5月31日(火)晴れ

 一晩寝れば風邪など治っている……と思ったのだが、起きるとまだノドに痛み。イヤな感じ。

 ノドの痛みをごまかすため、朝からのど飴を切らさず。PM4.15、六本木。「貴奈」へ。A川マキさんと待ち合わせだが、仕事がバタついて、15分遅刻。今まで遅刻したことがないので、マキさん「約束の日を間違えたかな」と思って電話するところだったとか。

 暮れのライブから半年ぶり。一カ月ほど前に用事があって電話したら、どこかの会社が出たので、引っ越しでもしたのかと思っていたら、「えー、電話変えてませんよ。私名義の電話だし……」
 どうやら、電話番号が間違っていたようだ。何度もかけているのに、なぜ間違えたか。新しいケイタイに変えたときにとり違えたみたい。

 6月のライブの件だが、電話債券の話から、政治、音楽ーー話題は縦横無尽に飛び、時計を見ると8.15。アッという間の4時間。40年近く住んでいて「自分の庭」である六本木。手を振りながら、その街の薄闇れに溶け込むように消えて行くマキさん。時代と寝ることを潔しとしない……孤高のシンガー。彼女こそ真の意味の「最後のアングラの女王」なのだろう。

 10.00帰宅。体調が良くないので、風呂にも入らずそのまま就寝。
5月30日(月)雨

 明け方、ノドの痛みで目が覚める。風邪か。疲労と睡眠不足が原因だろう。熱は37度。

 幸い、仕事は順調。5.00、早めに帰宅し、病院で診察。薬を出してもらう。テアトル・エコー公演「朝の時間」はキャンセル。


 島田荘司「夏、19歳の肖像<新装版>」、さらりと読了。主人公は19歳の学生。バイク事故で入院していた病室から、ビルの谷間の家を観察しているうちに、その家に住む美しい女性に恋してしまう。しかし、ある夜、彼女が工事現場に人一人が入る大きさの袋詰めを運び込んだのを目撃する。その前の晩には、父親と言い争う姿が。


 彼女への恋慕から、退院したあとも彼女を尾行し、彼女が働いている会社にアルバイトとして潜り込む。やがて彼女との淡い恋が実るかに見えたが……。
 今なら主人公は立派なストーカー。もちろん、少年期の恋は誰しもストーカー的要素があるわけで、用もないのに、好きな女の子の家の周りを歩いたり、彼女が通りそうな道で偶然を装って待ってみたり……。そんな経験がない人のほうが少ないはず。

 それはさておいても、男の行動は、なんと甘ったるく自己中心的なことか。「裏窓」のような事件の目撃や、彼女の周囲の不穏な動きなど、ミステリー小説の体裁はとっており、工事現場の垂れ幕に加筆するシーンなど、ところどころに、「島田節」が垣間見える。

 しかし、それでもこの作品は稚拙に見えてしまうのはなぜだろう。まるで、高校生が授業の合間に書いた習作……。

 中3コースの別冊付録のジュニア小説だと思えば、その世代には感動ものかもしれないが。そう、眉村卓の「幻のペンフレンド」を中1コースの付録で読んだ時には、主人公と彼が恋したアンドロイドの年上の女性のかなわぬ恋に、胸がキュンとしたものだ。

 だから、これも、10代の青春小説として読めばいいのだろけど、もはやそこからはるか遠くに来てしまった自分には、文章も少年の心の動きも、年上の女性の行動も「稚拙」としか感じられないわけで……。

 同時購入の「昆虫探偵」(鳥飼否宇著 光文社文庫)は実にスリリングなミステリー小説。

 昆虫好きの主人公は、ある日目が覚めたらヤマトゴキブリに変身していた。彼がワトソン役となり、クマバチの名探偵シロコパκ氏と、昆虫界に起こる事件を解決する、という趣向。


 しょっぱなの事件はオオムラサキと衝突して落下死亡した蛾のムクゲコノハの死骸消滅のナゾを追ったもので、「衝突していない」と言う蝶界の女王・オオムラサキ(実は雄)の主張を、ミヤマカミキリ、ヒカゲチョウ、アオカナブン、ヨツボシケシキスイら虫たちの目撃証言から解いていくというもの。

 第二話は、糞球に産みつけたダイコクコガネの卵が土中から忽然と消えるという密室ミステリ。それぞれ、巻頭には島田荘司の「占星術殺人事件」、横溝正史「蝶々殺人事件」、笠井潔「哲学者の密室」など、本格派へのオマージュが掲げられている。

 ありそうでなかった昆虫界を舞台にした「本格派」推理小説。子供の頃に、夏が来ると山や野で蝶や甲虫を追いかけていた元昆虫採集少年にとってこんな小説が出てきたのは大きな驚き。
 きちんと虫の生態や習性を熟知・研究していなければ書けない作品ばかり。高名なミステリーのパロディーを装ってみせたり、文体も軽妙。しかも、人間界の情痴や怨恨といった情緒を持ち込まず、虫の論理で描きあげているところがすごい。虫ファン必読。



ニューズウィーク日本版が表紙にゴミバケツに星条旗が突っ込まれた写真を使ったことで、保守派インターネット「ワールドネットデイリー・ネット」が激怒、NW誌の編集主幹に抗議したという。
 キューバのグァンタナモ基地で「取調官がコーランをトイレに流した」との報道を「誤報」として謝罪したNW誌への「追い討ち」だろうが、コーラン事件については、25日、米国の人権団体「全米市民自由連合(ACLU)」が「基地の警備員がイスラム教の聖典コーランをトイレに流したことを示す米連邦捜査局(FBI)の拘束者尋問記録を公表した」との報道もある。捕虜虐待事件を見れば、異教徒への冒涜は事実無根とは思えない。

 星条旗をゴミバケツに突っ込んだ表紙の大見出しは「アメリカが死んだ日」サブタイトルは「ブッシュ続投で地に落ちた”自由”の理想」の文字。この表紙にイチャモンつける輩が出るようでは、確かにアメリカの自由は地に落ちたも同然。

5月29日(日)晴れ

 9〜11、躰道稽古。今日も集まりがよくない。11〜12、総会。

PM2、帰宅。主婦仲間とフリマを開いているというので、見に行ったりしているうちに、夕方に。小一時間仮眠。結局、今日も部屋の整理はできず。疲れと睡眠不足が体を蝕む。休日なのに休めない……。
5月28日(土)晴れ

 PM1.30。三軒茶屋。シアタースパーク1の事務所で石D信之氏とお茶。昨年アキレス腱を切ったため、まだリハビリ中。歩くのは大丈夫だが、足首を曲げるのが辛そう。

「役者にとってケガ、病気は死活問題ですからね」と石Dさん。まだ現場復帰は先のよう。秋の新作芝居の話など。特攻隊をモチーフにした反戦劇になるとのこと。

 2.00、スパーク1で絵本工房「まばたきの間に……」。井上真鳳というマイマーが演じ、namyanなるミュージシャンがギターで弾き語り。セリフ付きのパントマイム。事故で死んだ男が愛する人との気まずい最後の別れを修正するために地上に戻る、という物語を1時間15分に。一人マイムではあるが、説明セリフがあったり、ちょっと中途半端。20人ほどの客。一人のおばあちゃんが一生懸命身を乗り出していたのは、もしかして出演者の祖母?

 駅で石Dさんと別れ、阿佐ヶ谷へ。この前作った眼鏡が調子悪い。かけると気分が悪くなるのだ。度が合わないのか。

 パールセンターのO眼鏡店に行くと、店主が出てきて、「度は弱くしてあるので、それで気分が悪くなるというのは考えられないんですが……」と不審顔。再度視力検査をしても前回と同じ。「乱視のレンズが逆に入ってるわけでもなさそうだし……」

 眼鏡を手に調べているうちに、「わかりました。このフレームはサングラス用のフレームですね。通常のフレームよりも湾曲しているんです。それで、レンズが歪んでしまったんですね」

 フレームにサングラス用と一般用があるとは知らなかったが、そのために、レンズが歪んだとは。なるほど、検査用のレンズでは違和感がないわけだ。

「眼鏡を作っているうちに、いろんなケースが出てきます。いい勉強になりました。申し訳ありません」
 と店主。生島ヒロシを年配にしたような温和な顔。

 昔、阿佐ヶ谷に住んでいたと言うと、「この辺も変わったでしょう」

「相続税が払えなくて、泣く泣く店をたたむ人が多くてね。銭湯なんかそうでしょう。私も兄弟でようやく相続税を払ってこの店を継いだんです」

「風情のある建物が消えて行くのはさびしいですね。なんでもアメリカ流で、ビルに建て替えて、古い木造の家が消えて行くのはもったいない。水口産婦人科医院とか、このへんにはいい建物があったんですけどね。もう少し日本の文化を大事にしないと……」

