10月31日(金)晴れ

 居間では昨日からストーブを出して使っている。しかし、まだ掛け布団は使わず、毛布とタオルケットだけ。11月になろうとしているのに、この暖かさ。

 10月26日、フリーター全般労働組合執行委員会が企画した麻生太郎邸拝見「リアリティ・ツアー」に参加した人が3人逮捕された事件

 こんなにもあからさまなでっち上げ事件はないだろう。

 さしもの警察もネット時代の「利器」を侮っていたか、何も考えていなかっただろう。ネットにアップされた動画を見れば、3人の逮捕が警察によるデッチあげ不当逮捕であることは火を見るより明らか。動画は雄弁。デモ参加者に警官が体当たりし、抗議した瞬間「公務執行妨害」。60〜70年代の学生運動、市民のデモ隊への不当逮捕のほとんどが同じやり方。当時はビデオもなければネットもない。警察発表をマスコミがタレ流すだけ。今回の不当逮捕についてもテレビのニュース番組は「警官に対する暴力行為で男を逮捕」と警察発表。善良な視聴者は、さも、恐ろしげなデモ隊が警官に暴力をふるい、逮捕されたと思う。

 しかし、ビデオがとらえた逮捕の瞬間は、警察の体当たりと指揮者と思われる私服警官の「公務執行妨害!」の金切り声。

 しかも、「ツアー」の一部始終を撮っていたビデオに映っていたのは、警察が事前に参加者をいつ逮捕するかを打ち合わせている場面。なんのことはない、指揮官の「ゴーサイン」の瞬間が「公務執行妨害」逮捕なのだ。よく聞く「不当逮捕」がまさに「不当逮捕」であることを目の当たりにすると恐ろしくなる。

 元自民党政治家で、自治大臣、国家公安委員長を歴任した白川勝彦氏が2004年11月に、渋谷道玄坂の路上で4人の警官に職務質問され、渋谷警察署に「同行」するハメになった事件のことはまったく知らなかった。

 元警察のトップがその末端の警官に延々と職務質問を受け、容疑者扱い。顛末はまるでマンガのようだが、現実だから恐ろしい。

 白川氏が言う。
「しかし、このようなことが許されるようになれば、日本という国はあっという間に警察国家となることは明らかです。警察国家になった時、その国の国民がどういうことになるか、これもまた明らかです。残念ながら、日本の警察にも、日本という国家に対して、私はそれほど楽観的になれないのです。そのような考え方は、決して危険思想でもなんでもありません。そもそも、自由主義というのは、権力への不信から出発した思想なのです」(HPから)

 今回のツアー参加者への不当逮捕事件は日本がほとんど警察国家に片足を突っ込んでいる証拠といえる。
 国家安寧を理由に国民の自由を奪う政治体制は自由の国・アメリカでも進行している。その子分の日本が追随するのは当たり前か。


 1600、上野でマッサージ。
1930、青山円形劇場で鹿殺し「電車は血で走る」(作・演出=丸尾丸一郎)。
10月30日(木)晴れ

 萩原朔美氏の著書「死んだら何を書いてもいいわ―母・萩原葉子との百八十六日」をいただく。

 「ずっと離れ離れに暮らしてきた。ところが、ひさびさの電話で呼び出されてみれば、家の中は滅茶苦茶で、すぐ介護が必要な緊急事態。その日から、親を怒鳴ってばかりの息子と母の、最期の同居生活が始まった……」。母の死から3年。「喪の仕事」として書き綴った母への鎮魂歌。

 入院してたった2日、子供の手を煩わせないように急逝した萩原氏の母。母一人子一人。
 自分の母もまた長患いしないまま旅立ったことを思い出し、涙。子に負担をかけまいとする母という存在のかなしさ。

 1620、K記念病院で鍼。1800帰宅。豚児の誕生日。

10月29日(水)晴れ

 1610、新宿ピカデリーで「イーグル・アイ」。新装なったピカデリーに初めて足を踏み入れる。バルト9と同じような作りの今風マルチ映画館。3階で切符を買って11階まで移動。映画1本を見るのに手間が掛かること。
 「2001年宇宙の旅」のHALの叛乱の2008年版? 現実的だけに怖さは格段の違い。コンピューター社会はいずれ人類を滅ぼす。

 1930、三鷹。星のホール。イキウメ「「図書館的人生Vol.2盾と矛」攻めるものと守るもの。武器についての短編集」(作・演出=前川知大)。

 今、一番知的な芝居を上演する劇団。しかし、当方の体調やや悪し。第1話「賽の河原で踊りまくる『亡霊』」の知性あふれる笑いに大満足したにも関わらず、二話以降は睡魔との戦い。睡眠不足がたたってせっかくの舞台も集中できず。残念。好きなテイストの作品ばかりなのに……。三鷹で終演2200というのもちょっと。おまけに人身事故で中央線はベタ遅れ。帰宅2330。

 10月28日(火)晴れ

 1400予定の更改が30分遅れ。

1430、南河内のN藤さんと奈良さん来社。近所の喫茶店でお茶。12月公演の情宣。いつものことだが、話は釣りやら競馬やらに拡散。南港のそばに引っ越したというN藤さん。夜釣り三昧とか。「クロダイが釣れるんですよ」。工業地域なので、さすがに食べられないらしいが。

 Kさん風邪でお休みメール。早めの帰宅。

10月27日(月)曇りのち雨

 雑事に追われ一日は終わる。
夕方、ラジオドラマの整理。「ラジオサーバー」という文明の利器があるため、以前ように録り損なう事もない。3月に購入し、自動録音したFMシアター、アドベンチャー数十本。パソコンにデータ移動して名前をつけて保存。しかし、FMシアターはちまちました家族劇かありきたりなマンガチックファンタジーばかり。もはや大人の聴く番組ではない。海外ドラマシリーズがなければまったくの不毛。

10月26日(日)晴れ

 買い物など雑事で一日は瞬く間。

 「野戦の月海筆子」が載っていると裕作さんに聞いたので週刊金曜日を買いに本屋へ。

 同じ号に「炉心地近くに飛び地を抱える大間原発のいま 土地買収を拒絶する母と娘二代の闘い」の記事。筆者は青森出身の世界的ジャーナリスト・鎌田慧氏。

 2年前に急逝した熊谷あさ子さんに遺志を継ぎ、居住地の函館から月のうち20日間を大間の「あさこハウス」で過ごす長女・小笠原厚子さんの生活と信条を追ったドキュメント。

 熊谷あさ子さんが生前に立てたログハウス「あさこはうす」は大間原発炉心からわずか250bの位置にある。土地買収に失敗した電発が炉心の位置を移動したからだ。

 大間原発は「着工」したと新聞は報道するが、原子炉格納容器などの建設工事計画は認可されているわけではない。周辺建屋工事を申請して許可を得、その工事をしているだけ。つまり、外堀を埋めて、既成事実を積み重ねているだけの話だ。

 既成事実を積み重ねて外堀を埋め、がんじがらめにしてから実質的に城を攻めるというのは昔からある手口。日本人は既成事実に弱い。「巨額のカネを使ってここまでやったのだから、いまさら反対したらそのカネが無駄になる」「それでもいいのか」と。

 小笠原さんの母・あさ子さんは「畑を売るな」という父の遺言を守り、原発の執拗な土地交渉を頑としてはねのけた。
「きれいな空気ときれいな水ときれいな海があれば、人間はみな平和に暮らしていける」

