| 6月30日(金)晴れ 3.20、下北沢。ヴィレッジヴァンガード散策。広島在住のジャズトリオ「achordion(アコーディオン)」。森本美由紀のジャケットイラストが目をひく。次回聴いて印象が変わっていなかったら買おう。このところ、CD買いに慎重。 PM4.00、駅前劇場で東京タンバリン「雨のにおい」。 東京近郊の沿線終点駅。その遺失物センターに勤める人たち。一方、設計会社で建築士を目指す男たちーーその過去と現在を交錯させながら、人間関係の機微を描いていく。微妙な感情の行き違いやズレが微苦笑を誘う。瓜生和成が個性的で芝居も達者。1時間40分。5.40終演。これなら7時からの公演もダブルヘッダーで見られた……。 劇場を出て、再度ヴィレッジヴァンガードを散策。早めに家に帰れると思ったが、そんなこんなで生活パターンはいつもと同じ。 9.00帰宅。 6月29日(木)晴れ 4.20、御茶ノ水。K記念病院で鍼。毎回4000円の治療費はバカにならない。効果があるのかどうかも実はよくわからない。もう2年以上も通っているわけだから、このままずっと通い続けることに意味があるのか。ウーム……。 6.00帰宅。 6月29日(水)快晴 休暇。 10.30、工務店が来て、引っ越し時に外したクーラーの取り付け見積もり。洗浄込みで約4万円。 午後、買い物。 PM2、A山電器が新しいクーラーの取り付け見積もり。窓用のクーラーは今は大手メーカーは作っていないとか。需要がないのだろう。「ノーブランドでよければ」と電器店主。 きょうは午後1時から早稲田で「血風ロック」の上映と流山児祥、高取英、天野天街の鼎談予定。残念ながら行く事ができない。押入れのダンボールから血風ロックのビデオを探し出す。偶然、その中に、探していたラジオドラマのカセットテープがあったので、整理する。 6月28日(火)晴れ PM7、池袋・サンシャイン劇場でTSミュージカル・ファンデーション「風を結んで」。 幕末から明治にかけての激動の時代を生きた若者たちの青春群像を描いたもの。 廃刀令により、武士の魂である刀を取り上げられ、通っていた道場も閉鎖。信じるものにことごとく裏切られる片山平吾(坂元健児)、田島郡兵衛(畠中洋)、加納弥助(川本昭彦)。竹馬の友の三人は、道場時代のライバルである橘右近(今拓哉)の妹・静江(風花舞)が身売りされるところを救うことになる。その借金を立て替えたのが捨吉なるナゾの町人(鈴木綜馬)。彼は、洋行帰りの主人である轟由紀子(絵麻緒ゆう)が夢に描く、サムライ・パフォーマンスの一座に彼らを誘い、新時代に生きる術を見出そうとする。しかし、没落した不平士族の反乱が相次ぎ、ついには西郷隆盛の西南戦争が起こり……。 新しい時代を目指す、若者たちの夢と友情、そしてひたむきな愛。一方で、義と意地に殉じようとする滅び行く武士たちがいる。その両者の心情に迫りながらも、ベタついた感傷に流されることなく、きっちりとした「批判」を交えて描く脚本の透徹したまなざし。 明治維新を189万2000人の武士・家族が大量リストラされた時代と見て、たまたま、そんな時代に当たってしまった人たちの目から明治維新を見たらどうなるか……というのが脚本・大谷美智浩と演出・謝珠栄の発想だったとか。 物語に登場する若者たちは、どれもが歴史に埋もれていった、ごく普通の人々。維新の陰にひっそりと息づいた「日の当たらない人生」を送った人々。 それは、背後に会津・白虎隊の最期が見え隠れする捨吉の存在とて同じ。大きな歴史の流れの埒外にある無名の人々の生と死。 役者はみな実力のある俳優ばかり。中でも、今拓哉は上背もあり、いかにも無骨な剣の達人。二枚目の畠中洋が、いつになく三枚目役を嬉々として演じている。俳優としての新境地か。 坂元健児のハイトーンボイスの素晴らしさ。「好きな声」からいえばダントツ。彼と風花舞のデュエットがいい。風花の声もまた60年代カレッジ・フォーク風で耳に心地よい。 善・悪、新・旧という単純な二項対立に収束することなく、人間の生きる喜びと哀しみを謳いあげたヒューマン・ミュージカル。音楽は甲斐正人。メインテーマをはじめ、心に残る曲ばかり。 9.45終演。あたたかいカーテンコールの拍手。このカーテンコールなら納得。 6月27日(月)快晴 PM6帰宅。夕食・団欒。 何かの拍子に、娘が小学校5年の時の「事件」の話題が出て、みんなで大笑い。 その日の午後、担任教師から「お母さん、すぐに学校に来てもらえませんか」と電話があり、何事かと妻が駆けつけると、先生が困った顔で「○○ちゃんが保健室にこもったきり、出てこないんです」 保健室の先生が問いかけても、泣きそうな顔で首を振るばかり。何があったのかわからない。母親が説得しても無言の行。まだ独身の担任の男性教師は、年頃の女の子だから、特有の体調のことかと気を回して母親を呼んだのだが、どうもそれとも違うようだ。 家に戻り、娘が泣きながら話した真相は……。 好きな男の子の名前と相合傘を書いた消しゴムを入れた布袋を学校で落とした。それが拾われれば、「落し物」として全校の教室を回覧されてしまう。そうなったらみんなにその消しゴムを見られてしまう。片思いの男の子にも。そう考えたら恥ずかしさでパニックになってしまい、なくした消しゴムをあちこち探し回ったのだそうな。その様子を先生に見つかり、どうしていいかわからなくなって保健室に逃げ込んだのだとか。 消しゴムに書いた相合傘……。 話を聞いた母親が学校に電話すると、まだ居残っていたH先生は、一言「わかりました。探してみます」。 さすが体育会系の熱血教師。それから先生は学校中を隅々まで探し回り、ほかの学年の教室からその消しゴムを発見。夜、11時頃、「ありました。○○ちゃん、もう心配しなくていいからね」と電話してきた。 消しゴム一個の大騒動。子供の純情と不安をなおざりにしないで、一生懸命探してくれた担任教師。その先生も今は結婚して一児の父。転任先の学校でも人気者で、今でも年賀状が送られてくる。あの時、「消しゴム一個のことで……」と放って置かれたら、娘はどうなっていたか。真剣に子供と向き合ってくれたH先生のような教師がもっといれば……。 6月26日(日)快晴 明け方、夢を見ていた。田舎の家が出てくる。近所のY君の家の前を通りかかると、玄関がブランコになっていて、可愛い女の子がブランコで揺れている。台所には若いお母さん。「そうか、この家に人が住むようになったんだ」 心の中でそう思っている。 Yは中学の同級生。数年前に父親が亡くなり、母親は病気のために関東近県で療養生活。早いうちに上京したY。住む人のいない家は、空き家となってそのまま放置されている。帰省するたびに、その家の前を通りかかるので、気になっていた。Yの家もこの先、どうなるのだろう……。 6.00起床。練馬区総合体育館で城北地区躰道優勝大会。子供が初出場するので、付き添い兼応援。 9.25から予選スタート。10時過ぎに少年少女の法形試合。シードで2回戦から。が、相手が上手。デキは悪くなかったのだが、対戦相手が悪かった。一回で敗退。 後は、応援に回り、午後の優勝大会、閉会式まで。PM4.00終了。広い競技場はクーラーがあるわけでもなく、蒸し暑さでバテバテ。時折り、ロビーに出て涼む。 