12月31日(土)晴れ

 10.00起床。

 毎年思うことだが、田舎の大晦日と違って、日常の延長のような都市部の暮れとお正月の感興の薄さよ。

 真っ白な雪、雪が照り返すまぶしい日の光、身を切る寒さ、軒下のつらら、吹き溜まりを作る寒風、凍てついた路面、沖の白波、雪を頂く枯れ木色の山々……。新しく張り替えたばかりの障子、ふだん使わない「じょい」(常居?)と呼ばれる玄関脇の畳の間には、火鉢が置かれ、清新な雰囲気が漂う。ストーブの上でシュンシュン鳴る薬缶、ストーブの脇にモチをこすり付けてカンナくずのようにして食べるモチの味。ストーブと煙突の間にある湯沸し器の中に林檎を入れておくと、ゆで林檎の出来上がり。ストーブの上に林檎を置いて焼き林檎。このとき、林檎がダンスを踊るように腰を揺らす。「林檎が踊ってら」。

 ふすまや壁一面に張られたその年のカレンダーは、その多さが家の付き合いの広さを物語り、どの家も競ってカレンダーをぶら下げたものだ。

 もはや地域からは完全に消え去った正月の風習は「桜」飾り。部屋の四隅の鴨居に桜の木を飾り、その枝に食紅で赤、緑に色づけしたモチや、みかん、小さな鯛の落雁などを飾り付けたもので、まるでしだれ柳のよう。正月が終わると、その枝からモチを外し、空揚げにして食べる。1960年代初頭でほとんど終わってしまった風習だろう。地域によっては「繭玉」とよぶらしいが、下北では「桜」。桜の枝を使うからか。

 モチでせんべい作ったり、みかん刺し、ソリ遊び、竹スキー、竹で作った凧、雪合戦、かまくら作り、落とし穴、うさぎの罠仕掛け……正月の遊びは多種多様。


 事ほどさように、昔の田舎の正月は楽しかった。もう一度、時代がめぐってくるならあの時代がいいな。モノはなくても楽しかった時代。

 夕方、早めに入浴を済ませて年越しの晩餐。紅白やK1戦をザッピングしてカウントダウンへなだれこみ。子供たちとナイナイ岡村の火だるまバラエティーを途中まで見て就寝。
12月30日(金)晴れ

 7.00起床。最後のゴミ出し。その後二度寝。
 休みになると夜更かし、朝寝ばかり。

 同年代には、朝早く目が覚めてしまうという人もいるが、自分にはどうも、宵っ張りの朝寝坊の方があってるみたい。夜は何時までも起きていられるし、朝はお昼近くまで布団の中。

 ふだん、朝5時起きの生活をしていることが間違いなのだ。朝寝坊できる生活……いいなぁ。


 PM2、森下のベニサンピットでtpt「アメリカン・バッファロー」。

 デヴィッド・マメット作品を門井均が演出。シカゴの路地裏の薄汚いガラクタショップを舞台に、店主ドニー(山本亨)、その友人ウォルター(手塚とおる)、ドニーの使いッ走りボビー(藤沢大悟)の3人が、カネとビジネスとオンナをめぐって、ひたすら速射砲のようにしゃべり、わめき、悪態をつく1時間50分(休憩10分)。椅子に座りっぱなしの山本亨。ケガはすっかり回復したが、演出上の処置とか。それにしても、マメットの登場人物の上品とはいえない猥雑極まりない会話の応酬。アメリカ人だからこそ成立する戯曲。日本人の男3人が集まったところで、沈黙が支配するだけ。男同士の会話劇は日本ではどだい不可能。

PM3.50終演。K井絵瑠さんに挨拶して地下鉄へ。来年3月は日本初演の「皆に伝えよ!ソイレントグリーンは人肉だと」で池田有希子、中川安奈が共演。これは楽しみ。

 都営新宿線で新宿まで。紀伊國屋裏に出て今から見られる映画はないかとチケットのディスカウントショップをチェック。正月というのにめぼしい作品なし。

 カメラのさくらやでデジカメのメモリー64メガ3900円購入。メモリも安くなったものだ。

 子供に頼まれていたハイパーヨーヨーを探しに伊勢丹から高島屋、東急ハンズへ。すでに生産中止とのことで品切れ。流行ものは消えるのが早い。

 1時間ほどハンズ散策。正月に空き地で飛ばす模型飛行機(2100円)、「20の扉」の電子おもちゃ版「20Q」など購入。

 PM7.25、新宿ピットインへ。「浅川マキ 大晦日5日間公演」。開場待ちの人で通路がごった返している。楽日とあっていつもと比べて人数が多い。

 中に入り、ちょうどすれ違ったマキさんと言葉を交わし、しばし客入れ待ち。お客さんが席に着いたのを見計らって、関係者が着席。

 今年は初めて中段の席に陣取る。あっという間に席は埋まり、振り向くと立ち見がズラリ。ステージ上にまで数人客を入れている。椅子席キャパ80くらい(?)に立ち見が50人以上。始まる前からすごい熱気。

8.08、少し押して開演。「あたしも、人生の終わりが見えたっていうのに、こんなにたくさん来てくれて……どうしようかしら」
(会場爆笑)

 客席への軽口からマキの無伴奏ソロへといつもの構成。途中からセシル・モンロー、渋谷毅と順に音が入り、飛び入りゲスト、サックスの本多俊之、そしてトロンボーン、向井滋春が登場。場内は一気にヒートアップ。ブラスが入ると音の厚みで空気がガラリと一変する。

 それにしても2人とも若い。本田俊之は48歳、向井滋春は55歳だが、2人とも40代前半の若さ。ミュージシャンは年を取らないのか。目と目で合図を交わしながら、セッションを楽しむ5人。マキは時々、ステージ下に降りて4人のジャズメンのセッションに聴き入る。
「暗い目をした女優」「霧に潜む」「こころ隠して」「それはスポットライトではない」「ハスリン・ダン」……そして珍しく二部の終わりで「夜が明けたら」をアカペラで。「こんなに素敵な夜……もう死んでもいいわ」

 本多、向井の飛び入り参加に、マキさんも感無量の面持ち。この夜の演奏は近年の大晦日公演でも出色のできばえ。愛嬌のある本多俊之、役者の三田村周三を若くしたような面立ちの向井滋春。泰然自若の渋谷毅、2人のブラスに対抗するかのようにセシルの叩きつけるドラムス。そして寸分の狂いもないマキのビート。すべてが一級のセッション。
 今夜の客は得をした。これは長く語り継がれるべき一夜だろう。

10.30終演。アンコールの拍手が鳴り止まないが、マキさんの意向でアンコールはなし。
 面会する時間がないので、ピットインのS木さんにマキさんへの伝言を頼んで外へ。


 シアターPOOでやってる万有引力の餅つき会に間に合わない。携帯の電源を入れると市川さんとシーザーからの伝言。「みんな待ってますよ」

 ピットインからPOOまで走って7分。息せき切って駆けつけると、ちょうど最後のひと臼が炊き上がったところ。かけつけビールを一口飲んだところで、声がかかり、シーザーから杵をもらって、タリの合いの手で餅つき。やはり、これがないと一年は終わらない。


 6時からスタートし、すでに4時間半経過。いつもならM紙のT橋さんと、今年の芝居のベストは? なんていう話をするのに、T橋さんも引き上げたとのこと。高取さんも珍しく来ていたが、同様。残ってるいるのはK川登園さん、蘭さん、亜湖夫妻、市川夫妻、SIMIZZY、高野美由紀ほか若い劇団員、関係者数十人。

「奴婢訓」に出演した旺なつきさんも最後まで残り、餅がつき上がる様子に歓声を上げていた。「旺さんはすごくいい人」と周囲の評判。小さな喫茶店でやるアングラの餅つき会に義理堅く出席してくれるなんて、気取ったところのない、評判通りの佳人。

 11.20、餅つき終了し、二次会の「紙ふうせん」へ。K川、タリ、I川さんら。娘が7カ月になるというK林拓と育児談義。器用で味のある役者だから、使われ方次第ではマスコミ方面で重用される役者になるのだろうが、劇団と両立は難しいだろうし……。

 本多勝一に触発され、ルポルタージュに興味があるというI川氏の子息Mくん。目に強い光の宿る、日芸在学中の学生。わが豚児も彼のような自立した青年になってくれれば。

 0.20、終電ギリギリ。シーザーに暇ごいをして家路に。池袋で電車終わり。0.45、タクシーに乗り継ぎ、9360円。
12月29日(木)晴れ

 大掃除。ガスレンジの換気扇など徹底的に洗浄。まだ半年なのに、結構汚れがたまるものだ。
 夕方、家族総出で古書店へ古本持参。不要な本を売ったら4000円ほどに。帰りに、柴田錬三郎の文庫本「徳川太平記」、山田風太郎「室町少年倶楽部」、斎藤慎爾「読書という迷宮」購入。柴田錬三郎の古い文庫が山ほど積まれてあったので、これから徐々に、読んでいきたいもの。みな絶版ものばかり。

 シバレンは気がついたときにはタレントとしてテレビで活躍していたため、作家という意識がなかった。シバレン作品を読んだのはずっと後のこと。作家がタレント化するのは良し悪し。「眠狂四郎」以外に、あんなに面白い時代小説を書いていたとは、知る由もなかった。今、テレビでコメンテーターやってる作家も、中高生から見たら、ただのヘンなオッサン、オバサンなのだろう。作家はヘタにテレビに出ないほうがいい。

