6月30日(金)晴れ

 17.00、神田・神保町。書泉グランデの向いの喫茶店でT氏と打ち合わせ。雑誌社EのA氏と一緒。小一時間、ダベリング。「新企画楽しみですね。待ち遠しいな」とA氏。こう言ってくれる人がいると嬉しくなる。

1900帰宅。電車の中で読みさしだった横山秀夫の「クライマーズ・ハイ」を再開。
6月29日(木)快晴

 夏のような暑さ。

 A氏、I氏の動き活発に。ダミー公表でいよいよ本格始動。

16.20、K記念病院で鍼。
18.00帰宅。途中、ボーダフォンに寄ってプリペイド携帯電話の相談。本体3900円。カード3000円。手ごろか。

6月28日(水)快晴

 そろそろ夏の暑さ。エアコンの使用開始。

 お昼、買い物で外出。
T氏、劇団のH沢さんと電話で打ち合わせ。

 映画「ふり袖太平記」を見る。美空ひばり、大川橋蔵が主演。二人が力を合わせ、安房、里見家乗っ取りを企む悪者たちと戦う時代劇。インディ・ジョーンズばりに隠し財宝が出現するシーンも。日本映画でもこんな気の利いたシーンがあったのかとビックリ。というか、インディ・ジョーンズが昔の映画の焼き直しだったか。セットの豪華さ、ロケ地の風光明媚。これぞ東映時代劇。


6月27日(火)快晴

 相変わらずの5.40通勤電車で会社へ。

 午前中、O川氏から「原稿が出来上がった」との電話あり。昼食抜きで小田急線S模原駅へ。まるで小旅行。小田急線もS模原までは結構遠い。
 駅で事務所のI井さんと落ち合い、原稿をいただく。帰りは原稿の入った紙袋をしっかりと握り締め、居眠りもせずに会社まで。

 14.30、帰社し、さっそく作業に。
1500〜1630までの代議員会を挟んで、ダミー版の完成。トップ以下、デスクに見せると「いいんじゃない?」と好評。
 18.30まで手直し作業。

 19.00、上野・和民でDさん、M田さん、M野さんと飲み会。仕事がひと段落した開放感で痛飲。23.00解散。
6月26日(月)晴れ

 06.30〜16.00、会社。
 1700帰宅。久しぶりにのんびりと。HPのBBSが不調で開けず。こう度々あっては、困る。掲示板を変えようか……。
Bsで放送した映画「逆襲獄門砦」を見る。1956年東映作品。内田吐夢監督。

 維新前夜の北国の天領地を舞台に、農民を酷使する代官と、それに反抗し、蜂起する農民の戦いを描いたもの。弓矢の名人の猟師である主人公の名前が照造。息子の頭にリンゴを乗せて射ることを強いられる、「ウィリアム・テル」を模したシーンも。

 捕らわれた夫や息子に代わって、民衆蜂起の先頭に立つのが農民のおっかあやおばば、つまり女たちだ。60年代に三里塚空港建設に反対した農民たちの先頭に立ったのも、やはり農家のおっかあやおばばだった。体を立ち木に鎖で巻きつけ、機動隊のごぼう抜きにに抵抗した大木よねさん。糞尿爆弾を機動隊に投げつけた婦人行動隊。男は権力に弱いが、女は権力など屁とも思わない強さがある。はからずも、10年後の北総台地の闘いを、この映画は予見していたといえる。

6月25日(日)晴れ

 午後から、従姉の息子Kくんが買い物ついでに遊びに来たので、一緒に食事。同じくらいの年頃のため、仲良くダベる娘とKくん。なごやかな光景。父母が生きていたら、喜ぶだろうに……。

 六ヶ所村の使用済み核燃料再処理控工場で24日、下請け会社の19歳男性作業員が体内に微量の放射性物質を取り込み、体内被曝したという。男性は工場内から出た放射性溶液の放射能の濃度を調べる作業をしていた。両手と右足に汚染が確認。鼻粘膜にも0・7ベクレルの放射能が検出された。「年間許容レベル」の2ミリシーベルトを超える可能性が高いという。

 記事は「医師の診断の結果、男性に異常はなく、環境への放放射能漏れもない」と続くが、目に見える顕著は放射能障害が出るとしたら相当量の放射能を浴びなくてはならない。体内被曝の怖いのは、被爆線量が極微小でもその影響力が甚大だということ。

 放射線のエネルギーは線源からの距離の二乗に反比例する。距離が二倍になれば4分の1。百倍になれば1万分の1。しかし、体内被曝ということは直接、その全エネルギーで細胞を傷つけることになる。体外被曝と体内被曝の大きな違いだ。体内に留まった放射性物質は甲状腺や骨、肺などに集中する。当然、がん発生の確率や遺伝子障害のリスクは大きくなる。

 今現在、「健康に問題がない」などと医師の診断を鵜呑みにするのは、愚の骨頂。原子力災害の怖さを知らない、あるいは知らせないための方便に過ぎない。

 それにしても先月25日に続く、六ヶ所村の体内被曝事故。これが日常化したとしたら……。恐ろしい被爆国ニッポン。
6月24日(土)晴れ

 15.30まで会社で仕事。新企画第二弾のラフを組んでみる。

16.30、下北沢。「ブーフーウー」でT氏と打ち合わせ。そろそろ最終的なツメ。Y田M彦さんのカラーイラスト6点を預かる。

17.20、本多劇場。加藤健一事務所「木の皿」(作=エドマンド・モリス 訳=小田島恒志 演出=久世龍之介)。

 大失敗。勘違いで途中入場。生まれてこの方、20分の遅刻をしたのは初めて。17.00開演を17.30と勘違いしていたのだ。楽しみにしていた作品なのに申し訳ない。

 今回は映像と仕掛けが最初のシーンにあり、それが見ものの一つでもあったのに残念。しかし、途中からでも、十二分に作品のよさは味わえた。

 78歳の父・ロン(加藤健一)と同居する家族たち(次男グレン=鈴木一功、次男の妻クララ=大西多摩恵、孫娘=加藤忍)。しかし、近頃ロンの老化は進み、目が不自由になったため、物をよく壊す。しかも、アラモ砦にこもった英雄の話を毎日、飽かず繰り返す。家族、特に、嫁のクララにとっては次第にその世話が負担になる。思い余って、ロンを老人ホームに入れようとするが、ロンは激しく抵抗する。「あんなところに行ったら殺される」「自分で頭を撃ったほうがマシだ」