ここ数日、平均睡眠時間5時間以下とあって、疲労と寝不足で心臓のあたりがチクチク痛む。 PM6、帰宅し、外食のため再び外へ。パソコンに向かう時間も気力もない。酸欠の鯉のように、ひたすら睡眠時間を欲する自分。 朝刊に奥崎謙三の訃報。16日、神戸市内の病院で亡くなっていたことが25日、わかったという。死因は多臓器不全。 75年に、十条銀座の古本屋で「ヤマザキ、天皇を撃て!」を買ったが、最後まで読むことができなかった。 宮中参賀の人波にまぎれ、昭和天皇に向かってパチンコ玉を撃った男。 その後、奥崎の姿を追ったドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」(87年、原一男監督)でその強烈な個性と、エキセントリックな行動が広く知られることになるのだが。少なくとも、昭和天皇の戦争責任を直接行動で追及したのは彼一人といっても過言ではない。 死ぬ直前まで病院内で「バカ野郎」と叫んでいたという。奥崎にとって戦後の日本そのものが「バカ野郎」なのだ。 彼のニューギニア戦線はまだ終わっていなかった。 27日、天皇がサイパンに向けて慰霊の旅に出発する。この偶然の符合。 6月25日(土)快晴 PM2。ル テアトル銀座で第22回創作舞踊劇場公演「陰陽師 鉄輪恋鬼孔雀舞」。夢枕獏が自身の原作「陰陽師」をもとに書き下ろした作品。嫉妬のあまり、鬼と化した女から呪われる男を陰陽師・安倍晴明が護るという謡曲「鉄輪(かなわ)」に想を得たもの。貴船神社の丑の刻参りのシーン、晴明と道満の争闘、晴明の出生の秘密など、謡曲と舞踊のみの極彩色絵巻が展開。衣裳、美術の絢爛さに目を見張らされる。 休憩20分を挟み約2時間。PM4終演。会社に戻り、後片付け。疲労と睡眠不足で、早めに家に帰ろうと思ったが、スパーク1に電話すると、「今日の出演劇団は演劇祭参加です」というので、三軒茶屋へ。「はとぽっぽ」でサンマ定食。 PM7、スパーク1で劇団だだっこマニア「囲われ女と獣たち」(作・演出=磯部麟太郎)。畳屋をしていた父親の葬儀で、久しぶりに顔を合わせた三人兄弟。お決まりの遺産相続の話になるが、父はいつの間にか若い女と結婚しており……。コメディーのつもりだろうけど、間が悪いし、ベタベタな展開。まったく笑えず。役者はそれぞれ達者なのでもったいない。 8.45終演。8.57の直通電車に滑り込み。 電車の中で武居俊樹著「赤塚不二夫のことを書いたのだ!!」(文藝春秋)一気読み。「おそ松くん」「天才バカボン」「もーれつア太郎」「レッツラゴン」−−赤塚不二夫の人気作4本をすべて担当した編集者である著者が書いた赤塚へのオマージュ本。2年前、倒れて以来、今も昏々と眠り続ける赤塚不二夫。少年サンデー・マガジンの創刊をリアルタイムで知っている世代としては、初期の少女マンガやナマちゃんが赤塚不二夫の原初の記憶。バカボンもア太郎ももちろん読んではいるが、おそ松くんが一番心に残る作品。 少年マガジンで連載が始まった「天才バカボン」が、その後「少年サンデー」に引き抜かれ、また「マガジン」に戻ったいきさつも初めて知った。マンガ作品の移籍では手塚治虫の「W3」が有名だが、「バカボン」の移籍のことはすっぽり記憶から抜け落ちていた。 赤塚党である著者が赤塚不二夫に肩入れするあまり、「手塚治虫のアシスタントで大成したマンガ家はほとんどいないけど、赤塚は成功した弟子をいっぱい送り出した」というのはいかがなものか。赤塚にとっては手塚は神様。武居はその手塚に好印象を持っていなかったようで、手塚に言及する部分はかなり厳しい。いわく「人格的には……」 アシスタントは大成しなかったかもしれないが、手塚のまいた種は職業・世代を問わず、全世界に広がったのだ。赤塚不二夫もその一人なのだ。手塚治虫は偉大なのだ。ニャロメ。 よくも悪くも、昔かたぎのマンガ編集者の実態がよくわかる本。端々に見え隠れする「自慢話」がイヤミではあるが。ま、正直な人なのだろう。 10.15帰宅。 6月24日(金)晴れ いつもバッグに入れて持ち歩いている林美雄さんの葬儀で配られたミニCDが突然真っ二つに割れてしまう。困った。バックアップも取っていないし。以前のパソコンのCDトレイには載らないタイプのディスクなので、まだ全部見ていないのだった。そのうち林さんのコンテンツも作ろうと思っていたのでショック。 思いあぐねてPANTA氏にメール。葬儀の時にPANTAさんもディスクを手渡されているはず。 ほどなく返信。よかった……。 PM6.30。青山円形劇場でダンダンブエノ「礎」。前回公演「バナナがすきな人」はこんなに笑ったのは初めてといっていいほど、コメディー作品として高水準の舞台だった。04年度バッカーズ演劇奨励賞を受賞したというのも、むべなるかな。 で、今回の倉持裕作品。この前のオムニバス「仮装敵国」の一編「肉人形編」も、まったく興味がもてなかったので、一抹の不安があったのだが、その危惧ははからずも的中。 登場人物は大学の講師、タレントでもある妻、そのマネジャー、裕福な友人……の4人。かつての教え子を妻にしているため、互いの手の内が見えて、ギクシャクした関係の講師と妻。その4人が、道端に落ちていた大金の入ったバッグをめぐって不可解な腹のさぐりあい。ニュー・不条理劇とでもいうのだろうか、頭の中で組み立てたような作品。他人の見た夢の話を聞いているようなもので、感興そそられず。松嶋尚美(オセロ)、酒井敏也、山西惇、近藤芳正(演出も)と、皆好きな俳優なのに。 さらに不快なことに、円形の舞台を挟んだ対面の席から明りがチラチラ。照明が落ちるとイヤでも目に入る。短髪、Tシャツの男がペンライトを点けて台本をチェックしているように見える。場内係員も注意しないのだから、関係者なのだろう。こんな非常識は初めて。その明りが気になって舞台への集中も途切れがち。まぁ、それがなくても、その時点で見るべき舞台ではなくなっているのだが。 ウーン、どこがウケているのか、全然わからん。 PM8.20終演。時間の早いのだけがうれしい。 飛ぶように家路に。 6月23日(木)晴れ PM4.30、丸の内ピカデリーで映画「フォーガットン」。「シック・センス以来、最も衝撃的な作品」の惹句に引かれて、映画館の暗闇に身を沈めたのだが……。 14カ月前に起きた飛行機事故による息子の死から立ち直ることができず、遺品の部屋を作り、毎日息子の写真やビデオを見ては涙ぐむ妻(ジュリアン・ムーア)。しかし、ある日、家中の家族の写真から息子の姿だけが消えてしまう。ビデオもノイズだけに。夫は「息子はいなかった」と精神科医とともに、妻の妄想と決めつける。だが、息子と同乗していた友人の父親を尋ねると、そこには思いがけない事実が……。 格調高い心理ミステリーと思いきや、。どんどん話が「そっち方面」に向かうので、「まさかジュリアン・ムーアが出ていて、そんな映画では……」と思いつつ不安がつのる。が、しかし、やはり物語は「アウター・リミッツ」になり、最後は「嗚呼……」な結末。 35年前に読んだ眉村卓のジュブナイル小説の方がまだ独創的。どこが衝撃の映画なのか。こんな映画を堂々とロードショーする映画界の方がよほど笑劇的。 PM7、世田谷パブリックシアターで演劇企画集団THE・ガジラ「死の棘」(原作=島尾敏雄)。 