 夜、DVDダビング、ラベル作り。
1.00就寝。
12月28日(水)晴れ

 今日から正月休み。シフトの関係で例年よりも長い8日間。

 午後から日本橋三越へ。娘の大学制服の採寸。
 それが終わって、各階散策。ステーショナリー売り場。万年筆1本50万円。展示の美術陶器一対で1900万円。マンションが買える値段。店内の喫茶店でお茶。オレンジジュース1杯1300円。どれも高い! さすがに三越。いったいどんな人が三越で買い物するのか。

PM5帰宅。暗い寒いで、大掃除は明日に延期。


12月27日(火)晴れ

 仕事納め。滞りなく年内の仕事を終え、下北沢へ。ヴィレッジヴァンガードで買い物。

 Hotwax presents Girls,It ain't easy 1970's。Hotwax監修による1970年代歌謡ポップスのコンピ・アルバム=ビクター版。シェリー、安西マリア、麻丘めぐみほか70年代アイドルのレア作品収録。食指が動いたのは山内恵美子の名前があったから。「ネオンくらげ」の女優・山内えみ子が歌手に転向した頃の作品か。名前を聞かなくなってからかなりの年月が流れたが、今どうしているのだろう。函館出身。坪田直子と同様、気になる70年代の女優の一人。

 「BOSSA de Punk」は、70〜80年代のパンク・ニューウエーブの名曲をアコースティック・ボッサにカバーしたもの。野宮真貴、寺本りえ子、Asaほかの女性ボーカリストが参加。シャレたコンピ・アルバム。

 ディスク・ユニオンでは「日本の映画とロックと歌謡曲」が旗印の「HOTWAX」第4号(中島貞夫監督特集=1895円)、KAWADE夢ムック「大瀧詠一 大瀧詠一と大瀧詠一のナイヤガラ30年史」(1143円)を購入。

 PM7〜9、スズナリで新宿梁山泊「風のほこり」(作=唐十郎、演出=金守珍)。ロビーで唐さんに挨拶。

 昭和5年の浅草を舞台に、脚本家志望の女性が経巡る幻想の水底の旅。唐十郎の母をモデルにした作品とのこと。渡会久美子が半ケツで熱演。
 終演後、金さんに挨拶。「交友録、毎日見てますよ」と。「和民」で飲み会とのことだが、疲れ気味なのでそのまま家路に。

 先日買ったアルバム「昭和元禄NOW!」の中で、唯一いいなと思うのが酒井麻友子の「チョッカイ」(吉田美奈子のカバー)。酒井麻友子のCDは90年代に「お月さま」もアルバム「OVERCOME」も真っ先に買って、持っている。このところ名前を聞かないのでどうしているのかなと思ってたのだが、ライナーノーツを読んだら、02年に自死していた。まだ20代ではなかったか。惜しい。今こそ彼女の音楽の出番が回ってきたのに。時代が早すぎた……。

12月26日(月)晴れ

 iPOdに入れた寺山修司のラジオドラマを電車の中で聴いているが、40年前のラジオドラマなのに、今聴いてもまったく古びていないというのがすごい。「大人狩り」はオーソン・ウェルズの「火星人襲来」を構成の下敷きにしているが、子供たちによる革命というモチーフは火星人襲来などという米国流パニックものよりはるかに根源的で、子供たちの「演技」はもとより、セリフの叙情性が素晴らしい。


「いつも裏口で歌った」は寺山修司と九條映子(現・今日子)の2人が若い恋人同士に扮し、デートの一日を集音マイクで追ったセミドキュメンタリー。どこまでがほんとでどこからが芝居なのかわからないという虚実の展開は、その後の「初恋地獄篇」につながる作品。まだ結婚前の寺山修司、思わず内側から湧き上がる本音が仄見えて実に新鮮。

「もう呼ぶな、海よ」は黒人米兵とヤギを飼う少年のふれあいを基地闘争に絡めて描いた物語。米兵を象徴するかのようにヤギが最後に射殺されるという悲劇的な結末。少年と黒人米兵という構図は67年の五木寛之「海を見ていたジョニー」よりはるか以前、61年の作品。空中を歩いた「中村一郎」の不条理、「田園に死す」の原型ともいえる「犬神歩き」など、どの作品もエバーグリーンな作品ばかり。

 あらためて寺山作品の普遍性に気付かされる。

 あと1日で仕事納め。午後、S氏とお茶。数日来の気がかりに曙光。安心してPM4家路に。旅行代理店に寄り、切符の手配。が、やはりこの時期、接続の指定席が取れない。やむなく断念。タワーレコードで「ジャパニーズ・ロッキン・サイケ&パンク65−71」キング編購入。

12月25日(日)晴れ

 10.00起床。PM3まで年賀状書き。

 PM3.30、三軒茶屋へ。PM5、シアター・スパーク1で「遠い夏の日」。石田信之初の作・演出。戦争末期の特攻基地を舞台に、若き特攻隊員たちの、つかのまの青春を描いた作品。お遍路さんの老女が当時の恋人を偲んで回想するという構成。旅に病んだ老女を介抱する現代のフリーター青年の再生の物語でもある。

 特攻隊を描くとなると、どうしても感傷と自己憐憫に陥りがちだが、石田信之の視線は、極限下の青春の一断面を描くことにある。再婚した母親をめぐる兄弟の確執を軸に、隊員と村の娘の淡い恋、若者たちの「生」の躍動にスポットを当てて、笑いと涙の交差する「青春劇」に仕上げた。

 中でも、隊員の一人が語るエピソードが泣かせる。彼の父親は漁師であり、敵艦隊の横波を受けて沈没、死亡したのだという。「父は戦死した」ーーこう言う彼に対し、そんなのは戦死とは言わないと周囲は失笑。しかし、彼は強硬に「戦死」だと言い募る。戦地で弾に当たって死ぬのだけが戦死ではない。戦争で死んだ人すべてが戦死なのだ、と。軍人・軍属だけを対象にした靖国神社へのささやかな批判と見るのはうがちすぎか。

 約2時間。他劇団や芸能プロダクション所属タレントの集合体ではあるが、結束力がよく、熱い息吹が伝わってくる。楽日とあってか、役者達は最初から役にのめりこんでいる様子が見て取れる。初めての公演にしては上出来。

 バラシが終わるまでTSUTAYAを散策、CDと本屋を行ったり来たり。

 ベストアルバム特集を読みたかったので、久しぶりにミュージックマガジン1月号購入。

 コラム「とうよーズトーク」で中村とうようが「改革は結果を見なければ結論は出せない。小泉首相に期待する」だと。どこでどう変節したのか。「小泉改革」なるものの正体はとっくに化けの皮がはがれているのに、この期に及んで「彼ほど思い切って変えようとした政治家はいなかった」と、間接的に小泉政治を賛美している。いつから、中村とうようはこんなになったのか。革新自由連合から29年。人は変わる。

 もともとエキセントリックな方のようで、「ニューミュージック」の勃興時、ニューミュージックという軟弱な音楽と一緒にされては名折れだとばかりに「ニューミュージックマガジン」の雑誌名を「ミュージックマガジン」に変更、そればかりかいつの間にか、社名も「ミュージックマガジン社」に変えてしまった。
 ラジカルな人なのだろう。が、小泉改革を信じるのは、「体制内改革」なる虚妄を信じるのと同じ。とうようサン、いったいどうしたのか。

 PM8、スパーク1で打ち上げ。アットホームな宴会。役者一人ひとりが挨拶するが、舞台を終えたばかりで皆上気した顔。「また再演したい」「地方で公演したい」。楽日の感激は役者でなければ味わえない。北斗潤は、北の湖親方の息子。目もとが父親似だが、割と小柄でナイーブ。

 9.00、日曜夜の遠出はつらい。一言挨拶してお先に退出。石田さんや出演者に見送られて家路に。
12月24日(土)晴れ

 慌しくも仕事を終えてPM2、新宿。シアター・ブラッツでMODE「冬のエチュード」

 松本修得意のエチュード芝居久々の取り組み。今回のモチーフはシェークスピア。唐十郎作品(風の又三郎)といい、シェークスピアといい、これまでの松本修のラインナップにはなかった志向。さぞやユニークなシェークスピアに……と思ったが、まさかの低調。石村実伽、金子智実、山田美佳(風の又三郎主演)と魅力的な女性陣にも関わらず、舞台から喚起されるものがほとんどない。

 抽象性の高いチェーホフのセリフと、物語性の強いシェークスピアのセリフの違いか。ハムレット、マクベス、オセロー、ジュリアス・シーザー……有名な作品をテキストにしたことが、単なる「パロディー」にしか見えないのが痛い。MODE流の格調高いエチュード芝居というより演芸大会の趣き。どうしたことか……。

 PM4終演。2時間弱だが、上演時間の体感時間は2時間半。

 帰社し、後片付け。
 PM6帰宅し、クリスマス会。小6にゲームソフト、高3娘には腕時計。ワイワイと賑やかな家族パーティーはあと何年続けられるだろう。「杯とれば酔い覚めのかなしさを思う」わが性格。
12月23日(金)晴れ

 午後から家人と買い物。
 タワーレコードで「ジャパニーズ・ロッキン・サイケ&パンク65−71」のコロムビア編とビクター編を買う。エレックレコードの復刻シリーズは売り切れとか。拓郎の「オンステージ ともだち」が欲しかったのだが。

 Dエーの専門店でブランド時計の安売り中。普段はまったく興味がないが、年末で気が大きくなっているためか、思わず家人と1つずつ買ってみる。「コピー商品ではありません」とはいうが、ほんとかどうかわかったものではない。しかし、家人の喜ぶこと。