 精神的にも肉体的にも疲れ果てたクララはついに決心をする。
「ロンを老人ホームに入れなければ私が出ていく」

 逡巡するグレンは遠方に住む長男(大島宇三郎)を呼び寄せる。16年間、一度も帰ってきたことのない長男。噂では会社を興し成功しているという。だが、彼もまた、最初から逃げ腰。老人ホームの費用週10ドルに難色を示し、週7ドルなら……と泣き付く始末。
 グレンもまた、自分の父を老人ホームに追い払うようで、気が差し、妻になんとか同居するよう頭を下げる。
 しかし、追いつめられたクララは、若い下宿人に、出奔をそそのかし、家を出る決意をする。その様子を垣間見る娘……。
 一家の崩壊……。そして、最後のとったロンの決断とは……。

 タイトルの「木の皿」とは、老いによって物を壊すため、壊れない木の皿で食事を取るよう、嫁に諭されるところから来ている。老人にとってはプライドを傷つけられる、屈辱的なこと。

「老人問題」はどんな家族にとっても切実。

 老親の世話を妻に委ねざるを得ない夫にとって、妻との軋轢は当然覚悟しなければならない。弟に肉親の面倒をみてもらっている兄のやるせない気持ち、祖父をめぐる父母の諍いに心を痛める孫娘の悲しみ。そして、血のつながらない老親の面倒をみながら、自分も年老いてゆくという不安におののく嫁……。しかし、自分の老いが原因で、周囲が「不幸」になっていくのを見つめなければいならない当人こそ最も深い悲しみがある。

 3年前の初演のときはまさしく、自分自身がこの家族と同じような選択を迫られていたのだった。思い出すにはあまりにも辛い日々。舞台の会話のリアリティーよ。

 今回、初演の湯浅実に代わって加藤健一が老親を演じることで多少の不安はあった。50代の男優はいくら名優でも80歳の老人を演じるには無理があるのではないか。
 しかし、そんな心配はまったく無用。再演の舞台はえてして、前回のキャストがダブルイメージされるものだが、今回は加藤健一の背後に湯浅実の影は微塵も見えなかった。つまりそれだけ、加藤健一のロン役が見事にハマっていたということ。

 舞台を見ながら何度も涙ぐみ、カーテンコールの拍手では、こみ上げる涙で視界がぼやけてくる。何度でも再演してほしい、そんな舞台のひとつ。

 19.05終演。楽屋で加藤さんと忍ちゃんに挨拶。

 20.30、東京駅でKさんと待ち合わせ。地下のレストランで軽く食事。楽しいひととき。
23.15帰宅。
6月23日(金)晴れ

16.00、K記念病院で鍼。

19.00、六本木・俳優座劇場でNLT「ハーヴィーからの贈り物」(作=メアリー・チェイス、訳:黒田絵美子、演出:グレッグ・デール)。

 カリフォルニア州の名家、ダウト家の息子のエルウッドは心優しい紳士だが、彼には最近ハーヴィーという名の不思議な親友が出来た。彼の姿は見える人と見えない人がいるが、どうも予知能力等の不思議な力をもっているらしい。
 エルウッドの姉ヴェータは、見えないハーヴィーを誰かれ構わず紹介するエルウッドに困り果てていた。なぜかというと年頃のヴェータの娘マートルが結婚できないのは「妄想狂」のエルウッドのせいだと考えていたからだ。そこで彼をチャムリー精神病院に入院させようとするが、ヴェータ自身が時々ハーヴィーを見ると告白したため、エルウッドの代わりに、彼女が病人と間違えられてしまう。
 しかし、「ハーヴィー」の超能力に気づいたチャムリー医師は、自分の願望を叶えるために彼を探し始めるが・・……。

 まず、エルウッドを演じる寺泉憲が素晴らしい。人を疑うことを知らない、底抜けにお人よし。大人になっても純粋無垢な心を失わず、ある日、突然「ハーヴィー」という190aはあろうかという白ウサギを友人に持ってしまう。そんな純粋な心を持つ青年を飄々と演じる。邪念や疑念といった「不純さ」とは無縁。誰に対しても、やさしく、あたたかい。そんなエルウッド役はまさにはまり役。品がよく、口跡も鮮やか。セリフ回しなど、見事の一語。こんなにも客席にセリフを正確に届けられる俳優は近頃めったにお目にかかれない。俳優らしい俳優。もうじき還暦を迎えるとのことだが、若々しく立ち姿も美しい。川端槇二、木村有里のベテラン2人もいつにもまして好演。

 さて、この作品。喜劇と思えたものが悲劇的になり、最後はハッピーエンド。「ファンタジックコメディーの傑作」の惹句は正しい。
「カッコーの巣の上で」など、知的障害を扱った作品の多くは悲劇的な結末を迎える。しかし、人間への限りない愛と優しさに満ちたハッピーエンドはまた別な意味で、鋭い告発を含む。
 NLTの今回の作品、これからの劇団の財産になるだろう。

 21.05終演。
6月22日(木)晴れ

 16.30、新宿。トップスで初ゲラ持ってT氏と打ち合わせ。途中でI藤K一氏が隣のテーブルに。三島由紀夫、竹中労……日本戦後裏面史を実見するI藤氏。「墓場まで持っていかなきゃならないこともある……」と。
 18.30解散。帰宅。

6月21日(水)晴れ

 0715起床。ゴミ出し。中学へ水泳着購買へ。

 09.00〜11.05、映画「秘剣」(1963年東宝)を見る。稲垣浩監督作品。宮本武蔵に憧れ、兵法者を目指す若者(市川染五郎)。しかし、もはや時代は太平の世。彼を受け入れる時代は終わっていた。暴走する若者を抑えようとする藩の年寄りたち。武蔵との出会いをきっかけに、脱藩し、相手の手首を切り落とすという「秘剣」を編み出し、上意討ちを逃れ、諸国を旅する若者。しかし、兄弟のように育てられた男(長門裕之)との決戦が近づいていた……。五味康祐の剣術小説を元にした作品。武蔵役は月形龍之介。ペシミズムが全体を覆う大作。左ト全、田崎潤、藤田進、清水将夫といった綺羅、星のごとき役者陣。天本英世も端役で出ている。

 このような時代劇が映画館で上映されていたとは。昭和30年代は「大人の時代」だった。

 テポドン騒動で、なにやら普段は冷静な人まで右往左往。しかし、これがよくわからない。これまで核実験を何万回も行い、地球を放射能で汚染してきたアメリカが自分のことは棚に上げて他国の発射実験を非難するのは奇怪な図。テポドン実験に異常に反応する日本人もなんだかなぁ。

 そんなことよりも、米軍の原潜が日本に自由に寄航できるようになったことのほうが重大事。それこそ、日本は米軍原潜の事故で放射能まみれになる。原潜寄航に市民が抗議した流血の時代はどこに行ったのか。
 「政府筋」と、アメリカの流す、テポドン発射実験に踊らされる日本人。まさに情報操作。
 そういえば、最近は中国憎しの風潮も蔓延しているようで、こんな人が、と思うような人でも「中国人ってズルイ、嫌い」と口にする。反中国、反北・反韓……どっかの情報操作は確実に市民を蝕んでいる。

 午後、京都のT氏から電話。ゲラをチェック。
6月20日(火)晴れ

 朝起きたとたん腹痛と吐き気。何か変なもの食べた?