 生前のあさ子さんはそう言っていた。しかし、原発建設が既成事実となると親しかった人たちも彼女から離れていった。

 大間原発は世界初の「フルMOX炉」。全炉心にプルトニウムとウラン混合酸化物(MOX)燃料を入れて燃やす。これがいかに無謀なものかは、MOX燃料3分の1の「プルサーマル計画」でさえ反対論が強く、いまだに実施されていないことからもわかる。

 プルトニウムはわずか数グラムで世界中の人間を死滅させることができる放射性物質。

 その下に活断層の存在が疑われる大間原発で最悪の事故が起こった場合、その被害は日本だけにとどまらない。もちろん、その前に大間周辺、青森から北海道の一部の居住民のほとんどは急性障害で死滅するだろう。

 アメリカのスリーマイル原発事故の時、周辺8`の住民は緊急に避難した。大間原発は町の真ん中にあるといってもいい。町民はフルMOX原発の実験材料か。「どうせ事故が起こっても人口8000人の町。下北周辺を合わせても10万人以下の地域。被害はたいしたことない」ーー為政者はそう考えるものだ。

 東京湾という原発に最適な立地場所があるにも関わらず、人口の少ない僻地・僻村に原発を集中させる理由はほかにない。
 何億、何十億という交付金、補償金を積み上げられても命に勝るものはない。

 せっかく「大間マグロ」で全国から注目されているのに、「原発の影響はない」と言い切る町長。がっかりだよ、金沢町長。

 大間原発が世間の耳目を集める時が来て、それでも消費者が「大間マグロ」を買い続けると思ったらそれこそ大間違い。しっぺ返しを喰らわないうちに引き返したほうがいい。
 


10月25日(土)晴れ

 亡くなったアーティストと現在活躍するアーティストが映像でコラボレーションするのを見ながら、ふと考えた。

 歴史上の人物の声を、その骨格や身長から推定し合成することが可能なら、死んだ人の声のデータがあれば、会話を再生することもそのうち可能になるのでは。とすれば、テレビでこんな番組がそのうちできるかもしれない。死んでしまった有名な歌手とファンの対話。低コストになれば、コンピューターを介して、死んだ人との会話が一般的にも可能になる。もちろん、「癒し」としての。20年後、「死んだ家族との再会」をビジネスにした会社が生まれているかも。……コンピューター時代の恐山のイタコの口寄せか。

 1400、恵比寿。エコー劇場でテアトル・エコー「フレディ」。

 ”フランスのヒッチコック”ロベール・トマの作品。不況時代のフランス。サーカス一座も観客減で青息吐息。そんなとき、一座の花形クラウンで座長のフレディが強欲金貸し婆さん殺害の嫌疑をかけられる。身におぼえはないのだが、この事件で無罪を勝ち取れば一座は安泰。出世を望む警察官との取引に応じて被告席に。案の定、世間の同情が集まり、裁判は無罪に。
 しかし、その直後、真犯人が現われ、フレディを恐喝。が、この真犯人も実は……。

 どんでん返しに次ぐどんでん返しはフランス式正統派コメディー。フレディ役の安原義人はベテランらしい風格と軽快さ。訳・演出の上原一子もテンポよく、現代風の演出。遺産相続人・きっかわ佳代もチャーミング。息子役の川本克彦はエコーらしからぬ二枚目俳優で芝居もうまい。特筆は脅迫者役の杉村理加。ミュージカルなど、外部出演が多いので本拠地・エコーで見られるのは僥倖。芝居の上手さはダントツ。美人でコメディーセンスも抜群。今回のようなコメディーの王道のような作品の、その中でもカギとなる人物を演じられるのは彼女をおいてほかにない。彼女が尊敬するというルシル・ボールを髣髴とさせる芝居に大笑い。

 サーカスが舞台とあって、若手俳優たちは長期間、サーカス教習所に合宿してさまざまな芸を教わったとか。そのかいあってアクロバットチームの男女の芸は役者の域を超えている。役者はすごい。
 休憩10分はさみ2時間40分。

1900、明大前。築地本願寺・和田掘廟所でオルガン・ヴィトー「バロウ2008」。

 テント内に2本のレール。開巻、テント後方が開くと、そのレールが延びていく先からトロッコに乗った男や女たちがゆっくりと近づいてくる。スモークと照明に浮き上がる異形の人々。息を飲む幻想美。
 初期の新宿梁山泊もテントにレールを敷き、トロッコで幕を開けたことがあった。オルガンヴィトーのそれは天井桟敷の「奴婢訓」の冒頭シーンを重ね合わせたようなアングラ美学。
 このファーストシーンだけで観客をグイと掴み、約3時間の長い迷宮の旅にいざなうのだ。

 終演後、見に来ていた伊藤裕作さんと渋谷まで。



10月24日(金)雨

 朝から雨。昼にはどしゃ降り。

1530、御徒町でマッサージ。1800帰宅。

 麻生首相お気に入りの帝国ホテル内の会員制クラブは入会金50万円超、年会費12万円だとか。しかも、誰でも入会できるわけではない。超VIPだけ。1回行けば10万円はかかる。ダミ声とべらんめぇ口調で庶民派を気取っている勘違いお坊ちゃまクン・麻生に「庶民」の暮らしがわかるわけがない。


10月23日(木)晴れ

1700、池袋。いつもの店で鍋焼きうどん1200円。
 芸術劇場2階の喫茶店でお茶。

1900、小ホール2で30−delux「ファミリア」。30−deluxはタイソン大屋と清水順二が主宰するユニット。一度見た円形劇場公演が いまひとつだったので、しばらくご無沙汰だったが、今回はゲストに沢木順。渋い客演を迎えての新作はもしかしたら……と期待半分で客席に。今回はプロセニ アム・バージョン。来月、新国立劇場でコロシアム版を上演するとか。

 やたらと客をいじる前説に「こりゃ失敗か」と思い、本編が始まってもしばらくはノレず。が、潔いまでのアクションとエンタメ志向の娯楽脚本は悪 くない。

 とある町の居合道場が舞台。道場主(沢木順)が病気のために引退。あとを継ぐべき長男は「天才少年剣士」と謳われたものの、今は放蕩無頼。いっそのこ と、腕の立つ師範に娘を添わせて道場を建て直し……との思いも破れ、師範は独立、門下生たちもついていく。残った長男は、多額の借金のある幼なじみにだま され、天下一武道大会に出場することに……。物語自体は少女マンガのようなもの。

 それを演じる俳優たちもまた、男版宝塚ともいうべき「イケメン」ぞろい。中村誠治郎はじめ、鈴木拡樹、林修司、そして双子のデュオ 「ON/OFF」(坂本直弥、和弥兄弟)。みんなメンズファッション雑誌から抜け出したような美少年美青年。しかも、剣を使ったアクションはド迫力。一分 の隙もないそのアクションに驚嘆。ブレイクダンス、拳法、剣戟。これは相当な修練を積まないとできない。

 スタイリッシュな演出と古風な武道の組み合わせ。途中から、すっかり見入ってしまう。
 ジャニーズも真っ青の「ON/OFF」の新曲は発売即オリコン18位とか。客席の若い女の子のお目当ては彼らか。