夫の不倫をきっかけに、妻の精神の均衡が崩れ、いつ果てるともしれない、妻の夫への暴力と奇行が始まる……という私小説の極致。なんとはなしに気が重く、原作はおろか、小栗康平の映画も見ていないが、高橋惠子の好演で、妻ミホの心の軌跡と夫への複雑な愛憎がくっきりと浮かび上がる。夫役の松本きょうじも、いつになくシリアスな役作りで好演。海軍時代の敏雄・高田恵篤、子供時代の敏雄・石橋祐、そして小嶋尚樹ーー3人の敏雄を同時に舞台に登場させ、過去と現在、虚と実が交差する幽玄的な構成。木製の円形舞台の周囲は奄美の海を象徴する水。時にその水に飛び込み、全身ずぶ濡れになる高橋惠子の体当たり演技。円形舞台の周囲は列車の線路。HOゲージ(?)の上をミニチュアの汽車が灯りをつけて走る。島次郎の美術の素晴らしさ。 まさに間然するところのない舞台。 先日のドイツ演劇など、この舞台から見れば、単なる写実演劇。日本の「小劇場演劇」は世界演劇の最先端レベルだということがよくわかる。 6月22日(水)曇り時々雨 珍しく朝まで一度も目が覚めず、熟睡。実に爽快。明け方、劇作家のN井愛さんの夢をみていいた。なんとはなしに甘美な夢。 PM3、加藤健一事務所のN島さん来社。近くの喫茶店でお茶。今度の公演「ヒーロー」の舞台セットはプール付きの豪邸。野外と違って劇場での本水使用は色々大変な問題があるようだ。美術は初参加の加藤ちか。今や超売れっ子。いったい年間何十本創っているのか。 PM5。Sシネマサンシャインで「ミリオンダラー・ベイビー」。アカデミー賞4部門受賞はダテじゃない。女性ボクサーのヒラリー・スワンク、”スクラップ”じいさんのモーガン・フリーマン、そしてその顔に刻まれたシワの一本一本が人生の哀しみを象徴するイーストウッドの静かな演技。 「ロッキー」な米流スポコン映画ではなく、登場人物の一人ひとりの人生の陰影がスクリーンからにじんでくる。 父親と愛犬のエピソード、返送されても送り続ける娘への手紙、スクラップじいさんの109回目の試合……物語の伏線もイヤ味なく絶妙に張られ、ラストに近づくにつれ、自然と涙が頬をつたってくる。 「ローハイド」から40数年、イーストウッドのように、いい年の取り方をしたいもの。 PM7.30帰宅。 6月21日(火)快晴 同僚が休みを代わって欲しいというので、今日は休暇。 朝7時、家人に起こされ、寝不足の目をこすりながらゴミ出し。休日でも容赦ない。世の亭主族が、時にノラのように家出したくなる気もわからないではない。 午後は娘の進学のための三者面談で高校へ。夕方帰宅してからは、夕食もそこそこに、夜の小学校グラウンドに行って豚児とバスケットの練習。疲労でクタクタ。 結局、休日は映画一本見る時間もない。もっとも、そのうち子供たちが成長し、家族のために費やす時間がなくなってしまうのもさびしいものだろうけど。 9.00、残ったわずかな時間で芝居のチラシの整理。10.20就寝。 韓国に行ってケンカを売ってきたコイズミ。この男につけるクスリはない。古来からあった道々の神社と違って、明治国家が創作した国家護持神社・靖国。次の戦争のための精神的支柱にしたい勢力の代弁をしているだけ。でも、まだ41%の支持があるんだよなぁ。この軽薄短小を絵に描いたような男に。それが不思議。国会会期延長で2億円近い税金がムダに使われることに怒りをおぼえないのだろうか。国民の皆さんは。議員を乗せると「精神的負担が大きい」ということで、会期中のハイヤー運転手の手当てがアップするなんて、どう考えても理不尽。まして、議長職などに一日6000円の手当てがつくのは、泥棒に追い銭だ。 6月20日(月)晴れ 土曜のうちに目鼻をつけたので、仕事は順調。 PM7、世田谷パブリックシアターで「ノラ」。ベルリン市を代表する名門シャウビューネ劇場の芸術監督トーマス・オスターマイアーの演出によるもので、「人形の家」を現代に置き換え、新たな解釈を加えたもの。 舞台上に、バービー人形の家のような豪華なリビング。立体的な舞台装置。中央の通路、上手の巨大な水槽が目をひく。中で色とりどりの鯉が泳いでいる。 現代の「ノラ」は裕福な次期銀行頭取の妻。しかし、かつて夫の部下から借金をし、その際、死んだ父親のサインを偽造したことで、その部下から脅迫を受けている。銀行をクビにされた部下は、ノラを通して夫に懇願。銀行に復職しようとするのだが拒否され、告発の手紙をポストに投げ込む。その手紙を夫が読めばノラは破滅する。 ノラと夫、脅迫男、死の病に冒された友人らの会話劇がスピーディーに展開していく。互いの体をまさぐりあうノラと夫……日本の舞台ではついぞ見たことのないエロティックなシーン。大音量のロックにのってセクシーダンス。スカートのまま水槽に飛び込み、狂ったように動き回るノラ。額からの流血は演出とは思えない生々しさ。 こんなに大胆奔放、セクシャルでパンクなノラは見たことがない。 最後は原作通り、「夫のうさぎチャン」であることから自分を解放し、家を出て行くノラ……で終わるのではなく、驚愕の結末を迎えるのだが……。 しかし、夫もかわいい子供も、お手伝いさんまでいて、何不自由ない、豪奢な暮らしをしている現代のノラの不満が最後に夫に向けられるのはどうにも納得がいかない。「家」という旧制度に縛り付けられているわけでもないのに。つい、夫が不憫に見えてくるのだけど……。 PM9.20終演。 開演前に隣の席の笹目氏とおしゃべり。寺山ラジオドラマCDのリリース、いよいよ最終コーナーとのこと。 会社に戻り11.00まで仕事。0.00帰宅。 6月19日(日)快晴 PM5.30起床。8.30、I間市武道館で埼玉躰道優勝大会。片道1時間半。同じ埼玉といっても、端から端。遠い。駅でT橋先生と会ったので、武道館まで徒歩。約30分。毎日ウォーキングをしているというT橋先生、歩くのが早い。きびきびとした動き。とっくに還暦を過ぎているというのに、さすが武道家は違う。 9.30試合開始。一回戦でN先生に敗退。格もキャリアも段違いだから当然。その後、優勝候補だったH崎先生がN氏に敗退するというハプニング。三位決定戦では本来の動きを取り戻していたが、試合は難しいものだ。 古武士のようなN先生、泰然自若の最長老・T橋先生、全身がバネのようなスピーディーなH崎先生、S木市の壮年メンバーは傑物揃い。 今年から35歳以上の壮年実戦競技が取り入れられ、数組の試合があったが、S木市のK林先生が準優勝。若い世代のスピード感あふれる試合とはまた一味違う、重量感ある試合ぶりは見ごたえがある。 男子実戦ではS木市のI黒先生が優勝。目を見張るような抜群の反射神経で地を叩き、宙を飛ぶ。優勝決定戦では、空中で相手の体を鋏みこむという大技で一本。何という技なのかわからないが、本人も「実戦で他の人がやったのを見たことがない」という大技。決まった瞬間、場内が大きくどよめく。 全試合が終わったのが5時。自分の出番はないので、各コートを行きつ戻りつし、写真撮影。新入部員のAさんはM山さんの従妹。日芸の1年で、映像を目指しているという。「月曜は日舞、洋舞の実技があるんです」。女優になるにしても、躰道の稽古は役立つはず。 PM5.30、H崎先生のクルマに便乗して駅まで。 7.30帰宅。家族それぞれから「父の日」プレゼント。