 青年座からFAX。昨日、座長・森塚敏氏が肺気腫のため死去との報。享年79歳。山岡久乃とともに青年座の創立者であり、飄々とした人柄で親しまれていた。青年座の自由闊達、常に新しいものに挑戦する進取の精神、創作演劇の精神を体現する人だった。エラぶらず、まるで風のような自由人。最後の舞台は昨年12月の「パートタイマー・秋子」。体力は落ちていたようだが、セリフはしっかりしていた。最後まで舞台に立つことができ、その意味では幸せな役者人生だったのかもしれない。合掌。

 朝、E本氏からメールで入稿。午後、ダミー修正。イメージがいまひとつ。

 16.30、銀座でホタテ丼1050円。
18.00、青山。こどもの城のレストランでコーヒー飲みながらゲラチェック。

19.00、円形劇場でダンダンブエノ「トリデ〜砦〜」(作=和久田理人&ダンダンブエノ、演出=山西惇)。 

 ノストラダムスの予言を信じていた1970年代。千葉の海辺の古ぼけた旅館で、2泊3日の合宿をする7人の若者たち。地元のサマーフェスティバルに出場するため、楽器を持ち寄り、特訓……のはずが……。若さゆえ、誰もが抱えていた悩みや不安、希望、恋と葛藤を描いた青春グラフィティ。

 シカゴの「長い夜」を演奏したいがために、サックスを買ってしまう主人公に近藤芳正。「先輩」に永島敏行、酒井敏也。チラシを見て参加する女の子に坂井真紀。ほかに、宮地雅子、ぼくもとさきこ(ペンギンプルペイルパイルズ)、山西惇。
 70年代のドタバタの合宿所風景が2006年現在の視点からダブルイメージされたり、不思議な感覚の作品。もしかしたら、彼らは1人を除いて全員、21世紀を迎えられなかった青春の魂魄かもしれないし、逆に、1人だけが過去をさまよっているののかもしれないし……。

 大笑いしながらも時々胸が熱くなる。そんなピュアな男女の青春コメディー。
 役者のコンビネーションが抜群。

 21.15終演。21.45、池袋でM野さんと打ち合わせ。23.00帰宅。

 

6月19日(月)晴れ


 朝、名古屋のA野氏から小包。T取氏からもメールで原稿。午後からダミーに着手。

 1500、退社。王子へ。北とぴあで加藤健一事務所公演。この前、写真を撮り損ねたので、撮影に。N島さんと玄関で待っていたが、カトケンさん、いつの間にか楽屋入り。
 撮影後は楽屋で加藤忍と立話。「結婚・入籍のときは一番に教えてね」と冗談を。山田まりやと草野徹の「熱愛発覚」や、七瀬なつみと若杉宏二の電撃入籍など、小劇場(?)界はおめでた続き。そんな話をしながら大笑い。

 06.30、王子から家路に。途中、K條さんと電話。先日の「あの時代、ヒーローがいた」の話題。杉山某、長尾某、田澤某、この三人の寺山評論本が今後も「タネ本」として使われることに忸怩たる思い。

18.00帰宅。

 佐々木昭一郎作品で使われている下北の風景。1970年前後。海岸に打ち上げられた廃船、どこからか漂ってきたのだろう。その廃船が炎上するシーンがこれ(「四季 ユートピアノ」より)。(左端は「さすらい」から。奥に廃船が見える)



 統一教会の合同結婚式に安倍晋三官房長官から祝電。映像で証拠バッチリだから弁解しようがない。こんな男が次期首相候補ナンバーワンというのだから……。
http://www.youtube.com/watch?v=5sSv38hd6fs&search=%E7%B5%B1%E4%B8%80%E5%8D%94%E4%BC%9A

6月18日(日)曇りのち雨

 05.30起床。08.00、入間市の武道館へ。途中、新秋津でH野さん、Sさん、そしてM山さんら女性陣と偶然合流。一緒に会場まで。

躰道 第31回埼玉県躰道優勝大会。去年に引き続きの参加。
 参加者200人ほど。予選の開始が遅くなり、あとは時間押しが最後まで。自分の出番が終わった午前11時過ぎからは応援部隊。しかし、睡眠不足はキツイ。目の前で激しい攻防が行われているというのに、睡魔に襲われ、立ち姿のまま足元からグラリ。こんな経験生まれて初めて。よほど疲れていたのだろう。試合は壮年実戦が大迫力。やはり技量が違う。閉会の総括でも言及されていたが、今回のハイライトだった。

 18.00、閉会式。Nさんに送られ入間市駅へ。帰りの電車は夢の中。
19.30、帰宅。クロアチア戦まで待てず、早々とベッドへ。21.30就寝。

6月17日(土)晴れ

 寝不足気味。
1500、中野ポケットで東京ハートブレイカーズ「コルトガバメンツ」。「ONEOR8」の田村孝裕の作・演出。

 小学校時代の遊び仲間4人が同窓会をきっかけに、20年ぶりに顔を合わせる。仲間の1人が別の中学に行ったのはなぜなのか……万引きした拳銃と、店を閉じて立ち食いそば屋に職換えした駄菓子屋のおばちゃんの行方は……。久しぶりに才能を感じさせる役者と作家。役者では岡田達也が抜群にうまい。そんなにうまくてどうするんだというくらい達者。キャラメルボックスの有名俳優らしいが、キャラメルは久しく見ないからなぁ、知らなかった……。篠田剛、平野勲人、そして主宰の首藤健祐。4人の息の合ったベストプレイ。

16.50終演。駆け足で駅へ。電車の乗り継ぎも駆け足。1720、初台。新国立劇場中ホールの「アワ・ハウス」に滑り込みセーフ。汗だく。
 受付でダンカンの池田さんに挨拶。

 中川晃教主演、池田有希子、池田成志ら出演のミュージカル。音楽がマッドネスのため、中川の朗々としたソロが聞けないのは残念だが、イギリス産らしく、階級社会を意識したアクの強いミュージカル。最後はハッピーエンド。池田有希子、入絵加奈子・瀬戸カトリーヌの「三人娘」が女子高生。ハイスクール制服が良く似合う。