 帰宅し正月録画用のためDVDレコーダーを空にしようとせっせとダビング。

 このところ、お風呂タイムには風呂場を真っ暗にして、王様のアイデアで買ってきた「三色アロマボール」(450円)を湯船に沈めて、ゆったりと入浴。赤、黄、緑の光が心を落ち着かせる。カラスの行水もこのリラックスアイテムで少しばかり長湯に。

12月22日(木)晴れ

「きっこのブログ」と民主・馬淵議員のコラボレーションによるマンション耐震構造偽造事件追及が国民とマスコミを巻き込み、証人喚問に消極的だった自民党を追い詰め、ついに「喚問せざるを得ない」状況に追い込んだ。

 ネットと市民、マスコミの連動。これはもしかしたらネット時代の新しい民主運動=市民運動の萌芽ではないか。普段は権力による恣意的な情報操作の場であるネットが初めてその市民性を取り戻す。これがネット規制の引き金になる恐れもあるが、その時には、ネットを通じた国民運動を盛り上げればいい。
「きっこのブログ」効果は久々の痛快事。

PM6、新宿の鞄屋で修理に出しておいたショルダーを受け取る。修理代1500円。

 PM7.15、京王井の頭線駒場東大前。駒場エミナースで制服向上委員会ミュージカル「ドン・ジョバンニ」。PANTA音楽、高取英演出。主演の松尾真冬はさすがにリーダーらしい柔軟な演技と歌。

 互いに顔見知りらしいオタクが前の席に陣取り、声援と拍手。それも若者系というよりオジサン系……? なんとも異質な光景。
 8・50終演。ロビーに宮台真司の顔。楽屋裏でPANTAと立話。「間食をやめたから」とのことで、スッキリほっそり。楽屋に行ってT橋、高取両氏と雑談。SKi「卒業」のことなど。
PM10、高取氏と新宿の「風紋」で軽く飲み会。
PM11.15、終電に間に合うように家路に。
12月21日(水)晴れ

 10.00起床。日記をまとめ書き。PM3からクリスマスの買い物。

 帰宅して録りためたテレビをDVD−Rにダビング。そうこうしているうちに就寝時間。正月休みまで、寺山修司のラジオドラマはお預けか。

12月20日(火)晴れ

 冷え込みが厳しい。年末進行も佳境。PM3〜4.30、会議で初会合。夕方5時まで会社で仕事。

PM7、天王洲アイル、スフィア・メックスで「スケリグ」。デイヴィッド・アーモンドのヤングアダルト小説「肩胛骨は翼のなごり」を舞台化したロンドン産の舞台。

 新しい家に引っ越した少年が、崩れ落ちそうなガレージで見つけた不思議な生き物。隣の家の少女と一緒に、その生き物の世話をするうち、彼は少しずつ生命力を回復していく。そして、痩せこけた彼の肩胛骨に一対の羽が……。一方、両親は、生まれたばかりの赤ん坊のそばにつきっきり。赤ん坊は生まれつき心臓が悪く、このまま回復するか神のみぞ知るという状態。
 少年と少女、羽のある生き物、そして赤ん坊の運命は……。

 タイトルロールのスケリグはダンサーの森山開次。さぞや、動きのある舞台になるのだろうと思いきや、リーディング劇のようにほとんど動きのない舞台。説明とセリフの英国新劇? 淡々と物語が進むだけで、アクセントなし。退屈この上ない。1時間50分。

 8.50終演。
 10.00帰宅。
横浜の叔母から電話。
気がかりなことが二つに……。


 藤谷治著「いなかのせんきょ」(祥伝社)読了。

 山奥の過疎の村「戸蔭村」で数十年ぶりに起こった村長選挙のてん末をユーモアたっぷりに描いた小説。

 前任の村長が市町村合併や公共事業の失敗で山ほど借金を作って失脚。その後任に推薦されたのが、篤実な人柄で村の将来設計に一過言ある深沢清春。村で唯一つのスーパーの経営者であり、子供の頃から勉強好きではあったが、家の事情で進学を諦め、消防団や地域活動を通して村を見つめてきた63歳。

彼に村長になるよう薦めたのが、大学出のエリート助役。篤実でガンコな男を村長にまつりあげ、院政を敷こうという思惑。ところが、村の有力者たちが、助役の意図を斟酌することなく、「それは絶対まかりならん」というわけで、助役が前言撤回、村長になることに。深沢もいったんは身を引くことにするが、83歳老母に諭され、「村のためにも選挙を戦うべき」と出馬表明。ここに、長年の慣習破りの選挙戦がスタートする。
 村の有力者はすべて助役側。深沢の味方はわずかな身内のみ。勝機は限りなくゼロ。

 東京で広告代理店を経営する弟が、父親代わりに自分を育てた兄の劣勢をはね返すべく、田舎に戻ってくる。都会でキャリアウーマン目指す娘もいやいやながら参上。この援軍は吉と出るか凶と出るか……。 
 「田舎の選挙」を題材にした小説といえば、果てしなく絶望的になりそうだが、これが見事なユーモア小説。明るい「希望」の二字さえ浮き上がる。読み終えて、スカッとさわやか。元気印に。小説はこうでなくちゃ。
12月19日(月)晴れ

 一連のマンション強度偽装事件の黒幕といわれる「総研」の内河健所長。その「総研」の本社ビル(平河町)は首相官邸並みの免震構造であるという。自分の指示で作らせたマンションが骨抜きの殺人マンションで、自社ビルは震度7でもびくともしない免震ビル。これほどわかりやすい構図はない。

 PM5.30、浅草公会堂で恒例の「全国座長大会」。第一部はミニ歌謡ショーと芝居「旅鴉・母をたずねて」。ご存知、番場の忠太郎の母恋物語。

「会いたい時ぁ両のまぶたを閉じりゃあ、浮かんでくるのさ、母の顔が」。
 幼い頃に生き別れた母親を訪ねて江戸にやってきたやくざ稼業の忠太郎。大店の女房におさまり、娘をなした母親は、すげなく忠太郎を追い返す。娘に諭され、後を追うも、忠太郎、再会の日のために用意した百両を路傍に投げ捨て、母と妹の前から静かに身を引く。
「別れて長い年月を、別個に暮らしていると、これほどまでに双方の心に開きができるものか……」

 旅役者たちの、カラオケにのせて踊り・歌うミニショーのチープさが好ましい。このご時世に万札の扇を贔屓の座長の胸元に差し入れる中年のおばさんたち。
 ドサ芝居は芸能の原点だ。歌舞伎役者でございと、今では国宝並みの扱いを受けているハイソな歌舞伎だって、元はといえば「河原もの」。ソフィスティケートされた歌舞伎より旅役者の土臭い芸の方が好き。
 一部が終わり7.15。二部の舞踊ショーの前に退出。

PM8、新富町。キャピトルホテルのラウンジでキングレコードのH内氏と待ち合わせ。寺山修司のラジオドラマCD化・発売はひとえにH内氏の情熱と努力があってこそ。思索的で物静かなたたずまいのH内氏。気がつくと9・30。

 10.30帰宅。
 G紙で唐十郎の連載スタート。
12月18日(日)晴れ

 7.00起床。9.00、S市体育館。「武道大会」で躰道稽古納め。小学生は板の試割り。なかなか割れない子、一発で割る子とさまざま。わが豚児は幸い一発OK。トーナメントも4位。自分のことより子供のことが気になる。

 PM1、褒章授与で終了。上位組が途中、仕事で抜けたため盛り上がりに欠けたのが残念。

PM1.30、居酒屋へ移動。I内先生、H崎先生、T橋先生、I川先生、N先生の6人で先乗り。I内先生が時間までマジック披露。PM2から納会スタート。今年は去年に比べて参加者が少ないが、非常に居心地のいい飲み会。町道場ではあるが、全国的に屈強の支部。それぞれが、躰道をどう発展させるか、酔うほどに談論風発。小学生から壮年まで年齢層もバランスの取れた支部のよさ。

PM5.30。一本締めでお開き。二次会のカラオケに移動するも、寝不足と疲労。で、当方リタイア。家路に。
12月17日(土)晴れ

 土曜はいつも慌しい。

 仕事を早めに終えて、PM2、浦和、埼玉会館大ホールで娘の高校の定期演奏会。今年で最後。去年は遅れて到着したため「今年は絶対見に来てね」と娘。というわけで、急行するも、開演5分過ぎに到着。すでに合唱スタート。最後とあって、すでに舞台上で目がうるんでいる様子。

 会場を見渡すと、生徒の家族がビデオを回したり、カメラを構えたり。

 母が亡くなったのが10年前。まだ娘は小学生だった。習い事のピアノ演奏会を上京した母と見に行ったのが最後だったか。高校生となり、舞台に立つ娘。歌の大好きだった母と父。もしかしたら、会場のどこかで孫の歌を聴いているのだろうか。

 終了後、別ルートで着た家人、息子と合流。あいにく、終演まで面会できないとのことで、家路につく家人。一人残って二部のオーケストラを傾聴。ほとんどが音楽大に進学するとあって本格的な演奏。
 終演後、娘と面会。やはり舞台で泣いていたとか。

PM5・25。上野へ。いつもの居酒屋で同じ田舎の「TGC」飲み会。Mさんは遅れるとのことで、Dさんと7時まで四方山話。

「田舎に引き揚げるつもりだったら早いうちに帰ったほうがいいよ」。

 先日の中学同窓会でKと話したことが最近、時々頭をよぎる。

「年とってから田舎に引き揚げると、周囲の目が厳しい。親兄弟がいればいいけど、たとえ生まれ故郷でも、中年を過ぎてからの帰郷は周囲から疎ましがられるだけ。何かあったら親戚が面倒みなけりゃいけないし、煩わしいと思われるのさ。偉くなって錦を飾るか、小金をためこむか……それ以外の帰郷は田舎に住む人にとっては迷惑でしかない」