「阿佐ヶ谷はいい町です。文化の香りがする町ですからね」
 老舗の眼鏡屋の店主の嘆息を聞きながら、この前見た鈴木聡の「妻と社長と九ちゃん」を思いだしていた。

 利益を地域に還元しようと、毎年、花見、ハイキング、盆踊り、餅つきと、子供たちとのイベントを大切にしている昭和文具店。しかし、先代社長が亡くなり、あとを継いだ息子・昭一は、そんな日本型の会社経営を一掃しようと、アメリカナイズされた能力主義、効率主義の経営に邁進しようとする。先代の社長の友人でありながら、先代が亡くなると手のひらを返したように、新社長に媚を売る他会社の専務・松兼らとの告別式での会話の席に先代社長が大好きだった九ちゃんこと団塊世代のダメ社員・三郎が居合わせている。


松兼「語呂が悪いなあ、21世紀文具はどうだい」

昭一「ハハ、じゃあ、名前を変えますか」

松兼「本気で考えてもいいんじゃないか。この際、昭和はさっぱり忘れよう。花見はしない。接待営業はしない。もう、そういうことじゃ、若い人はついてこんよ。勤務時間は9時から5時まで。年功序列は廃止して、能力主義を徹底する。スカッと行こうよ、アメリカ流にさ」

昭一「確実に時代はそうなっていますよ。日本だけのルールはもう世界に通用しないんです。会社のルールも法律も、いますぐ世界に合わせて変えていくべきでしょうね。でないと、あっという間に他のアジアの国に追い抜かれて、そのうち誰にも相手にされなくなる」

松兼「憲法もありゃ変えたほうがいいね。戦争をしないなんて言ってる国はほかにないだろう。理想論の時代は終わったんだ。これからは現実を見ていかなきゃ話にならんよ」



三郎「止まったっていいじゃないですか」

「なんだよ九ちゃん」

三郎「変わっていれば安心だから、みんなが変わるから変わっていくだけでしょう? 社長は自分の考えで、自分が一番にいいと思ったところで時計を止めたんです。花見が古い、運動会が古いって言われても、そういう会社がいいと思ったから社長は……」

中略

三郎「逃げんのかよ、あんた、さっきすげえこと言ったぞ。戦争する国がいいのかよ。人が人を殺すのがいいわけねえじゃないか。よその国がぜんぶいいって言ったって、俺たちは違うっていやいいじゃねえか。原爆落とされたの日本だけだぞ。違うって言えんのは俺たちだけじゃねえか。それが、なんだよ。ルールがどうたら、グローバルがこーたら、みんないっしょくたの国になんのかよ。いっしょくたの会社になんのかよ。おもしれーか、そんな世界が。いろんなヤツがいるからおもしれえんじゃねえか。いいとこは昭和のまんまで止まってようよ。花見が好きで、戦争なんか大っ嫌いな日本のまんまで止まってようよ。憲法九条、改正はんたーい」

「おい、みんな言え!九条改正はんたーい! 変えりゃいいってもんじゃねえんだ! 昭和を残そう!すばらしい昭和を残そう!素晴らしい昭和文具を残そう!」

 九ちゃんの涙と絶叫……。

 5.30、眼鏡を新調し、勇躍、浅草へ。田原町で降りて木馬亭へ。開場にギリギリセーフ。水族館劇場の「TOKYO PINK BURLESQUE (トーキョー ピンク・バーレスク)谷間の百合」。

 曲馬館の流れをくみ、反天皇制を掲げ、スペクタクルなテント芝居で名を馳せる劇団の新作。今回は浅草・木馬亭という小さな小屋でのレビューショーと、ピンク映画上映と芝居「谷間の百合」の三本立て興行。
 ピンク映画はサトウトシキ監督の「愛欲温泉 美肌のぬめり」。これは看板女優の葉月蛍の主演作。残念ながら時間が会わず観る事はできなかったが。

「谷間の百合」は山谷・寿・新宿・上野・釜ヶ崎と寄せ場での路上上演を行ってきた作品で、一条さゆりの生き方をモチーフに、千代次、鏡野有栖が競演する官能作。
ストリッパーとしても活躍する鏡野有栖、初期から看板を張ってきた千代次がぶつかり合う渾身の作品。

 客席は立ち見も出るほどの超満員。6.30〜7.45は歌と踊りのレビュー。芸達者な山谷玉三郎が客席を沸かす。8〜9.30「谷間の百合」。新旧の女優のせめぎあいという別な意味での見所も。

 ダフ屋上がりの演劇好事家が隣の席でしきりに時計を見たり、あくびをしたり。こんな人の隣に座ると舞台の集中度がそがれること夥しい。この人、ほんとに芝居が好きなのか?

 休憩時間に外に出ると、高野美由紀とばったり。OLの友人と一緒で二人とも着物姿。今日は一日浅草巡りだったとか。「ピンク映画を観たかったなぁ。ふだん見る機会がないじゃないですか。どこでやってるかもわからないし」
 
 終演後、外に並んで客を見送る役者たち。縁あって葉月蛍と立話。

10.30帰宅。
5月27日(金)晴れ


 N氏の命日が近いので、昔の映像をDVDに焼き、K氏に渡そうと思い、しばらく待つが来ないので断念。

 PM5、銀座の「木屋」で帆立丼。クセになりそう。

 PM7、天王洲アイル。アートスフィアでtpt「ナイン THE MUSICAL」。

 ほとんど宣伝らしきものをしなかったためか、tptとしては屈辱的な大不入りに泣いた昨年の「ナイン」初演のリターンマッチ。そのためか、異様なくらい宣伝に力を入れている。劇場周辺に舞台の歌唱シーンの一部がスピーカーを通して大音量で流れ、通行人の耳を驚かしているのもその一つ。


 珍しくゲネプロに新聞各社を呼び、出演者への囲み取材。初日を終えた後、招待した有名タレントへに囲み取材を依頼するなど、劇場映画公開並みの情宣。そんな制作の意気込みはひとえに「ナイン」という作品を正当に評価して欲しいとの願いからだろう。

 フェリーニの「8 1/2」をモチーフにした作品。運命の女たちと一人の映画監督の愛と幻想の日々。初演は紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞しているが、正直言って、作品としては、いまひとつだった。

 その理由の一つは、主演のグイードを演じる福井貴一。16人の女たちを虜にするようなセクシャルな男を演じるには荷が重すぎた。完全なミスキャスト。ミュージカル俳優としては申し分ないが、禁欲的で哲学的な物腰、堅実すぎる演技……はっきり言えば華がないのだ。
 それが初演失敗の大きな原因。

 ところが、今回の別所哲也はグイードを演じるに十分なフェロモン男優。華も実もある実力派。彼が出てきただけで、舞台の空気が一変する。16人の女たちも、実にセクシー。中心の男が変われば、彼を取り巻く女優の演技も変わる。

 こんなにすばらしい作品だったの? と初演との格差にびっくり。ルヴォーも個別に演出を変えているようで、それに応える役者たちのカンパニーのアンサンブルの素晴らしさ。別所を中心に一つにまとまり、それぞれの個性をぶつけ合う。まさにミュージカルの醍醐味。グイードの子供時代を演じる子役がまた達者。カーテンコールでは別所を食うほど。

 女優では大浦みずきの「客いじり」のシーンに磨きがかかり、コメディエンヌぶりを十分に発揮。逆さ宙吊りになりながら上昇していくが、その間もまったく歌唱に乱れがない池田有希子の歌のうまさ。完璧。

 今回の「ナイン」はリターンマッチ大成功。一つだけ難を言えば妻役。声楽出身とのことだが、初演時と同じく、後半は声に疲れがありあり。しかも演技も地味……。重要な役どころだけに、ウーン……の一言。

 9.30、終演後、楽屋へ。池田有希子に挨拶しようと思ったら、木山事務所の木山氏とばったり。福田善之氏らを伴い、池田有希子に挨拶している。出演依頼か。池田有希子と立話をしているうちに、木山氏らが引き上げたようで、福田さんに寺山、佐々木のラジオ時代の話を聞く機会を逃してしまう。残念。

 楽屋から出ると、神田うの、東儀秀樹、石井一孝らの囲み取材。
 初日乾杯でグラス片手の扇田さんに「初演と段違いですね」などと立話。木村佳乃、秋山菜津子が談笑している光景を横目に、そのまま家路に就いたが、後で松本莉緒が来ていたことを知って後悔。残っていればよかった。残念。わたしゃミーハーか……。

 11.00。ディズニーシーに高校の「遠足」で来ていた娘と待ち合わせ。駅で落ち合って帰宅。

5月26日(木)晴れ

 朝早い時間の寒いこと。Tシャツ一枚で電車に乗ったら、冬山に軽装で登ったようなもの。寒い寒い。隣の乗客とのほんの少しの肩の接触でも温かさが伝わってくる。両サイドに乗客がいれば、暖を取れるのに、こんな日に限って端の席を確保してしまう。自然と腕を前に組むのは心臓周辺を暖める自己防御か。降車駅まで1時間。寒さのため、居眠りもできず。まだまだ上着は必要か。

 7.00〜3.30、食事時間15分を除いてびっしり仕事。

 PM4.20、御茶ノ水。K記念病院で鍼。この頃、調子がいいのはきちんと通院しているから?

