない。

 PM7、新宿・紀伊國屋ホールで文学座「月夜の道化師」。渡辺えり子の書き下ろし作。文学座という端正な新劇演出のフィルターを通してみると渡辺えり子の戯曲が実に平明で素朴なものだということがわかる。言葉を変えれば底が浅い。
 帰り、松田政男さんと駅まで。「”幽霊はここにいる”よりはよかったよ」と松田さん。
PM10、帰宅。なんだか疲れてしまい、更新もせず早々と布団に入る。
5月27日(月)快晴

 朝、昨夜の「川の流れはバイオリンの音」録画をチェック。AM7、出社。一仕事終えてからAM8・30、S国際病院で人間ドックへ。今年からさらに合理化され、時間短縮。10・30にはすべて終了。視力検査はモニター画面を遠くから眺める方法に変更。昨年まではレンズをのぞきこむ方法だった。
 AM11。47階のレストランで一足先に食事。ステーキランチ1200円。
 午後の検査結果面接で「まったく異常なし」のお墨付きをもらう。よかった。大丈夫だろうと思っても結果を聞くまで心配。
 耳鳴りは…仕方ない。
 PM3・30、テアトル・エコーのA氏来社。「ら抜きの殺意」の情宣。PM5、帰宅。ピアノ教室の送迎でPM9まで。「私の青空2002」最終回を見る。結局、健人っていう男の描かれ方は徹頭徹尾、血の通っていないお人形さん扱いのまま。よくわからん。
5月26日(日)晴れ

 9時起床。お昼は「華屋与兵衛」で昨日の運動会のお疲れさん会。
 その後、近くの空き地に行って子供とキャッチボール。そのうち同級生たちが何人かやってきたので、みんなを集めてワンベース野球をやる。暑い日差しの下、汗が吹き出る。家でトレーニング器具使って腹筋やってるよりいい運動になる。
 PM3、家に戻り、ダ−ビー観戦。やっぱり武豊。波乱なく馬券は花と散る。
 夕方、思い立って部屋掃除。そうこうしているうちに夕食、風呂と一日は瞬く間に過ぎていく。

 昨日、PANTAが東京キッドブラザースの「北北西に進路をとれ」(下田逸郎)が聴きたいと言ってたので、キッド全漂流記を取り出して聴いてみる。アジテーション。愛と自由と平和を夢見た花の子供たち。東由多加の夢見た若者の共和国。それがこの世に存在しない蜃気楼でも、人は夢見るべきなのだ。幻であっても希望は持ち続けるべきなのだ、と思う。無限の宇宙。その中のちっぽけな星で生まれて、人が人を支配する制度の奴隷のまま一生を終えるなんてつまらない。

 浜岡原発2号機でまた冷却水漏れ事故。運転を再開したばかりというのに。ECCS(緊急炉心冷却装置)といういわば原発事故の最後の砦に欠陥があるなんて、シャレにならない。原発再開前に水野誠一議員らが廃炉を求める声明を出したが、新聞はベタ記事扱い。それが事故が明るみになったとたん大きく扱う。無定見。
 しかし、これでも原発は安全だというのだろうか。25年の耐用年数がきても、「まだ大丈夫」と耐用年数の延長を謀ってきた電力業界。企業の営利のために国民の命を差し出す国家。あまりにも醜悪な構図。
 PM10、明日は人間ドック。早目に寝なくては。
5月25日(土)快晴

 午後、会社を抜けて子供の運動会へ。片道1時間、小学校の校庭に30分滞在してとんぼ帰り。午前中で出場する競技はほとんど終わっていたが、顔を出さないと。
 PM3、会社に戻り仕事の続き。
 PM6、阿佐ヶ谷へ。ダイヤ街の「江戸竹」で大間マグロの中トロ定食1700円。

 PM7・15、ザムザ阿佐ヶ谷で月蝕歌劇団「ルパンVS少年探偵 怪魔・二十面相共和国」。終演後、中日打ち上げを劇場で。その後、高取さんと飲み会。頭脳警察のPANTA、週刊JのDさん、女優の三坂知絵子、松宮扶多葉ら。今日は終電で帰ろう…と思いながら、話がはずんでつい帰りそびれる。結局AM2、タクシー帰り。同じ方向のDさんと乗り合い。

 店のマスターが気をきかせてPANTAのアルバムを立て続けにかけてくれる。PANTA&HALの頃の曲。照れるPANTA。気さくで話好きで下戸。クレヨンしんちゃんの新作映画を高く評価していた。

 PANTAが松任谷由実と親戚だったという話の流れで、石川セリの名前が出てくる。「”八月の濡れた砂”はいい曲だよね」とPANTAが言ったので、この前の掲示板の質問を思い出し、「あの楽器は何でしょう」と聞いてみる。ちょっと考えていたが、携帯を手に「もうこの時間じゃ寝たかなあ。お母さんだもんな」。石川セリに電話して彼女から直接聞こうとしたPANTA。でも、時計の針は、0時を過ぎ、さすがに電話するのがはばかられたらしく、「今度聞いておくから」とニッコリ。PANTAはいい人だ。
5月24日(金)晴れ夕方一時雨

 女優の清川虹子さんが亡くなった。89歳。秋に公開される金盾進監督の映画「夜を賭けて」に出演した際、非常に元気だったと盾進が言ってたが、高齢に加え、肝硬変も進んでいたのだろう。状況劇場に出演したり、いつまでも若々しい女優魂を持っていた。