 幕間にM紙T橋さん、評論家の扇田さんと立話。

 右の並びの席に派手なギャザースカート、帽子、大きな丸メガネのスリムな女性。目が合ったのでよく見るとK田來未。現役のアイドル歌手が劇場に来るのは珍しい。たぶん出演者の中に知人でもいるのだろうと思ったら、やはり出演者のJUNGLEが彼女のPVにも出ているカリスマ・ダンサーだった。
 終演後はカーテンコールが始まる前に係員に誘導されて退出。ほとんどの観客は気付かなかったようだが、さすがに現役トップのオーラを発散。波動となって伝わってきた。

 休憩20分を挟み約3時間。20.30終演。
 アシスタントプロデューサーのS木さんに挨拶して家路に。
6月16日(金)晴れ

 17.00、三軒茶屋。スタジオ・シアタースパーク1の事務所でI田信之さんと歓談。自作の小説を見せてもらう。

19.00、I田さんと一緒にスパーク1でユニット391の「越前蟹が渡る頃」。ヨコザワプロダクションの横沢丈二の作・演出。名前だけは知ってるが横沢丈二の芝居を見るのは初めて。大晦日、日本海の小さな町の寂れた旅館。年に一度の関東の親分衆による大ポーカー大会。しかし、そこにギャンブルが原因で夜逃げした家族が居合わせたことから大騒動に。
 ラストは「テキサスの5人の仲間」風の大どんでん返し。
 役者は達者だし、狭いスタジオをうまく使った演出もなかなか。1時間30分ほどの小品。

 終演後、事務所でI田さん夫婦と飲み会。時代劇全盛時代のスターたちに可愛がられたというI田さんのエピソ−ドが滅法面白い。エッセイにまとめて出版してもいいのでは……。同じ東北生まれ、両親はなく、実家はそのままという境遇も一緒。ただし、I田さんの実家は数千坪の土地持ちとか。世間話に花を咲かせながら23.00まで。栗橋行き急行で家路に。

6月15日(木)雨

 04.45起床。いつもより20分早い電車で会社に。iPodでケイト・ブロウを聞きながらウトウト。
W杯が終わるまでこんな生活が続くと思うと気が滅入る。

 今日会う予定だったが、I田信之さんから「抜けられない用事があり、明日に……」と電話。三茶に行くのは延期。

午前、名古屋の清水教授から電話。寺山修司の連載企画の件。

 16.15、お茶の水K記念病院で鍼。
 18.00帰宅。

 会社の同僚S君に録画してもらった「リスペクト 佐々木昭一郎」を持ち帰り、内容チェック。

 まず、「さすらい」を見る。と、その冒頭の風景に胸がドキリ。今まで何度も見ているのに、なぜ今まで気付かなかったのか。いや、気付いていたのかもしれないが、これほど胸がギュッとしめつけられる思いがしたのは初めて。白砂海岸
白砂
 そこに映っているのはまぎれもない我が故郷。それも今は消えて再び見ることのできない幻の風景だ。

 主人公・ひろしが遠望する海の向こうにある灯台島は間違いなく大間の弁天島。そして、ひろしが壊れた船から下りて歩き出す、その海岸風景は、「白砂海岸」だ。遠くに「天狗山」が見える。簡易舗装の道。砂丘の植物群。嗚呼、なんという思いがけない光景。

 「四季 ユートピアノ」の中で炎上する廃船は、まさしくそこで撮影されたものだが、「さすらい」でも同じ場所がロケに使われていたのだ。もしかして、自分はそのことを忘れていたのだろうか。それとも無意識に封じ込めていたのか。もうじき、原子力発電所の建設地として、白砂青松の地「白砂海岸」は、永遠にコンクリートの下になる。今この時期に再び、昔の懐かしい風景を見せてくれた佐々木昭一郎ドラマ。偶然か必然か。

 故郷の昔をしのばせる風景がもはやフィルムの中にしかないとは。
 21.30、T取氏と電話で打ち合わせ。
 22.00、就寝。

6月14日(水)晴れ

 昨日亡くなった指揮者・岩城宏之さん。「話の特集」の矢崎泰久さんと顔立ちが似ており、よく間違われたという話を聞いたものだ。「反骨」という共通項で二人の間の交流は深く、岩城氏の83年の無党派市民連合立候補へとつながる。また1人、夢を持ち続けた人が消えた。

 0730、ゴミ出しのため起床。二度寝。

 午後から家人と散歩&買い物。夕方帰宅。


6月13日(火)晴れ

 06.35、いつもより15分早く出社。眠い。

 会社ではW杯要員がゾロゾロ。昨夜の対オーストラリア戦は後半6分前の攻防で3点入り、1対3で日本敗退。
 同僚の熱烈なサッカーファンたちによれば、「あの試合で日本が勝っていたら、世界中の袋叩きにあっていただろう」と。

 前半の日本のゴールは明らかにファール。97年のルール改正でキーパーチャージとは言わなくなったが、あのゴール前ブロックは誰が見てもファールなのだという。
「あの1点で逃げ切っていたら、後味が悪い試合になっていた」。

 もっとも、それは主審のミスによるものなのだが。
 それを裏付けるように、オーストラリアのGKに主審が「あれは間違いだった。申し訳ない」と語ったとAFP時事の配信。試合後にも主審は「あの判定が試合の結果に影響しなくてよかった」とFWに話したという。

 オーストラリア紙は「W杯の汚点となる幻覚ゴール」「未熟なエジプト人審判の理解しがたい愚行」と散々。

 しかし、この外電を伝える一般紙はベタ記事扱い。

 自国に都合の悪い事実は隠蔽し、サッカー熱を煽り立てる翼賛報道。アルバイト学生が「日本人はなぜ全員一致で母国を応援しないのか。無関心だったり、負けても笑ってる人間の気が知れない」と大真面目で憤慨していたが、彼のようなプチ愛国主義者が若い世代に広がっているというのは驚き。
 中田英の出身地、山梨県の韮崎では「負けたのにヘラヘラしている」とサポーター同士が殴り合いのケンカになったという報道。ここでもプチナショナリストが跋扈している。

 「愛国者」たちが好きな「武士道精神」には「恥」という概念が大きな要素としてある。すなわち、「恥はすべての徳、善き道徳の土壌である」(新渡戸稲造著「武士道」)。

 つまり、「恥とは、良心に対する傷を感じること、良心に対し痛みを感じ取り、自分の心に対して恥じることである。良心が鈍感になれば、恥を感じなくなる。良心の恥は生産的な恥でありその判断基準は善である。そしてこの恥は自分の行いに誇りを持つ「矜恃」に通じるのだ」というわけ。