 6.30帰宅。夕食を済ませてから、子供にせがまれ、小学校へ。すっかり暗くなったグラウンドでバスケットボールの練習。凝り性は親譲りか。この分だと、早い帰宅の時には、毎日つき合わされそう。

8.20、家に戻り居間で団欒。
5月25日(水)晴れ

 夕方、子供と一緒に、ダイエーに行き、スポーツ用品コーナーでバスケットボールを買う。「学校で使うから」と息子は言うが、「スラムダンク」の影響なのはみえみえ。

 夕方、買ったばかりのボールを持って、近くの小学校校庭に行き、二人でバスケット。ランニングシュートなんて何十年ぶり? 暗くなって、バスケットのリングが見えなくなるまで遊び興じる。子供と遊ぶ……ささやかな幸せ。

 帰宅して夕刊に特集されていた尼崎脱線事故の記事を読む。娘を亡くした父親の手記に涙止まらず。娘の生を突然断ち切られた父親の絶望はいかばかりか。


 阪神大震災で道路の安全神話が崩れ、尼崎事故で鉄道の安全神話が崩壊した。次は……。地震続きの昨今、浜岡原発が耐震性を1.6倍にする工事に着工するというが、「この次」の安全神話が崩壊するとき、人類が自らの傲慢さと無知を嘆いたとしても、もはや取り返しのつかない事態が待ち受けていることだけは確かだ。


 中国が、靖国参拝が会談キャンセルの理由であると、非公式に認める。相変わらず、シレッとした態度の小泉。この男を売国奴と言わずに誰を売国奴と呼ぶべきか。
5月24日(火)晴れ。夕方から雨


 PM4。退社し銀座・ビックパソコン館でDVDの収納ケース(120枚収容、1980円)を買う。腹ごしらえをしようと、「木屋」なるうどん屋に入り、帆立丼1050円注文。初めて食べたが、卵とじのホタテのおいしいこと。絶品。

 日比谷から千代田線で表参道へ……と地下鉄に入りかけたところで空を見上げると雲行きが怪しい。一雨きそう。迷った末、会社に戻り、傘を取って外に出ると大粒の雨。引き返して正解。

 子供の頃、朝、学校に行くとき、母親が「雨が降るから傘を持っていきなさい」と言っても、面倒だし、「降りそうもないから」とそのまま手ぶらで学校に行ったものだが、母の言葉通り、そんな日は必ず雨が降って難儀したものだ。親の言葉はあとからじんわり効いてくる。転ばぬ先の杖。多少回り道をしても、備えあれば患いなし。

 表参道駅に着くと、出口までびっしり人の群れ。傘がなくて外に出られない人たち。間をすり抜けて地上に出ると、叩きつけるような雨。やはり、いったん引き返して傘を持参してよかった。

 PM7、青山円形劇場で、真心一座 身も心も 第一章「流れ姉妹〜たつことかつこ」(作=千葉雅子、演出=河原雅彦)。

 受付でRUPのI間、H本さんに挨拶。ハイレグタワーのT橋さんがブースから出てきて丁寧に挨拶。

 千葉、河原、村岡希美(ナイロン100℃)、坂田聡(元ジョビジョバ)による新劇団(ユニット?)の旗揚げ公演。どこからが劇団名なのかよくわからず。開演前に場内にBGMで流れるのは、梅宮辰夫、三上寛、浅川マキ、友川かずきほか60〜70年代のフォーク・ロック。そのBGMが暗示するように、70年代B級映画テイスト濃厚な作品。

 安住の地を持たない姉と妹ーーたつこ(千葉)とかつこ(村岡)。愛する男に裏切られ、男を崖から突き落としたため、北海道の刑務所で服役するかつこ。一方、たつこは流れ流れて沖縄へ。たつこに思いを寄せる看守(坂田)はかつこのために、たつこの居所を探し当てる。かつて、医大生だったかつこを犯した歌川(粟根まこと)、元やくざ(河原雅彦)、たつこの心に入り込む五十嵐(松重豊)ら、一癖も二癖もある登場人物が織り成す、小劇場版「放浪記」。

 冗談半分の旗揚げと思いきや意外に真剣勝負。役者たちに一切の手抜きなし。特に「座長」の村岡が実に魅力的。千葉雅子をはじめとして、粟根まで、ありがちな「客いじり」に逃げることない。客への「媚び」がまったくないのが素晴らしい。
 PM9.05終演。思いがけない収穫に、帰り道の寒さも気にならないほど。

 客席に元白水社のU本氏。「定年してから、毎日が芝居漬けですよ。こんなにいい生活ないですよ」と笑顔。

 PM10.30帰宅。

 中国の呉儀副首相が小泉首相との会談をキャンセルして帰国の途に。
 一国の副首相が訪問国の首相・閣僚に侮辱を受けては当然の行動といえる。

 たとえていうなら、イソップのキツネとツルの話と同じ。ツルが長いクチバシでは飲めないのをわかっていながら、平らな皿でスープを出すキツネ。最初から靖国問題で話し合うつもりがない相手と会談をしたところで、コケにされるだけ。怒りの退席は目に見えている。

 16日の衆院予算委員会で小泉はこう答弁した。

「靖国参拝は他国が干渉すべきではない」
「孔子も、”罪を憎んで人を憎まず”と言ったではないか」

 武部・自民幹事長に至っては、21日の王家瑞対外連絡部長との会談で、中国の靖国神社参拝批判を「内政干渉だ」「信教の自由に反する」と述べ、王氏が「こういうことを言う政治家は初めてだ」と激怒したという。

 この期に及んでも小泉は「会いたくなければ会わなくてもいい」などと、シレッと言ってのけているが、自分の言葉にこれほど責任のない首相は前代未聞だろう。挑発するだけ挑発して、相手が怒りの退場をすると、「ドタキャン」というマイナスイメージの言葉で相手を侮辱する。大手マスコミも「ドタキャン」という言葉を使い、さも中国に非があるような言い方をする。

 武部の「信教の自由」発言も噴飯ものだが、小泉の「罪を憎んで人を憎まず」とは、なんという無礼で無神経な物言いだろう。侵略した加害者がいうべき言葉か。盗人猛々しいとはこのこと。

 たとえば、自分の親や子が殺されて、その殺した相手が「罪を憎んで人を憎まずとい言葉があるじゃないですか、ねぇ」などとしたり顔で話しかけてきたとしたら、どうするか。間違いなくその男を憎む。殺意を持つ。

 小泉の狙いは、中国を挑発することによって、国民の「愛国心」を鼓舞し、憲法改正の機運を盛り上げようということなのだろう。あの極右首相・中曽根康弘でさえ、外交上の配慮を理由に靖国参拝を中止している。それなのに、支持率という風を背景に、対中国強行路線を突っ走る小泉。右翼も真っ青のその言動。気が狂っているとしか思えない。小泉を支持する51パーセントの国民は次の「戦後」、どのような責任をとるのだろう。

5月23日(月)晴れ。夕方から雨

 6.00。仕事を終えて家に帰る途中、高3娘から携帯メール。「渋谷にいるから迎えにきて……」

 試験が終わった後、初めて渋谷に一人で出て、「109」で買い物をしたが、帰りの電車賃が不安とのこと。

 田舎育ちの自分にとっては、東京も埼玉も「同じ首都圏」だが、埼玉の高校生が都心に出ていくのは一大決心が必要らしい。「109」の前で佇む娘を伴って家路に。渋谷の雑踏の中を親子で歩くのはなんだか変な気分。片道1時間。電車の中でもひっきりなしに話しかけてくる娘。
「こういう機会だからもっと話そうよ」
 幸いなことに、我が家は親子の断絶はないようだが、なんとなく面映かったりして……。


 井上ひさし氏が鎌倉市に抗議。6月に神奈川県鎌倉市内で開かれる「鎌倉・九条の会」の発足記念講演会について、同市がいったん後援を決定しながら取り消したことへの抗議。26日に石渡徳一市長と面談するという。

 30年前、愛読していた雑誌「面白半分」の歴代編集長(吉行淳之介、野坂昭如、開高健、五木寛之、藤本義一、金子光晴、井上ひさし、遠藤周作、田辺聖子、筒井康隆、半村良、田村隆一)の中ではもっとも穏健と思われた井上ひさし氏が今最もラジカルに行動する作家となっている。田中康夫といいい、井上ひさしといい、一見「柔弱」に見える作家ほど、鋼のような信念で国家に対し、異議申し立てをする。どんどん現世からインナートリップしていく五○寛○センセイとは大違い。


「九条の会」は、昨年6月に平和憲法を守ろう、と井上氏、哲学者の梅原猛氏、作家の大江健三郎氏ら9人によりが結成された会。この動きを受けて鎌倉在住の井上氏、経済評論家の内橋克人氏、医師なだいなだ氏が呼びかけて「鎌倉・九条の会」を6月10日に正式発足させる。記念講演会には元首相夫人の三木睦子氏も参加するが、鎌倉市はいったん後援を決めておきながら、それを撤回した。いわく「政治性のある集会は後援できない」