 2時間+カーテンコール20分。カーテンコール後の物販・宣伝が長すぎる。「ON/OFF」の新曲「輪廻 ロンド」が聴けたからいいか。

 2230帰宅。雨。買い物荷物の重いこと。


 このところ、珍しく一般紙、中でも毎日新聞が麻生に対して厳しい論評を行っている。昨日の朝刊2面には衆院本会議で給油活動継続の審議を行っている最中、森、小泉、安倍の元3首相が居眠りしている(福田は起きている)写真を掲載。キャプションに、「給油活動はこの政権下(小泉・安倍・福田)で継続してきた」と皮肉たっぷり。

 時の政府を正面からではなく、側面から批判するのは珍しい。

 しかも、今日の朝刊ではこうだ。

「首相 連夜の”会合”」
有名ホテル、高級飲食店……「密談説も」の見出し。

 就任1カ月。連夜のように有名ホテルや高級飲食店で会合を重ねる麻生首相をチクリ。

 夜会合の多さは、福田康夫前首相と比べ際立つ。公務を終えそのまま私邸に戻ったのは就任から21日までの28日間で4日だけ。インドのシン首相との夕食会があった22日はさすがにそのまま帰宅したが、「はしご酒」の日も多い。民主党の簗瀬進参院国対委員長が22日の記者会見で「そういう所で本当の庶民の心はわからない」と指摘するなど野党の批判もあり、側近の松本純官房副長官は自らのブログに、首相が会員制バーでハンバーガーをほおばる写真を掲載し「庶民派」をアピールする。

 一方、夜の会合は「密談の場」との見方もある。例えば広報担当の首相秘書官の発表では16日夜、首相は東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテルの中華料理店で「秘書官と食事」をしたはずだった。しかし首相が店を出た後、店内から中川昭一財務相、甘利明行革担当相、菅義偉自民党選対副委員長が現れ、首相と一緒だったと認めた。他にも「首相に会うので、ばれないようホテルにはいつもと違う車で入った」(自民党幹部周辺)という証言もある。

 出入り口が多く密談には便利なホテル。衆院解散をにらみ夜の会合は当分続きそうだ。


 圧巻は22日昼の首相と記者団とのやり取りをそのまま掲載したこと。これは産経と毎日だけ。


 見出し=引っかけるような言い方はやめろ/ホテルは安い所だと思う/スタイルは変えない


 記者 夜の会合、連日で、一晩で何万円もするような高級店に行っているが、庶民感覚とかけ離れている。

 首相 僕はこれまでホテルが一番多いと思いますけれどもね。あなたは今、高級料亭、毎晩みたいな作り替えていますが、それは違うだろうが。引っかけるような言い方はやめろって。もうちょっと事実だけ言え、事実だけ。馬尻(就任後3回行った東京・六本木の飲食店)がいつから高級料亭になった? 言ってみろ、言ってみろ。だからそういう卑劣な言い方はだめ。いかにも作り替えるような話はやめたがいい。

 記者 一晩に一般の国民からすると高いお金を払って食事をするという意味で私は申し上げました。

 首相 きちんとそれ定義言ってね。あなたの質問、時々代表して聞いているけれども、いつもなんとなーく、妙にひねて聞いているように聞こえるんだね。

 記者 そういった批判があることについてどう思うか。

 首相 僕はこれまでもずっと、あのー、少なくともホテルというところは安い所だと思っていますね。たくさんの人と会うというのは、ホテルのバーっていうのは安全で安い所だという意識が僕にはあります。正直なところです。だけど、ちょっと聞きますけれども、例えば安いとこ行ったとしますよ。周りに30人からの新聞記者いるのよ。あなた含めて。警察官もいるのよ。営業妨害って言われたらなんて答える? 「あなたのおかげで営業妨害です」って言われたら、新聞記者として「私たちの権利です」って言って、ずーっと立って店の妨害して平気ですか? まあ、聞いてんだよ。答えろよ。ふっふっふっふっふ。

 記者 私がうかがいたいのは……。

 首相 いや、おれの質問に答えてくれ。だから、おれもそれ答えてるんだから、今。おれが質問している。平気ですか?

 記者 我々は営業妨害はしないように取材をしている。

 首相 いや、してるって。現実、みんな「している」って言われているから、おれも。だから「うちは来ねーでくれ」って。だからホテルが一番言われないんですよ。分かります? だからあなたは、自分の都合だけで聞いている。ように、おれには聞こえるんだね。おれには。だからホテルが一番人から文句言われない。僕はそう思ってます。だからこれ、これまでのスタイルですし、これからも変えるつもりは、今のところありません。

 記者 お金に色は付いていないんですが、政治献金や政党助成金という形でお金を出すのは高級な食事をするだけのためではないと思いますが。

 首相 自分のお金だから。政党助成金もしくは私のその種の金。幸いにして自分でお金がありますから自分で払っています。はい。


 女性記者に対し、ネチネチ絡み、まるでヤクザの脅し文句。これをネットウヨは「高給取りの記者が何を言うか」と麻生のカタを持つのだから呆れる。高給はテレビ局の社員。新聞、中でもM新聞なんか雀の涙だ。

 ちなみに首相が夜に訪れた店は以下の通り。
(いずれも東京都内)

【ホテル】
 ●帝国ホテル(内幸町)計6日

 ▼客室3回▼会員制バー「ゴールデンライオン」3回▼バー「インペリアルラウンジ アクア」

 ●ホテルオークラ東京(虎ノ門)計4日

 ▼宴会場▼バー「ハイランダー」▼バー「バロンオークラ」▼バー「オーキッドバー」▼日本料理店「山里」▼中国料理店「桃花林」
●ANAインターコンチネンタルホテル(赤坂)計3日
▼中国料理店「花梨」▼日本料理店「雲海」▼バー「マンハッタンラウンジ」▼レストラン「イタロプロバンス ダイニング」
●ホテルニューオータニ(紀尾井町)1日
▼日本料理店「藍亭」▼飲食店「カトーズダイニング&バー」
●グランドプリンスホテル赤坂(赤坂)1日
▼中国料理店「李芳」
【その他】
●飲食店「馬尻」(六本木)計3日●フランス料理店「ペリニィヨン」(銀座)●中国料理店「維新號」(紀尾井町)●日本料理店「花がすみ」(元赤坂)●日本料理店「京寿々」(広尾)●フランス料理店「アピシウス」(有楽町)●ウナギ料理店「重箱」(赤坂)

 ネットウヨにとってこれらは庶民の店なのか。なら毎晩連れてってほしいものだ。
10月22日(水)晴れ

 1700、銀座1丁目の画廊で開催中の森崎偏陸写真展へ。前回のセルフポートレート写真と、三上博史朗読のCD「空には本」と映像のコラボ。

1800、山野楽器でCD物色。
1900、博品館劇場で「THE TAP GUY」。タップダンサー・玉野和紀の作・演出・振付。
 再演。初演を見ていてもよさそうだが、記憶にない。何かの都合で見そびれたか。

「シューズ・オン!」でも使われた「ミスター・ボージャングル」。タップダンサーの栄光と悲哀を描いたジェリー・ジェフ・ウォーカーの曲をモチーフにしたもので、元マネジャーが留置場の中で、仲間に黒人タップダンサー、ミスター・ボージャングルの人生を語るという構成。


 黒人であるために、白人と共演できず、しかも「黒塗り」をしなければステージに立つことを許されなかったボージャングル。しかし、恋人や友人の助けもあり、エンターティナーとして人気を獲得していく。しかし、時は移り、老いの影が忍び寄る。同時に、時代も人も変わっていく……。