 清川さんで思い出すのが、20年近く前のこと。下北沢で上演した小劇場の芝居に出た清川さん、制作をしていたA・Kらに上演後の飲み会に誘われ、掘りごたつのある小さな座敷で飲んでいた。メンバーは5〜6人。その中でやたらとハイテンションのサラリーマンふうの男がいて、隣の清川さんになれなれしく話し掛け、時々、お尻に触ったりしていた。「キャーッ、エッチね〜」と清川さん、無作法男に対して不快そうな顔も見せず、豪快に笑っていた。宴が進み、主宰のY・Nさんも駆けつけ、飲み会に出ているメンバーを紹介し始めた。ところが、セクハラ男はいつのまにかドロン。「あの人、誰だったの?」。みんな顔を見合わせて「?」。みんな仲間うちだと思い込んでいたのだが、どうやらよその座敷からの闖入者だったらしい。「図々しいったらありゃしない。清川さんのお尻をさわって逃げるなんて…」−−主宰者のY・Nさんはぷりぷり怒って見せたが、清川さんの「まだ触ってくれる人がいるんだからいいわよ」に一堂大笑い。豪放磊落、まさにやくざ映画の女親分を地でいく女優だった。謹んでご冥福をお祈りしたい。

 PM5。大阪から情宣でやってきた南河内万歳一座の内藤裕敬と役者の木村基秀さんに会う。6月に万歳一座の復活公演があるのだ。芝居の話はいつの間にかダービー予想に。内藤の予想と私の予想が絶妙にリンク。これはもしかしたらすごいことになるかも? 夕立の中、駅に走っていく内藤氏たちを見送り帰り支度。

 PM6・30帰宅。きょうは早く寝よう。
5月23日(木)快晴

 午後、パルコ劇場で「ダブリンの鐘つきカビ人間」のゲネプロ。水野真紀、遠藤久美子の囲み取材。
 PM6、下北沢。ディスクユニオンではっぴいえんどトリビュートアルバムを試聴。
PM7、スズナリでMODE「恋愛日記」。竹内銃一郎の84年の作品。やはり古びた印象は否めない。2時間5分が長く感じられた。女優陣の可愛さで我慢できたが。帰り、江森盛夫氏と表参道まで一緒。PM10・20帰宅。
5月22日(水)快晴

 初夏の香り。午前中、ビデオで黒澤明監督「わが青春に悔いなし」を見る。こんな名画を見ていなかったとは恥ずかしい。1946年作品ということは敗戦直後だ。
 学問の自由と大学の自治が脅かされた京大事件をモチーフに2人の学生と1人の女性の恋のトライアングルが描かれる。しかし、この映画の真の狙いは「女性の自立」にあった。2人の男に思いを寄せられる大学教授の娘役は原節子。この人は絶世の美人と形容されるが、あくまで戦前の基準の美人。今風の美人の尺度からいえば、ちょっと違う。しかし、この映画の原節子の美しさは別だ。映画の後半は限りなく暗く絶望的な展開になる。それに反比例して、苦悶を浮かべる彼女の顔はますます輝いて見える。

 深窓の令嬢が自由のために闘い獄中死した恋人の実家に赴き、義父母とともに過酷な農作業に耐える。スパイの汚名を着せられた家は村八分。せっかく植えた田んぼの苗も、一晩のうちに村の人たちによって、なぎ倒されてしまう。「嫁」が来ても頑なに口を開かなかった義父がその光景を見て初めて立ち上がる。田んぼに投げ込まれた「スパイは田に入るべからず」というムシロ旗を引き抜き、悔しそうに叫ぶ義父。この老俳優が実にいい。誰だったろう。

 戦争が終わり、自由が戻った後も彼女は農村に残り、村のために働こうとする。自分たちを排斥し、塗炭の苦しみを味あわせた村のために…。
 「私の手はもうピアノを弾く手じゃないわ。村に戻って農村の女性が置かれた境遇を少しでも良くするためにやるべき仕事がたくさんあるの」
 父親に告げる娘。

 そうか、この映画は女性の自立映画だったのだ。1946年。まだ戦争の傷跡が残る日本、未来への希望を高らかに謳いあげた黒澤明。
 だが、しかし、それからわずか50年余り、再び戦争への道を逆走することになるとは。希望に満ちたエンディングは今の時代の不毛をよりくっきりと浮かび上がらせる。1946年、日本と日本人はあんなにも希望に満ちた表情をしていたのだ。

 PM3、歯医者。PM4・30、根津の針灸院。休日というのに、スケジュールに追われ気が休まらない。
PM7、帰宅。夕食。
5月21日(火)晴れ

 PM7・30、梅ヶ丘BOXで燐光群「屋根裏」。ほとんど全編小さな屋根裏を舞台に進行する実験劇。終演後、坂手洋二に挨拶。劇中のぬいぐるみは小3の息子の私物とか。テトル・エコーのA氏と途中駅まで話しながら帰る。2カ月も入院して復帰したばかりとのことで、病み上がりの体が痛々しい。PM11、帰宅。休みの前の日とあってつい夜更かし。ダイニングテーブルに置いてあった「白い犬とワルツを」(テリー・ケイ著)を読む。私もいつか白い犬と出会うのだろうか。誰にもいつかは訪れる死。死を従容として受け入れられる年齢とは…。
5月20日(月)晴れ

 朝、ネットを周遊するとすでに昨夜のうちにネット仲間である「りぼん部屋」が閉鎖になっていた。電脳空間とは不思議なもので、掲示板に管理人の個性が現れる。わずか1年余りで9万近いアクセスがあるというのは管理人の人柄・個性が愛されたということだ。長年慣れ親しんだ行きつけのスナックが急に店じまいをしたようなもの。会社帰りに駅を降り、つい足を向けてしまうが、店の前まで来て、そこが更地になってしまったことに気がつく寂しさ。電脳社会が現実社会に着実に根を張っていく。不思議な時代だ。

 PM1・30〜2・30。T氏とI、N、M、IJRのE氏来社。近くでお茶。
PM5、帰宅。ピアノ教室への送り迎えでPM8・30。PM9・15「私の青空2002」。主人公・健人の優柔不断な態度にとばっちりを食らう。「男ってどうしようもないんだから」と。
5月19日(日)快晴