 アホか。どうせ改憲策動を進める政府・自民党から圧力がかかったのだろうけど、憲法集会を「政治性を帯びた会合」とは。

「憲法には公務員が憲法を尊重し擁護する義務が規定されている。行政が1カ月もしないで後援を取り消すのは異常で納得できない」と井上氏。当然だ。

 本来ならば、国会議員が改憲準備を進めるのも「憲法違反」になるのは理の当然。心優しい護憲派は言論・思想の自由の観点から、今の改憲策動を問題にしないが、もしも、自民党の謳う「自主憲法」が成立したなら、おそらくこの「公務員の憲法尊重・擁護」規定を逆手にとって、自民党はそれ以降の「民主的な手続きによる憲法改正運動」を弾圧するだろう。

 それにしても、なし崩しに進む「改憲論」に抵抗する「知識人」の輪が広がらないように見えるのはなぜだろう。

「まさか、こうなるとは。知らなかった」
「抵抗できなかった」

 軍国主義に傾いていった戦前の知識人の言い訳をまた繰り返すつもりなのか。

 名のある作家、評論家、ミュージシャン、俳優ーー彼らが「改憲反対」の論陣を張れば、世論は耳を傾ける。団塊世代のミュージシャンで「憲法改悪反対」を正面から叫んでいるのは忌野清志郎以下ほんのわずか。

「改憲」が世論の抵抗を受けず、規定事実になっている。恐ろしい時代。
5月22日(日)晴れ

 目覚ましの音で7時に目が覚めるも、頭が重い。二度寝したら9.00。結局、躰道稽古を断念。自己嫌悪……。

 お昼は昨日の運動会お疲れさん会で「華屋与平衛」で食事。帰宅し、タワーレコードへ。YOKO BLAGSTONE5年ぶりの新譜「BACK TO  MY BASE」2500円。帰ってきたR&Bの女王。試聴もせず買ってしまったが、まぁ外れはないだろう。

 PM3.30、睡魔に襲われ2時間熟睡。一週間の疲れがドッと出る日曜日。
 
5月21日(土)快晴

 早めに会社に行き、猛ダッシュで仕事を片付け、中抜けして運動会へ。片道1時間、ちょうどお昼時。一緒に食事をして、すぐに引き返す。滞在時間10分。小学校最後の運動会。競技を見られないまでも、顔を出さないと……。

 PM2、新宿。紀伊國屋ホールでシアター21「グリマー・アンド・シャイン」。

 1950年代、共にジャズと酒の日々を過ごしながら、ふっつりと関係を絶った双子の兄弟。数十年後、彼らの子供たちが再び出会い……。全編にジャジーな頽廃のムードが漂う現代版カインとアベルの物語。高橋和也、羽場裕一、山路和弘、紅一点は真中瞳。
 カーテンコールで3人がそれぞれトトンボーン、トランペットでセッション。素人とは思えない迫力。お目当ての真中瞳は思った以上に演技が達者。その色香にクラクラ。運動会に行く途中で眼鏡を落としたため、顔をはっきり見ることができなかったのが残念。
休憩15分。4.30終演。


 いったん会社に戻り眼鏡を探すが見つからず。やはり途中で落としたのか。

 PM6、阿佐ヶ谷。パールセンターの眼鏡屋に飛び込み、新しい眼鏡を作ってもらうことにする。今まで使っていた眼鏡は20年前に作ったもので、普段は眼鏡を使わないからずっとそのまま。改めて計測してもらったら、左目に少し乱視があるとのこと。「肩が凝るでしょう」と店の人。確かに。肩こりは目からきているのも大きいようで。

 30分で眼鏡完成。こんなに早く眼鏡ができるとは。フレーム込みで2万7000円。


 7.10、ザムザ阿佐ヶ谷で月蝕歌劇団「金色夜叉の逆襲」。尾崎紅葉の金色夜叉「お宮・寛一」にはモデルがいた。それは児童文学者・巌谷小波であり、彼の出した「金色夜叉の真相」は出版社社長によって買い占められ、闇に葬られた。……金色夜叉をめぐる史実と、巌谷の代表作「黄金丸」の物語を交差させた高取の巌谷小波へのオマージュ。

 火星の軌道を変える事によって出現した二つの月、そして星々。それを文学と読者に見たてるロマンチシズムは高取戯曲の新展開か。

 終演後、中日乾杯。榎本了壱氏は来週のイベントで初めての朗読に挑戦するとか。「初めてなので緊張してますよ」と笑顔。

 客席にウルトラQなどの脚本家・山田正弘氏。高取氏の知己であるとか。人脈幅広い。

 PM10。近くの飲み屋に移り高取、D井氏、平凡社のO川氏、前進座の小林幸子氏らと歓談。
 途中で元梁山泊のS永さんと秋元さんが店に入ってきたので、そちらに移り、今度のダンスエレマンの制作の話など。記者発表をどうするかで試行錯誤とか。ゲストが吉川ひなの、川井郁子だから話題性はあるが……。

11.30、宴席を辞して駅へダッシュ。西日暮里でなんとか終電接続に滑り込み。北千住0.25の最終電車で家路に。タクシー帰りにならずよかった。1.00帰宅。
5月20日(金)晴れ

 昨日買ったヤン・スギョンのアルバムをiPodで聴きながら会社へ。「上海帰りのリル」は根津甚八も20年以上前にカバーし、よく聴いていたが、今回のスギョンのカバーの中では白眉。「白い花の咲く頃」「東京ラプロディー」……。古賀メロディーは韓国民謡が源流との説もある。

「あふるる涙に夜空がうつる さようならと流れ星」(別れのタンゴ)

 電車の中で化粧し、おにぎりをほうばるいまどきの日本の若い女のコには歌えない。

「清貧」や「純情」という言葉が生きていた「古き良き時代」の日本の歌謡曲を表現できるのはもはや韓国の歌姫にしかできないのかもしれない。

 PM5帰宅。夕食後、明日の運動会でどうしても百メートル走を勝ちたいという小6生に付き合い、夕暮れの街でタイムキーパー役。高校生の姉も弟につきあって3人で全力疾走。疲れを知らない子供たち。

 PM9.30就寝。
5月19日(木)晴れ

 PM4.20、K記念病院で鍼。M河内万歳一座のN藤氏が情宣上京中。時間がなく会えず。

 PM6、銀座。山野楽器CD試聴。アン・サリーの新譜もいいが、収録曲の「上海帰りのリル」に心奪われ、ヤン・スギョンの「港が見える丘 昭和名曲集」を購入。3059円。いまどき珍しいコピーコントロールCDだが、iPod収録には問題ない。

PM6.30、ル テアトル銀座で「シンデレラ・ストーリー」(作・鴻上尚史、演出・山田和也)。一昨年の再演。主演・大塚ちひろ、継母・池田成志、姉・宮地雅子、森若香織は変わらず、王子役が「仮面ライダー クウガ」の浦井健治に。「大人も子供も楽しめるミュージカル」との触れ込みだが、ストーリー、演出とも丹念な作り。オトナにこそ見て欲しい作品。
 初演の際は、デビュー作ということで、初々しく、消え入るような演技だった大塚ちひろが、今回は座長として周りを引っ張るような堂々とした演技。女は変わる。

 初演ではあまりにもご都合主義だったラストシーンも今回は新たに書き換え、それなりに納得できる展開に。シンデレラを介して、日本の「王女」に対する同世代としての鴻上の感情が込められたような気が……。

 9.20終演。カーテンコールは毎回リクエストで変わるそうで、今回は浦井の独唱。もっとも、橋本さとしのパフォーマンスで客の注目をさらってしまったが。主役より目だってどうする橋本。大塚ちひろの阿波踊りもちょい披露。

11・00帰宅。
5月18日(水)晴れ

 6月22日にリリースされる川部しのぶの新譜マキシ「サイレント・ヴォイス」を聴きながら部屋の整理。「ベルベット・ボイス」のキャッチはダテじゃない。「スローバラードの王女」(?)と呼びたいほどの英語詞歌唱力。

 ちなみに少女監禁事件の小林某は地元・五所川原では「王子さま」と呼ばれていたというが、青森・北海道地域では次男、弟のことを「おんじ」と呼ぶ。もしかして「おんじ」が「王子」に聞こえたのかも、と仮説を立てたが、違ってたみたいで……。

 今日も一日、荷物の片づけで終わったが、整理しているといろんなものが出てくる。今年3月に亡くなったぬり絵画家の蔦谷喜一さんからいただいた額入りの絵や手紙。どこにしまったのかと思っていたが、ひょっこり出てきたりする。控えめな方で、著作権にも無頓着な方だった。ぬり絵は氏の優しさがそのまま出ていたのだろうと思う。
5月17日(火)晴れ

 新システムには慣れてきたとはいえ、以前は午前中で終えていた仕事が、結局PM4まで。一日仕事に疲労感。

 PM4.15、銀座・東劇で映画「バタフライ・エフェクト」。「北京で一羽の蝶が羽ばたくと、1カ月後にニューヨークで竜巻が巻き起こる」というカオス理論の「バタフライ効果」をモチーフにしたサスペンス映画。記憶の修正、過去の修正……といった映画の道具立てに久しぶりに期待感。