 多少でもサッカーを知るものなら、日本の先取点がファールによるものだったことは明白に分かったはず。審判が見逃したとしても、良心が見ている。それを「なかったものにする」のは、恥を感じないということ。恥を忘れ、矜持を失った日本人に「愛国心」など持ち出されてはたまったものではない。

 過ちを糊塗しようとする「愛国心」など愚の骨頂。

 14.30、K藤健一さん、A部さん、K谷さんの3人来社。近所の喫茶店でお茶。黒々とした頬ひげを生やしたK藤さん。旅公演の疲れからか、頬が少しこけている。「木の皿」は老人問題を扱った作品。3年前の初演の時にはまだ父は生きていた。自分にとって最も苦しい時期。芝居を見ながら我が身に置き換え、こみ上げる涙を抑えることができなかったものだ。

 口数少ないK藤さんがときおり見せるお茶目な横顔。

 健康法は、黒酢など色々試しているとか。食べ物にも結構気をつかっているが「無添加の食品にしたいけど、今は何を買っても、添加物が入っているんですからね……」と。


 17.00、新宿。時間があるのでタワーレコードでCD物色。
ケイト・ブロウの「SEA LOVES YOU」、北海道のインディーズバンド「水玉さがし」の「地団駄のリズム」、インディゴのカヴァーアルバム「ワンスモア」、ついでにインディゴの旧譜「マイ・フェバリット・メロディーズ」を。トータル9550円。久々に散財してしまった。


19.00、シアタートップスでトム・プロジェクト「東おんなに京おんな」。岡本麗と富樫真の二人芝居。作者は第10回劇作家協会新人戯曲賞を受賞した大阪在住の「ひょうた」。演出は田村孝裕。


 ある日、京都から上京し、息子夫婦のマンションに転がり込んできた母親。しかし、当の息子は2カ月前に浮気が原因で三行半を突きつけられ、慰謝料代わりにマンションを残し、追い出されている。ひょんなことから息子の嫁と姑の奇妙な同居生活が始まり……というおはなし。頭の中でひねくり出した生硬な単語やセリフが多く、滑らかな会話劇とは言いがたい。最後はなんとか無難にまとめたが、面白さとは程遠い。富樫真は好きな女優ではあるが、その良さを引き出せたかといえば疑問。二人芝居というのはやはり難しい。

 20.30終演。元RKB毎日の演出家・H野氏に電話。寺山修司の「中村一郎」の件。

6月12日(月)晴れ


 長い夢を見ていた。どこかのフォークフェスティバルの準備から、閉幕までの長い経過を当事者として参加し、見ている。鉄柱のヤグラが組み上げられ、客席が作られていく。演奏が始まる。何組ものシンガー。急勾配の客席からずり落ちそうになりながらそれを見ている。手を離すと高いところから、落下しそうという状況はたまに夢で見る。これは何の暗示か。議員に立候補しようとする坊主頭の男とヤクザの衝突。フェスティバルをめぐる内部の諍い。いやはやなんとも長大な夢。

 W杯開幕で、浮き足立つかと思いきや、意外に平静な社内。日本戦が今夜に控えているためか。嵐の前の静けさ。

 1700帰宅。22.00、家族でW杯中継を。前半、日本の先取点を見て就寝。朝がきつい。
6月11日(日)雨

 

 こんな奇天烈な夢は初めて。自分が政務次官かなんかになってる。その姿を自分で見ているのだから、さらにヘン。なんでこんな夢を見たのか?



 躰道稽古。次週が大会なので実質、今回が最後の稽古。I内先生はお休み。代わりにI川先生が参加。さすがに全国大会優勝経験者、技のキレが違う。

 正午まで。着替えてから裏拳の練習をしたところ、右肩に痛み。おいおい。頼むよ、来週、大会なのに。筋肉酷使して、疲労していた所に、強い力を加えたものだから、筋を痛めた模様。幸い傷みは小さく、1週間で治るだろう。

1400、帰宅し湿布。そのままベッドで仮眠。で、目が覚めると1800。休みの一日はあっという間に過ぎ去る。
 夜、ヤクルト・巨人戦でベースの踏み損いによる幻の本塁打を目撃。ショックだろうなぁ。


 7日、アメリカ陸軍のEhren Watada(エーレン・ワタダ)中尉がイラク戦線への配属命令を拒否し、イラク戦争の違法性を訴える会見を行ったというニュースを聞く。

 イラク戦争開始以来、約800人の米兵が派遣命令を拒否し、「逃亡兵」となっているというが、現役の将校がイラクへの派遣を拒否したのは、ワタダ氏が初めて。

 ハワイ州出身のワタダ氏は現在、フォート・ルイス(ワシントン州)に駐屯する陸軍第二歩兵師団第三旅団の最新鋭部隊「ストライカー旅団戦闘チーム」に所属。同部隊は今月末にもイラク北部モスルに派遣される予定。

 ワタダ氏は大学卒業後の2003年に入隊、イラク派遣を準備する中で戦争に疑問を抱いたという。

 今年1月、イラク戦争に抗議して派遣を拒否し、辞職願を提出したが、陸軍はそれを認めず、同氏も撤回する意思のないことから、軍法会議にかけられることになる。

 記者会見で同氏は、「私が従わねばならないのは、憲法であって、不法な命令を下す人たちではありません」と派遣命令をきっぱり拒否した。

「イラクの戦争は私たちのチェック・アンド・バランスの民主的なシステムに違反します。イラクでの戦争が道徳的に間違っているだけでなくて、アメリカの法律の重大な違反でもあるというのが私の結論です。私の就任の誓いは、アメリカの法とその人々を保護して、防御することです。 不法な戦争のための不法な命令を拒否することによって、私は今日、その誓いを実現させます」
 エーレン・ワタダ氏はこう述べている。

 軍隊は国家の暴力装置として機能する。その銃口は国家に向けられることはない。しかし、ワタダ氏のように、国家の欺瞞に気付き、自分たちが本当は誰を保護しなければならないのかに思い当たったとき、銃口の向きは逆転する。かつて、70年安保闘争で、日本でも反戦自衛官が続出した。

「我々は誰に銃口を向けるべきなのか」

 エーレン・ワタダ氏の会見模様動画は以下の通り。

http://thankyoult.live.radicaldesigns.org/index.php?option=com_content&task=view&id=22&Itemid=9