 このニュアンスが分かるのは田舎で生まれ育った人だけだろうなぁ。なぜ、自分の故郷に帰るのに、周囲に気兼ねしなければならないのか。都会育ちには永遠に理解できないに違いない。

 定年を迎えたら時々田舎に帰って悠々自適……そう考えていたが、田舎の論理は面倒だ。ましてや人間関係の煩わしさ。

 そんなことを考えていたので、Dさんにも世間話ふうに「田舎に帰る気があるなら、若いうちに……」と、言おうとしていた矢先に、「実は……」と先に言われてしまう。

 思いがけない言葉に一抹の淋しさ。その決断は称えたいが、腹を割って話せる友人がまた一人いなくなる……。

 PM7〜9、近くの居酒屋に移動してオフ会。Mさん、M野さん姉妹が加わり5人。田舎言葉が飛び交う楽しいひととき。

PM9解散。Dさんからもらった柿や魚介。そして、貸してもらった「はっぴいえんどBOX」。電車の中でライナーノーツを読みながら家路に。


12月16日(金)晴れ

 朝から夕方まで脇目も振らずに仕事漬け。パソコンと向かい合う時間が長く、このところ、目に見えて視力が落ちてきた。

PM6、新宿。南口のジンギスカン料理の店で夕食。北海道・富良野の店とか。いつか時間のある時に入ってみようと思っていたのだが、今日がその機会。
 ジンギスカン鍋で焼きながら食するも、タレの味が青森のそれに比べて薄い。肉も薄くて「上品」。定食はなく、麦飯とウーロン茶を頼むが、会計を聞いてびっくり。1870円。高い! 肉980円とメニューにあったのに……。隣席の若い女の子3人組の会計も1万を超えていた。安くてうまいジンギスカンが東京ではこんなにも高くつくとは。これなら自分で肉を買って家で食べたほうがいい。


 PM7、スペース・ゼロで自転車キンクリーツカンパニー、ラティガン祭りの最終公演「セパレーツ・テーブル」。前2作とも素晴らしい内容だったが、3作目も輪をかけて完成度の高い舞台に仕上がった。訳・演出のマキノノゾミの思い入れの成果だろう。

 舞台は支配人ミス・クーパー(久世星佳)が取り仕切る、郊外の小さなホテル。宿泊客の半分は、リタイヤ後の人生を静かに過ごす長期滞在者。

 1幕目はクリスマスの季節。
 ジョン・マルカム(坂手洋二)は、かつて港湾労働者からはい上がり、次期首相とも目された政治家だが、あるスキャンダルで失脚、今ではのんだくれのジャーナリストとして、他の客から冷ややかな目で見られている。ある日、美しく洗練された女性客シャングランド夫人(神野三鈴)が訪れる。彼女を見て動揺するジョン。熱いまなざしを向ける夫人。2人の間に何があったのか……。

 まず、階段状の舞台にテーブル席が遠近的に並べられ、立体的で奥行きのある舞台美術(奥村泰彦)に目を奪われる。

 しかしなんといっても、この作品の成功は配役の妙にある。

 久世、神野、そしてなによりも坂手洋二が素晴らしい。初期の燐光群や、手塚とおると組んだ芝居での「役者」坂手とはまったく違う「新劇」の役者・坂手がそこにいた。実に新鮮。今まで見たことのないタイプの「俳優」だ。役者としての瑕疵はあろうが、そこには間違いなく、心に傷を負い、世間から身を隠すように生きている生身の「ジョン」がいた。たぶん、名のある役者には絶対できない演技だろう。もちろん、神野のサポートがあっての名演だが。

 それにしても、テレンス・ラティガンの作品に登場する男女の心の機微の見事さ。とても翻訳劇とは思えない。それを絶妙に演出したマキノノゾミも素晴らしい。紋切り型にならず、余韻の残る男女の微妙な心理。チェーホフよりも格段に分かりやすい。


2幕は夏。レールトンベル夫人(歌川椎子)は、娘のシビル(山田まりや)と長期滞在中。シビルは人見知りが激しく、人生に消極的。その原因は強権的な母親にあるようだ。ある日、夫人はシビルと仲の良いポロック少佐(菅原大吉)について書かれた小さな新聞記事を発見する。そこには、彼が映画館で痴漢まがいのことをして逮捕されたということ、しかも、少佐の肩書きもウソだということが書いてあった。ホテルを我が物顔で闊歩していた少佐に注がれる周りの視線が冷ややかになり……。

 これまた、絶妙な人情劇。山田まりやの役は自分の意思を表に出せない気弱な娘というわけで、役作りとしては、容姿をふくめて、扉座公演「いちご畑を永遠に」のブスな女の子と同じ芝居。
 菅原大吉もやや大げさな芝居で、一幕とはガラリと芝居の雰囲気が変わるのだが、これは後半への伏線。信頼から軽蔑へと、周囲の視線の変化。そして、終盤の思いもよらない「いい話」へのじわりとした転換がいい。英国の「人情劇」が日本人の琴線にふれる。

 2本合わせて3時間25分の大作だが、いい舞台は見ていても疲れない。特に1幕目は、いつまでもその世界にひたっていたいほど。

 11・45帰宅。
12月15日(木)晴れ

 仕事終わらず、K記念病院の予約キャンセル。

PM5・30、新宿。タワーレコード散策。30周年記念盤のシュガー・ベイブ「SONGS」、「昭和元禄NOW! 第1集」を購入。

 PM7、シアタートップスでモダンスイマーズ★番外公演「さよなら西湖クン」

 客席に中西良太、渡辺哲ほか役者多数。

 草野球チームが部室代わりにしている物置(?)が舞台。メンバーは少年野球チームからずっと一緒。次の試合のメンバーが足らず、スコアラーだった郵便局員を引き込んでなんとか試合を成立させようとしている。対戦相手はかつて、甲子園出場をかけた試合で負けたチーム。
 そんなところに、エースピッチャーでプロに進んだ西湖が帰ってくる。
 高校時代、甲子園に行けるチャンスを自ら潰したのが西湖。大事な場面で未熟な変化球を投げ、打たれたのだ。今もって、彼がなぜその変化球を投げたのか、謎として、メンバーの胸の奥に澱んでいる。あの時何があったのか……。

 若手作家&演出家として上り調子の蓬莱竜太の芝居は若者たちの心の葛藤を描いた、まさにハードボイルドな世界。1時間20分の中にきっちりと独自の骨太な世界を織り込み、揺らぎがない。これほどの自信に満ちた書き手はめったにいない。

 8.20終演。10.00帰宅。
12月14日(水)晴れ

 今日もまた寒い。AM10起床。

 姉歯建築士の証人喚問の日。

 出席を渋ってようやく喚問に応じたというが、その間に重大な証拠隠滅や口裏合わせはいくらでもできたはず。それらが済んだ頃を見計らって、喚問などとは笑止。

 それにしても、このマンション耐震構造書類偽造という稀代の「犯罪」になぜこんなにも警察の腰が重いのか。これは間違いなく「未必の故意による大量殺人未遂事件」ではないか。

 地震が起きたら、死傷者が出るような建築物を作ったというのは、殺人未遂、殺人予備といってもいい。それなのに、尻拭いを税金で賄うとか、偽装離婚で財産保全しようとする社長を誰も指弾しようとしない。

 一方で、反戦ビラを配布した市民運動家が警察に逮捕・起訴される。マンションに立ち入ったのが罪というなら、ピンクチラシや勧誘チラシを入れる業者はどうなのか。

 最近、市民運動に対する、この手のプチ逮捕が多くなっているという。警察が尾行し、反戦ビラを持ってマンションに入った瞬間逮捕するなど、まるで戦前の思想警察だ。ビラ配布という「微罪」で市民を逮捕・拘束しながら、一方で、大量殺人未遂の「巨悪」は見て見ぬふり。構造的な犯罪はいつまでたっても安泰だ。


 こんな不公平がまかり通ったら、フツーは暴動や革命が起こっても不思議ではない。
 人間は、皆が同じように痛みを分かつなら耐えられる。不便でも貧しくても、誰もが同じように、貧しければ、互いに助け合い、生活できる。しかし、不平等だけは耐えられない。特に、法の下の不平等には。

 今日の喚問で、姉歯が一連の偽造の動機を「妻も病気がちで入退院を繰り返し……」などと、あたかも妻の病気治療にお金がかかるから、とほのめかしたのには怒りを通り越してあきれ果てた。「生活のため」との言い訳もおこがましい。一級建築士の「生活が苦しい」がどの程度かは知らないが、世の中には「生活が苦しい」人がごまんとあふれている。
 その人たちが、カネのために人殺しをするか。

 今回の事件の背後には巨大宗教団体がひかえているといわれるが、「妻の病気」を言い訳にするような「信心」でも勤まるのだから、その宗教団体のお里が知れるというもの。

 PM2、下北沢へ。本多劇場でTHE・ガジラ「ヒカルヒト」(作・演出=鐘下辰男)。
 劇場に足を踏み入れた瞬間、奇妙な違和感をおぼえてしまう。……えっ? ここは本多劇場だよなぁ……。

 観客の9割が60歳以上の年配者。それも男女比半々。いつものガジラなら20代の女性観客が主流。しかし、この見事な客の偏り。

 昼公演ということもあるのだろうが、大多数は主演の市原悦子のお客さんなのだろう。
 これはヤバイ、この客層に鐘下の芝居は……と思っていたら、やっぱり、終演後「よくわからない」「寝ちゃった」という会話。