下の子は肩たたき券とコーヒー無料券。添えられたメッセージがうれしい。 PM10就寝。疲れていたのか夜中の地震に気付かず。 6月18日(土)晴れ PM2。ル テアトル銀座で「小さな歳月」。岩崎加根子、長山藍子、藤谷美紀、新橋耐子、中野誠也、松田洋治という豪華な顔ぶれ。ピアノ作曲・生演奏は稲本響。舞台中央にピアノ、チェロ、パーカッションが配置され、俳優の空間はその周辺。音楽と芝居のコラボレーション。贅沢な2時間。意外に客席が埋まっているのは稲本の人気? 4.00、終演後、会社に戻り7.00まで仕事。8.00帰宅。 6月17日(金)晴れのち雨 お昼、久しぶりに向かいの公園に行ってみる。 ベンチに座り、周りの木々の緑で目を潤し、空を吹き渡る風のささやきに耳を澄ませる。足元に近寄ってくる鳩のクークーという鳴き声。青々とした雑草の葉っぱにしがみつく小さな虫たち……。毎日、コンクリート・ジャングルを綱渡りし、仮想現実と向かい合っていると、こんなささやかな自然の息づきさえ愛しくなる。 子供の頃、野原に寝転がって、飽きずに雲を眺めていた。そのうち、空全体が巨大な惑星に見えてきて、その中に吸い込まれそうな錯覚に陥ったものだ。 中学のときに飼っていたつがいの鳩。ある夜、トラップから忍び込んだ猫に噛まれて二匹とも死んでしまった。いまどきの猫はネズミさえ殺せないというから、まして鳩などを襲う猫はいるのか……。 あの鳩小屋は私が作るのに難儀しているのを見かねて父が手伝って作ってくれたものだった。 山に行けばキノコ採りの名人であり、海に行けば昆布漁の達人、大工仕事だろうが、細かな細工物だろうが、手先が器用で何でも作れた父。口にこそ出して言わなかったが、父親は自分にとってスーパーマンだったのだ。 「子供の頃に一緒に遊んでやれなかったから、自分のことをうらんでいるんじゃないか」 晩年、半分冗談めかして、家内にそう言っていたというが、昔はどこの親も朝から夜まで仕事仕事。今のように、親が子供と一緒にどこかに出かけたりするなんて考えられない時代。「遊んでやれなかった」なんて、そんなことを気に病む必要はなかったのに。 「ずっと誇りに思っていたし、大事に思っていた」 そう言ってあげればよかった……といまさら思っても詮無いこと。 亡くなった父母のことが、いつも頭を離れないのは、なぜもう少しそばにいてあげられなかったのかという後悔があるから。一人っ子なのに、早くから家を離れ、親に苦労をかけたとの思いに苛まれる。 PM4.20、銀座。有楽座で映画「インタープリター」。国連を舞台にした、シドニー・ポラック監督のサスペンス。暗殺謀議を傍受した通訳者がニコール・キッドマン。彼女を捜査・護衛するシークレット・サービスがショーン・ペン。後半のスリリングな盛り上がりは見事。2人の演技を見ているだけで陶然としてくる。映画はやっぱり役者が要。 PM6.40終映。地下鉄に急行。 7.02、表参道。ライブハウス「FAB」で 「ココロノアリカ18」と題したライブ。GEM、石原千宝美、大石由梨香、川部しのぶが出演。ちょうど川部しのぶの一曲目が始まったばかり。観客30〜40人。椅子に座ってゆったりと歌声に耳を傾ける。「サイレンスボイス」「デスペラード」「ダブル・ファンタジー」「時の流れに身をまかせ」など。伸びかやな声で歌い上げる「シルクボイス」に水を打ったように聞き入る客席。 7.35。川部が終わったので、楽屋に行き挨拶。新星堂の担当者や版元の担当者など数人で談笑。9月のアルバムリリースを契機にもっと活動の場を広げてほしいもの。 9.30、駅に着くと雨。傘を買うのも業腹なので、娘に迎えに来てもらう。「イヤだ」と言われるかと思いきや素直な返事。数分後、傘を持って駆けて来る娘。まだ高校の制服姿。 肩を並べて家路をたどる父と娘。 別に特別な親孝行をしてもらわなくても、こんな思い出だけで十分。子供たちは生まれてきただけで、すでに親孝行してくれている。……そう思う。もしかしたら、自分の両親もそう思っていたのだろうか……。 6月16日(木)雨 PM4.20、御茶ノ水。K記念病院で鍼。 PM6帰宅。途中、カメラ屋さんで昨日出したフィルムの現像を受け取る。長い間カメラの中に入っていたフィルムなので、何が写っているか知らないまま出したのだが、紙焼きを見たら、佐々木昭一郎さんと中尾幸世さんの写真。多摩フェスティバルの時の写真だ。 来月の佐々木さんの講義を前に不思議な符合。 6月15日(水)雨 朝、K條さんから電話。メールアドレスを変えたことを知らせてなかったので、「何度出しても戻って来ちゃって」と。清順映画の話。「あれはちょっとひどいわね」。来月の佐々木さんの講義の件も。 PM1.30、渋谷。パルコ劇場で三上博史の「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のプレスコール。冒頭30分ほどリハーサル。フラッシュが使えないので、デジカメではなくフィルムカメラを持って行ったのだが、アナログを使うのは数年ぶり。フィルム操作を間違えたようで、帰宅して点検したら一枚も写っていない。ショック。せっかくいいアングルのスチールが撮れたと思ったのに。 4.20帰宅。途中駅の売店で3本3000円の安売り映画DVDを買う。「シャレード」「アフリカの女王」「ノックは無用」。一昔前なら1万5000円はした映画ビデオが今はこんなに安く買えるなんて。映画好きにはいい時代か。 寝る前に「ノックは無用」を観る。モンローが心に傷を負ったベビーシッターを演じている。戦争に行ったまま帰らない恋人(パイロット)を待つ間に、精神が不安定になり、施設に入院にしていたが、ホテルのエレベーターボーイを務める叔父の勧めで、パーティーの間、新聞社幹部の娘の子守をすることに。たまたま向かいの部屋の男(リチャード・ウィドマーク)と知り合ったことから、再び精神の均衡を失い……という、心理ミステリー。 先日亡くなったアン・バンクロフトのデビュー作でもある。彼女の役はホテル専属のジャズシンガー。もちろん、歌は吹き替えなのだろうけど。 ミステリーとしてはやや中途半端だが、モンローの陰影ある役作りは見もの。 11.00。布団に入って、阿刀田高の短編を読もうとしたが、1ページも進まないうちに睡魔に襲われる。この頃寝つきが早い。 6月14日(火)快晴 PM1.20、表参道。ホテル・フロラシオンで「美女と野獣」の制作発表。 遅れて行ったので、すでに演出の金守珍が会見中。ひな壇には主役の吉川ひなの、NY在住のダンサー・TAKE、美人バイオリニスト・川井郁子、芸術監督・脚本・美術・衣裳の宇野亜喜良ほか10人のスタッフ・出演者。取材陣40人余り。テレビクルーも入ってまずまずの陣容。初めての記者発表に奔走した秋元さんもホッと胸をなでおろしていることだろう。 会見に続いてフォト・セッション、ひなのチャンの囲みと段取りも順調に進行。 スチール撮りを終えた金さんと立話。新作映画「ガラスの使徒」公開、「風の又三郎」での韓国ツアーを控え、相変わらず多忙。梁山泊には唐さんの新作書き下ろしが待っているという。 会場に来ていた、ささめ氏から、寺山修司の唯一の長編小説「あゝ、荒野」が森山大道氏の写真を網羅した新装版で出る予定であることを聞く。