 文房具屋で子供用グローブを購入。午後、子供とキャッチボール。
 夕方、ビデオで「サンセット大通り」を見る。世間から忘れられた大女優の妄執、それに巻き込まれる若い脚本家、そして女優を守る執事のトライアングルの妙。名作中の名作。この映画を元にいったい何百本のバリエーションが生まれたか。グロリア・スワンソン演じる往年の女優の年齢が50歳と知って驚く。初めてこの映画を見た頃、化石」と聞いて70歳くらいの年齢を思い浮かべたのではなかったか。今見るとずいぶん印象が違う。まだまだ自分の世界に閉じこもらず、やり直しができる年齢ではないのか、なんて思ってしまう。しかし、劇中で彼女は20年間、映画を待ち続けたのだ…。

 昼、体を動かしたせいか夕食後、虚脱感&眠気。今日こそ早寝をしよう。
5月18日(土)雨のち晴れ

 朝からメチャハードな仕事をなんとか1時20分までに終わらせて下北沢へ急ぐ。PM2からのMODE公演「屋上のひと」。電車を乗り継いでぎりぎりの綱渡り。日比谷駅ホームからスズナリのロビーに電話をしてMODEの制作担当者に「2〜3分遅れそうです」と連絡。招待客が遅れるのはご法度だ。「5分押しになると思いますのでそれまでにおいでいただければ…」との返事。

 綱渡りをしていると時間の予想が正確になる。PM2・01、スズナリに無事滑り込み。受付で演出家・松本修氏に挨拶。土曜昼とあって客席は大入り。客入れに手間取って10分押しで開演。隣の席に姿のいい女性が座っていたので、顔を見ると女優の裕木奈江ちゃん。そういえば前回のバブリックシアター公演に出ていたのだった。今日は一人で見に来たようだ。

 北村想の作品がまったく別の作品に生まれ変わった。演出の力というのはすごい。プロジェクト・ナビの初演は見ているのに、それとまったく印象が違う。エロス+科学+哲学。役者もいい。
 裕木奈江ちゃんも笑うべきシーンで楽しそうにケラケラと笑っている。ツボを心得た笑い。もしかしたら彼女、非常にクレバーな女のコかもしれない。ひところ、女性誌でバッシングされたが、芝居を見ている態度は実にいい感じ。袖振り合うも他生の縁。今日から裕木奈江ファンになろうか。

 PM3・40終演。ロビーで松本修氏と立ち話。手を加えたかと思いきや「まったく戯曲は変えてないんです」と松本氏。戯曲の普遍性。10年前の芝居だが、今も新しい。ロビーに若松武史の姿も。「ダブリンの鐘つきーー」の東京公演が来週から始まる。その合間の観劇か。「近くの喫茶店でお茶でもどう? 伊東由美子とか、みんないるから」と出演している福士惠ニに言われるが、これから明治座に直行しなければ。急いで駅に走る。
 新宿で都営線に乗り換えて浜町へ。PM4・30。明治座に滑り込む。ちょうど幕が開くのと同時。風間杜夫の前口上が終わってから席に案内される。

 星屑の会=水谷竜二作・演出、風間杜夫+平田満の顔合わせに期待度100だったが、見事に裏切られた。30分の休憩を挟んで4時間。まったくいいところなし。クスリとも笑えなかった。やはり商業演劇だ。100グラムのコンデンスミルクをドラム缶の水で薄めたようなもの。まずくて飲めたものじゃない。回り舞台など大道具、小道具は豪華だが、脚本が大味。役者も力を抜いているのが見え見え。明治座のおじさんおばさん客をナメてるのか、それとも劇場からの要請なのか。ともかく、客におもねった、ひどい芝居。小ネタでくすぐるだけで、話にふくらみがない。星屑ブランドが泣く。ラサールも精彩なし。1カ月間の長丁場・4時間芝居やるというのは、こういうことなんだろう。もう、商業演劇は見ることもないな。時間とカネの無駄だ。
 PM10、帰宅。
5月17日(金)雨

 針灸の翌日だが、体調好転せず。
 網戸を外して玄関に。マンションメンテナンス会社の簡易メンテナンスが実施され、格安で網戸の張替えをしてくれるとのこと。以前は自分で張り替えていたが、手間を考えると業者に任せたほうが楽。

 PM3・30過ぎ、W杯日本代表の23人発表で仕事バタつく。もうじきサッカー一色になるのだろう。日本中が大熱狂と思いきや、web東奥日報(青森地方紙)の「井戸端会議」をのぞいたら「W杯」テーマでは書き込む人が少なく、「興味なし」「大相撲の方が好き」「早く別の話題に変えろ」とかいう意見が多いということ。県民性なのか…。しかし、反面なんだかホッとする。サッカー好きでなければ国民にあらずみたいな熱狂ぶりには違和感をおぼえていた。

 いつから日本人ってこんなにサッカー好きになったのかと疑問に思っていたが、少なくとも青森ではメジャーなスポーツではないらしい。昔からのサッカーファンにとっては、W杯目当てのにわかファンは目障りでしょうがないだろうなとも思う。
 PM6帰宅。雨が降り続き、寒い。S駅で途中下車して買い物。
5月17日(木)晴れ

 PM3、根津・針灸院。灸、鍼、超音波と1時間半。
 PM5。渋谷で買い物。しかし気に入ったのがなく断念。PM6。三軒茶屋。キャロットタワー・TSUTAYAでミス・マンデー+玲葉奈の「まもなく、晴れ」。!ハリウッドプライス”で1500円の「2001年宇宙の旅」「バリー・リンドン」を買う。3000円でDVDが2枚。安い。
PM7、パブリックシアターでひょうご舞台芸術「ロンサム・ウェスト」。9・35まで。知り合いが何人もいたが、声をかける気力なし。終演後、足早に劇場を後にする。
 11・00帰宅。パソコンを開くもネット回遊する気力減退。風呂に入った後、そのまま就寝。
5月15日(水)快晴