 7歳の時から、時々記憶が飛ぶ「ブラックアウト」に襲われる青年エヴァン。
 その引き金となったのは幼なじみの少女ケイリー、彼女の兄トミー、太っちょのレニーと目撃したある悲惨ないたずら。その事件が元で、エヴァンはケイリーと引き裂かれ、異なった人生歩むことに。クルマの窓ガラスに「必ず君を迎えに来る」と書いた紙を押し付けるエヴァン。

 時は流れ、エヴァンは心理学を専攻する大学生に。しかし、ある日、子供の頃に書いた日記を見つけたことから、再びブラックアウトに襲われ……。

 恋した少女の運命を変えるために、次々と過去を修正していく青年。タイムパラドックスを避けるため、一時的な「記憶喪失」になるという設定はさすがに脚本が巧み。名作「ある日どこかで」では一枚の硬貨がタイムトリップの重要なアイテムとなっていたが、今回は「日記」。
 まさに「記憶と記録の地下迷宮」の展開にドキリ。

 本棚にある自分の15歳からの日記。確かにそれは時として過去へのタイムマシンの役割をするわけで……。

 映画としては、B級のAランクといったところ。青年に過去を修正するモチベーションを与える少女との淡い恋の描き方が曖昧なため、青年の情熱に感情移入しにくいところが難点。
 ただ、こういう映画は欠点を補って余りある情感がある。理屈抜きに大好き。ラストの展開は予定調和のアメリカ映画のパターンなので、ウームと思ってしまうが……。


PM7.00。渋谷パルコ劇場で「最悪な人生のためのガイドブック」(鈴木聡=作・演出)。

 受付でY家かおりさんから呼び止められる。6月に國本武春さんのライブがあるとのことで、その話。

 並びの客席にK滝氏がいたので挨拶。昨日の今日。「探検隊」のメンバーが続く。

 将来に縛られることなく、今を自由に謳歌したい42歳のピザ配達フリーターが、配達先の女性ライターと恋に落ち、同居を始めるが……という、ラブ・コメ音楽劇。川平慈英とキムラ緑子、森山未來・堀内敬子、三鴨絵里子・近江谷太朗の各カップルに小林隆、伊織直加、草刈正雄が絡み、恋のトライアングルが展開。ケレンに走ることなく、滋味のある音楽劇として好感。

 草刈正雄は60歳近いはずだが、見た目はまるで40代。パンフレットの稽古写真を見れば、まあ、それなりの年齢に見えなくもないが、体型維持はさすが。
 休憩15分挟んで3時間10分。カーテンコール3回。最近の舞台はこのカーテンコールがやたらと多いのが難点。たぶん、アイドル主演舞台のカーテンコールの影響か。

 終演後、一散に駅へ。電車の中で土本典昭「ドキュメンタリーとは何か」を読む。「記録しなければ、なかったこととして歴史から抹消される事実が多い」

 権力がドキュメンタリーを恐怖する理由は、映像に「真実」が刻印されるから。不都合なこととして「なかったもの」にできない。それは、どんなに情報が発達しても、同じこと。

11.30帰宅。
 
5月16日(月)晴れ

 9.40から人間ドック。いつも通り出社し、仕事を片付けてから近所のS国際病院へ。検診部門が新タワービルに移動してからは検査過程も効率的になり、最新式の検査機器の充実もあって、年々時間が短縮される。

 今年は例年よりも1時間遅いスタートなので検査が終わったのが12時過ぎ。喫茶ラウンジから隅田川を行き交う観光船を眺めながら軽食。昨夜から絶食なので、病院から出たサンドイッチのおいしいこと。

 いったん会社に戻り、1.30に再び病院へ。医師から検査結果の説明。「どこも異常ありませんね」。よかった……。この言葉を聞くまでは、やはり不安。

 PM7。高田馬場。栄通りにあるギャラリー・バー「26日の月」で「にほん全国芝居小屋巡り」の出版記念パーティー。雑誌「レプリーク」の連載をまとめたもの。かつては全国隅々、どんな町にもあった芝居小屋、地芝居と呼ばれる伝統芸能(歌舞伎)。テレビの普及で消滅しつつある芝居小屋を探訪したフォト&エッセイ。著者は沢美也子、写真は田中まこと。

 沢さんとは「芝居探検隊」以来の付き合いだから、もう17年か。

 7時5分前に着くと主賓の沢、田中、企画の竹村さん、まつもと市民芸術館支配人のW辺さん、そしてS井英介さんら。
「今年はあまり舞台の予定がないんです。やりたいんだけど……」と、「トスカ」を終えたばかりのS井さん。

 そのうち見知った顔が続々。アトリエ・ダンカンのS木さん、ラジオドラマ「唐木屋一件のこと」で脚本家デビュー、NHK「御宿かわせみ」の脚本も書いているY本むつみさん、カトケン事務所のN島さん、「探検隊」仲間のY屋さん、パルコのT中さん、T石さん、沢ダンナのU田さん、日経BPのK藤さん、そして芸術新潮の編集長であるN井和博さん……。

 Y屋さん、N井さんとはほんとに久しぶり。Y屋さんは4月から、芸団協が運営する「芸能花伝舎」(新宿・旧淀橋第三小学校)で研修・調査研究の任。N井さんは4年目の編集長。
 みんな、それぞれの分野で活躍している。十年一日なのは、私だけか……?

 フットサルチームのN島、Y本の掛け合い漫才に大爆笑。宴席は大盛り上がりで、アッという間の10.20。お開き10分前にお先に退席。月曜から飛ばすと、あとが大変。しかし、1時間で失礼するつもりが結局3時間以上も。気心の知れた仲間とのおしゃべりは時間の流れが速い。人間ドックで医者に「お酒は控えめに」と言われたが、初日から掟破り。

11.30帰宅。0.30就寝。
5月15日(日)晴れ

 ヘンな天気。朝のうち寒く、雨模様なので、厚手のジャンパーで傘を持って出たら、帰りは夏の陽気。どうなっているのか。

 AM9〜12、躰道稽古。師範たちは会合があり欠席。それを抜きにしても人数が少ない。黒帯はH先生ら4人のみ。子供たちも7人。たった13人とさびしい稽古。その分、集中してできたからいいが。

 稽古終了後、S本さんが子供を迎えに来る。稽古に現れないのでどうしたのかと思ったら、ロスに転勤の辞令が出たのだとか。5〜7年は米国暮らしになるとのことで、家族と一緒の赴任になるという。道場に同世代が一人もいなくなるわけで、なんとも残念。

PM2、帰宅。風呂に入った後、日記のまとめ書き。
5月14日(土)晴れ

 PM3、北千住。シアター1010。「奴婢訓」。天井桟敷の芝居は「開場=開演」のため開場前にロビーに人があふれるのはいつもの光景だが、開演3分前にようやく開場。後で聞いたら寸前にセットの一部が破損し、それを修理していたためとか。

 ロビーで昭和精吾、テラヤマ新聞の稲葉、金子両氏らと立話。宇野亜喜良氏の顔も。

 キャパ700席余りの劇場は補助席も出るほどの盛況。中年女性が多いのは旺なつき目当ての宝塚ファンか。

 天井桟敷時代に初めて見た「奴婢訓」。寺山修司晩年のシュールレアリズム演劇の最高傑作であり、大好きな作品。

 今回は初演以来持ち役にしてきた根本豊が休団中のため、井内俊一が「眠り男」を演じている。テープレコーダー操作でややまごついていたが、アドリブのきくコメディリリーフとしてやはり適役。とはいっても、当該シーンはどうしても根本豊の福島弁がどこからか幻聴のように聴こえてくるのだが……。

 小竹氏の美術なくして成立しない舞台ではあるが、どうしても引っかかるのが、聖主人の衣裳。初演以来、聖主人が立ち上がるシーンはサテン(繻子織り)の衣裳だったが、前回の新国立版からズタ袋になった。奴婢であるから理屈からいえばおかしくはないのだが、あのシーンは神々しいまでの聖主人誕生のシーン。観客の度肝を抜かせる、スペクタクルなシーンなわけで、椅子に立ち上がる聖主人がズタ袋の衣裳では貧相にしか見えない。恐ろしいまでに立派な聖主人でなければ。

 それと、晩餐シーン。舌出し公のドロップ(天井から吊るされた画)があちこち破れ放題で穴を空けたのもちょっと首肯できない。あの晩餐シーンの超豪華なスペクタクルにあのドロップこそふさわしいわけで、穴が空き、ボロボロになった絵では客席から、絵の構図が見えない。人の顔がかろうじてわかるだけ。ウーン、奴婢たちの晩餐だから破れ放題のドロップというのもわからないでもないが、客席から見たスペクタクル性が薄れるようで……。ただ、ドロツプの後方から光が当たり、その光が客席に照射されるという幻想的なシーンが副産物として生まれたのは僥倖。