 初演を見逃したのが悔やまれるほど、素晴らしくカッコイイステージ。

 ミスター・ボージャングルの若き日を演じるHIDEBOHと後半生を演じる玉野和紀のタップ競演は「見事!」の一語。HIDEBOHは、二幕で、老いたボージャングルに世代交代を告げる役目、若く勢いのあるタップダンサーも演じるのだが、50代の玉野と40そこそこのHIDEBOHが互いのタップテクニックを駆使する様はまさに「ステージを超えたステージ」。階段を使ったステアタップなど見どころもたっぷり。

 女優陣は香寿たつき、樹里咲穂、横山智佐。

 「SHOUT!」で圧倒的な歌唱を見せた樹里の歌声を期待したが、ソロはなし。残念。メインボーカルは香寿たつき。これまた素晴らしい歌唱力。宝塚出身の2人に挟まれて旗色が悪かった横山智佐。ほかの舞台ではすらりと伸びた肢体、ハイトーンボイスは圧倒的に映えるが、今回は相手が悪すぎる。香寿たつき、樹里咲穂ともタッパがあり、しかも宝塚独特のオーラがある。
 これではさしもの横山智佐も見劣りしてしまう。

 小堺一機はさすがにテレビの人気者。笑いをとる間もいいが、歌も聞かせる。
 歌、ダンス、芝居。三拍子そろったミュージカルのお手本。これまた何度でも見たい作品。

 予定より25分押して2200終演。帰りのエレベーターの中で、中年カップルが、「こんな時間じゃご飯食べてたら帰りの電車がなくなるよ」と不満げな声。確かに。この終演時間なら1800開演でもいい。
10月20日(火)晴れ

 都合で博品館劇場の「THE TAP GUY」を明日に延期してもらい、早めの帰宅。

 夕食後、YOU TUBEでエヴァ・カシディに関する出来る限りの曲と映像を集め、iPodに入れる。ケイティ・メルアのPVはポール・バーホーヴェン監督のトータル・リコール」ばりの映像や、凝りに凝ったが不思議映像が多い。これも見もの。

 なんかやんやで2〜3時間はあっという間に過ぎる。
10月19日(月)晴れ


 いつも同じ夢を見る。坂の上にある古ぼけたアパート。そこが自分のもう1つの隠れ家なのだ。ツタの生い茂った家。今日は何度も行こうとしながら、部屋に入れない夢。懐かしのわが部屋。

 午後、三者面談。これから始まる困難に胃の痛くなる思い。帰り、頼まれた買い物で、帰宅は夕方。とっぷりと日は暮れて道遠し。

 お気に入りのサイトでEva Cassidy(エヴァ・カシディ)というシンガーを知る。彼女の歌う「God Bless the Child 」を聴いた瞬間、肌が泡立つほどの感動。この歌手は一体どんな経歴なのか。自分の知らない昔のジャズシンガーかと思ったら、1963年生まれ。1996年に33歳の若さで皮膚がんのために亡くなっている。その同じ年に行ったライブの模様がユーチューブで見ることが出来るが、これがまたすばらしい。全世界にファンがいるのだろう。たくさんの楽曲がアップされている。最後のライブも。

 その類稀な歌声、深い余韻……まさしくワン・アンド・オンリーという言葉は彼女のためにある。
彼女を敬愛するKatie Melua(ケイティ・メルア)がテレビの「デュエット」番組で生前のエヴァの映像とコラボレートしている。グルジア生まれの美貌の歌手・ケイティの存在を知ったのもまた幸運。2人が「共演」する「What A Wonderful World」と「Somewhere Over the Rainbow」の素晴らしさ。
 すっかり二人のとりこになってしまう。

 エヴァ・カシディが亡くなって12年。生前はワシントンDC以外では無名だったとはいえ、アメリカではその後の評価が高まったというのに、日本ではCDが発売されなかったとは。今の時代、amasonで手に入れることができるのは嬉しい。


10月19日(日)晴れ

 1700、早稲田。27号館15回のレストラン「西北の風」で「60年代演劇再考」の打ち上げパーティー。大笹吉雄、平田オリザ、岡田利規、蜷川幸雄らを除いた登壇者がほぼ参加。

 佐伯隆幸さんは例によって「60年代なんてどうでもいいい、これからの世代に期待だよ」と挑発的なスピーチ、扇田さんは蜷川幸雄がドタキャン癖があり、今回も会場に入る直前まで来るかどうか迷っていたらしいと「暴露」。
 対談では天井桟敷のことを聞かれ、「あそこは役者が育たなかった。寺山修司にとって役者はオブジェのようなもの」と言ったというから、蜷川の寺山嫌いは変わらず。

 懇親の席の中心はやはりエレン・スチュワートさん。天井桟敷関係者が周りに集まり、話に花が咲く。田中未知さん、蘭さん、九條さん、安藤紘平さん、若松武史さん、長井八美さん……。

 女子大学生が傍らに来て、偏陸さんに60年代演劇のポスターデザインのインタビュー。おずおずといった感じで、初々しい。卒論のデータ集めとか。偏陸さんが席を離れたので、彼女に概要をレクチャー。

 「青い鳥」の長井八美さんとキッドブラザースの話を。長井さんはキッドのオリジナルメンバー。黄金バットにも出演している。
「エレンさんが東由多加のことを話してくれて嬉しかったです。私たちの渡米を”日米の氷を砕いた”と言ってくれて……。でも、東由多加が生きていてもこの会場に来たかどうか。きっと周りと大喧嘩を始めたかも」

 今、実質的にキッドの著作権管理をしている久生実子さんを紹介してもらう。
 彼女との立話でびっくりしたのは東由多加が監督した映画「ピーターソンの鳥」のフィルムがどこにあるのかわからないということ。

「私もずっと探しているんですけど、どこに行ったのか、カメラの井出情児さんも持ってないというし、何度かの引っ越しで紛れたのかもしれないんです」

 16ミリ。各地で上映会を行ったから最低で2巻は存在したのは確実。そのフィルムがどこにもない、という。誰かが保管したまま眠っているのか、どこかに紛れ込んで出てこないのか。いずれにしても、「ピーターソンの鳥」が今現在行方不明なのは確か。

 秋田明大と坪田直子の彷徨の青春映画。ずっと見たいと思ってきたのに、それが「幻の映画」になっていたとは。なんとか今のうちに見つけだして保存しなければ。久生さんと捜索の約束を。

 1900、パーティーは終わり。エレンさんと若松武史のツーショットを撮っていたら、エレンさんが「あなたも入りなさい」と声をかけてくれる。なんと優しい人か。エレンさんを囲んで九條さん、未知さん、若松さん、蘭さん、長井さん、オージー・ロドリゲスさんらで記念撮影。

 2030帰宅。豚児の進路で心労。
10月18日(土)晴れ

 高校同窓会。毎年、温暖化が進んでいるのはこの時期の同窓会に出る服装をみればわかる。10年前は厚手のジャケット。それが年々薄着になって、今年はついに半袖Tシャツ。日本の四季は崩壊しつつある。

 1300、早稲田へ。昨日から早稲田周辺施設で開催されている「60年代演劇再考」。きょうは井深大記念ホール、国際会議場でエレン・スチュワートさんを迎えて「コーヒーハウス・クロニクルズ〜ラ・ママ実験劇場の四半世紀〜」と題した講演会が1300〜1500。