 朝、キューブリック29歳の傑作「突撃」を見る。第一次世界大戦。フランスとドイツ軍が対峙する戦場。自分の軍功のために、ドイツ軍の占拠する丘の奪取という不可能に近い作戦命令を下した歩兵連隊の将軍。受けなければ他の連隊に作戦を回すと恫喝され、やむなく受けた大佐(カーク・ダグラス)。しかし、作戦は失敗、将軍はその責任を兵士の怠慢・敵前逃亡に転嫁して軍法会議にかける。そして選ばれた3人が銃殺される。

 軍隊の非人間性、権力者の傲慢を激しく告発したキューブリックの名作だ。戦闘シーンや塹壕の中を旋回する流麗なカメラワーク。豪華な絨毯の上で栄誉のために、机上の作戦をたてる将軍たち。不当な銃殺におびえ、泣き叫ぶ兵士、諦観し従容と死に向かう兵士、脳挫傷でタンカに括り付けられたまま処刑の木に立て掛けられる兵士。3人の兵士を救出しようと苦闘しながら無念の思いをかみしめる大佐。 「突撃」というタイトルから戦場のシーンが多いのかと思ったが、裁判、兵士たちの心の葛藤という人間の内部に踏み込んだまさに戦場の人間劇。最後の酒場のシーンなど、その人間悲喜劇がもっともよく現れたシーンだ。

 捕虜として囚われたユダヤ人少女に嘲笑、悪罵、性的なヤジを浴びせる兵士たちが、少女の悲しみをたたえた歌を聴いたとたん、雷に打たれたように、静まり返り、涙を浮かべる。このシーンの多数の兵士に扮した俳優たちの演技のすばらしさ。群衆シーンは映画の鬼門。どんな名画でも、演技に集中していないその他大勢がいるものだが、「突撃」の酒場シーンは完璧な群衆シーンだった。
 それにしても軍隊の非人間性をこれほど強烈に描いたキューブリック。フランスでは撮影できなかったというエピソードはまさに映画監督の勲章だろう。

「”あさま山荘”篭城 無期懲役囚・吉野雅邦ノート」読了。同士を革命の名のもとに殺害し、妻とその胎児を見殺しにした吉野の心の闇に、小・中学校の友人という”距離を置いた”立場のジャーナリストが必死に迫ろうとする。獄中からの手紙や小中学校時代の文集・手紙。それから浮かび上がるのはごく普通の正義感の強い青年の姿。往復書簡に見る、妻・金子みちよとの青春の日々は60年代の若者の真摯な青春そのもの。それが、どうして総括という名の殺人に手を染めていったのか。そこには日本人の心性そのものの問題も見え隠れするような気がする。今まで、あさま山荘=連合赤軍事件に関しては無意識に避けてきたが、この「ノート」は避けては通れない事実を突きつける。ジャーナリストらしく難解な言葉は一つもない。「自分とはいったい何だったのか」という吉野の問いかけに対し、少年期を共に過ごした友人でしか書けない「もうひとつのあさま山荘事件」。これは読むに値する一冊だ。

 PM3、歯医者。帰り、ビデオを返しに行き、3本また借りてくる。「わが青春に悔いなし」(黒澤明)「江分利満氏の優雅な生活」(岡本喜八)「サンセット大通り」(ビリー・ワイルダー)。7泊8日とはいえ果たして見る時間があるのか? 無謀なことをしてしまった…。PM10就寝。
5月14日(火)晴れ

 4・45起床。ほとんど寝てないに等しい。寝不足のままパソコンを立ち上げ、メールチェックとネット回遊。「りぼん部屋」に行くと「しばらくお休みします」の文字。思わず目が点。ショックをひきずったまま会社へ。睡眠不足のため、思うように仕事がはかどらず、おまけに二日酔い気味。午前中は最悪な状態。午後、なんとか持ち直し、予定通りPM7、新宿・紀伊國屋ホールで青年座「湖底」。今年初めての青年座。制作S氏に「ずいぶん久しぶりなような気がしますね。この前、電車の中でお見かけしたので、話し掛けようとしたらちょうど駅に着いて降りてしまったので…」と言われる。その路線に乗っていたということは終電に遅れたときか。

 芝居の方は残念ながら低調。初演出ということだが、舞台を最後まで見せるというのは、大変な才能が必要だということがよくわかる。30分で帰りたくなるほどひどいデキ。理屈となんとかは後からいくらでもつけられるというが、その典型。ただのホラーをもったいぶって意味ありげに理屈付けしただけ。今まで見た青年座の芝居で最低といっていい。9・05終演。帰り際、七字英輔氏とばったり。「昨日はどうも…」と挨拶。PM10・15帰宅。
5月13日(月)曇りの地晴れ

 PM4、仕事を早めに切り上げ、御茶ノ水へ。K記念病院で「混合ガス治療」。効果は疑わしいが、やらないよりマシか。

 PM7、新宿のRホテルで月蝕歌劇団初のCD発売&高取英戯曲「安倍晴明」出版記念パーティー。
 幅広い人脈を誇る高取さんらしく、九條今日子、松田政男をはじめ、映画監督・若松孝二、頭脳警察・PANTA、演劇評論家・七字英輔、イベンター・康芳夫、歌手・三上寛、評論家・宮台真司、同・中森明夫、脚本家・石森史郎、イラストレーター・林静一、そして旗揚げから伴走してきたJ・A・シーザー、吉田光彦といった多士済々な表現者が100人余り。

 アイドル評論家として活躍中の北川昌弘氏やイベントプロデューサーの大澤氏、また、一ノ瀬めぐみ、三坂知絵子、吉田恭子ら女優陣と立話。ウォーホル展覧会や大隈講堂でのビートルズ映画の上映を手掛け、天井桟敷設立以前の寺山修司と交流のあったT氏から天井桟敷・草月ホール公演での白石かずこ、岩下志麻”事件”など当時のエピソードを聞く。60年代に渋谷で500坪の土地を借りてフーテンハウス(アップルハウス)をやっていたというT氏、「私は今もフーテンですから」とニヤリ。この人も怪物だ。