 それでも、上演中は、おしゃべりするオバサンもなく、舞台は粛々と。

 74年に精神薄弱児の収容施設で起きた園児2人の死亡事件。いわゆる甲山事件で25年にわたる長期裁判を闘い、冤罪を勝ち取ったYさんの事件をモチーフにしたもので、主役の市原悦子が冤罪事件が結審した後、再び学園に戻るところから始まる。

 物語は、甲山事件をなぞるように展開するが、もちろん、鐘下辰男の関心は事件そのものではなく、被害者=子供、家族の視点から、物語の空白を埋めようとする。しかし、実際の事件をモチーフにする舞台が陥る危険性がそこにはある。

 甲山事件ではYさんの冤罪は晴れたが、園児の死亡についてはいまだに事件なのか事故なのか、闇の中なのだ。そこに、このような「空白を埋める物語」を持ち込めばどうなるか。

 演劇という虚構があたかも観客に、「空白」を埋めたかのような錯覚を与える。つまり、園児を殺したのは本当は誰なのかという問い。そこには冤罪への疑念さえ生まれる。

 本意ではないだろうが、演劇という虚構によって、冤罪事件は新たな冤罪を生む。Yさんがこの舞台を見たとしたら……どんな感想を持つだろう。

 それにしても、市原悦子はすごい。声の張りといい、微妙な感情表現の巧みさといい、ダントツのうまさ。そして若い! いい意味での「怪物」だ。

 4.00終演。客席にいた流山児氏と楽屋へ。塩野谷正幸、高田恵篤に挨拶。「エレファント・バニッシュ」で恵篤と共演した宮本裕子が来ていたので、おしゃべり。「来年、久しぶりにミュージカルに出るんですよ」と宮本。ここしばらくストレートプレーが続いていたが、里帰り……か。来年は恵篤が「糸地獄」で演出。「雛涼子など旧岸田事務所の女優たちも出ます」と宗方氏。15分くらいでお先に失礼。昼公演だけだから、この後の飲み会は長くなるだろうなぁ。

 帰りの電車の中で、「レコードコレクターズ」今月号「シュガー・ベイブ特集」を読む。12月に、75年発売の「SONGS」の30周年版がリリースされ、そのプロモーションの一環(?)で大滝詠一、山下達郎のインタビューなどを含め、伝説のシュガー・ベイブが大々的に取り上げられている。

「SONGS」から、「ナイヤガラ・トライアングルVol1」、達郎の「サーカス・タウン」、伊藤銀次の「デッドリー・ドライブ」、大貫妙子「グレイ・スカイズ」……シュガー・ベイブは逃したが、ちょうど、いいタイミングで聴き始めたのだった。もちろん、一番好きなのは大瀧詠一だったが。

 思えば、その後好んで聴いたピチカートファイヴ、オリジナル・ラヴ、ヒックスヴィル……と、みなシュガー・ベイブチルドレンなのだ。自分の好きな音楽の原点は75年のシュガー・ベイブに行き着く。2005年版も買ってみようか。


12月13日(火)晴れ


 ようやく本格的な冬の訪れ。朝5・45、暗い・寒い・眠いの三拍子に震えながら駅へ。いつもと同じホームの位置に並んでも、寒くなるにつれて、乗客が少しずつ増えているようで、下手すると席が確保できず、立ち通しになる場合も。気温と乗客の早起きの関係。調査すれば面白いかも。

 「年末進行」で社内の雰囲気もざわついている。常に背中を押されているような気ぜわしさ。

PM4.30、銀座。木屋でホタテ丼1050円。PM5、新宿。時間がたっぷりあるので、いつもは通り過ぎるだけの「王様のアイデア」で、プレゼントを物色。カードマジック、不思議なヘアブラシ、お風呂の中で使う小さな三色照明etc。


 東芝編次いで、タワーレコードに寄り、「ジャパニーズ・ロックン・サイケ&パンク65−71 昭和元禄トーキョーガレージ 東芝編」を。ゴールデンカップス、ガリバーズ、ジャックス、内田裕也、尾藤イサオ……60年代のGS、R&Rのなんというカッコよさ。

 PM6.40、南口の紀伊國屋。清原なつののマンガ「千利休」(1800円)購入。

 PM7、サザンシアターでクラクラプロデュース/劇団道学先生「兄妹どんぶり」(作=中島淳彦、演出=井上思)。初演の感動再び……と思いきや、あれっ? この程度の笑いだったか? とやや拍子抜け。

 演歌歌手を目指す義妹の咲子(谷本知美)を売り出し、ひと山当てようと、大阪からやってきた男(福本伸一)。2人が腰を落ち着けたのは、下町の安アパート。
 咲子が近所のカラオケ居酒屋「歌声」でアルバイトするための面接に訪れたところから物語はスタートする。

 居酒屋の主人(岸博之)は、昔、企画ものレコード「たこ焼き三兄弟」で一発当てたレコード会社の元プロデューサー。その後、鳴かず飛ばずで、今は妻(かんのひとみ)と居酒屋経営。

 この店に出入りする連中がおかしな人ばかり。

 コーラスグループ(学校の先生=朝倉伸二、レコード屋の主人=東海林寿剛、母親の看病をする独身男=前田こうしん、スーパーの跡取り息子=塩塚晃平、海堂亙)ら。

 そこに、夫と妹を追いかけて妻(宮地雅子)が上京する。
 下着ドロに居酒屋の主人の不倫騒動、そして、咲子を取り囲む山師連中の思惑……。「兄ちゃん、私、なんでコブシが回るんやろ……」
 咲子は果たしてデビューできるのか。

 ある理由で世間から身を隠した作曲家のジョージ相原=福島勝美、胡散臭い芸能事務所の社長(辻親八)、下着ドロで刑務所から出てきたばかりという近藤(土屋裕一)が絡んで大騒動。笑って泣ける人情喜劇。トップス初演では最後に、咲子の歌というカタルシスがあったが、今回はナシ。カーテンコールで一曲披露はあるのだが、物足りない。

 しかし、初演と比べての低調ぶりは、やはり座組の違いか。今回のように、外部から役者を借りた座組では、この手の、「あて書き」喜劇の面白さは半減する。福本伸一に不足はないが、やはり青山勝のいかがわしさが一枚上手。宮地のサンシャインボーイズ流笑いのリズムも中島淳彦喜劇にはしっくりこない。

 配役が変わると、同じ戯曲でもこんなに違うものになるという典型。もちろん、水準以上ではあるのだけれど、ウーン、初演の面白さには届かない。

 PM9終演。初日にも関わらず、空席が目立ったのは残念。後方席はほとんど空席。今の日本の喜劇作家でナンバーワンの中島淳彦だが、一般への浸透率はいまいちか。

12月12日(月)晴れ


 長い夢に疲労感。某演劇人が「大麻及び覚醒剤不法所持で逮捕間近」というスクープ情報が極秘に進められており、あとは印刷を待つばかり。しかし、その演劇人は古くからの親友。スクープと友情の板挟みになり、悶々としている。情報を彼に知らせるべきか、しかし、それでは会社を裏切ることになる。その情報はホンモノなのか、それともガセなのか。息苦しいほどの圧迫感。目が覚めても、不快感が残る。いったい何の暗示?

 寒さは本格的。部屋の中にいても足元からしんしんと冷気が這い上がってくる。

 朝からノドの奥に違和感。やや熱っぽい。セキも出る。お腹が張る。これは風邪の症状だ。
 これから年末の追い込みが始まるときに、体調を崩すわけにはいかない。


 予定していたガジラ「ヒカルヒト」の日にちを延期してもらい、早めに退社。

 それにしても、ただでさえ忙しいのに、12月は芝居が多い。パズルのように、観劇日をやり繰りしても、見られない舞台ばかり。エコー、南河内はついにパス。申し訳ない。

 5.00帰宅。

 土曜に録音したFMシアターを聴くが、あきれ果てて言葉もない。これが脚本募集の入選作とは。FMシアターはジュブナイルシアターとタイトルを変えたほうがいい。しかも良質なジュブナイルなら許せるが、今のFMシアターはあまりにも作品の質が悪い。昔のラジオドラマはオトナが作り、オトナも子供も楽しんだ。今はコドモが作ったコドモ向けのモノガタリ。最後に帳尻を合わせればそれがファンタジーになるらしい。
 ラジオドラマの不毛はもはや絶望的だ。

「同居人求む」読了。これまたつまらない作品。新聞広告で募集したアパートの同居人が、次第に自分と同じアクセサリーをつけ、同じ洋服を着、同じ歩き方をするようになる。まるで、彼女の人生を乗っ取るように。映画化もされた作品だが、小説はまるでいいところがない。主要な登場人物が途中で唐突に殺されたり、視点が主人公になったり、同居人になったり、一定しないので、サスペンスが盛り上がらない。久しぶりに大きなハズレ。
12月11日(日)晴れ

 さすがに朝夕の冷え込みは厳しい。ハロゲンヒーターだけでは、暖房に供しないので、ガスストーブを出すも、ガス栓に異常があるらしく、ガスストーブが点火せず。やむなくガス屋さんに連絡。午後から来たガス屋さんは「修理に7000円かかります」と言ったと家人。

 AM7起床で、躰道稽古へ。寒い。
 午後からは餅つき会があり、主だった先生方はそちらで準備。I内、T橋先生と基本技を。2年目でもまだ正しい構えが瞬時に出来ない。躰道とは難しいものだ。

 正午、稽古終了。クルマで移動し、顧問であるAさんの家の近くの集会所へ。すでに、ケンチン汁も作られ、何臼か突きおわったようで、アンコ、キナコ、納豆(!)などにくるまれた餅が鎮座している。

 餅を堪能した後は、近くのお墓の墓石の間を縫って子供たちが走り回り、楽しげな歓声が響く。前は冬の田んぼ。茶色い冬景色が子どもの頃の想い出を呼び覚ます。冬の枯れ田は子供たちの格好の遊び葉だった……。

 PM3帰宅。
 ビデオで「花より男子」を見てから、昨夜放送の「山田風太郎の未公開日記に見る戦後日本」を見始めるも、時間切れ。

PM5.30、再び夕暮れの街へ。
 中野のplanBで行われている市川正さんの天舞艦公演「庸」へ。受付は万有引力のK下さん。planBに来たのは10数年ぶりか。確か、亡くなったマルセ太郎とシティボーイズのジョイントを見に来たのが最後?