パルコのラジオドラマシリーズも暮れまでにはリリースする予定とか。 ポンと背中を叩かれたので振り返ると一ノ瀬めぐみ。金さんの推挙で今公演の日本人形役に抜擢されたのだ。「T取さんの許可が出たので、これから外部で活動する機会が増えるんじゃない」と金さん。鼻緒のきれいな下駄履き姿。一ノ瀬は年をとらない市松人形のよう。 PM2.30、帰社。 4.30退社。新宿に行く途中で銀座下車。山下書店で山田風太郎「忍者月影抄」、阿刀田高「黒喜劇」購入。 PM5.30、「木屋」で帆立丼。 PM6。新宿。TAKA−Qの隣に新装なったファッション店。元ISEYAの店舗をそのままリフォームしたみたい。しかし、メンズよりもレディースの比重が大きく、カジュアルよりフォーマルの比率が大きい。女性従業員に聞くと「そうなんです、ISEYAではなく、別の店になりました」 東京でジーンズを買う店が消えてしまった。 PM7。シアター・トップスで壱組印「種の起源」(大谷亮介=作・演出・出演)。受付でプリエールの有本さん、「ちょっと変わったお芝居ですけど」と笑顔。 並びの席の鈴木一功氏に挨拶。あとでパンフを見たら、一功氏が脚本協力したらしい。 「進化論」をテーマに、人類の進化の歴史を「1週間」で表現する構成するオムニバス劇。 出演者全員が猿人の着ぐるみで登場する冒頭「月曜日」のシーン。道具を使い、嫉妬心が芽生え、家族に移行していく……人類史のおさらい? に、「大丈夫かいな、この芝居」と思わず心配してしまう。なんせ、出演者が実力ある俳優ばかり(草野徹・大塚健司、西牟田恵・さとうこうじ・水内清光・藤崎卓也)。特に、復帰第一作の西牟田の着ぐるみ姿はなんとなく痛い。 しかし、曜日が進むにつれ、大谷の意図がぼんやりと見え始め、金曜、土曜、そして日曜のお葬式の場面でようやく「戦争と愛の狭間で悩み悶える女と男の究極のラブストーリー」の惹句の意味を得心する。 生物学を専攻したという大谷亮介の進化に関する研究と調査が存分に発揮された「超奇妙な、どこにもないコメディー」。 「日曜日」ーー故人の棺を前に漬物をかじる家族。その漬物の味が、家に代々伝わる糠床から生まれるものであり、糠床の微生物が人類史に果たしてきた役割が語られるに至って、人類の歴史の過去と未来が交差する。 地域興しのために、樹齢二千年の桜の樹を観光の目玉にしようとする地方の村人たちのドタバタを描いた「金曜日」の午前と午後が一番笑えた。特に、青森から招いた桜学者を演じた草野徹が抜群に面白い。この俳優、前に、TEAM発砲B・ZINで見たことがあるが、独特の青森弁が強烈。 舞台でもテレビでも観客に配慮した「わかりやすい方言」を使うことが多いが、そんな「配慮」などゼロ。純然たる青森弁、それも南部弁に近い方言をストレートに使う。それが実に効果的で、客席にさざなみのような笑いが広がる。関西弁は笑いを取るに都合がいい言葉だけど、どちらかといえば、東北弁は「引かれ気味」。しかし、堂々と正調の方言を使えば、舞台の異化効果抜群。青森弁を聞いてこれほど笑ったのは初めて。草野徹要注目。 PM9.10終演。見に来ていた篠井英介さんに挨拶して家路に。 6月13日(月)快晴 夏日和。昨夜は早く寝たので、夜中に何度も目が覚め、逆に寝不足気味。 「九条の会」の缶バッジをバッグにつけて出勤。 PM5、つつがなく仕事を終えて帰宅。電車の中で「消えたニック・スペンサー」読了。水準以上ではあるが、やはり、キレが落ちている。ミステリの女王と呼ばれて30年。さすがのクラークも年には勝てないか。訳者・宇佐川晶子の解説も歯切れが悪い。次回翻訳作に期待しよう。 先月、小泉首相と某有力経済人の食事会が行われ、その席上で小泉がこんな暴言を吐いたという。 経済人が、「靖国参拝が中国のビジネスに悪影響を及ぼしている。再考したらどうか」と言うと、小泉は突然切れて、大声でこう叫んだ。 「商売人には政治のことが分からないんだ!」 この一言で食事会はドッチラケのドン引き状態。 自民党内でさえ、公然と参拝支持を口にするのは町村信孝外相と安倍晋三幹事長代理の2人のみ。 靖国参拝は01年の総裁選で日本遺族会に約束したこととされるが、その遺族会も11日の幹部会で「近隣諸国への配慮が必要」との見解を出し、参拝自粛を要請している。国の命運を左右する重大問題を個人的な意地だけで固執する小泉。世間では一般的にこういう人を狂信者と呼ぶ。 親分が親分なら盟友も盟友。山崎拓が12日のNHK討論番組で、とんでもない暴言を吐いた。 野党による国会の会期延長反対を批判して、「会期は鉄道で言えばレールみたいな話。レールの上に石を置くようなことはやるな」と発言。さらに「投身自殺なら男らしい」と続けた。 多数の死者を出したJR西日本の脱線事故から1カ月半。悲惨な事故の記憶が生々しく、被害者が今も後遺症で苦しんでいるというのに、この無神経極まりない発言。しかも、全国で置き石事件が相次いでいる。政治家としての資質云々よりも人間としての資質に問題がある。親分・盟友ともにまともじゃない。それなのにまだ支持率が50l近くあり、メルマガも162万人が登録しているのだから……。世の中わからん。 6月12日(日)晴れ 7.00起床。8.40、北朝霞駅前からY先生のクルマで武道場へ。9〜12、稽古。左足親指の痛みをかばいながらの稽古。初夏の気候。少し体を動かしただけで汗びっしょり。 PM2。昼食を終えて帰宅。疲労のため何もする気が起こらず、ベッドで横になるが、午睡にも至らず、5時頃までウダウダ。 パソコンは娘が占拠し、オンライン模試に使用。夕方、早めにお風呂を沸かし、入浴。 お風呂で手足を伸ばしながら、「父と母にこんな最先端のお風呂を使わせてあげたかった」とつい詮無いことを思ってしまう。「自動で沸いて、コンピューターが声で”沸きました”」と知らせてくれる。母が生きていたら「いやー、すごい〜」とびっくりしただろうに。あと10年生きていてくれたら。 食後、TSUTAYAで借りた「トゥルー・コーリング」を見る。死体安置所でバイトする医学部志望の女の子、トゥルー・デイビーズ。ある日、死者の声を聞き、彼らの無念を晴らすため、時間を遡り……という軽い「読み切り」ミステリー。寝酒代わりにはいいかも。 PM9。今日も早めの就寝。 6月11日(土)晴れ PM1.30、両国シアターXで遊行舎「中世悪党傳 誰がために鐘は鳴る」(原作=寺山修司。脚本・演出=白石征)。 南北朝時代を背景にした大河ドラマ三部作の最終話。足利幕府が成立し、一方で後醍醐天皇が死去。名実ともに尊氏一門の勝利に見えたが、尊氏の足元をゆさぶる一門の内紛抗争が勃発する。その中心は弟の直義であり、家臣、親兄弟を巻き込んだ血みどろの戦いが繰り広げられていく。不穏な政情を背後から操るのは楠木正成ら敗者の亡霊たちであり……。 尊氏、直義の兄弟愛憎を軸に、大塔宮暗殺を想起させる鎌倉での「弟殺害」まで一気に見せる歴史絵巻。 前2作と比較して、手慣れた演出。俳優も万有引力役者陣(井内俊一、小林拓、吉野俊則ほか)が脇を固め、厚みのある造形。奥村珠水演じる白拍子の舞いの動きの流麗さに思わず身を乗り出す。躰道を始めてから、以前にもまして舞踊、舞踏の身体の動きに目がひかれるようになった。 正行役・中島淳子の凛とした表情がいい。