 出演はほかにオージー・ロドリゲス(1970年に寺山修司の「毛皮のマリー」に出演、現在、ラママ・アーカイブの管理責任者)。
藤薮香織(15年前に渡米し、現在はラ・ママの制作スタッフ)。同時通訳は岡村みな子。司会は岡室美奈子実行委員長(早稲田大学文学学術院教授)。

 到着するとすでに10分経過。すり鉢状の大きな会場で、各席に同時通訳のイヤホン端子がついている。受付で借りたイヤホンを差し込み周波数を合わせると同時通訳が流れる。なんだか、「国際会議」に出席したみたい。
 客席はほぼ満席。下手に九條さんと安藤紘平教授の姿も。

 エレンさんは88歳。足腰は弱り、車椅子だが、話す言葉も内容もしっかりしており、とてもそんな高齢とは思えない。

 ラ・ママ実験劇場は1961年に「カフェ・ラ・ママ」として誕生。当時、ブロードウエーは白人中心社会。黒人差別も激しい時代。ニューヨークの高級デパートで黒人初のエグゼクティブ・デザイナーに起用され、8年間働いたエレンさんは、その資金を元に、「自分たちが上演できるスペースを作ろう」考えた。
 「カフェ・ラ・ママ」はたちまち若手芸術家の集まる場所となり、週1回のペースで作品が上演されるようになった。
 しかし、無免許営業などを理由に営業停止となり、エレンさん自身も「留置所に入れられた」という。

 諦めることをせず、64年に「ラ・ママ実験劇場」に改名し、67年から非営利団体として運営を始める。

 寺山修司、東由多加との交流で日本にもその名前を知られるようになった。寺山も東もエレンさんにとって素晴らしい子供たち。
 講演会の中でも何度も二人の名前が出てくる。

「東由多加のキッドブラザースは日本とアメリカの間に横たわっていた氷を砕いた」

 ブロードウェー公演キャンセルで日本に帰れなくなった東由多加ら18人の劇団員がエレンさんの部屋で下宿生活を送り、ミュージカル「黄金バット」はその部屋で生まれた。
 オージー・ロドリゲス氏も寺山の思い出を語る。早口の氏に、同時通訳の女性が負けじと早口で追いかける様子に会場から驚嘆の声。司会も同時通訳の素晴らしさを賞賛。

 2時間はアッという間。1500に終了。客席の一隅に陣取っていた包帯姿の集団は劇団APB☆TOKYOの俳優たち。高野さん、川上さんに声をかけられるまで気がつかなかった。

 名古屋の清水先生と娘さんで早稲田の学生と立話。毎日の高橋さん、田中未知さん、蘭妖子さん、笹目さんetc

 これから同窓会に向かってももう閉会している。同窓会は1年に1回あるが、エレンさんが日本に来るのはおそらくこれが最後。同窓会をキャンセルしてもバチは当たらないだろう。腹をくくって再び会場へ。

 1630からのパネルディスカッション「「黎明期の寺山修司〜映像作品の観点から〜」も拝聴することに。
 出席は九條今日子、萩原朔美(演出家・映像作家)、安藤紘平(映像作家)。

 寺山修司の初期の実験映像作品から、劇映画まで、映像に焦点を絞っての回顧。寺山修司と天井桟敷のさまざまなエピソードに場内が沸く。

「トマトケチャップ皇帝」撮影では、ハリウッド化粧品のメイ牛山さんのルイ王朝風の家を借りたが、そこでは新高恵子さんが少年を犯すシーンの撮影。メイ牛山さんがスタッフを引き連れて撮影現場を見学に来たので、九條さんらが必死でそれを食い止めようとしたこともあった。
 「ローラ」の解説では、ちょうど今日、スイスのローザンヌでアングラ映画特集が開催され、そこでこの「ローラ」が上演されているとのこと。映画の中の3人の女優の挑発に乗って、観客が映画の中に入り込むという実験映画。スクリーンがジャバラ構造で、観客役の森崎偏陸さんが実際にスクリーンに飛び込んでいく。その彼がスイスまで行って、今現在、観客を演じているのだ。40年前と体型を維持するのは大変なこと。それ以前に、偏陸さんがいなければ「ローラ」が上映できないという、寺山修司のかけた魔法が40年たっても封印されたままというのに驚く。

 1650終演。

 家出人とヒッピーの集団だった天井桟敷は、スタッフ集団でもあったわけだが、後年、そのスタッフから大学教授を輩出したというのは他の劇団では例がない。アカデミズムに叛旗を翻した寺山さんが生きていたら微苦笑したかもしれない。萩原朔美、安藤紘平、小竹信節、榎本了壱。寺山スタッフの高取英。皆大学教授だ。

 阿佐ヶ谷で萩原朔美さんのポラロイド写真展初日パーティーがあるので、九條さんらは阿佐ヶ谷に。

 1800、亀戸。同窓会二次会は去年と同じスナック貸し切り。顔を出して、その後、43期のN本柳さんら若手グループと24期の益城さんらの合同で三次会。駅前の「ザ・和民」。N本柳さんと二人で、本部のK町屋さんをホテルに送り届け。今の安いビジネスホテルはオール自動。人件費がかからない。

 2300、解散。

10月17日(金)晴れ

 昨日、捻って痛めたわき腹が治らず。炎症がある時にマッサージは逆効果。Kさんにメールすると、「悪化するおそれがあるからやめておいたほうがいいでしょう」というので、マッサージはキャンセル。

 1300、刷り上った会報を取りにS畑さん来訪。今年は8ページなので比較的重量なし。

 1700、時間が空いたので秋葉原の書泉を散策。二階堂黎人「稀覯人(コレクター)の不思議」、イエス小池「劇画 蟹工船 覇王の船」を購入。

 手塚治虫愛好会の会長が自宅の離れで殺害され、貴重な手塚マンガの古書が盗まれる。犯行現場は密室状態。犯人は誰なのか、どこに消えたのか……。
 今までなかなか食指の動かなかった二階堂黎人の小説だが、手塚治虫と古書を題材にした小説とあっては読まずばなるまい。

 「劇画 蟹工船」は、蟹工船を支配する極悪監督「罰河原赤蔵」と、彼に真っ向から立ち向かう「龍」という漁夫を主人公に据えて、多喜二文学を大胆に翻案した作品。救いようのない海の上の地獄が、ふくしま政美タッチのイエス小池の描線から立ち上がる。
 多喜二の小説を併録しているので読み比べるのもいい。

1900、ベニサン・ピットでtpt「いさかい」。フランスの劇作家マリヴォーの1744年作品。

 王子(塩野谷正幸)が恋人エルミアンヌ(濱崎茜)を森の奥へと誘う。
王子の意図をはかりかねるエルミアンヌに対して、王子は今から、見せ物と称して一つの実験を見せるという。
その実験とは、赤ん坊のころから他の人間と一切接触せずに育てられ、しかし普通の人間と同じ知性を持った二組の男女をはじめて外の世界に出し
その男女の間に生まれる恋愛感情、そして恋の駆け引きを観察しようというのだ。
恋愛における「不実」は、男から生まれるのか、女から生まれるのか。

その永遠の問いに決着をつけるべく、無邪気で残酷な実験が、今、はじまる。(公式HPから)