 舞台上手に天井から下げられた紗幕で覆われた「蚊帳」のような囲い。舞台に光が射すとその後方から、舞踏手が登場する。剃髪・白塗り。能の所作のような目に見えるか見えないかのスローモーション。床に描かれた光の輪の列をたどるように、ゆっくりと歩みを進める。背景に流れる重低音が心臓の鼓動のように舞台を包む。舞台を一巡したあとは一転して壁に体を打ち付ける激しい跳梁。静から動へ。重く張り詰めた空気が一瞬弛緩し、自在に躍動する肉体が観客を圧倒する。

 再び、紗幕の前に静かに屹立する一個の肉体。静寂の中に、動くものは舞踏手の胸の鼓動だけ。余計な挟雑物が殺ぎ落とされた肉体の中で、ピクリピクリとリズミカルな動きをする心臓はもう一つの「生」の舞踏。

 最後はミラーボールの下、光のシャワーの中で弾むような生命力あふれる舞い。
 タイトルの「庸」の本来の意味は「ことさら新奇な企みをしない、ありふれたこと」を表すが、シンプルで力強い構成と、生身の肉体の力強いエネルギーの発散と、壮年期を迎えた市川の肉体の静寂なたたずまいは、そのタイトル通り、巧まずして舞踏の持つ肉体の愉悦と生命の悠久を表現していたように思う。

 PM8終演。市川さん夫妻に挨拶して家路に。飲み会はさすがにきつい。
 

 PM9.40帰宅。11.00就寝。ハードな1日だった。
12月10日(土)晴れ

 午後から市川正舞踏公演に行こうと思っていたが、昼公演がないことに気づき、予定変更。急遽、紀伊國屋ホールで公演中の劇団1980「行路死亡人考」(藤田傳=作・演出)へ。

 河原でガソリンをかぶり焼身自殺した一人の老人。警察の捜査で、彼は30年前に家族を捨てて、蒸発した男だと判明する。わずかな手がかりから、男の空白の人生をたどった息子が見た父親の人生とは。そして、父が関わった、都会の底辺をはいずりまわる人々の人生……。
 舞台は3つのオムニバス風。

 再婚に邪魔だと、わが子を殺した(と見える)キャバレー務めの女に養われている父、東北からの出稼ぎの末に、行き倒れになり、身元不明者として大学病院での解剖実習に死体を提供された男の献体同意書の保証人になった父、保険金を騙し取るために、自分の体や精神を切り売りする人々を見つめる父……。3つのエピソードから浮かび上がるニッポン低国の暗部。黒い笑いと絶望的な人生模様はまさに重喜劇。2時間15分。

 駅に向かう途中、出版社のM好氏と歩きながらおしゃべり。娘さんの小学校受験で、夜は特訓なのだとか。やはり都会育ちのインテリはお受験にも熱心だ。

 PM7、有楽町。国際フォーラムCで「プレイバックパート2 屋上の天使」。ホリプロ創立45周年記念ミュージカル。ラサール石井の作・演出。

 ビルの屋上のペントハウスに住んでいる母と娘。母親は飲んだくれのアル中女。娘(高畑充希)は屋上から町に向かってゴミを投げ落とし、それを携帯で撮って喜ぶひねくれガキ。そんな、ある日、娘は拾ったアルバムの中に入り込んでしまう。

 アルバムの世界にはカラーの国とセピアの国があり、カラーの国は女王(今陽子)と、写真屋でもある国王(ROLLY)が統治していた。
 わがままな女王は、すぐに腹を立てて、「魔王」のご託宣に従って国民を逮捕する。ラサール版不思議の国のアリス&オズの魔法使い。

 母親は榊原郁恵。「昔はアイドルで、ピーターパンだった」という母親の再生の物語でもあり、「ピーターパン」らしく仰天のあのシーンも。

「山口百恵トリビュート」と銘打っているように、曲目は百恵のヒット曲が中心。しかし、フォーリーブスの「ブルドッグ」などほかのミュージシャンの曲も。
 今陽子が「恋の季節」を歌ったのには大感激。中学時代はピンキーのファンだったのだ。ナマの「ピンキー」が歌う「恋の季節」に陶然。「あなたが耳元で囁いた夜明けは♪」という「涙の季節」も好きだったなあ……。

 曽我泰久とローリーのギター競演など、見どころもたっぷり。風間水希が結構おいしい役。
 ラサールのヒューマニズムあふれる脚本は、同世代として、琴線に触れるツボが一緒。会場がやや広すぎる嫌いはあるが、これだけのキャパ向けのミュージカルとしてはデキのいい方。

 一幕2時間という構成も気が利いている。流山児★事務所で培った経験か。
 開演前にアトリエダンカンのI田さん、K野下さんと立話。
 10・30帰宅。
12月9日(金)晴れ

 PM2、新年号の打ち合わせ。PM4、SMAのW辺さん来社。ピアニスト・岡崎あゆみのCDブックの件。

 銀座・山下書店で「菊地敬一「ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を」(新風舎文庫)、ジョン・ラッツ「同居人求む」(ハヤカワ・ミステリ文庫)、西山賢一「左右学への招待」(光文社・知恵の森文庫)。

 PM6、新宿。新しいセーターが欲しくて何軒かハシゴ。しかし、気に入ったのはサイズがない。靴も今年はロングノーズタイプが流行のようで、ごつ過ぎるのでパス。

 PM7、紀伊國屋ホールで扉座「アトムへの伝言」。近未来、ロボットが社会に進出、その中の一体は人々を笑わせるためのお笑いロボットの役目を担う。売れない漫才師(六角精児)に弟子入りしたカッパ型ロボットくん(山中たかシ)、厳しい修業の末に師匠とのコンビ結成へ。ところが、底意地の悪い、兄弟子の師匠への罵倒に、ブチ切れ、兄弟子に手を上げてしまう。ロボット三原則のひとつ「人間に危害を加えてはならない」に違反したカッパくんは、スクラップ行き。しかし、地雷撤去運動に賛同するカッパくん、自ら志願して地雷を踏んだらサヨナラショーに出演、テレビの生中継することに……。

 物語はいたってベタ。最後のセリフまで読めるのだが、物語半ばにして客席からは地鳴りのような嗚咽が。若い女性の涙腺にはかなり利いたようで……。
 横内作品としては「いちご畑よ永遠に」の方がはるかに胸に響くわけで、そこは世代の差? あまりにも図式的すぎる今回の「アトム」は、横内謙介の「甘さ」が出た作品としか思えない。アトム、ヒューマニズム、反戦、地雷……で一丁揚がりは安易。


PM9終演。PM11帰宅.。
12月8日(木)晴れ

 PM1、会社を出て高円寺へ。北口から15分。唐組のアトリエ。「ガラスの使徒」の配給会社のO倉さん、ライターのI藤さんとPM4まで。唐さんの面白話をたっぷり2時間。
秀和レジデンス
 終わった後、阿佐ヶ谷経由で家路に。夕暮れの町を一人歩くと、と胸を突かれたような感傷に襲われる。日暮れの早い冬の夕刻はかなしい。夕餉の匂い、みんなが家に帰った後、一人残された子供のようなせつなさ。(写真は拓郎が「君はどこに住んでいるのですか、高円寺じゃないよね」と歌った頃、拓郎の住んでいた高円寺のマンション。築40年以上?丈夫ですねぇ……)

 PM6.30帰宅。中野で「非戦を選ぶ演劇人の会」のピースリーディングが開催される日だが、夕暮れの感傷には勝てず、ただただ家路をたどってしまう。帰り道のなんと遠いことか。

 帰宅して家族団らん。きょうも寝しなにトランプ大会。

 姉歯建築士の14日証人喚問決定。が、その日までに無事でいられる保証はない。この手の事件は魑魅魍魎がバッコする。


 イラクの人質事件で若者を見殺しにしたコイズミ首相、そのポリシーである「自己責任」論からいえば、たとえ「官」に監督責任があろうとも、マンション問題は基本的には「民間同士」のトラブル。それが、なぜ、税金投入で幕引きを急いでいるのか。最初から犯人がわかっているコロンボドラマを見ているようなもの。

 地震の被害者、山古志村の住民が仮設住宅住まいを余儀なくされているのと比べても、異常な厚遇ぶり。政治家、とりわけ自民・公明の議員たちはよほど、後ろ暗いことがあるのだろう。

 成田の官製談合問題では民営化以降にも談合が繰り返されていたことが内部資料で判明した。民営化されてコストが下がるどころか、談合によって高額契約が繰り返されていたというのだから、どうしようもない。

 マンション強度偽造事件も根っこは民営化による「効率化」が招いた事件。イーホームズなど、たった2人の検査員で年間2千件の書類を審査していたというのだから、マトモなはずはない。すべて、金儲けのための効率主義が行き着いた結果。「官から民」でコストが下がる、というのもウソ、国民の生命と財産を守るための「審査」がザルになり、今回の場合など逆に高くついたことになる。アホらしい。民営化の幻想に浮かれた国民が、コイズミを支持した挙句の果てが、このザマ。尼崎事故も、国鉄の民営化による効率主義、金儲け主義が招いた未曾有の大事故といえる。