 合田佐和子氏に師事したという版画家の大西氏は高取さんの肖像を持参。初対面だが「パ・リーグの打撃コーチか、スポーツジムのトレーナーかと思いましたよ」とTシャツ姿の私を見てユニークな感想。やはり芸術家だ……。

 9時にお開き。その後、「銅羅」で2次会。中森明夫氏と「タイムトラベラー」の話を一くさり。若松孝二監督と「あさま山荘」の話。「ぼくは権力の立場から映画を撮ったことがない。今上映されてる、”突入せよ”とかいう機動隊映画など最低の映画だ」と吐き捨てるように言う。その隣で、下北出身のO氏に津軽の歌手M氏が「だから南部衆は…」とぽつり。「世界同時革命」の隣で津軽・南部というのもなんだかなぁ…。ま、極大から極小までなんでもありということか。

 PANTAはラブソングを歌い始めた時期に総スカンくったことなどを笑いながら話す。非常にフレンドリーな人。「今度、野音でやるから来てくださいよ」と言ってくれる。

 制服向上委員会の社長・T氏は60年代の伝説のバンド「裸のラリーズ」のドラムスだった人。PANTAとは当時からの”同志”。シーザーをはじめ、数限りない修羅場をかいくぐってきた60年代の猛者たちと飲み、酔う一夜。エネルギッシュで疲れを知らない怪物たち。あの時代に集中した文化芸術の百花繚乱はいまも華麗な毒を放ち続けている。すべては60年代に出尽くしたのかもしれない。その後の時代は模倣と消費。
 11・30、二次会もお開きになったのを機に退出、高取さんに別れを告げて駅に向かう。なんとか終電に間に合い、AM1・05、帰宅。風呂に入り、そのまま布団の中。
5月12日(日)晴れ

 城山三郎氏が出演した番組で個人情報保護法案批判をしたことで、山拓自民幹事長がテレ朝に抗議したという。いわく「偏向報道だ」と。
 口にするのもはばかられる強烈スキャンダルまみれの山拓、普通の人の神経なら恥ずかしくて顔を上げて外を歩けるはずがない。それが、厚顔にもテレビ局に圧力をかける。今でさえそんな無法がまかり通るのだから、個人情報保護に名を借りた報道禁止法が生まれたら圧力かけ放題。空恐ろしい。

 午後から子供と釣堀。なぜか今日は釣堀が盛況。そのあと、家族で回転寿司へ。ここも家族連れが大勢。「母の日」で、夕食作りを母親から解放しようというわけらしい。今日のファミレスはどこも満席か?

 夕方、急に寒くなる。Tシャツ短パンで自転車に乗っていたら寒いのなんのって、まるで冬。
5月11日(土)雨のち晴れ

 個人情報保護法案に反対している作家・城山三郎氏(74歳)がニュース番組に出演し、「もし法案が成立したら、言論の死の碑を建ててそれに小泉首相以下、賛成議員の名前を彫りこみたい」と語った。それに対して、自民党の村上誠一郎衆院議員(愛媛2区=50歳)が「こういう発言こそ言論統制だ。城山三郎はボケている」と言ったという。まともに反論できずに悔し紛れに「ボケている」などと、いいトシをした大人が言う。しかも24歳もトシの違う人生の先達をつかまえての中傷。小学生以下のレベルだ。

 AM7、出社。いつになくメチャ忙しい日。夕方まで息つく暇もないほど。携帯もバッグに入れっぱなしだったので、「昼飯一緒に食べましょう」というDDからの電話に気づかず。

 PM5、関内に向けて出発。40分もあれば行けるのだが、川を越えるわけで、横浜方面はどうしても心理的に「出発」になってしまう。

 京浜東北線。三人掛けの座席の左端に座る。右端の中年男が携帯を片手に大声で電話。
「まだ仕事してんのか。オレの机の中に書類があるからちょっと見てくれ」云々。
 50代の会社部長あたりか。横柄な態度。しばらく大声で話して切ったかと思うと、手持ち無沙汰らしく携帯をいじりまわし、また電話。
「明日のコース、何時だったかな」。ゴルフの予定は今聞かなくたっていいだろうに。車内放送で「携帯・メールの使用は周りのお客様の迷惑に…」なってんだよ。もうガマンならん隊。
 
 ちょうど目の前に一人のお年寄りが立ったので、席を譲り、入れ替わりに携帯男の前に立つ。そして「ケイタイ、やめたほうがいいですよ」とやさしくささやきかける。
「今、切ったじゃねぇか」とムッとした顔。私を今電車に乗ってきたばかりと思ったらしい。
「さっきから何度も電話してたじゃないですか」と諭すと顔を歪め、ソッポを向いてしまった。そのまま男の前に立って読書。男は手に持ったケイタイを背広のポケットに押し込んで不快そうな顔。さすがに二度とケイタイに手は伸びなかった。ま、こっちの勝ちか。

 PM6、関内着。野球観戦の人波が押し寄せ身動きとれず。大桟橋まで歩く。目指すは「風鈴」。すぐに見つかり、中に入ると受付の女性に「出演される方ですか?」と聞かれてしまった。

 PM7、ちょどリハーサルが始まる時間。先着はオーレさん、ふうこさん。かっちゃんの顔はネット上で知っているので、すぐにわかる。即挨拶。そのうちテルさん夫妻も到着。今日が初顔合わせ。この後に予定している店がフォーマルな服装じゃないとダメということで二人ともシックな装い。「彼、普段は1年中Tシャツなんですよ」とテルさん。さすがにオトナの雰囲気。
 そうこうしているうちに竜さん登場。結婚披露宴会場から直行。その前に確認の電話をしたら、ちょうど披露宴の終盤、涙の親子の手紙披露シーンだったそうで、ケイタイの音と話し声に顰蹙を買ったとか。おっと、知らぬこととはいえ、悪いことしちゃった。