尊氏役の青江薫の堂々たる偉丈夫ぶり、重厚な演技も魅せる。 休憩15分挟んで2時間半。起伏ある展開と演出で、客席を飽きさせず。 終演後、九條さん、大澤さん、白石さんの4人で食事。9日に亡くなった塚本邦雄さんのことや、8月7日の三沢・記念館での寺山展の話など。 寺山さんの誕生日が問題になっているらしいが、寺山本人も母ハツさんも12月10日と言っているのだから、それに沿って展開すればいいだけのこと(実際、どんな人物事典を見ても、寺山修司=1935年12月10日生まれとなっている)。それなのに、戸籍上の誕生日(1936年1月10日)を援用して「来年こそが生誕70年」とするのはまったく解せない。 「寺山の母が昔、私に”まったくあんたたちはそろいもそろってイノシシだから、後先考えずに突っ走ってしまうのよ”って言ったことをよく覚えているのよ。義母が、私たち2人とも亥年だって言ってたの。そのことを考えても1935年生まれというのは間違いないと思うわよ」と九條さん。 昔は実際の誕生日と戸籍上の誕生日が違うのは珍しいことではなかった。 生まれてすぐ亡くなる赤ん坊が多かったため、1カ月くらい様子を見てから役所に届けるのはごく普通のこと。 植木等などは、大正天皇の崩御(1926年12月25日)と誕生日が重なったためか2カ月後の1927年2月25日に出生届けをしている。 かくいう自分も戸籍上の誕生日と実際の誕生日は異なる。 そんなこんなを考えると、寺山修司の誕生日が1935年12月10日であるのは間違いない。母親がウソをつく理由はない。 PM5.40、次の予定に間に合わなくなるので、一足先に失礼する。「シーザーが夜の回に来るって言ってました」と白石さん。ウワサをすれば……駅でシーザーとばったり。一緒に飲みたかったが、残念。 会社経由で三鷹へ。 PM7.15。間に合いそうもないので駅からタクシー。運転手さんが「今日は文化センターに行く人が多いですけど、何かあるんですか」と不審顔。 7.30、三鷹市芸術文化センター星のホールでTEAM申+三鷹市芸術文化センタープロデュース「時には父のない子のように」。佐々木蔵之介と佐藤隆太の2人芝居。日の出の勢いの若手実力派・蓬莱竜太の作・演出。 売れっ子漫才師の長男で、親の後を継いで一人漫才師になっている男が、ビルの屋上で漫才の稽古中。そこに東京に行ったきり、父の葬儀にも戻ってこなかった弟が現れる。彼のボストンバッグには兄が探していた父のネタ帖が。いつまでも芽の出ない兄、東京に出奔した弟。2人の会話から、父親の密かな思いが浮かび上がってくる。ウーン、さすがに上り坂の脚本家。2人芝居という変則技を使いながら、きっちりと人間の心の機微を浮かび上がらせる。うまい。佐々木蔵之介の横綱相撲にぶつかっていく佐藤隆太も好感が持てる。 隣の席がサ○エリことS藤江梨子。席についたと思ったら、バキバキと首、胸、腰の関節を鳴らして猫のような柔軟体操。開演する前に帽子を取って観劇。顔をさらさないように、上演中でも帽子を取らない芸能人と比べて、好感が持てる。舞台の蔵之介の着メロが「キューティーハニー」だったので、のけぞって受けていた。 サ○エリと並んでの観劇はまた格別(わたしゃミーハーか)。 99年に宝島社の「アイドル探偵団」のパーティーでデビュー前の彼女を見ているが、「仕事をくださ〜い」と積極的だった。あの時、一緒だったのが内山理名だったか。 9.00終演。武蔵野線経由で帰宅。 帰宅すると、大阪のきゅーさんから「九条の会の缶バッジ」が届いている。青森のあおぞら組からは組員用のマグTシャツ。うれしい贈り物。 6月8日(金)晴れ 早めに帰宅。 寝る前にメアリ・H・クラークの新刊「消えたニック・ペンサー」を読むも、睡魔に負けて意識朦朧のまま10時就寝。クラークの新刊といえば、いつも書店に平積みされるのに、今回は見ていない。どうしたことか。 抗癌ワクチンの開発が成功かと報じられた直後、飛行機事故に遭い、行方不明になった研究者・実業家ニック。遺体は発見されず、ワクチンの実態も不明。ニックの後妻の義妹である経済コラムニストのカーリーは、事件の真相を求めて調査を始める。ニックは本当に死んだのか、癌ワクチンは開発されたのか。 いつもの追い詰められ型ミステリーと趣が変わり、視点が錯綜しているため、いまひとつ乗り切れない。もしかして、クラークの筆に翳りが……? 6月9日(木)晴れ PM3。月末から行われる岸田理生連続上演の情宣で、流山児氏が各劇団のスタッフを引き連れて参上。宗方氏の父君が亡くなったため、急遽、代打ち。公演中なのに、流山児も面倒見がいい。 如月小春、岸田理生と、早世した寺山修司の愛弟子の奇妙な因縁話にびっくり。 PM4。ソニーミュージックの渡辺さん来社。メジャーから久しぶりに新譜を出すサーカスと、タップダンサー熊谷和憲の件。 PM5。気になるので、Mクリニックで左足の検査。「外反母趾ではありません。矯正も必要ないでしょう」とのこと。やはり関節の磨耗が原因とのこと。 PM6。渋谷。東急ハンズで靴底に入れるグッズ購入。 7.30、三軒茶屋。パブリックシアターで「禁色」。同性愛を主題にした三島由紀夫作品を伊藤キムが舞踏化したもの。1959年に土方巽が大野慶人と組んで上演したが倒錯した性表現に非難が殺到したという。 受付前には当日のキャンセル待ちをする人の列が20数人。ダンス公演というのは根強いファンがいる。 客席も外国人と女性で9割。 冒頭、白井剛とキムが素っ裸で登場。とびっきりの笑顔でフルチンモード。ノイズロックの爆音にのせて、飛ぶ、跳ねる、走る、転がる。局部を伸ばすは引っ張るは、ギター代わりにするは、やり放題。これほどあっけらかんとした全裸ダンスは初めて。クレヨンしんちゃん真っ青。 女性客は唖然呆然。 後半は着衣して普通のダンスに。ラストは「ベニスに死す」。 PM9.30終演。 11.00帰宅。 6月8日(水)晴れ 10.00起床。午後、整骨院へ。左足の親指が痛む。外反母趾? と思ったが、「それは心配ありません。関節の磨耗で、これはしょうがないですね」とのこと。 帰宅し、思い立って部屋の整理。一時退避させたカセットテープのダンボールを開けて収納スペースに。夕方まで。 6月8日(火)晴れ PM4.10、池袋。ロサ会館、シネマロサで「オペレッタ 狸御殿」。観客10数人。久々の清順美学を堪能……といきたかったのだが、ウーン。極彩色絵巻、独特のフェイクと、いつもの清順映画ではあるが、心躍るものがない。 生きとし生けるものの中で自分が一番美しくなければ気がすまない安土桃山の城主。実の子供である若様が自分の美貌の地位をおびやかすと見るや、彼を追放、亡き者にしようとするが、ドジな使い番のおかげで若君は狸の国に迷い込み、その国の姫を恋仲になり……と、白雪姫もびっくりの面白オペレッタになるところなのに、物語が転がっていかないために、堂々巡り。せっかくのチャン・ツィイーも綺麗に撮れていない。これまたどうしたことか。脚本がダメとしか言いようがない。 篠井英介が汚れ役というのもびっくり。クレジットがなければ誰だかわからない。彼こそ、狸御殿の若侍に適役だろうに。 PM6.10終映。 PM7。東口にまわって、サンシャイン劇場でAGAPE store「仮装敵国」。