 二組の男女のうちの一人を演じるのが毬谷友子。まさに「全身女優」。初めてみる世界に身をふるわせる純粋無垢な少女から恋の手管、嫉妬の炎に身を焼く「オンナ」まで変幻自在。魔性の女優。
 シンプルな美術。しかし、銀のガムテープを川に変化させるアイデアが効果的。劇場の回廊を上り下りするなど、消え去る劇場空間を思い切り使っていた。
 1時間30分に凝縮された男と女の愛の真実。


 終演後、楽屋で塩野谷さん、阿川竜一さん、石橋祐さんらと歓談。
 家からメール。なにやら小事故があった模様なので、飲み会は辞退し、家路に。

 2130帰宅。「被害」は極小。とりあえずよかった。

10月16日(木)晴れ

 東証また大暴落。
 資本主義が矛盾を孕んだまま行き詰まり、新自由主義経済なる分捕り合戦で最後の搾取を図ろうとした結果がこの断末魔。
 一握りの富裕層のために99%の国民が死をもって奉仕する戦争の予兆。

 1420、お茶の水。K記念病院で鍼。

 ホルスとネフェルタリ帰り道、駅のそばの青空市を覗くとエジプト美術品が。なんでも、現地の人に日本から発注して作らせたものとかで、「現地で売ってるマガイモノとは違うホンモノ」とか。手書きの彩色画などついつい見とれてしまう。で、手書きではないが、古代エジプトのシルクスクリーンの絵(ホルスとネフェルタリ)を購入。女神バティスト像、携帯ストラップなど衝動買い。


1900、赤坂。REDシアターでサルメのトーキョーお座敷レビューの「失楽園 入浴 恋ものがたり」(作=色羽紫、演出=佐とうひでき)。

 場所が赤坂。ACTシアターもそば……だからというわけでもないだろうけど、いつにもましてサルメレビュー全開の豪華版。歌もダンスも気合い入りまくり。

 舞台は「赤坂サカズ」なる最新スパ。そこにまぎれこんだサルメ一座の5人。しかし、このスパ、なにやらいわくがありそう。同じ頃、引きこもりの青年を急き立て、スパ療法で幼なじみの心の病を治そうと期待をかける若い女性。青年はとある有名探偵ミステリー作家の孫なのだが、祖父に似ず、推理力も気力も全然ダメ。
 ところが、何者かによって閉じ込められたスパの中で次々と殺人事件が発覚(1人死ぬたびに1体ずつ消えていく市松人形が笑える)。さて、犯人はだれ?

 結末はだいたい予想がつくが、物語はさして重要ではない。十数人のサルメダンサーの歌と悩殺ダンスの迫力が見もの。
 客いじりもお手の物。ただし、スポンサーの回転すし屋の名前を連呼するのはやや興ざめ。

 それでも休憩10分はさみ2時間30分をノンストップのエンターテインメント。久谷由美子がキュート。

 終演後、上谷さんと立話。来年3月のヴォードビルショー公演まで演劇制作はお休みとか。

2300帰宅。

11月15日(水)雨

 1400、とりふねの三上さんから依頼のあった舞踏の入月絢さん来社。下旬に始まるドイツ映画祭の中の一本「HANAMI」に日本の少女役で出演している。両親とも芸術家。芸大で美術を学んだ才媛で、幼い頃からバレーを習い、今はソロ舞踏家。25歳。目に強い光が宿り、クレバーな人。

 1700帰宅。

11月14日(火)曇り時々雨

 秋の長雨とはいうが、この夏から続いているこの雨は異常ではないか。まるで、「ブレードランナー」で見た近未来の日本の光景だ。ビルのネオン看板としとしとと降り続く酸性雨。リドリー・スコット監督の予言は当たった?

1400、N村まりこさんと菊池さん来社。10月公演の情宣。稀代の名優の娘さんであるN村さんの女優史はまるで現代演劇史。三島由紀夫、ニコラ・バタイユ、イヨネスコ……。錚々たる演劇人との親交はさすが……。


 1830、渋谷。パルコ劇場で「美輪明宏音楽会・愛」。ル テアトル銀座の「双頭の鷲」の長期公演の影響で恒例の秋の音楽会は6日間の変則開催。地方公演があるため、東京で新しい舞台構成をする必要がある。そのための公演とか。

 一部は男装で、叙情歌やヨイトマケの唄などを。二部はあでかやなドレスでシャンソンを。昨今の若者文化に毒づき、政治に怒り、自民党に毒づく。美輪節絶好調。寺山修司と三島由紀夫の二人の天才に言及し、オマージュを捧げるのはいつもの流れ。

 声量も変わらず、観客サービスも好調だが、二部のシャンソンを歌っている途中で珍しく二番と三番の歌詞を間違えてしまい、最初から歌いなおす場面が。歌の途中で表情が一変し「あら、違う……。」とつぶやく。誰もが演出だと思ったら、そうではなく三番の歌詞を二番に歌ってしまったのだ。「最初から歌います」に場内は割れんばかりの声援の拍手。

 こんな美輪さんは初めて。歌い終わり、何事もなかったように次の曲に。おそらくプライドが大きく傷ついたに違いない。

 そのハプニングを除けばいつもの美輪さんの音楽会。粛々と進み、「老女優は去りゆく」がラストソング。アンコールは「愛の讃歌」。まず自身の日本語詞を朗読し、次に原語で歌い上げる。美輪美学の黄金カーテンコール。降り注ぐ金箔の中に菩薩のように佇み微笑む美輪明宏。場内総立ち。

 2120終演。
 M新聞のT橋さんと駅まで。昨日、維新派を見に行って今日帰って来たばかりとか。「竹生島に渡って来ました。こんな機会じゃないと行けないので」と。竹生島は行こうかどうか迷ったのだった。ウーン、やはり行けばよかったか。

 2230帰宅。

11月13日(月)晴れ

0800起床。

1300、三越劇場で石井光三オフィスプロデュース、かし☆きり企画「やかましい人々」(作=中島淳彦、演出=三宅恵介)。

 かしまし娘三人(正司歌江・正司照枝・正司花江)と、照枝の義理の娘・磯野貴理のタッグ。これに佐藤B作、井之上隆志、土屋裕一らを加えた中島淳彦の人情喜劇。かつての義賊三姉妹が今風のおれおれ詐欺やら、ねずみ講サギに巻き込まれ、「詐欺」には「詐欺」と再び立ち上がる。
 懐かしのかしまし娘。テレビから遠ざかって久しいが、舞台は続けている。それでも三人が集まるのは久しぶりとか。
 物語は今風だが、基調は古きよき時代の人情話。安心して見られる。

 客席は9割がおばさん族。芝居の途中で話をしたり、セリフをなぞったりはいつもの光景。

 休憩25分で1540まで。

 カーテンコールで客席の石井光三会長へ感謝の言葉を述べる照江。昔から苦楽を共にしてきた仲間なのだ。涙の照江。呼びかけに応え、周りに支えてもらって立ち上がった石井さん、いつものようにサービス精神旺盛なスピーチ。が、途中で声が震え感極まったように涙声。珍しい。石井さんが人前で涙を見せるとは。
 それだけかしまし娘との結びつきが深かったということだろう。

 石井久美子さんが「今日〇〇さんが来ると言ったら会いたがってました」と言うので、まだ客席にいた「石井社長」に挨拶。腰を悪くしてから会っていなかったが、久々に再会。まだまだ口も頭も達者。今日が喜寿の誕生日。いつまでも元気でいて欲しい。