 トリはRIKOさん。「母の日プレゼント」の先取りとか。思い立って駆けつけたそうだ。
 こうしてベンチャーズのかっちゃんライブはいつの間にかオフ会に。途中、テルさん夫妻が次の店に行くため退席。10時の終演で客がいなくなった後も30分くらい居座ってしまった私たち。ケイタイでアジサイちゃん、ちょめの乱入もあり、楽しい一夜。
 5人でタクシーに乗り、桜木町へ。PM11。途中駅で女性陣と別れ、上野まで竜さんと2人でダベり。0・00。上野で竜さんと別れ、地下鉄に乗り換え、なんとか終電に間に合う。AM1帰宅。そのまま朝まで熟睡。
5月10日(金)雨

 朝から雨。寒さに震え上がる。昨日の鍼で耳鳴りの改善を期待したが、変化なし。先週の鍼灸後の劇的な改善は何だったのだろう。

 中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込みながら警官によって連れ戻された北朝鮮の亡命住民の悲痛な叫び声が耳について離れない。警官の手を振り解こうと必死に柵にしがみつく母親のそばで茫然と佇む少女の姿。あの少女はこれからどんな運命をたどるのか。

 映像は韓国・聯合通信の撮影らしい。韓国、NGOなどのサポートで周到に亡命工作をしながら、土壇場で間抜けな日本人のために失敗する。
 怖いのは外務省が自分の無能を棚に上げて、反中国感情に転嫁すること。そして日本人の危機意識を煽ること。

 有事三法案のうち個人情報保護法案をなんとしても通したい政府はどんな手をも使う。
 右派メディアを使って大誤報を工作し「それ見たことか、やはりマスコミ規制は必要」というムードを作るとか…。謀略は小説の世界だけの話ではない。

 PM5・30帰宅。「リメンバー・ミー」を返しに行く。子供を自転車の後ろに乗せて傘さして。帰り、キューブリックの「突撃」を借りてくる。見ようと思ったが、時間がなくなり、棚から「メリークリスマスショー」を取り出して見る。何度見てもこの音楽番組は傑作だ。
5月9日(木)晴れ

 早朝、駅に向かう途中、MDで「五つの赤い風船」の「遠い世界に」を聴いていると、懐かしさで胸がしめつけられる。あの時代の若者が抱えていた希望と絶望。何気なく聴き流していた歌の背景にある悲しみの数々。

 PM3、仕事を早目に終えて根津の針灸院へ。先週は鍼を打った翌日、かなり症状が改善されたのだったが、さて今回はどうだろう。PM4・30。診療を終えて近くの喫茶店で焼き魚定食とカフェオレ=1300円。
 PM7、銀座・博品館劇場でNLT「毒薬と老嬢」。NLTの芝居は久しぶりに見る。以前の制作担当者Sさんが辞めて以来、アプローチもないので、足が遠のいていたのだ。劇団にとって制作は重要。
 淡島千景、淡路恵子のあわあわコンビ。先輩に遠慮したのか、淡路恵子がちょっと控え目な演技。PM9終演。

 電車の中で今日買った文庫「”あさま山荘”籠城」を読む。著者の大泉康雄は無期懲役囚・吉野雅邦と小・中学校時代の同級生。当時の日記や学級新聞などの資料などをもとに吉野とその恋人で、リンチ殺人で命を落とした金子みちよの真実に迫っていく。最近、連合赤軍事件をモチーフにした映画や単行本の出版が相次いでいるが、当事者ではなく、友人という”客観的”な視点が新鮮だ。

 有事法案という「平和憲法」の外堀を埋めようとする策動に対してもデモひとつできない現代の学生たち。危険を察知するカナリアの役目を放棄した学生は歌を忘れたカナリア。徴兵されても文句は言えない。
 PM10、帰宅。昨日書いた「時の香り」は「リメンバー・ミー」の日本版リメイクだった。「イルマーレ」「リメンバー・ミー」「オーロラの彼方へ」−−この三本はすべて2000年の公開。偶然とはいえ、不思議な符合。
5月8日(水)快晴

 朝、クラークを読み終える。昼、シーザーに電話。ダイエーに行ったついでにのぞいたCD屋で「フォークビレッジvol4」を買う。「主婦のブルース」「腰まで泥まみれ」「悲惨な戦い」など60年代フォークのアンソロジー。「主婦のブルース」は深夜放送で論争を巻き起こした歌だった。

 PM3、歯医者。帰りにビデオ屋で韓国映画「リメンバーミー」を借りてくる。「イルマーレ」と同工異曲の時空ファンタジーか。夕方、鑑賞。77年に住む女子大生と99年に生きる大学生が壊れた無線機を介して会話をするようになる。「オーロラの彼方へ」のパクリ? 2人は目に見えない糸でつながっていた。ラストシーンにちょっとだけ目がうるむ。やや甘めのラブファンタジー。ビデオの中のCMで見たが、日本映画も「時の香り〜リメンバーミー」という同じ傾向の映画を撮ったらしい。この「時の香り」という言葉は「リメンバーミー」の中に出てくる重要なターム。しかもサブタイトルまで同じにするとは。時空ものが流行れば便乗する日本映画。中身がわかろうというもの。

 有事法案の中に盛り込まれた「国民の協力」という文言について福田官房長官が「被災者の搬送など自治体が行なうものへの協力であるとして、一般国民の訓練を検討していると述べた。つまり、戦前の国家総動員法の隣組制度や町内会制度の復活というわけだ。必要とあれば国民を総動員して防衛訓練をするということ。気分はもう戦争、と大友克洋が言ってから十数年、為政者の頭の中は”ほとんど戦争”だ。
 目の前のスピーカーから加川良の「教訓1」が流れてくる。「死んで神様だと言われるよりも生きてバカだといわれましょうよね」「あわてると ついふらふらと お国のためだなどと言われるとね♪」
 今こそ反戦歌が必要な時代ではないのだろうか。 