 一番好きな、包帯男のシーン。今回は浅野泉と能美健志のツインキャスト。そのため、焦点がボケてしまったきらいがある。
 
……と、まあ色々あるが、もちろん、そんな不満はあっても、寺山修司の世界は不変。

 PM5終演。楽屋に行ってシーザーに挨拶。その後、近くの居酒屋に移動して飲み会。

 昭和、稲葉、タリ、シーザーの5人で先乗り。いつもながら、天井桟敷時代からのスタッフ・役者の結束力は見ていて、うらやましい。青春時代を寺山修司とともに共有した人たちの永遠の友情。月嶋さんも加わり、桟敷時代の想い出話に大笑い。

 昭和さんは初台ドアーズで知り合いのバンドが出るというので、途中で退席。市川氏が大阪のようこさん、千葉のなつみさんを伴い登場。

 PM8、時間制なので別の店に移動。稲葉氏、タリ氏はリタイア。シーザーや劇団員ほか20数人。10・30、飲み会は続くが、明日の躰道稽古も気になるので、先に引き上げる。ここからだと、家が近い。11.00に帰宅し、0.30就寝。

 注文した新しいチェストとチェアが到着。


5月13日(金)晴れ

 PM3.30、TエコーのYさん来社。Aさんが退職し、入社したばかりの彼女が制作の一端を受け持つことに。まだ不慣れな様子だが、一生懸命な態度は好感が持てる。頑張って欲しいもの。

 PM5。中央線「豊田」駅へ。今年田舎から上京した従兄の長男Uの激励に。駅で待ち合わせし、夕食を一緒に。就職して2カ月。介護センターで働いているU。一人暮らしにも慣れたというが、「気難しいお年寄りもいて、なかなか大変な仕事」とか。

 彼と別れて、池袋へ。


 10日までのストリップ公演はもう終わっているから、もしかしたら、今日の若松武史のダンス公演に、一条さゆりさんが来ているかも、と彼女のケイタイに電話すると、なんだか雑音が大きい。
「今、中国です……」
 公演が終わってすぐに帰ったのだとか。ワカのダンス公演見たかったと思うが……。

 タワーレコードでCDを物色するも、食指動かず。この支店は結構優秀なスタッフが揃っていたはずだが。

PM7.30、東京芸術劇場中ホールで日独コンテンポラリー・ダンス・プロジェクト。若松武史がダンス公演に出るというので当日券で入場。一部はドイツの演出家によるパフォーマンス。何組か出ては引っ込む、短いパフォーマンスの繰り返し。まるで高校生の発表会のよう。

 二部がお目当ての「煙草の害について」。チェーホフの作品をダンス化したもの。若松武史がメインキャスト。得意の脚さばき。体のキレは相変わらず。まだまだ体が動く。もう一度、シーザーと組んで天井桟敷舞踏を見せてくれないものか。レンガや椅子など小道具を使ったパフォーマンスも楽しい。約40分の小品ながら、よく練られた演出。エロティシズムあふれるダンサーたち。完成度は高い。
 9.15終演。
 10.30帰宅。
5月12日(木)晴れ

 PM4.20、御茶ノ水K記念病院で鍼。担当の医師が「○○さんの出身の大間に原発ができるんですか。ニュースでやってましたけど。マグロはどうなるんでしょう?」
 ……話題の町が別な話題で塗りつぶされていく。

 お茶の水駅から中央線快特電車に乗り込むが、7時のライブまでには時間がある。なんとはなしに、そのまま新宿を通り過ぎて阿佐ヶ谷へ。駅を降りて、学生時代に住んでいた北5丁目周辺を散策。早稲田通りの銭湯は10年以上前に無くなったとか。アパートが立ち並び、すっかり様変わり。


 当時のアパート、F荘に立ち寄る。四半世紀前と変わらない古ぼけたアパート。この一角だけは昔のまま。玄関脇の2間の部屋が最後に住んだ部屋。その後、別の部屋にいたSさんが移って、今も住んでいるのだが……。何度か訪ねたが、いつも不在。今日もダメかな……と思いつつ、路地を入って行くと、部屋の外にシートに包まれた「廃品」の山。その物陰から、Sさんが現れる。「よぉー。久しぶり。フリマやってるんだよ。この荷物、邪魔だって言われるんだけど、ここも今年いっぱいで取り壊しになるっていうし……」

 最後に会ったのが20年前。お互いに20年分の空白があるのに、「ところでさ、日本は危ないぞ。来年当たりドカンとでかい地震が……」「赤軍の連中もダメだね。北朝鮮グループがぶちこわしてしまったんだな」

 ニヤッと笑いながら、まくし立てるSさん。アパートの廊下で立話していた当時とまったく同じ語調。

「裁判は2000年頃終わったよ。未決勾留の期間もあったから、塀の中には入らなくて済んだけどな」
「最近、全共闘時代の仲間がよく死ぬんだ。この前も一人。奥さんが隠してたから知らなかったけど……」
「隣のアパートは立て替えて、何代も大家さんが変わってね。バブルの頃はヤクザが住みついて、オレなんかとモメたこともあった」

 N大全共闘K済闘争委員長。警官死亡事件に関与してその後、30年余りの人生を裁判で費やしてしまったSさん。20年ぶりに会うというのに、姿形はまったく変わらない。いま存在することさえ不思議な古いアパート。その前に立つSさん。

 まるでタイムマシンに乗って、時間を遡ったかのよう。

 天気予報があたり、夕暮れの空からポツリと雨。

「これ使って」と玄関に立てかけてある傘を渡してくれるSさん。

「また遊びにきてよ」

 振り返ると、F荘の前で私を見送りながら立ちすくむSさん。

 こんな風景どこかで見たな。つげ義春のマンガにあるような……。
 このアパートが取り壊される前に、もう一度訪ねてこよう。

 PM7.15。渋谷。クアトロでジムノペディのセカンド・ワンマンライブ。メンバー脱退により、新しいサポート二人(キーボード=笹塚、ギター=西)を迎えての初セッション。「譜面がないバンド」のため、二人は「耳コピ」で曲を覚えたとのこと。

 すでにライブは始まっており、担当のK泉さんに案内され、会場へ入ると最後方までびっしり超満員の熱気。600人以上か。関係者ブースもスタンディング。

 ナオミのボーカルは今まで以上に磨きがかかり、伸びやかで艶っぽい。MCも笑いのツボや客の反応を計算に入れ、洗練度アップ。新サポートメンバーも技量十分。小林殉一の泣きのサックス快調。至福の時間。

 8.15、熱狂的なアンコール。何度も繰り返されるアンコール要請にメンバーの戻りが遅くてヒヤヒヤ。ちょっと長すぎか。それでも一糸乱れぬアンコール拍手。
8.45終演。楽屋を訪ねて小林、ナオミほかメンバーに挨拶。10分ほど立話をして引き上げる。

 外は小雨。
5月11日(水)晴れ

 10.00、ニッポンレンタカーで軽のバンをレンタル。クローゼットルームの荷物を運び出しに行くが、二度目の運び出しで意気阻喪。あまりにも書籍が多すぎる。

 これでは部屋をひとつ物置部屋にするしかない。そんなことができるはずもなく……途中で、契約復活。衣類や雑貨は家に移動、クローゼットルームは純然たる物置として使うことに。
1カ月1万4000円は痛いが、やむなし。午後2.30、荷物運びを終えてクルマを返し、自宅に引き上げ。夕方まで荷物整理。半分は可燃ゴミに……。なんのこっちゃの一日。

 イラクで拘束された日本人傭兵。町村外相が家族に電話で激励したり、コイズミが「全力を挙げて救う」と言ってみたり、これまでの人質事件とあまりにも対対応が違いすぎる。

 民間の日本人若者が捕まったときには「自業自得」「家族にも責任がある」「国に助ける義務はない」「救出にかかった費用を払え」……散々、拘束者を辱めた。斬首された若者の時、コイズミは記者の質問に対し、忌々しげに自衛隊撤退拒否を言い放ち、若者を「見殺しにした」のとは大違い。新聞各紙も傭兵氏の経歴を華々しく紹介し、持ち上げている。しかし、イラクで傭兵として活動していたのだから、拘束されたとしてもそれはまさに「自己責任」。


 ジャパンタイムス5月5日号によれば、日本政府は12月にイラクから撤退する方向で検討を始めたとか。
 9月に発表する動きというから、ことによると、この傭兵氏の事件を「奇貨居くべし」と思っているのかもしれない。人気取りが得意なコイズミ、傭兵氏と引き換えに「撤退」を考えているとしたら……。

5月10日(火)晴れ

 一週間で最も楽しかるべき日が、「労働強化」のために最悪の日に。地獄のような火曜日の仕事攻勢。

 4.00にはなんとか終了するも、9時間で休憩15分。ひたすらパソコンの前に座り続ける一日。眼精疲労、肩こり、イライラ……。こりゃ、長くはない。


 PM6.40、信濃町。定食屋でさんま定食800円。PM7.00、文学座アトリエ公演「ぬけがら」。

 久しぶりの松本祐子演出。作者はB級遊撃隊の佃典彦。初顔合わせ。二人の相性はいかに? と期待しつつ見たのだが、期待以上のできばえ。

 大学映研のOB会で、かつての恋人と不倫関係になってしまった中年男。女と同乗したクルマで人身事故を起こしてしまい、職場はクビに。しかも、妻に離婚を迫られることになり、さらに悪いことに、ショックを受けた母親が心臓麻痺で死亡。ボケはじめた父親の面倒を見るために同居するが、ある夜、トイレに入った父が脱皮し、若返るのを目撃してしまう。父は、次々と脱皮を重ね、部屋は抜け殻だらけ。60代の父、40代の父、30代の父、ついには戦時中の10代の父が登場し……。