 拝金主義の果てに待っているのは破滅。その道のプロのモラルが崩壊したら、何を信じていいのか。勤勉、真面目、地道……な日本人が作った「世界の信頼」だからこそ、まがりなりにも戦後の「繁栄」があったはず。米国流の市場原理主義の導入が日本を崩壊させるのは時間の問題。その第一の戦犯はコイズミであることはマチガイナイ。
12月7日(水)晴れ

 10.00起床。0.30、歯科医で定期健診。

 午後から家人と買い物。リクエストで、クリスマスプレゼントの前倒し。夕方まで、なんだかんだと雑事をこなし、夜は夜で、家族でトランプ大会。

 田舎の冬を思い出す。長い冬。トランプゲームが盛んなのはそのためだろう。子供の頃から、どこの家でも家族で花札、トランプ遊びをしたものだ。
 マッチ棒を点棒にして、親子で賭けたが、もちろん、親は最後にわざと負けてくれる。

 ドボンにページワン、五十一、ブラックジャック、バタバタ、ばば抜きetcそういえば、青森固有の4人カン、5人カンを教えてなかった。こんど、子供たちに教えなくては。

 昨日の毎日新聞夕刊でみのもんたインタビュー。テレビ司会者になってからのみのもんたにはまったく興味がなかったが、インタビューに答えて、

(前略)「そうこうしていると、警察予備隊が生まれ、それが自衛隊になり、えっ、憲法改正?<自衛軍>を明記だって? 理由はあるんだろうけど。ぼく、はっきり言いますよ。護憲派です。紛争の解決に軍事力を用いない、軍隊を持たない。すごい憲法だと思うね。うちのお袋、国を呪った、と言ってました。しょっちゅうね。ぼくの兄貴が死んで、その通夜におやじの召集令状がきた。たった一枚の赤紙で翌朝には出征ですから。そのとき、お袋のおなかにぼくがいて、翌月生まれたの」(後略)

 「憲法改正には反対だ」と言い切るみのもんた。やはり、「セイ!ヤング」のみのもんただ。熱い時代の深夜放送のDJの心意気が伝わってきて、なんだか嬉しい。

12月6日(火)晴れ

  PM3.30、銀座シネパトス1で「七人のマッハ」。「観る前に日本国憲法の9条を読んでいくといい。9条があってもこういう闘いは出来るのだという見本のような映画だからだ。(中略)侍たちは野臥から百姓を守ったが、マッハたちはテロリストから村民を守るために立ち上がる。タイ国歌がラジオから流れ、それを口にしての決起であるのは、国に対するサービスというより仁義のきりかたである。闘いに国は関与しない」

 という北村想の日記を読んだら無性に見たくなったのだ。

 観客10人ほど。ちょっとさびしい。

 しかし、映画は熱い。麻薬王を急襲する2人の刑事の抜き撃ちシーンから、トラック暴走、時限爆弾爆発まで導入部だけで、もうアドレナリン全開。タイの映画は始めて見たが、ハリウッドならCG特撮シーンを生身の人間が体当たりで演じる、その迫力に圧倒されてしまう。一歩間違えると、死亡事故多発だ。よくぞ、こんなシーンを撮れたもの、という感嘆シーンの連続。主人公の上司の刑事が亡くなった中島らもそっくり、これがまた泣かせる。

 麻薬王逮捕はトバ口。本編は、傷心の刑事が、テコンドーチャンピオンの妹とタイ国境の田舎の村にスポーツ慰問のために訪れたところからスタート。その村の日常のなんと懐かしい風景。平和で穏やかで、子供も老婆も笑顔が素晴らしい。「三丁目の夕日」だ。

 しかし、その村を麻薬王の手下が襲い、阿鼻叫喚の地獄絵図。なんとまあ凄惨で悲痛な……。
 中央の広場に集められた生き残りの村人と、スポーツ慰問団の反撃が後半の映画の展開。そのきっかけとなったのが、ラジオから流れたタイ国国歌の放送。

「人民が作ったタイの政府は真に自由を志し団結を愛し、平和を愛する しかし独立は誰にも抑圧させない」

 国歌の中に人民の自由と独立と平和と希望を歌うタイ国歌。どこぞの「国歌」のように、上一人の繁栄を歌った国歌ではない。

 この「人民の国歌」が引き金となり、すさまじい戦闘が始まるのだが、銃撃戦はもちろんあるが、スポーツ選手たちの、それぞれの特質を生かした戦いが展開されるのがこの映画の見どころ。サッカー選手はサッカーボールで敵を倒し、体操選手は、平均台や段違い平行棒を使った技で敵を倒す。片足がない少年が松葉杖でどう戦うか。彼らの戦いを見ているうちに、中盤から涙がボロボロ。この際、自分が泣ける映画はいい映画、と言ってしまおう。

 なによりも、ワイヤーも使わない、CGもなし。生身の人間の能力の限界に挑戦したアクションは驚異的。それに、出演俳優たち、村人たちの自然な演技。これだけは逆立ちしても日本映画はかなわない。モブシーンに一点の瑕疵もない。日本映画なら、誰かが笑っていたり、素に戻っていたり、絶対、群集シーンでいいとこはない。そこを、タイ映画は奇跡的にクリアしている。アクションだけでなく、村人一人ひとりが最上の役者。

 PM5.20、映画館を後にして、山野楽器店へ。KOTOのセカンドシングル「What's up?」、中ノ森バンドのサードシングル「Oh My Darlin'」、air drop の5stミニアルバム「雪の街」、minkの「e+motion(+スケジュール帳) [LIMITED EDITION]」を購入。KOTO,中ノ森バンドともに、元気いっぱいのガールポップ。久しぶりに食指が動く。

 PM7、青山へ。青山円形劇場プロデュース「ア・ラ・カルト」。遊◎機械/全自動シアター主体で始まったこの公演も17年目。そのほとんどを伴走しているわけで、毎年、この公演に行くと「もう一年が終わるのか」と、感慨にふけってしまう。

 おなじみの白井晃、高泉淳子、陰山泰、そして音楽監督の中西俊博が織り成すレストランでのスケッチ。元父と娘。再婚した母親は離婚したらしい。いかついOLの典子とさえないサラリーマンのタカハシのカップル。典子さんに妊娠の兆候? ペギー富岡、セルジオも健在。

 今回のゲストはフランス人ミュージシャンのパトリック・ヌジェ。これがまた素晴らしい。アコーディオン弾きながらシャンソン、トランペットのジャズ。生のフランス語ってホントいいですね。耳に優しく知的。1871年の普仏戦争でフランスが負けていなかったら、明治政府はドイツよりもフランスに学んだだろうし、徳川幕府が倒れていなければフランスは日本と最も近しい国になっだろう。
 そうすれば、無骨なドイツや、殺伐としたカウボーイ野郎のアメリカ人ではなく、ウイットとエレガンスのフランス人が日本に大きな影響を与えただろう。さらに、フランス語と、発音構造が似ている東北弁が、日本の主流になっていたかもしれない。
 つくづく、無骨な薩長連合は日本の将来に大きな禍根を残した。ま、半分冗談だけど……。

 PM10終演。今回の「ア・ラ・カルト」の成果はゲストのパトリック・ヌジェ氏に負うところ大。大満足の一夜。

 円形劇場制作のO島さん、遊◎機械オフィスのB場さんに挨拶して家路に。



 まさかと思っていた耐震偽造マンションへの公的資金、つまるところ税金の投入があっさり決定した。解体費用80億円を自治体と国が負担するというもの。しかし、80億円で済むはずがない。1000億円単位の負担になるという試算も出ている。こと人命に関わることだから、「当然」と思う人も多いのかもしれないが、大量殺戮予備罪、あるいは、未必の故意による大量殺人ともいうべき犯罪がウヤムヤになる恐れがある。これでは悪質な企業はヤリ得。

「しかる後に企業に責任を求める」というが、自己破産、計画倒産されたらお手上げ。結局、犯罪の尻拭いは我々の税金。しかし、またすばやい対応だこと。国の責任を追及された水俣病などは、発生から45年たってもまだ解決していない。一部の和解金だってたかだか数百万円。裁判所の勧告でも数億円だ。HIVもしかり。国民の生命と安全をいうなら、薬害や公害の被害者はどうなるのか。

 なぜ、今回のマンション構造偽造事件が関係者の逮捕もなく、もたついているのか。一方で、国のすばやい税金投入という不思議。

 「きっこのブログ」http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/を読むと、この事件の背景に巨大宗教組織が絡んでいるとの状況証拠がリアルに立ち上がってくる。なるほど、これでは、今回の事件がウヤムヤになる可能性が高い。そして、そのツケは国民に跳ね返ってくる。増税はその一環。宗教政党に「お世話」になっている大新聞は例によって「住民の安全のために決断した政府に期待したい」とチョーチン記事。

 それを言うなら、事故が起きたら周辺住民のみならず全国民に直接取り返しのつかない被害をもたらす史上最悪の「偽装建屋」である原発にも同様の「心遣い」のある記事を書いて欲しいものだ。

12月5日(月)晴れ

 朝起きると全身筋肉痛。歩行もままならないほど。昨日の筋トレが原因。いきなりスクワットなどやるものじゃない。

 S座S氏からの依頼原稿を断るためにメール&電話。年末進行の慌しさの中では時間的な余裕がない。せっかくの依頼だが、申し訳ない。

 午後4時まで仕事をこなし、PM6、部署の忘年会を銀座の中華料理店で。勝ち抜きジャンケン大会で2位になり、賞金ゲット。ラッキー!