倉持裕、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、後藤ひろひと、故林広史、千葉雅子、土田英生、長塚圭史ーー7人の劇作家の短編をG2が演出。関連性のない物語(一応「仮装」敵国が共通テーマだが)をオムニバス風に見せていく手腕は見事。 出演者は松尾貴史、春風亭昇太、辺見えみり、コング桑田、八十八勇一、福田転球、久ヶ沢徹。 第一話は長塚の作品。バス爆破テロの現場近くの遺体安置所。男(松尾貴史)は妻(辺見えみり)の遺体確認に来たのだが、死んだはずの妻が起き上がって……。 この時期にこんな設定はいかにも長塚作品。あまりにも生々しい設定に笑うどころか、客席の半分はドン引き状態。が、展開が進むにつれて、ブラックな笑いの全容が見えてきて、最後は納得の一編。 一番面白かったのは、土田英生の作品。仇討ちのために、敵の城に乗り込もうとする忍者たち7人。実は仲間の中にスパイがいて、決行の直前にそれが判明。1人去って、再び討ち入ろうとすると……。こういう連鎖の笑いは大好き。 ケラの作品は、料亭の和室で不倫相手の若い女に別れ話を切り出す男(松尾貴史)。女(辺見えみり)は逆上し、旅館の仲居(春風亭昇太)と組んで男を毒殺する。実はサスペンスドラマの撮影現場で、スポンサーが変わったので殺人方法を変えて欲しいとの要請に、再び撮影が始まり……。 松尾、えみり、昇太の呼吸がぴったり。 あまり笑えないのが故林広志作品。閣議が行われている地下会議室。某国のスパイから盗聴されていることが判明したため、会話をすべて暗号に変換して話すことになった。その暗号とはデート用語。核の使用を暗示する言葉が出るたびにアタフタ。言外に「北朝鮮」を示唆するセリフが連発。構図が見えすぎてつまらない。 後藤ひろひともありがちなギャグで、やや手抜きネタ。 15分ほどのネタをつないで、最後はぐるり回って最初のシーン、バラバラな各作品の言葉が溢れ出し……という趣向はなかなかのもの。 9.00終演。 帰りにABCマートでスニーカー購入。 6月7日(月)晴れ 朝起きると内腿のあたりが筋肉痛。躰道の稽古で、というよりも、校庭でのバスケットが原因か。 風邪はほぼ全快。 PM4退社。家に直行。「HOT WAX」2冊とも読了。梶芽衣子の「新宿アウトロウ・ショー」に舞踏の土方巽が出ていたことを知る。当時は舞踏なんて知らなかったから記憶からすっぽり抜け落ちている。 夜、校庭にバスケをやりに行く。その帰り、信号待ちをしているとき、目の端にバスケットボールが転がってくるのが見えた。近くの駐車場で豚児がボールを突いていたのが手をそれたらしい。アッという声がノドの奥から漏れたきり、2人ともその場に立ちすくんでしまう。まるで、テレビドラマの1シーンを見ているように、ボールが車道に転がっていく。そこに1台の乗用車。 ……運よく事故にならなかったが、運転手に謝ってから豚児を叱り飛ばす。普段から、道路の傍では絶対にボールを手から離さないことと口を酸っぱくして言ってるのに。自分でも悪かったと思っているのか、プイとむくれてスタスタ先に。 アバウトB型だが、こと交通関係は、人っ子一人通らない夜の道でも信号が青にならないと横断歩道を渡らない慎重派。ま、クルマに乗ると制限速度の歯止めがなくなるのは、B型のいいかげんなところか。 6月5日(日)晴れ 7.00起床。躰道稽古へ。病み上がりだからあまり、運動しても……と思ったが、いざ稽古を始めたら汗だくで集中。12.00までみっちり稽古。先日の昇級試験の結果発表。1階級進級で4級に。試験当日は散々だったので、1級上がっただけでもうれしい。豚児は2級特進で5級に。 帰り道、豚児との会話。 「次も頑張れば3級になれるよ」 「ええっ、いやだ」 「なんで?」 「だって、4級の賞状がもらえないもの。1級ずつ上がって、たくさん賞状を集めるほうがいいよ」 ……ウーン、やはり、コレクターの子? 自転車で通り過ぎたおじさんがタバコを吸っていたので豚児が顔をそむける。「タバコの匂いは大嫌い」 「じゃあ、オトナになっても吸わないでよ」 「吸わないよ」 「お酒も?」 「お酒は、たぶん2回くらい飲む」 「どうして?」 「同窓会があったら飲まなきゃいけないでしょう。そのときは飲むと思う」 どこから同窓会が出てくるのかわからないが、子供の発想に思わず大笑い。座布団一枚ならぬマンガ本一冊進呈。 2.30帰宅。30分ほど仮眠。夕方、買い物に付き合い、その後、子供と運動場に行って暗くなるまでバスケットの練習。7.30帰宅。夕食。ドッと疲れが。パソコンに向かって日記を書く時間も気力もなく、10・00には就寝。 日曜日なのに、早朝から夜まで、自分の時間なし。ウーム。 6月4日(土)曇り一時雨 PM1・30、下北沢。予定より早めに着いたのでヴィレッジ・ヴァンガードを覘いてみる。CD視聴コーナーに新着がないので、そのまま本多劇場へ。ロビーで九條さん、若松武史夫人と立ち話。 PM2、流山児★事務所「戦場のピクニック・コンダクタ」。坂手洋二91年初演の作品というが、見た記憶はない。物語性はなく、登場人物も無国籍・無時代。中央に巨大な樹木がそびえ、その周りで展開する戦争の時代に向かう人々、そして樹上に現れるコンダクタ。硬質な別役不条理劇の趣。若松武史、塩野谷正幸、美加理の三人の顔合わせは久しぶり。後方でインドネシアのYennu Ariendraと Muhammad Arif Purwantoがガムラン風の楽器を演奏。それにKONTAが加わりセッション。 流山児の演出は実にスタイリッシュで、照明も美しい。難解だが……。 3.45。終演後、九條さんらと楽屋へ。美加理と会うのは久しぶり。ちょっぴりふっくらした感じ。九條さんが「塩野谷、若松、美加理が揃うと昔のアングラ見ているみたいだった」と笑う。 来月挙式イベントをする一宮氏夫妻と立ち話。 時間があったので、再度、ヴィレッジヴァンガードへ。「現場百遍!?」は時として思いがけない発見をするものだ。奥のブックコーナーでとんでもない本を発見。梶芽衣子の「さそり」のスチールが表紙。どうせ、好事的な音楽誌だろうと思って手に取ると、なんと冒頭90ページの梶芽衣子特集。フィルモグラフィはもとより、本人のロングインタビュー、完璧なディスコ・グラフィ、スチール写真が満載。第二特集は「モップス ソロワークを含む完全解説」、第三特集が「深作欣二」。これだけならば、「キル・ビル」効果による梶芽衣子ブームの余波と納得するのだが、その隣には版元の第一弾本「HOTWAX vol1」が。その表紙は渡哲也、梶芽衣子、藤竜也、原田芳雄のコラージュ。「日活ニューアクション1968−1971」の文字。いわずと知れた「無頼」シリーズ、「野良猫ロック」シリーズの面々。すごい!! こんな本を作る人がいるとは。しかも、付録のCDに収録された音源を見て驚愕。梶芽衣子と安岡力也がデュエットした「野良猫ロック・セックスハンター」の挿入歌「禁じられた一夜」が入っているではないか。 ![]() 本屋の店先でこれほど驚いたのは絶えてないこと。このデュエット曲は73年頃、林美雄さんがラジオで流していたものをオープンリールのテープレコーダーに録音し、繰り返し聴いてきたもので、自分にとってはワン・アンドオンリー、唯一無二の歌。