 いやはや、これほど腹の底から笑ったのは久しぶり。脚本が抜群に面白い。スラプスティックな不条理劇ではあるが、流れにはきちんと整合性があり、見終わった後に残るさわやかなカタルシス。

 その脚本を血肉化する松本祐子の演出の鮮やかさよ。役者の動き一つとっても、ため息の出るような細やかな演出が見て取れる。まさに松本マジック。舞台の錬金術師とでも言いたくなるようなその繊細&大胆な演出術。登場人物のアンサンブルの見事さといったら、もう、ほとんど完璧。

「松本組」の若松泰弘、山本郁子に加え、飯沼慧、関輝雄、奥山美代子、添田園子ら文学座のベテラン、若手のコンビネーションが素晴らしい。出演者の一人ひとりの個性を引き出し、なおかつ最後の一人に至るまで引き立てる「やさしさ」。
 「いい舞台」は数多あれど、それに加えて、これほど「大好き」で「面白い」舞台というのはめったにない。
 点数をつけるなら満点。ただし、隣の席の70がらみのじいさんがうるさいこと。上演中に「もうそろそろ終わるだろう」とか、「また同じことやるのかい」などと、大きな声で独り言。終わるのを待てずにヘンなところで手を叩き始めるし、最悪な観客。この客のおかげで気が散って不快感増幅。マイナス3点の97点。残念。

 9.15終演。出口にいた松本さんに挨拶して帰宅。初日乾杯というが、文学座はちょっと敷居が高い。
5月9日(月)晴れ

 アクセス解析を見ると、プロバイダーを変えてからアクセス数が3分の1に落ちている。告知の余裕もなくURLが変わったので当然か。一からの出直し。

 尼崎脱線事故で、新聞各紙は社員が事故の最中に宴会を開いていたことを連日のように報道している。しかし、何かヘン。もちろん道義的には許されることではないが、大々的に報道することか。大衆のリンチ衝動におもねった報道としか思えない。結果的に「事故の真因が何か」という本質論から目をそらす役割を担うことになる。「企業体質」は追及されてしかるべきだが、逆に、JR西日本の営利至上主義、民営化の歪みという本質論を隠してしまう。もしかしたらそれが新聞各紙の狙いなのかもしれないが。

 PM4.15、上野・○処でマッサージ。従業員の離反が激しく、新人が少人数で対応。ここも経営の営利至上主義が中堅の大量退職を呼び込み、逆に客離れを加速させている。

PM6.30帰宅。
5月8日(日)晴れ

 7.00起床。躰道稽古に行こうと寝ぼけ眼で顔を洗い身支度を整えるが、「10時にリフォームしてくれたHさんが来るから」とのことで、稽古休み。

 お昼、ビールでHさんと付き合い、PM1まで。

 母の日というので、子どもたちはプレゼントを用意して準備万端。下の子が「本当はこれがほしいんだって」と、印をつけたカタログをそっと持ってくる。コーヒーメーカー。結婚記念日も今年はトラブったから、これくらいはいいかと、コジマ電気へ子どもと一緒にひとっ走り。

 夕食はKっぱ寿司。さすがにこの不景気の時代に安い回転寿司は繁盛する。しかも「母の日」。外まで家族連れがあふれ、待ち時間30分以上。
 帰宅後、子どもたちと、母の日サプライズイベント。小6、高3、それぞれがお金を出し合って買ったプレゼントを母に。……心やすまる一日。

 就寝前にバロン吉元の「復讐師」を本棚から取り出して読む。約30年ぶりか。 バロンの黄金期の傑作。いまどきのマンガにはない完成度の高さ。同時代で「柔侠伝シリーズ」を読むことができたのは人生の幸福。今、バロン氏は……。
5月7日(土)雨のち晴れ

 昨日からの雨が降り続き、冬に逆戻りしたような寒さ。昨日の轍を踏まないように一度しまいこんだ冬物のハイネックを取り出し着込む。これで防寒は万全。

 ところが、寒かったのは早朝だけ。お昼頃には気温が上昇、社内も暖房が入っているため暑いこと。「これだから出勤が早いとイヤですよね」と厚着をしてきた若手のボヤキ。


 猛速攻で仕事を片付け、PM2、池袋へ。東京芸術劇場小ホール2でシアター・バロック「踊る極道シリーズ 命ある限り極道として」(作=武田直樹、演出=飛野悟志)。2カ月に1本のハイペースで上演してきた極道シリーズの第10回公演にして最終回。

 大和組と袴田組の確執を利用し、双方の組員たちを次々に襲う謎のチーマー集団の暗躍を中心に、服役中の神明連合元総長・石塚の脱走やマル暴刑事の追及を描いた、歌・ダンス入りの「仁義なき戦い」。そのスジの人間と見まごう役者たち。チーマー集団もまるでホンモノの迫力。リアリズムを緩和するのが、女子プロレスの風間ルミ(意外にうまい)や「ノンタン」の声の齋藤彩夏、チャンバラJrの 駿河幸太郎、仲村浩ら芸人組。
 麻田真夕はチーマーを影で操る、元袴田組若頭の情婦役。

 ダンスありお笑いありで2時間15分をノンストップで驀進。全員一丸となって真剣に取り組んでいるのでダレ場なし。

 今日は途中で特別ゲストが乱入。宮川大助&花子の花子と家田荘子。おばちゃん姿の花子と豹柄・ミニスカート、銀髪の家田。ムチを片手のSM荘子、舞台に出るのは児童劇団以来とか。花子に「サル」と言われていたが、確かに見た目はまさにモンチッチ。家田荘子いつのまにこんなキャラになったのか。しかし、客席は思いもよらぬゲストトークにどよめき。
 花子はさすがに大阪の芸人。一瞬にして客をつかみ、ワンマンショー。

 カーテンコールでは2カ月に1本という無謀なロードレースの終了に感無量な面持ちの飛野。挨拶途中で絶句。
 ようやく認知されてきたシリーズなのに惜しい。

 終演後、ロビーは役者の面会で芋の子を洗うような状態。「大和組Tシャツ」に着替えて出てきた麻田真夕に声をかけると、「あー、○○さん!」といつもの笑顔全開。しばし立話。「共演」から10年。同じ舞台を共有した仲間は「戦友」のような特別の関係。今は舞台の傍ら、ピンク映画の主演女優として活躍している。

「ピンク映画の年間女優賞で3位だったの。来年は絶対1位になりたい」
 目を輝かせる真夕。10年たっても容姿がほとんど変わっていないのはさすが女優。

「○○さん、目がやさしくなったみたい。前はもっと”攻め”の顔してたもの」
 10年たてば、顔も変わる……か。当時は何かにつけ、もう少し緊張感があったということだろう。
 ”戦友”の目は厳しい?

 楽屋に行って海津氏に挨拶。海パン刑事以来、舞台でのハジケっぷりが目を引く海津氏。今回も怪しげなパフォーマンスを披露していたが、本人は胸中複雑? 次の舞台は34丁目の奇跡の再演とか。

 5.00、さらに気温は上昇し、じっとしていても汗ばむほど。新宿で下車し、ISEYAでTシャツを買おうと思ったら、なんとビルが改装中。新しいテナントが入るようだ。30数年通った店が消滅か。一抹のさびしさ。仕方なしに、隣のtakaQでTシャツ1枚。駅のトイレで着替えて渋谷へ。

5.35。渋東シネタワー地下2階の店で飲み会。R、O、F、Y、M、MCさんの6人。このメンバーは久しぶり。10.30まで5時間飲み通し。渋谷から栗橋行き最終10.58に乗車し、帰宅は0.00。
5月6日(金)雨

 連休明け。もっとも、世間的にはまだ連休の谷間か。

 昼休みに郵便局に行こうと思ったら、あまりの寒さに途中から引き返す。冬に逆戻りしたような寒さ。Tシャツ一枚ではガタガタ震えるほど。ヘンな気候。

 PM5.30。新宿。タワーレコードでカルカヤマコトの新譜「MONEY VOICE」を購入。

 6.30、スペースゼロで文学座「風をつむぐ少年」(原作=ポール・フライシュマン、訳・脚色=坂口玲子、演出=鵜山仁)。

  文学座恒例のファミリーシアター。

 シカゴに引っ越してきた高校生のブレント。しかし、級友に溶け込めず、友人宅でのパーティで恥をかかされすっかり自信を失くしてしまう。やけになって自動車を運転、自殺を試みるが失敗。後続車の18歳の少女リーを死なせてしまう。しかし、リーの母は少年を責めず、その代わりに「風見の人形」に少女の名前を書き、アメリカ大陸の四隅に立ててくれと頼む。アメリカ児童文学をもとに、少年のたどる癒やしの旅を描いた物語。