6月10日(土)晴れ

 14.00、両国。シアターXで遊行舎「瓜の涙」。

 泉鏡花の「瓜の涙」「河伯令嬢」を元に、寺山修司が書いたラジオドラマ「瓜の涙」を舞台化したもの。白石征=構成・演出。

 幼い頃に母を亡くした青年。患っていた父親を亡くし、失意のうちに故郷を訪れる。その途中、人買いに連れられた女たちとすれ違う。その中の1人の美少女に目を奪われた青年はいつしか不思議な迷宮の中に……。

 生まれる以前の父親と同化し、父の心中事件を追体験してしまう青年を描いた幻想綺譚。鏡花の作品の一部を付け加え、エピソードを膨らませ1時間45分の作品に。
 ゲスト出演している万有引力の役者陣、小林拓、吉野俊則、高橋優太が万有では見られないキャラクターを演じ、面白い仕上がり。

 終演後、K條さん、白石さんとお茶。ヤフーに出品されているアイ・ジョージのレコードの話をすると、知られざる寺山修司とアイ・ジョージのつながりをK條さんが解説。

 ちなみに寺山修司のJASRAC1位は「時には母のない子のように」ではなく、「あしたのジョー」なのだとか。


 1800、いったん会社に戻り、それから帰宅。

 NHKで沖縄基地問題を考える長時間討論番組をやるのは知っていたが、見ても不愉快になるだろうと思い、避けたが、20.00にチャンネルを回したら、騒音被害に怒りを募らせる沖縄の基地周辺の住民の顔に釘付け。ついそのまま最後まで見続けてしまう。

 しかし、時折り怒声が飛ぶも、すぐに「鎮圧」されてしまうNHKらしい「公平報道」。結果的に額賀防衛庁長官のお説拝聴のシーンが多くなる。

 識者として出演していた斎藤貴男がいみじくも「散々、政府の意向をプロパガンダしたNHKが最後の一日だけ、じゃあ、住民の意見も聞いてあげましょうというアリバイ作りの番組ではないか」と生放送でNHKを批判したが、その通り。オキナワの住民の声も聞きましたよ、というアリバイ番組の性格が強い。

 それにしても小林よしのりの反動性よ。中国人留学生にマイクが回ると、「みなさん、知ってますか。中国は侵略国ですよ」とヒステリックに叫び始める。「日本は中国に何をしたのさ」とすかさず、団塊世代のおばさんが突っ込みヤジ。

 思わず笑ったのは「額賀長官が沖縄住民の前に出てきた勇気を讃えましょう。よその国なら、大臣が国民の前に出てきて同じ場所で討論するなんて考えられませんよ」と来た。バカの上にウルトラがつく漫画家だが、ここまでバカとは思わなかった。「大臣がお出ましになってみなさんの意見を聞く。それこそ日本が民主主義の国である証拠なんです」だと。ピーチクピーチクヒステリックにしゃべるウルトラ反動男。こんな男の書くマンガで洗脳されている若者こそ哀れ。同じように、いかにも右翼結社に属していますという美形風女性の反動的言辞。

 終了近く、それまで発言を控えてきた沖縄の老人が「どうしても基地が必要なら、東京湾に作ればいい。皇居もある。国会も、防衛庁もある。これ以上、沖縄に基地を押し付けるのはやめてくれ」という悲痛な叫び。
 そう。いつだって危険なものを押し付けられる側はそう叫ばざるを得ない。
「原発がどうしても必要なら、なぜ東京に作らないのか」と。

 今日の、討論を見て、一番愕然としたのは、「若者」と呼ばれる学生世代にほとんど問題意識がないこと。マイクを向けられても「考え中です」「よくわからない」「周りの人に聞いても……」

 60〜70年代の怒りの主役は若者だった。今の若者は怒りを忘れた子羊たち。それこそ国家が長年かかって調教した教育効果か。飼育された若者に未来はない。

 NHK、最後は額賀長官のお説ごもっともでお開き。なんという予定調和のバカバカしさ!くだらん。長官や小林のナメた発言にヤジを飛ばし続けた同世代の女性に激しく同意。憤怒が突き上げ、心悸高進。ただひとつだけの拠りどころは、携帯調査による視聴者調査の結果が絶えず反動勢力の票数を上回ったこと。これだけがわずかな救い。


6月9日(金)晴れ

 午後、名古屋のA氏と電話で打ち合わせ。O氏にFAX。17.00、ビックカメラのデジカメコーナー散策。フジフイルムから出たファインピックスF30はAISO3200の高感度。フラッシュなしで舞台撮影するには今のところこれが最適か。4万9800円。価格comの最安値では3万6000円。

 日比谷で都営三田線に乗り換えようとしているところにO氏から電話。申し入れをK氏に伝える。新たな局面。

18.30、千石。中国料理の店で海鮮五目そば1250円。

 19.00〜20.20、三百人劇場で劇団文化座「鈴が通る」。

 佐々木愛主演で三好十郎の作品を。満州で敗戦を迎えた文化座にとっては今年が引き揚げ60周年記念。「鈴が通る」は、1951年にラジオドラマとして放送されたもので、04年に舞台化。今回はその再演になる。

 敗戦から5年たったある村。そめ(佐々木愛)は、毎月26になると、よそ行きの着物を着て、鈴をゆわえ付け、村の役場に向かう。戦死したと思っていた末息子がシベリアで生きていることが分かり、息子を返してほしいと願いに行くのだ。
 そめの通る道に鈴の音が鳴り響く。その音を聞く者は、心の中にそれぞれ見えない波紋を巻き起こす。
 鍛冶屋で働く男、闇米を買いにきた町の男に米を渡そうとしていた後家、荷物を運ぶ馬方……。その音は人々に、忘れてしまいたい戦争の記憶を呼び覚ます。

 この頃の佐々木愛はだんだん母親の鈴木光枝にそっくりになってきた。「おりき」が鈴木光枝の代表作であるように、この作品も佐々木愛の代表作になるだろう。戦争の悲惨さを声高に訴えるのではなく、心の奥底に届くようにじんわりと訴える。地味だが味わい深い作品。回り舞台が効果的。

 制作N山氏に挨拶して家路に。21.30帰宅。

6月8日(木)晴れ

 正午、京都の映画上映&トークショーに赴くKさんから電話。首尾は上々と連絡。

 午後、仕事の合間にビックカメラに行って、DVDーRWを買ってくる。佐々木作品録画のため。
 ところが、スカパー録画はデータDVDでは録画できないとか。16.20、お茶の水のK記念病院で鍼。その帰りに再度、ビックカメラに寄って返品、買い替え。
 銀座・山下書店で横山秀夫「クライマーズ・ハイ」。