オープンリールのテープ走行ムラはあるが、その歪みまでがいとおしい、たった一つの歌。この30年、人知れずくちずさむわが生涯の歌。 映画でもデュエットは二番だけが使われたため、わずか1分半の歌。その歌が付録CDに収録されているとは!!! まるで、天国の林美雄さんからのプレゼントではないか。 実は歌のタイトルが「禁じられた一夜」というのも初めて知ったのだが、タイトルなどどうでもいい、この歌を付録につけてくれた版元・高護氏に感謝。何者か知らないが、ただ者ではない。 深作映画や裕次郎映画は語られることはあっても、日活ニューアクションはいわば日陰者。消え行く大映、日活の最後の炎のゆらめきのようなもの。アナーキーで活力に満ちて、男も女も主役も脇役もすべてカッコいい。こんなにカッコいいのは、この時代しかない。その面白さを教えてくれたのは林美雄氏だが、生きていたら喜んだだろう。 70年代の初め、池袋文芸坐のオールナイトでは渡哲也の「無頼」シリーズ5本立てや「関東流れ者」「反逆のメロディー」「紅の流れ星」が常にかかっていた。やくざから足を洗って作家に転身した藤田五郎(1993年に自殺)の小説をもとにした「無頼」シリーズの面白かったこと。この頃の渡哲也は魅力的だった。ひょうひょうとした中にも無常感を漂わせるやくざを演じさせたら、右に出るものがいない。裕次郎、旭など目じゃない。こに時代の渡哲也に敵う俳優は誰もいない。 かたぎの世界に憧れながらも、裏切られ傷つき、最後はいつもドブ泥の中でもがき、斃れた「不死鳥の哲」。 「哲! 危ない。後ろだ!」 オールナイトの映画館は長髪の学生たちでいっぱい。哲が後ろから斬られそうになると、歌舞伎の掛け声よろしく、絶妙なタイミングでスクリーンに声がかかる。笑いと共感。 あの熱気。スクリーンと観客が一体となっていた。 演劇も映画も、虚構と現実を軽々と飛び超えていた。現実と虚構は共犯関係にあったのだ。なんと刺激的でスリリングな時代。あんなに面白かった時代を体験できたのは幸せだった。 それにしても、野良猫ロックに無頼シリーズ。見ようと思ってもビデオ屋にも置いてない。DVDにしてくれないものか。東映チャンネルでは放送しているのか? PM5.00。新宿。タワーレコードでCD物色。SAKURAの新譜はバラード曲のベストルバム。アレンジを変えているのか。とりあえずパスして「Soul Collection」を購入。アトランティックからメジャーデビューしたYOSHIKAの「Call Me」も。 外に出ると大粒の雨。濡れないように、遠回りだが、駅構内を通り抜け、紀伊國屋へ。紀伊國屋ホールでこまつ座「国語元年」。佐藤B作にとって主役の文部省官吏役はライフワークか。 明治政府の「全国共通話し言葉」の制定を任された4等官吏の右往左往。官軍・賊軍、双方の調整に奔走するも、「言葉とは権力である」との認識に思いが至るとき、官吏の脳髄にはいかなる変化が……。江戸の山の手言葉、下町のべらんめぇ、羽前米沢のズーズー弁、遠野弁、名古屋弁、河内弁……お国訛りが飛び交う、哄笑の渦。 ラストシーンのフラッシュに浮かび上がる登場人物それぞれの「その後」が物語る井上ひさしの強烈な反骨の毒。 書生役の植本潤、快調も、こまつ座で客いじりはちょっとやりすぎ? 女郎役の岡寛恵は文学座の女優さん。「翔べない金糸雀の唄」以来のお気に入り。伝法な女郎役を鮮やかにこなし、こまつ座カンパニーに溶け込んでいる。 客席にいた月蝕のI橋氏と立話。 9.30終演。 11.00帰宅。さっそく、「禁じられた一夜」を聴いてみる。自分が持っている音源と同じ。ラジオから録音し、ダビングした音源よりもクリアなのは当然だが、「お前を一人渡したくなくて、罪を犯したこの俺なのさ♪」の個所が「お前を人に渡したくなくて〜」だと知ってびっくり。この30年間、ずっと「一人」だと思っていたのだった。「一人で(警察に)渡したくない.(オレも一緒に行こうさ)」ではなく、「他人に渡したくない」だったとは。聞き取れない歌詞って思い込みの温床か。 本の方は、なかなか素晴らしいデキ。日活ニューアクションへのオマージュに満ち満ちている。ただし、「野良猫ロック」シリーズの作品解説はヘタ。「です・ます調」は生理的に受け付けない。というか、若いビデオマニアが書いたような文章。あの時代への誤解があるようで、ちょっとガッカリ。 6月3日(金)雨 セキもおさまり、なんとか風邪にピリオドを打てそう。 PM5、仕事を終えて渋谷へ。センター街入口の蕎麦屋で鴨南うどんとおはぎセット1250円。うどんを食べたあとのおはぎの甘さは格別。 PM7。パルコ劇場で「どかーん!武春劇場in PARCO vol.2」。浪曲師・国本武春の三味線ライブの第2弾。二日間だけなのがもったいないくらいの見事なエンターテインメント。客席は若い女性でいっぱい。 まずは浪曲「英国密航」をひとくさり。場内からは浪曲ファンの手馴れた掛け声や声援が飛び交い、客席は次第にヒートアップ。見事な話芸に爆笑の渦。落語に比べて、下火の芸能といわれるが、やり方によっては浪曲はもっと世代を超えて広がる可能性もある。こんなに面白いスタンダップ芸、廃れて行くのはもったいない。 休憩15分をはさんだ第二部は国本が文化庁第一回文化交流使として留学した米・テネシー州で国本自ら結成したブルーグラスバンド「ザ・ラスト・フロンティア」のメンバー4人とのセッション。バンジョー、ギター、ベース、マンドリンに三味線が加わった日米競演は違和感ないどころか、渾然一体となってノリノリ。客席の盛り上がること。いやー、ブルーグラスっていいなぁと思わずひとりごち。 アンコールを加えて9.15まで。満腹感の一夜。 雨の中、11.00帰宅。 6月2日(木)雨 1.30に一度目覚める。ノドの乾きを冷たい水で潤す。熱っぽい中に緊張感。まるで体中の細胞が仕事開始に向かって態勢を整えているかのよう。5時に起床すると昨夜よりダルさが抜け、セキもあまり出ない。 新体制になり、一人でも欠けると会社の仕事に重大な支障が出る。ムリしてでも会社に行かなければ……。サラリーマンの悲しいサガ。 熱とセキが抜けず、ときおり咳き込むが、なんとか仕事をやり終えて、PM3、早めに退社。 南河内万歳一座もキャンセル。前回も見逃したので、今回こそはと思ったのに、内藤氏に申し訳がない。 4時、帰宅。 6月1日(水)晴れ 朝起きるとノドの痛みはないものの、今度はセキが止まらない。本格的な風邪。いつもなら薬を飲んで寝れば翌朝、スッキリなのに。 10.30、起きて朝食。気力を振り絞って引っ越し通知のハガキを印刷。 PM2.30、テラヤマ新聞のI葉氏から電話。石垣島野外劇場の件で、昨日のマキさんの意向を伝える。 熱のために寝汗がびっしょり。ベッドでとろとろとまどろんでいると、ケイタイの着信音。意識朦朧のまま、電話に出ると、福島のN本さんから。昨夜電話したら、ちょうど仕事中だったため、その返信。4月にお父さんが亡くなったことをテラヤマ新聞を読むまで知らなかったので、お悔やみを、と思ったのだ。寝ぼけていたので、詳しい近況を聞くのを失念したが、元気そう。HPが消失した際、奥さんのM代さんが、新しいアドレスを探してくれたという。うれしいことだ。 夜、お風呂に入って早めに就寝。 |