5月7日(火)雨

 昨日の陽気とは打って変わって朝から雨。Tシャツ1枚では寒い。

 PM5、仕事を終えて渋谷へ。東急ハンズで釘を買う。あす、小学校で釘を使った工作をするというので子供に釘を持たせなくてはいけないのだ。まさか釘を買うなんて…。子供の頃は納屋に行けばいくらでもあったし、釘なんて空気のようなもの。しかし、今、家にある工具箱には釘はほとんど入っていない。ネジはたくさんあるが。なんだかなあ…。回転寿司で食事をした後、ルノアールで「君ハ僕ノモノ」を読む。クラーク作品は一気に読みたい。

 PM7、渋谷パルコ劇場で「おやすみの前に」。福島三郎の脚本。泪目銀座の古い作品にはいいものがあったが、メジャーに書く作品はどうも今ひとつ。1幕目、あまりのつまらなさに帰る人がちらほら。2幕目になってようやく話が転がるのだが、あまりにも予定調和な結末。好きな作家だけに残念。
 帰り際、客席の戸田恵子さんに挨拶。「あら、無沙汰してます」と顔をほころばせる彼女。いつもながら笑顔が素敵だ。駅までM新聞のT橋さんと一緒。

 PM11・00、駅に着く。雨の中、歩いていくと、マンションの前に救急車が止まっているのが見えた。どうしたのだろう。不安になり、携帯を取り出して家に電話するとコール3回で「どうしたの?」と家人の寝ぼけ声。ウチじゃなかった、と一安心。玄関では管理人が担架の搬入に立ち会っているが、「どこの部屋でしょうね。詳しいことがまだわかならないんですよ」と。部屋に入って5分ほどで救急車の発車する音が聞こえる。誰であっても無事であればいいが…。

 オーストラリアの経済紙が「石原慎太郎は日本のルペン」と論評。極右の台頭は世界的な傾向。そのうち石原旋風が吹き荒れるんだろう。付和雷同するマスコミの過熱が目に見えるようだ。
5月6日(月)快晴

   赤く日焼けした体が痛い。
 朝、起き抜けに「バトルロワイヤル」を見る。なんでこの映画がもてはやされるのか分らない。頭でっかちで、映画としての面白さがまったく感じられない。「女優霊」の高橋洋の脚本「発狂する唇」もつまらない。オレの感覚が鈍いのか? 

 朝からクシャミがひどい。花粉症は終わったはずなのに。鼻炎用のクスリでごまかす。
 昼から公園で子供とサッカー。暑い。まるで真夏の陽気。
 帰宅して家族を交え再度「イルマーレ」を見る。最初見たときには分らなかった伏線が見えて、なるほどと感心。さとう珠緒のアテレコが最悪なのでその分、興がそがれてしまうが、原語で見たならたぶん「ある日どこかで」と並ぶ二大タイムスリップファンタジーになるだろう。
 今日で連休終わり。HPの各項目のデータ更新できず。いつになったら整理できるのか見当もつかない。

 フランスの大統領選でシラク勝利。投票率82%。ルペンは18%。ルペンが30%いけば実質的な勝利としていただけに、まずはホッと一息。サッカーのジダンが極右・ルペンに投票しないよう呼びかけていた。移民の子であるジダンにとって移民排斥、国粋主義のルペンは不倶戴天の政治家だ。しかし、スポーツ選手が投票拒否を呼びかけ、ルペンが大統領になったらW杯をボイコットする、とまで発言する。日本では考えられない。かつて長嶋茂雄が「社会党が政権をとったらプロ野球がなくなる」と発言して失笑を買ったが、まともな意見をスポーツ選手から聞いたためしがない。わずかにサッカーの中田が「アメリカの9・11報復軍事行動に反対する」と発言したことが目立つ。中田のようなスポーツ選手が今の日本では「変人」扱いされることが日本のスポーツ界の不幸だ。
5月5日(日)快晴

 AM10、チェックアウト。大橋のある潮干狩りの海岸まで散策。潮干狩りの開始時間は午後1時。だいぶ時間があるので、エリア外の海岸でアサリ探し。しかし、さすがに潮干狩りエリア外に獲物は見当たらない。スタート時間まで待てず、帰宅の途につく。PM4家に着き、休むまもなく子供と公園に。向こうにいる間もずっと「サッカーやりたい、サッカー…」と言っていたので、疲れた体に鞭打ち、黄昏迫る公園に。
 夕食は海岸で買ってきたさざえとはまぐり。ビールにぴったり。酔いの回ること…。
5月4日(土)快晴

 朝、電車で木更津へ義父のお墓参り。いつもならクルマでドライブだが、今年は体調いまいちで、あまりムリをしたくないという気持ちが働いて、電車でGOに切り替え。荷物を持っての移動は家族には不評だが、いたし方ない。
 午後、到着しお墓参り。その後は新しくできたというお湯ランドで汗を流す。夕方、宿泊先のホテル「G」へ。玄関にテレビドラマ「木更津キャッツアイ」のポスター。フロントに出演者のサイン入りポスター&写真。ロケの間、タレントたちはこのホテルに泊まっていたそうな。
 部屋の外はゴーゴーという海風の音。PM10就寝。
5月3日(金)快晴

 午前中、ビデオで「ギルティ」鑑賞。レベッカ・デモーネイ主演のサイコサスペンスだが、結末のあっけなさに拍子抜け。引っ張るだけ引っ張って…。40点。

 午後、台所掃除。レンジ周りから徹底的にやってスッキリ。その後、子供と公園に行ってサッカー遊び。連休とあってか公園の人影もまばら。
 夕方帰宅。休みの間にHPのデータ更新やたまったMDの整理をしようと思っていたが、なかなか手が回らない。明日から1泊2日で義父のお墓参り。休暇はあっという間に終わりそう。