 19.00帰宅。「絵本ほらふき男爵」が届いている。ネット時代の利便。こんなにも早く落手できるとは。及川正通のイラストがすばらしい。定価850円。それが1万500円に。落手できただけでもありがたい。

 2100、息子と自転車でコンビにまで買い物に。躰道稽古も休みが続き、久しぶりに二人で道行。なんとはなしに心が弾む。
「階段のある家っていいよね」
 同級生の家の前を通りかかったときに息子がポツリ。
 そういえば、子供の頃から「階段のある、二階のある家」に住みたいと言っていたっけ。その願いを叶えることはできなかったが……。

 
6月7日(水)晴れ

 ネット検索したら「絵本ほらふき男爵」が何件かヒット。しかし、すでに終了しているオークションなどのデータ。ようやく1件だけは生きていて、注文したら「在庫あり」の返事。1万500円。

 07.00起床。KさんにFAX。小一時間で返信電話。寺山修司の稀少本は10万以上がほとんどとか。O川さんにプレゼントするから、もう1冊あれば……とは言うものの、結局神田の古書店の1冊のみ。

 朝、ちょっとしたトラブルで、豚児を学校までタクシーで送っていくことに。

 帰宅し、市川雷蔵の「手討」を見る。63年大映作品。

 幕藩体制が確立し、徳川の親衛隊・旗本たちが無用の長物となった時代。外様である加賀百万石に遠慮して、不平旗本の白柄組を押さえ込む幕府中枢。

 その白柄組のリーダーに祭り上げられたのが青山播磨。彼はお菊という侍女と相思相愛の仲。いずれは夫婦にと誓い合っていたが、白柄組の暴走を抑えるために老中が画策、加賀藩内小藩の姫を播磨に嫁がせようとする。知らずに見合いの席に赴いた播磨。一方、お菊は播磨の心を計りかね、青山家家宝の皿を割ってしまう。その皿を割ったものは手討にされるという。
 姫との見合いを破談にし、屋敷に帰った播磨は、お菊が自分の心を試したことを知り、激情にかられるが、お菊を許そうとする。しかし、お菊は愛する人の心を試したことを恥じて、播磨に手討にされることを望む。

 純白の花嫁衣装に身を包んだお菊の遺体のそばで、白柄組の責めを一身に負って切腹する播磨。
 ……「番町皿屋敷」を元に、武士の意地と純愛を描いた岡本綺堂原作の映画。
 有名な怪談話がこのような純愛物語になるとは。市川雷蔵は無論のこと、お菊役の藤由紀子の清純さ、冒頭で凄惨な切腹を遂げる若山富三郎(当時は城健三朗)の豪胆ぶり、昔の時代劇には品があった。

 17.30〜20.00、久しぶりに理髪店へ。長めにカット。

 2200就寝。
6月6日(火)晴れ

 100年に一度の6並び、「666」。映画「オーメン」で有名になった不吉な数字。

 新約聖書の「ヨハネの黙示録」の第13章第18節「思慮のある者は獣の数字の意味を考えるがよい。それは人間の名を指す数字である。その数字とは666である」に由来するものとか。

 皇帝ネロのギリシア語表記をヘブライ文字に置き換え、数値化する(ゲマトリア)とその和が666になる。666は迫害者ネロを指すという説。

 最近では9・11テロが起きたニューヨークに関する「666」説も。アルファベットAからZまでを「1から26」に置き換え、「NEWYORK」という文字に「獣の数字である6」をかけていくと「N」は「14×6」、「E」は「5×6」……。全ての文字「84、30、138、150、90、108、66」を合計すると「666」になると言うもの。
 しかし、日本の硬貨(500円、100円、50円、10円、1円)を足すと「666」。日本の経済は悪魔の経済?

 ただ、最近、英バーミンガム大学の新約聖書研究家D・パーカー教授の研究により、「獣の数字は616である」という説が有力になっているという。

 エジプトの遺跡から発見された最古のギリシャ語によるヨハネの黙示録の紙片を最新の写真技術で解析、研究した結果から、「666」ではなく「616」が正しかったとなる。これまでの暴君ネロ=「666」が覆り、残虐皇帝カリギュラが「616」になるのだとか。

 数字マジック=「ゲマトリア」はどんな場合も答えを用意するものらしい。

「666」に忌まわしいものを感じたのは、1978年の栗栖弘臣統合幕僚会議議長による「自衛隊は,首相の防衛出動命令が出ないと武力行使できないが,いざというときには超法規的行動をとらざるを得ない」といういわゆる栗栖発言。この発言によって栗栖は解任されたが、当時の福田首相は防衛庁に対し、有事立法・有事法制の研究促進と民間防衛体制の検討を指示。結果的に、栗栖発言は急激な右傾化・反動化の流れを作る事になった。この翌年、6月6日に、自衛隊法は改正されたのではなかったか。

 そして、2003年6月6日は有事立法=「有事法制関連3法」(武力攻撃事態法、改正自衛隊法、改正安全保障会議設置法が制定された日でもある。確かに6は忌まわしい数字ではある。


 午後、仕事の合間を見て、名古屋のA野氏、そしてK條さんと連絡。
 1600、銀座でK上史津子さんと打ち合わせ。

 山野楽器でコンピアルバム「AFTERNOON TEA MUSIC FOR HAPPINESS」。照屋実穂「祝婚歌」、土岐麻子「ウィークエンドの手品」など、心に響くハッピーソング。

18.00、I藤氏に急遽頼まれたスチールを借りるためK氏のマンションに。超高層マンションの上階からの景色のすばらしさ。イラストレーターのO川氏に連絡を。
 20.30まで。

 2100、上野・和民で飲み会。MさんとOさん。3人で飲むのもあとわずか。
「人と別るる哀しみは海一寸に青みたり……」
 23.30まで。
 24.00帰宅。
 ネットで寺山修司の「絵本 ほらふき男爵」を探すも稀少本。ネット古書店に注文するが、売り切れの可能性も。
6月5日(月)晴れ


 村上世彰逮捕前の緊急会見。慌しい一日。

14.30、新宿。京王プラザの喫茶店「樹林」。Kさん、Jさん、Tさん、E本さんの5人で打ち合わせ。RさんはJさんとコンサートの打ち合わせをしていたとかで、先に引き上げ。
1700まで、ブレイン・ストーミング。Eさん、さすがに発想が柔軟。面白いアイデア次々。
 第1回の概要固まる。