 PM8.30解散。
 9.30帰宅。注文したシャケトバ、明太子、イカの沖漬けなど故郷の味が到着。
 さて、木曜までに、配給会社から借用したビデオを見なければ。

12月4日(日)晴れ

 7.00起床。

 9.00〜12.00、躰道稽古。今日は壮年組も基本技をみっちりと稽古。終了後、18日の武道大会の件でミーティング。その間、本屋で息子を待たせておいたのだが、予定時間をオーバー。慌てて、本屋に行くと、姿がない。駅、スーパー、再び、道場へ。しかし、どこにもいない。まさか、一人で電車に乗って帰れるはずは……。折悪しく、氷雨がパラパラ。冷たい雨に濡れながら、1時間近くも探し回るも見つからず。
 そうこうしているうちに、家から電話。「今帰ってきた」。
 ……たく。

 3.00帰宅。時節柄、もし何かあったらと、心配している親の心子知らずのひと騒動。

 脱力して、夕方まで気力なし。やや回復したので「花より男子」の6回目をビデオで。

 9.00就寝。

12月3日(土)晴れ

 PM2、銀座・博品館劇場で「楽屋の王様」

 小松政夫芸能生活40周年記念と銘打ったギャグ・バラエティーショー。芸能プロ社長に扮した小松が、自分が見聞きした、某芸能プロの社長室を訪れるタレントや昔日の人気者たちとのやり取りを描く一人芝居。もちろん、純然たる芝居ではなく、ギャグを交えたバラエティーショーのようなもの。

 合間にゲストの渡辺正行が登場、吉田照美との掛け合いで笑わせる。渡辺は伝説のコーラ一気飲みを披露。しかし、レーザーラモンの「フォーッ」を連発すのはいただけない。
 最後はニュースショーネタで、シラケ鳥や、電線音頭、小松の親分さんなど、自分のギャグで締め。

 後半、いくつか下ネタが入ったのはちょっぴり残念。客席は高齢者多数で満席状態。後ろの席まで客が入っている博品館は本当に珍しい。

 4.30終演。予定を20分オーバー。

 PM5、市谷に移動。財務省記念館で高校同窓会の幹事会。歩けば10分だが、間に合わないので仕方なくタクシーを拾ったら、道が分からない運転手。3分で着くところをウロウロ。また元の道に戻り再スタート。ワンメーターにしてくれたが、最近のタクシーはホント、素人ばかり。

 PM6、幹事会を途中退席し、池袋へ。東京芸術劇場小ホール1でミスタースリムカンパニー「The Night is still Young」。元祖ロックンロールミュージカル劇団「スリム」の旗揚げ30周年記念公演。

 梨本謙次郎、加賀山伸らOBが久しぶりに参加、いかにもスリムらしいロックミュージカルに仕上がった。

 舞台は1970年頃の横浜のグランドキャバレー。花形ダンサー&歌手のリリー(山本明子)の人気で、店は大繁盛。彼女の才能に目を付け、映画スターにしようと画策する右翼の大立者。そこに、2年前に仲間の金を持って出奔したナシモトが帰ってくる。「こんな日本は飛び出して、アメリカに行って、俺たちの夢を実現しよう」
 一度は裏切られた、仲間だが、ナシモトの言葉に、再び夢がよみがえる。だが……。


 ダンサー、歌手、ボーイ、町の不良、家族に相手にされない中年サラリーマン……時代に流されながらも夢と希望を心に、たくましく生きる人々のエネルギッシュな人生模様。

 満席で客入れに手間取り10分押し。立見も多数出る盛況。リピーターが多いようで、客席では、「あら、今日も来ていたんですか。ワタシ、明日も来るんです。あなたは?」なんていう女性同士の会話も。

 このところご無沙汰で、久しぶりに見たのだが、「集大成」にふさわしく、パワーがすごい。その昔、1980年頃に新宿のDーDAYシアターで初めて見た時の熱気を思い出す。
 成熟とか完成度とか、ウエルメイドとか、そんな「オトナ」の小ざかしいステージを全部吹き飛ばすような、若さという名のエネルギー。これだけは、「成熟」してしまったら目も当てられない。

 MCとバックバンドの音が重なり、普通ならNGだが、その瞬間歌いだした梨本謙次郎のカッコよさといったらない。思わず30年の時代をタイムスリップ。全身の血が沸き立つような興奮。
 さえない中年サラリーマン役の加賀山伸がマイクスタンドを持ってロックンロールを決める。これだ。こういうエネルギーを忘れていた。今の演劇界は、みなうまい芝居、成熟した芝居ばかり。理屈じゃなく、全身で歌い、感情を表現するこのロック魂。両手を前に突き出し、全身で歌い、叫ぶ東京キッド直伝のフィナーレに思わず感涙。
 還暦迎えた深水龍作。しかし、その胸にたぎる血は熱い。

 正直に言って、革ジャン、リーゼントのない最近のスリムのミュージカルにはどこか違和感があり、心さびしい思いをしていたが、再び原点に戻ったスリムを見て、こんなに嬉しいことはない。

 うまいセリフの言える役者はごまんといるだろう。ストーリーテリングに長けた脚本家もたくさんいる。しかし、若者の心に直接訴えかける、熱いミュージカルは、ワンアンド・オンリー。ミスタースリムカンパニーだけだ。キッドブラザース無き今、70年代ロックミュージカルの息吹を伝えるのはもはやスリムしかいない。

 革ジャンで歌う梨本の顔。新劇で見る顔とは大違い。久しぶりに故郷に帰って、自分の言葉で話しているような、楽しげな顔。梨本謙次郎にはスリムが似合う。


 9.20終演。楽屋から出て来た山本明子と立話。龍作氏も元気とのこと。
 久しぶりに、血が沸き立つステージを見た。誰かと話したい夜。

11.00帰宅。

 留守録を頼んでおいたドラマ「終りに見た街」が手違いで失敗。ウーン、FMシアターも録音失敗。
12月2日(金)晴れ

 PM5、渋谷。センター街の蕎麦屋でで鍋焼きうどん1050円。HMVでCD視聴。パルコ地下のロゴスギャラリーで「寺山修司・森山大道 あゝ荒野」展。壁に展示された1960年代の新宿裏通りの風景写真。21日発売の寺山修司ラジオドラマシリーズCDの見本も展示。セピアカラーのジャケットがいい感じ。


 元ジアンジアン跡の喫茶店でコーヒー&ケーキセット。
 PM7、パルコ劇場で「12人の優しい日本人」(作・演出=三谷幸喜)。東京サンシャインボーイズ時代の再演版、パルコ劇場での三演も見ているが、今回は役者陣が豪華。
 浅野和之、石田ゆり子、伊藤正之、江口洋介、小日向文世、鈴木砂羽、筒井道隆、生瀬勝久、温水洋一、堀内敬子、堀部圭亮、山寺宏一。ヤフーオークションではペア券で数万から10万近いプレミアが付いているとか。

 別れた元夫を口論の末に突き飛ばし、ダンプに轢かせた疑いで逮捕された女を裁くのが12人の陪審員。もし、日本にも陪審員制度があったら、という仮定の上で作られた戯曲だが、4年後には日本でも裁判員制度が始まる。そのことを踏まえて見るとまた別の味わいがある。

 最初は11対1で無罪だった評決が、次第に有罪に傾き、最後は……という、「12人の怒れる男」裸足の裁判劇。ヘンリー・フォンダは生瀬勝久。山寺宏一のセリフ回し、キャラが生瀬とかぶるのが難。
 江口もネットで言われるほどダイコンではない。浅野、小日向が一頭地を抜いて達者なのは当然か。

 被害者が飲酒していたかどうか、などという基本的な証拠をネグっての論議など、甘いツメはあるものの、コメディーとしては一級品。この作品があったからこそ古畑任三郎が生まれたのだろう。

9.15終演。一幕2時間弱。
 客席に角野卓造、松金よね子、戸田恵子ら。終演後に挨拶しようと思っていたら、T田さん、途中退席。地方公演の真っ最中だから、駅に向かったのか。

 11.00帰宅。
12月1日(木)晴れ

 I藤、K倉氏とほぼ最終的な打ち合わせ。
 お昼、S目氏と電話。寺山修司ラジオドラマ、12月21日発売決定とのこと。

PM4.20、御茶ノ水。K記念病院で鍼。

akikoPM6、下北沢。ヴィレッジヴァンガードで、akikoの「リトル・ミス・ジャズ・アンド・ジャイヴ」を買う。小西康陽プロデュースらしくオシャレなジャケット。

PM7。ザ・スズナリで流山児★事務所「SMOKE」(作=ケラリーノ・サンドロヴィッチ、演出=天野天街)。日本のテレビ局が若者たちを連れて乗り込んだ、発展途上国のホテルを舞台にしたナンセンス・ギャグコメディー。ケラのホンを天野天街が調理。役者も王者館の俳優が4人参加。それだけで、ふだんの流山児★事務所のカラーが激変する。流山児★事務所の芝居でこんなに笑ったのは初めてかも。中村榮美子が出ているとは思わなかったので、びっくり。やはり飛び抜けて華がある。

8.55終演。ロビーで天野天街氏と立話。「キャスティング=役者の組み合わせが一番大変だった」とか。流山児氏に「飲んでいきませんか」と誘われたが、今日から三連チャン。ここで体調を崩すわけにはいかないので、残念ながらパスして家路に。10.30帰宅。

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