 夕食時にビールを少々。憲法記念日の今日、毎日新聞i一面片隅で「有事法制論議の中、憲法、多難な55歳」とまるで他人事の扱い。社説に至っては「憲法は不磨の大典ではないのだから改憲論議は活発に行なうべし。時代に合わなくなった憲法9条にこだわる必要なし」と。どこかの政党が小躍りしそうな言い草。もしも「次の戦後」があるとしたら、真っ先にこんな日和見言論人を絞首台に送り込んであげたい…などと酔眼朦朧。紫綬褒章に清水邦夫。蜷川幸雄もそうだが、かつて直接行動、あるいは演劇を通して国家と対峙した2人がそろって国から嬉々として勲章をもらう。なんだかなぁ。毅然と受賞を固持した杉村春子の気骨を思うと70年安保世代とはいったい…。

 夜、家族で花札大会。子供の頃、花札やトランプは冬の長い夜の楽しみだった。花札の点数の数え方を子供に教えるのも父親の役割かも…。鬼太郎の妖怪花札で絵柄が正統じゃないのが、ちょっと難点ではあるが。ま、いいか。
5月2日(木)快晴

 今日から連休スタート。ピーカン照りの一日。駅の本屋でメアリ・H・クラークの新刊「君ハ僕ノモノ」を買う。カタカナと漢字混じりのタイトルはクラーク本にしては珍しい。
 飲んでいる漢方薬が切れたので、午後、電車でのんびり上野まで行き、漢方薬局で薬を購入。上野駅がリニューアルしてから立ち寄っていないので、ちょっと構内をのぞいてみるが、オシャレ系の店ばかり。「ふるさとの なまりなつかし停車場」はおろか「ふるさとの なまりなくせし友といて」という感傷に浸る場所ではもうないのだろう。

 帰り、近所の喫茶店「木土水」に立ち寄り、買ったばかりの文庫本を開く。その後、家に戻ってストーブをレンタルルームに収納。「TSUTAYA」で「ギルティ」「発狂する唇」「イルマーレ」を借りてくる。「イルマーレ」は韓国映画。海辺の家の郵便ポストを通して過去と未来が通底する。昔住んでいた阿佐ヶ谷のアパートを訪ねるたびに、玄関の郵便受けに「配達されなかった20年前の手紙」を探していた。そのアパートも跡形もない。いつかそんな物語を、と思っていたが…。
 最近はタイムワープものがはやっている。それもタイムパラドックスにこだわらない新しいファンタジーが。
 この映画もその一編。時空を隔てた2人がどのように出会うのか、興味深く見たが、なるほど秀逸。ラストは「よくあるシーン」ではあるが、映像と音楽の美しさに納得させられてしまう。ある程度の展開の予想はついたが、それでもやはりうまい。
5月1日(水)晴れ時々雨

 朝、電車の乗客は普段の3分の2。やはり大型連休の会社員が多いのだろうか。

 PM5、仕事を終えて下北沢へ。「道草」で食事。ヴィレッジ・バンガード、ディスク・ユニオンといつものコースで時間つぶし。
 PM7、本多劇場で加藤健一事務所「煙が目にしみる」初日。補助席、階段席も出る超満員。「GWに公演するのは初めてなので観客動員を心配していましたけど、追加公演もやることになってほっとしています」と制作のAさん。
 通常、GWは劇場から客足が遠のき、動員は期待できないのが常識。ところがこの盛況。カトケン事務所のパワーといってしまえばそうなのだが、今年のGWは遠出せず、近場に娯楽を求める人たちが多いのだろう。不況転じて、劇団には幸いをもたらす?

 火葬場を舞台に、2人の死者がそれぞれの家族を巻き込んでのハートウォームコメディー。カトケンさんがおばあちゃん役を演じ、岸野幸正、坂口芳貞、一柳みる、白木美貴子らの顔ぶれも楽しい。
 終演後、「ふるさと」で初日乾杯。小田嶋雄志、演出の久世龍之介さんが初日挨拶&乾杯。小田嶋先生は1年間の断酒明けとか。初日に合わせて蓼科から駆けつけてきたという。

 久世さんとビールを飲みながら談笑。娘のMちゃんももう高校3年とか。親の血を継いだのか演劇部で演出をしているという。「卒業公演で離風霊船の”ゴジラ”をやったんですよ。ラストのパラソルを使ったシーンは思わずうまいなあとうなりましたね。女優の才能よりも演出の才能があるかもしれません」。酔った久世さんが思わず娘自慢。ほほえましい。白木美貴子さんの事務所のマネジャー氏に挨拶。熊谷真美と白木さんの2人の事務所。2人は生年月日から血液型までまったく同じとか。
 その後、岸野幸正さんに挨拶。「この芝居は身内の死を経験した人にとってはより切なくて泣ける芝居だと思います」。岸野組の座長として劇団運営の責任もあり、たいへんそうだが、頑張ってもらいたい。Tさんとの芝居も何年後かに期待できそうだ。

 早目に引き上げようと思っていたが、加藤忍ちゃんと話をしているうちに時間を忘れてしまい、気がつくと11時半。1年前から担当しているNHK・BSの司会はあと1年延長になったという。「番組のおかげでいろんな芝居が見られてすごくうれしい。そういえば、この前会ったときは花園神社の”書を捨てよ”でしたね。あの芝居はすごく面白かったなあ…」
 28歳。初めて会ってから8年たったわけだが、初々しさは変わらない。他流試合も経験して演技の幅を広げてほしいが、さて…。
 カトケンさんに挨拶して座を辞す。野々村早紀役の橋本奈穂子、忍、制作のNさんの美女3人が外まで見送りに出てくれる。
 それにしても飲みすぎた。こりゃ、今日もタクシー帰りかと思ったが、平日ダイヤでは代々木上原発PM11・47の電車に乗ると北千住0・39の直通最終電車に間に合うことを発見。よかった。なんとか午前1時過ぎに帰宅。