 18.00、Tさんとツメの打ち合わせ。19.00帰宅。

 豚児は一昨日の運動会の代休で、ディズニー・シーへ。帰宅は2200。干渉をいやがる年頃に。親はちょっぴり淋しい。自分の両親も同じ思いをしたのだろう。それもたった15歳までしか同じ屋根の下で暮らせなかったから淋しさはひとしおだったに違いない。


6月4日(日)晴れ

 睡眠不足と、マッサージのもみ返しで体の節々が痛み、このまま稽古をするとこの前の二の舞になる……と言い訳をして09.00までベッドの中。

 お昼、従姉の息子K君と従妹の娘Sちゃんを迎えに駅へ。二人とも今年の春から社会人としての新生活をスタート。割と住居が近いこともあって遊びに来てくれたのだ。
 近くの和食レストランで食事。その後は家に来て団欒。Sちゃんは食事もそこそこに仕事に。日曜も仕事とはかわいそう。

21.00、K君を送って駅へ。家族が増えたようで子供たちも嬉しそう。
6月3日(土)晴れ


15.00、阿佐ヶ谷。ザムザ阿佐谷で劇団A☆P☆B−TOKYOの「狂人教育」。

 寺山修司の人形劇を元にした作品で、「毛皮のマリー」「書を捨てよ、町へ出よう」などをコラージュ。これが意外としっかりした作り。

「家族の中に1人だけ狂人がいる」「その狂人を探して抹殺しなければ……」
 猜疑心と妄想の果ての破局。

「ファシズムの恐怖」というテーマを明快に浮かび上がらせる演出は見事。
 昭和精吾の語り・絶叫は身震いするほどいい。口跡も鮮やか。まだまだやれる。川上史津子の少年役もなかなかのもの。もともと端正な芝居をする女優だから。セーラー服姿が似合う万有引力・村田弘美はセリフ、芝居とも劇中ピカ一。

 4.40終演。高野美由紀、昭和精吾さんに挨拶。昭和さん、足を台車に引かれたそうで、痛々しい。

 17.00、珈琲茶館でSザーとお茶。「宝探し」の打ち合わせ。30年前のエピソードに興味津々。アイデアが泉のように湧いてくる。

19.00、京王線八幡山駅。K藤絵里さんと待ち合わせ。
野戦之月 海筆子「海峡と毒薬」。

 高井戸陸橋下のテント。開演時間が近づくにつれ、観客が続々と集まり、桟敷席はびっしり。
「山椒大夫」、「小栗判官照手姫」「身毒丸」など中世説経節をモチーフに、満州、台湾、日本のハンセン病療養所を往還しながら、阿片で作られた虚妄の満州国に巣食う岸信介ら昭和の妖怪がバッコする歴史の闇と斬り結ぶスペクタクル。

 猥雑かつエネルギッシュ。郷愁覚えるルーツ・アングラ劇。このような始原のアングラ芝居を上演しているのはもう桜井大造しかいない。

 22.15まで、2時間30分ノンストップ。息をもつかせぬ面白さ。
 後半でようやく桜井大造登場。それも土中から現われるのだから仰天。土遁の術か。
 体調のせいか、頬がこけ、青白い顔。体重を落とし、それが推移しているとか。しかし、ド迫力は変わらず。観客に媚びない、最後のアングラ役者&インテリ作家桜井大造。その芝居が見られるという幸福。

 終演後、K藤さんの友人Uくんと合流。打ち上げの席に。近所からの苦情が出ると警察が排除にやってくるため、小声での酒宴。公演が終わるまでは警察権力との衝突を避けたい意向。

 元風の旅団のT氏に誘われたとかで、元梁山泊のO島氏、S永さんが来ていたので挨拶。桜井氏によれば、やはり、桜井氏の姉の嫁ぎ先と自分の母方のルーツは同じかもしれないとのこと。「元をたどると青森だということですよ」と桜井氏。もっとも、北海道Y家はインテリの家系らしいが。

 23.00、テントを辞してK藤、Uくんと家路に。ばらちづこさんと息子の龍さんの二人とは新宿駅で別れの挨拶。なんとか終電に滑り込み。25.00帰宅。

6月2日(金)晴れ


 村上ファンド捜査で、仕事は朝から超ハード。
しかも、若杉宏二が七瀬なつみと入籍、妊娠の報。サンスポのすっぱ抜きだが、今日の「笑っていいとも」に七瀬が出演するので、そのルートから流れたものか。さっそく流山児に電話すると「オレも今日初めて聞いたんですよ」というが、ま、七瀬はタレント。CMスポンサーとの兼ね合いもあることだし、妊娠・入籍は身内にも秘密だったのか……も。しかし、若杉が七瀬と……。アングラ劇団の俳優と有名女優の組み合わせ。かつての流山児祥・山口美也子もその伝でいえば……。

 あまりにも肩凝りがひどいので16.00〜17.00、上野癒処でマッサージ。

18.30、新宿。シアター・トップスで夫婦印プロデュース「満月」。菅原大吉、竹内都子夫婦が舞台で共演。作・演出は水谷龍二。

 家電メーカーの人事部長と一杯飲み屋のおかみ。それぞれ家庭があり、娘と息子が1人いる。ある日、その娘と息子が駆け落ちしたことから、サラリーマン氏が飲み屋のおかみのところに、二人の居場所をさぐるため談判にやってくる。
 飲み屋の二階を舞台に、二人の親同士が丁々発止の舌戦を繰り広げるが……。

 実に見事な人情喜劇。携帯を小道具としてうまく使い、二人の登場人物以外の第三者の存在から微妙な人間関係を想起させる。

 くすぐり笑いに逃げず、正攻法の会話劇。中身が濃い。
 1時間45分。時間もちょうどいい。
 万代氏、I井久美子氏と立話。芥正彦は「東京タワー」に出演しているとか。

 8.15。終演後、M新聞のT橋さんとトップスのバーで一杯。名古屋の寺山学会の資料を提供。白井晃、高泉淳子の話題など。

 2300、帰宅。

6月1日(木)晴れ

 13.30、K條さんが「人生万才」のバックナンバーを持ってきてくれる。ミニクーパーで颯爽と現われたK條さん。カッコいい。さすがは往年のスター。

16.00、六本木。「草迷宮」の打ち上げで会ったK藤絵里さんと「貴奈」で待ち合わせ。フットワークのいいK藤さん、プロジェクトで活動してくれそう。

 1700、打ち合わせを終えて家路に。

 プロジェクト始動で、気が高ぶっているのか、電車の中で居眠りすることができない。目がさえてしまい、到着駅まで頭の中はヒートアップ。

1600帰宅。
 I田信之氏から電話。15〜18日の演劇祭の件。シーザーとはザムザで待ち合わせの件。

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