 少年の行く先々で出会う人々のエピソードを単につなげるのではなく、少年と人々の心の交流を重層的に表現。山本道子、倉野章子ら大ベテラン女優が高校生に扮してみたり、自由闊達な文学座らしく、若手とベテランが対等に芝居に取り組む「遊び心」が楽しい。脚本と演出がいい。ただ、子どもにはちょっととっつきにくいかも。

PM8.45終演。埼京線経由で帰宅。9.45。
5月5日(木)晴れ

 連休最終日。部屋の片付けとビデオのDVD化など雑用で一日が過ぎ去り、アッという間の就寝時間。
5月4日(水)晴れ

 小6生は母親と上野の博物館へ。近所の数家族が一緒。残った高3生と2人で留守番。一緒に昼食を食べに外出したり、ショッピングしたり。娘の同級生など、父親に向かって”そばに近寄らないで”と言うのだとか。この年頃は難しいというが、なぜか娘とは人もうらやむ仲のよさ。

 寺山修司の命日。早いものだ。22年前、当時住んでいた阿佐ヶ谷のアパートの近くが寺山さんの入院した河北病院。4階の窓を見上げながら、奇跡が起こるのを祈っていたが……。

「高尾(のお墓)に行かないんですか」
「行くわけないでしょう。だって、寺山さんは無神論者ですよ。お墓に行って手を合わせてどうするんですか」

「三沢の記念館? 行きませんよ。あそこは寺山さんの墓場です。哀しくなります」

 この時期、問うと決まって返ってくるTさんの言葉。

「私の墓は、わたしのことばがあれば十分」と言った寺山さん。寺山修司の詩と思想に殉じるならば確かに墓参りは寺山さんの意に反しているわけで……。

「でも、”それじゃ、あまりにも……”とみんなに言われるのは知ってます」とTさん。
 そのために誤解されている面があるが、Tさんが誰よりも寺山さんを慕い、尊敬し続けているのは自分が一番よく知っている。
 S山某のおためごかしの著作で寺山さんと母はつさんが辱められたときも、S山氏を真っ向から批判し、寺山さんをかばったのがTさん。

「S山氏に”お前は寺山の忠犬ハチ公か”と言われたよ」とT氏。
「死んだらダメだね。何を書かれるか……」

 高尾に行かなくても、T氏の寺山さんへの敬愛の念は変わらない。

 PM9、母子帰宅。

5月3日(火)快晴

 6時起床。連休は朝寝坊ができるのが楽しみの一つだが、今日は可燃物ゴミの日。眠い目をこすりながら、せっせとゴミ出し。その後、たまっていた4月の日記をまとめ書きしてアップ。

 午後は古本屋に行きたいという豚児と二人で自転車を駆って二つ先の駅へ。「ブックオフ」はさすがに安い。その前に入った古書店の半額。
 3軒目の古書店の帰り、コジマ電気に寄って、氷の作り方を店員に聞く。買ったばかりの冷蔵庫のマニュアルが紛失したため。どうも、引っ越しは紛失物が多い。

 58回目の憲法記念日。護憲市民団体が全国紙三紙に意見広告掲載。
「9条を変えるのではなく9条の実現を」
 かつてないほどの危機感に満ちた憲法記念日。

 自民・安倍と民主・枝野の二人に毎日新聞がインタビュー。「大幅譲歩しても改憲を」(安倍)、「自公民で3年後にも」(枝野)。同じ穴のムジナ同士、段取りはできている。その前に国民投票法を成立させてマスコミの手足を縛り、国民に目隠しし、改憲をやりやすくするつもりだろう。暗黒時代前夜。人権条項などを付け加えてごまかしても9条改正が真の狙い。「つくる会」の教科書が賛美する戦前の国家主義に逆戻り。それほど自由のない全体主義国家がいいのか……。

「憲法とは国家を縛り付ける鎖である」とは法学の基本理念。強大な国家権力はともすれば簡単に暴走する。それを食い止めるのが憲法という鎖。憲法を改正して愛国心やら国家への忠誠を明文化するなんて、法の理念がわかっていない連中のやること。憲法を「国民を縛り付ける鎖」に変えようとしているのだから。

 自公民の憲法改正策動は国民に国家への従属を強いるもの。憲法という鎖が解き放たれたとき、国家権力は牙をむき出しにする。「まさか、こんなはずじゃなかった」と言っても後の祭り。
 3年後といえば、憲法61歳。おそらく国民の耳目をひくように、「憲法も60歳という還暦を越えた。この際、新しく一から出直そう」なんていうキャッチコピーが喧伝されるかも。ゴロツキのやることは知れている。
5月2日(月)快晴

 今年のGWは10連休という人もいるようだが、当方はカレンダー通り。水曜定休なので、タン・タ・タ・タン・タ・タのカスタネット休暇。休みと仕事が交互に繰り返されては逆に気の休まる暇がない。

 AM6。連休の谷間とあって朝の電車はさぞやガラ空きと思いきや、密度は平日と変わらない。油断していたので危うく立ちっぱなしになるところ。

 会社はさすがに連休モードに突入の部署が多く、出勤組は弛緩気味。

 夕方まで平常通りの仕事。予定も入れていないのでなんとはなしに帰りそびれているところへ、T取さんから電話。「京橋にいます」ということで、5分後に到着。

4.00。KPホテルのラウンジでお茶。新人の女の子と一緒。タレントかと思ったが、新しく入った研究生とか。芯の強そうなコ。このタイプは伸びそう。
 チラシ入れがあるというので、彼女は中野へ。

 5.30までT取さんとあれやこれやの四方山話。10数年前、オタクという言葉が出始めた頃、「オタクなんてすぐに死語になりますよ」と下北沢の居酒屋「古里庵」でT取さんに言ったら、すかさず「いやいや、これから日本はオタクの国になりますよ。オタクを制するものが勝ち組になります」と言ったのがT取さん。その通り、いまやオタクが文化、経済を支えるようになってしまったわけで、その慧眼はさすが。ま、オタクの元祖がT取さんといえなくもない。演劇界に初めてセーラー服美少女軍団を登場させたサブカル教祖。アキバ系コスプレの元祖はT取さんといえる。

 昨日の天皇賞を枠で全点流し買いしたとか。「当たるのがうれしいんですね。負けたくないんだね、きっと」。荒れるJRAを見越しての全点買い? ウーム……。

 会社に戻り、帰り仕度をして駅に向かうと地下鉄の入口でまたT取さんとバッタリ。PANTAと電話中。「骨法やってる人知らない? Yさんは躰道だし……」と言われたとか。PANTAに電話すると「最近、日記が滞ってるんじゃない?」と言われたので事情説明。
 スカパーで右翼との対談企画があるとのこと。

 最近は「右」の方々が元気で、「レフトアローン」(未見)でもT取さんによれば、西部邁圧勝とか。70年代、重戦車のように完膚なきまでに相手を粉砕した鈴木武樹、古武士のごときアジテーター羽仁五郎のような左翼知識人が一人もいないのが今の若者の「左」離れの不幸か。

 劇場で映画を見ようと思ったが、GWでファミリー向けしか上演していない。観たい映画はアクセスが悪い。仕方なしに家路に。7.00帰宅。
5月1日(日)晴れ後小雨

5時30分起床。いつも寝坊な豚児が5時には目が覚めたとかで、父親を起こしに来る。以前から「イルカの間をくぐり抜ける水族館に行きたい」と言っていたが、よほど今日の遠出が楽しみらしい。珍しく、昨夜はいち早く就寝。自分はといえば、なかなか寝つかれず、午前1時就寝。寝不足気味だが、豚児の熱意にほだされ、急いで起床。身支度を整え、7.00出発。

 GWとはいえ、早朝の電車はまだ座る余地あり。南浦和、横浜、金沢文庫、金沢八景と乗り継いで9.30、八景島到着。久しぶりの海の風。さっそく、目当ての水族館へ。次いで、イルカショー。別棟ではアクリル板一枚でさえぎられたイルカの空中庭園。白イルカの水中ショーが大人気。

 昼食の後はお決まりの急流下りやジェットコースター、ティーカップ、お化け屋敷と1回300〜800円のアトラクション。どこの遊園地もそうだが、この乗り物アトラクションの入場料の高いこと。どこも30分以上の順番待ち。数十メートルの高さから降下するフリーフォール、巨大ブランコ、バイキング、そしてジェットコースター。歓声をあげる家族連れ。スリルと興奮……しかし、ついこの前の電車の惨事を思い出してしまい、素直に楽しめない。

 気がつくとすでに暮色の中。「帰り道は遠かった」byチコとビーグルス。疲労困憊の家路。帰宅は8時。
 まあ、これで今年のGWの責任第一弾は果たせたわけで……。
 まだ雑然とした部屋の中で、パソコンに向かい、久しぶりのdiary。 

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