 1700帰宅。

10月12日(日)晴れ

 0730起床。0930チェックアウト。近くの「長浜城」へ。秀吉が居城としていた城で、復元されたもの。戦国小説好きとしては興味津々。展示物もつぶさに見てまわる。好きこそものの上手なれ。修学旅行のお仕着せ見学などあまり意味はない。
彦根城
 やはりホンモノを見なければ、と電車で彦根へ。電車時刻と乗り換えにケイタイサイトが実に便利。

 1030、彦根城。さすがは井伊直弼の城下町。天守閣に行くまでの石段が長く上るのに一苦労。足が痛まなければそうでもないのだろうが。
 天守閣がそのまま残されている重要文化財であり、休日とあって人出も多く、天守閣まで40分待ちの札。あきらめて帰ろうと思ったが、運良く人の流れに乗り、天守閣へ。62度の急勾配の階段は、実感としてほとんど垂直。手すりに捕まらなければ上り下りできない。昔の城主は襲撃を恐れてこんな急勾配にしたものか。これでは家臣も上り下りが大変だっただろうに。

 彦根城で2時間ほど費やし、1400の新幹線で帰京。

 


10月11日(土)晴れ

 1330、新幹線で米原、そこから長浜へ。維新派公演「呼吸機械」を観るため。

 1600、まずは長浜のビジネスホテルにチェックイン。急いで隣りの田村駅へ。駅には臨時改札ができ、若者たちで混雑。通り抜けて、「さいかち浜」へ。1700日没なので琵琶湖に沈む夕陽には間に合わず。残念。

 初めての琵琶湖。まるで海峡だ。夕暮れ、対岸の山々がかすかに見える。その琵琶湖の水際に建てられた巨大なオープンセット。これが維新派の野外劇場だ。その劇場の隣りには屋台村。
すでにたくさんの観客で賑わっている。日中は暖かいが、夜になるとグンと冷え込む。ペール缶で焚き火をするのもいつもの光景。
 高校時代、文化祭の後夜祭でファイヤーを囲んでの歌とフォークダンス。それと同じく懐かしい雰囲気。

 ステージでは大阪のデュオ「エムサイズ」の歌。この屋台村が維新派の舞台を見るときの楽しみでもある。

 1900、入場すると傾斜座席の前方の「ステージ」から波の音。舞台が始まり照明が灯ると、ステージは水際まで伸び、そのまま琵琶湖につながっている。遠方の水平線に船の灯り。水際と舞台の境界線がない、まさしく水上舞台。
 高鳴る胸。期待と興奮。

 今回は衣裳、音楽、振付が第二次大戦中の欧州風。ダンスはフラメンコ風。群集ラップはやや抑えられ、いつもの「ヂャンヂャン☆オペラ」とは趣が違う。

 松本雄吉が描く20世紀三部作の第二作であり、前作は「南米編」。今回は「欧州編」。 

 「カインとアベル」を主人公に、ポーランドらしき国が舞台。ナチス、レジスタンス、アウシュビッツ、復興、翻る赤旗、スターリニズム、「灰とダイヤモンド」のチブルスキーを思わせるテロリスト、絶望……。

 20世紀の欧州の歴史をさまよう少年少女たち。

 水に浮かぶ地球、廃墟、走り抜ける汽車、酒池肉林の饗宴……舞台美術はいつにもまして緻密で大掛かり。最近の舞台でよく登場する「巨大な少年」もその威容を現す。軽々と動き、鋼材を登っていく「巨人」。どんな構造になっているのかまったくナゾ。

 ラストシーンは舞台に水が沁み出し、それが次第に溢れ、舞台と湖が一帯となっていく。その舞台上で、50人の少年少女が体を横たえ、魚のように跳ね回る。そのたびに、高く上がる水しぶき。照明に映えて美しい。
 松本さんは比較されるのはイヤだろうが、この最後のシーンは寺山修司が「魚のようにピチピチと体を床に叩きつけて痙攣する」大滅亡と同じだ。

 あまりの寒さに、客席も震えているが、ステージ上の出演者は湖に半分浸かり、2時間の間、体は濡れたまま。その寒さは観客の比じゃない。静止するシーンでは何人かが、体の震えが止まらず、小刻みに動き続ける。

 劇作家の北村想はこの舞台を見ながら何度も泣いたというが、それもしかり。
 維新派は「少年街」から見続けているが、今回ほど心を動かされた舞台もない。
 このスペクタクルを支える50数人の少年少女たち、そしてその何倍ものスタッフの無償の贈与がなければ成立しない舞台。

 その意味で維新派の舞台ほど資本の論理から逸脱した舞台はない。

 役者・スタッフともども、現地に寝泊りしながら数カ月かけて映画のオープンセットさながらの野外劇場を作り、わずか10日ほどの公演。
 もしこの公演に代理店が介入したら、数十億の予算が必要となるやもしれない。チケット10万円でもペイしない。「興行」としてハナから成立するはずがない。
 6000円で見られるのは奇跡としかいいようがない。

 新幹線往復2万5000円、ホテル8000円。4万円のチケットと考えても安いもの。
 今まで見た芝居で天井桟敷を除いてベストをあげろといえば「ビニールの城」とキッドブラザーズの「ひとつの同じドア」をすぐに思い浮かべるが、この「呼吸機械」も死ぬまで忘れられないであろう、永遠に記憶に残る舞台となった。


 2200、長浜に戻り就寝。
10月9日(金)晴れ

 1600〜1830、御徒町でマッサージ。
1900、六本木。俳優座劇場で「毛皮のマリー」。森崎偏陸氏がマリーをどう演出するのか大いに期待。
 開演ギリギリに滑り込みセーフ。場内観客でびっしり。

 マリーはひと言もセリフを言わず、他者がセリフを代弁するというので、「ク・ナウカ」方式かと一抹の不安をおぼえたが、ト書きの一部とマリーのセリフを詩人・醜女のマリーが代弁するだけで、登場人物にはそれぞれセリフがある。マリー役は舞踏の工藤丈輝。この異化効果が当たり、どこにもない「マリー」を出現させた。
 欽也役は津山登志子。紋白は大雅。詩人・醜女のマリーが吉野悠我。下男は日野利彦。
 寺山譲りのスペクタクルと耽美性。観客をアッと言わせたのは冒頭シーン。登場人物は一糸まとわぬ全裸! 5人の美女もプロポーション抜群で絵に描いたような美女たち。舞踏のゆるやかな動き、奴婢訓の主人誕生のシーンのように、全裸のマリーが衣裳をつけていく。もうこれだけで観客は耽美と幻想の世界にいざなわれる。
 1時間30分。猥雑さと優美さが、ない交ぜになった偏陸版「毛皮のマリー」の世界に耽溺。

 黒を基調にしたセットと照明の美しさはやはり天井桟敷。懐かしい世界。

 それにしてもあの5人の美女。舞踏系の人とは異質だと思ったら、やはり、AV系やタレント系の女優だった。なるほど。

 終演後、ロビーは笹目氏、九條さん、宇野亜喜良氏ら関係者でごった返し。振付を担当した三上さんと立話。そういえば、来週、三上さん紹介の舞踏の女の子が会社に来るのだった。

「大いに使っている人はね、帰り損なったサラリーマンだ。ただカフェ難民、難民って言うけれども、あなた山谷のドヤに行ってごらんなさいよ。200円、300円で泊まる宿はいっぱいあるんだよ。そこに行かずにだな、何か知らんけれども、ファッションみたいな形でね、1500円っていうお金を払ってね、そこへ泊まって、『俺は大変だ、大変だ』と、『孤立している、助けてくれ』って言うのはね。ちょっと私はね、人によって違うのでしょうけれども、カフェ難民なるものの実態とはとらえ難いね」、「やっぱり1500円の宿泊費を払えるんだったら、もっと安い泊まり宿がいっぱいあるよ、東京は」(10月3日の定例記者会見での石原慎太郎の発言)

 いまさら石原慎太郎の脳みその軽さには驚かないが、この発言の軽薄さときたら……。個室ビデオ店放火事件で死んだ人たちをあまりにも冒涜している。

 10日の定例会見で「認識が間違っていた」と発言を撤回したが、「ファッションみたいな形で、1500円っていうお金を払っている」とした発言趣旨については「そう思ってますよ。もっと安いとこ行ったらいいじゃないですか」と改めて発言した。

 これを居直りと世間では言う。テレビは息子やら石原軍団を逆人質に取られてるようなものだから、批判も及び腰。

 一方で、三宅島で07年11月に開かれた復興イベントの出演料として俳優の岩城滉一に1000万円が支払われていた問題については「(出演料の金額は)知らなかった。バイク持ち込みの実費がかなり入っていると思う。妥当だから支出したんでしょう」と我関せず。

 息子には公費で海外渡航させ、自分も10泊11日で南米視察に1600万円。2年で海外出張費1億円使って平気な顔してるのだから、まさに税金ドロボー。
 こんな男に都知事やらせてる都民も都民だが。

10月9日(木)晴れ

 1430、赤坂REDシアターでジャムセッション「東海道四谷怪談」(西沢栄治演出)。隣席がプリエールの有本さん。「夏の夜の夢」以来、彼女も西沢氏に注目しているとのこと。
 スピーディーな展開、省略の妙、役者の技量。2時間でもうひとつの忠臣蔵、四谷怪談の顛末を原作に沿ってきっちりと見せるのだから、その演出の力は相当なもの。それが「古典のダイジェスト」にならず、緻密な劇空間を構築してる。将来の蜷川幸雄か。

 終演後、西沢氏を囲んで有本さんと立話。「古典が好きなんです」とのことだが、有本さんの狙う現代劇の演出も有望か。

 家人ケアのため、1830の俳優座「スペースターミナル・ケア」はキャンセル。栗山民也と坂手洋二の顔合わせは魅力的だったが、残念……。
10月8日(水)晴れ

 家人が退院するので午後早退。1700、手続きを終えて帰宅。
10月7日(火)晴れ後雨

 1600、シアターアプルで「新宿・歌声喫茶の青春」。

 戦後の復興がようやく移動に乗り始めた、昭和31年の新宿歌舞伎町。木崎が運営する、ロシア料理店とは名ばかりの大衆食堂「かもめ」に、ある日演劇を勉強する澪(みお)たちのグループがやってくる。店に流れるロシア民謡のレコードに合わせ、楽しく歌う澪たち。そんな姿をみた木崎は澪に言う。「君たちの楽しそうな様子を見ていて、ひらめいたんだ。この店を、歌声があふれる若者のユートピアにしたい。手伝ってくれないか?」とまどいながらも木崎の情熱にうたれ、うなずく澪。こうして”歌声喫茶・トロイカ”が産声をあげ、たちまち二人が夢見たように若者達のオアシスとして時代の脚光を浴びてゆく。

「明日は今日よりもっといい日になる」誰もがそんな希望を抱けたあの頃。あの日みんなが夢見た”明日”は、いったいどこへ…?
ロシア民謡、愛唱歌、フォークソング。過ぎ去った時代を彩った、あざやかな歌の数々。
(HPより)

 というわけで、ある世代にとっては感慨ひとしおのミュージカル。世代的にははるかに遅い世代だが、劇中で歌われる歌の数々は耳になじみの曲ばかり。子供の頃の思い出がよみがえり、胸がジーンと……。

 主人公は由紀さおり。相手役は佐藤輝、友人役に麻丘めぐみ、戦災孤児のヤクザに山田純大。
 「商業演劇」にも関わらず、観客に媚びることもせず、唱和を強要することもない。なのに、自然と客席から歌声が沸きあがる。最初はおずおずと、次第に力強く。客席を見渡すとほとんどがその世代。この開演時間に来られるのはリタイア組かおばさま族なわけだが……。

 演出は村田大。赤旗が大きく打ち振られ、インターナショナルが流れる60年安保の情景、新宿騒乱の10・21で、逃げ込んできた学生たちを匿う女主人。
 労働歌、ロシア民謡をレパートリーにした歌声喫茶には「より良い明日を信じる希望」があった。その明日が見えなくなった時代と軌を一にして歌声喫茶は衰退していく。

 恩讐を超え、トロイカに乗った死者たちがオーロラの彼方に消えていくラストシーンに思わず涙。

 曲は「ともしび」「浜辺の歌」「かあさんの歌」「おお牧場はみどり」「花」「山のロザリア」「赤とんぼ」「冬の夜」「トロイカ」「しあわせの歌」など。

 子供の頃に大好きだった曲ばかり。とくに「浜辺の歌」「ともしび」は感傷癖のある子供にとって格好の歌。
「冬の夜」を聴くと、生まれた家を思い出す。囲炉裏のそばで藁をなっていたのは父ではなく祖父だったが。
 
 休憩をはさんで2時間40分。ロビーでジャーナリストの村井さんとばったり。労働運動の只中にあり、まさしく「歌声喫茶の青春」だった村井さんにとってもコマの閉館、変わりゆく新宿の姿は感慨深いものがあるに違いない。

 1845終演。急いで中野へ。中野あくとれで美香が主宰するユニットの公演「ペイン」。燐光群のヒロインだった美香。あれから20年。紆余曲折があったものの今も演劇にかける情熱を持ち続けている女優さん。これは行かずばなるまい。

 作=三井快。共演は元岸田事務所の+楽天団の池田ヒトシと吉田テツタ。

 あくとれの狭い地下空間。そこで繰り広げられる3人の男女の物語。女は未曾有の惨劇を引き起こしたある狂信的な宗教団体の元信者。男は女を愛するがゆえに犯した罪で死刑の執行を待っている。この二人の幻想の中に紛れ込む刑務官。

 なんとも濃密な劇空間。急遽決まった公演とのことだが、客席はほぼ満席。
 狂気と正気の狭間を往還する美香と池田の演技を堪能。
 2130。外に出ると雨。こんなときに限って折りたたみ傘を家に置いてきてしまった。コンビニでビニール傘を買う空しさ。

10月6日(月)晴れ

 午後から病院。夕方、P理容室へ。2分の1の確率なのに、チャーミングなS藤さんに当たらず。ついてない。
 夕食は焼肉。青森で買ったタレを使ったら、まるでレストランで出てくる焼肉のような香ばしい味。素晴らしい。
10月6日(日)晴れ

 0600起床。北辰テストに行く豚児を起こして送り出すのに一苦労。

 0900、病院へ。

 1000、会社。会報の作成。休日なのに、毎年、こんなことをやってる。


 1346、上野から新幹線で郡山へ。約1時間。通勤時間と同じ。福島といっても郡山は結構近いのだ。
 駅からタクシーで郡山美術館へ。10分1400円。

 美術館の入口では寺山さんの顔が出迎えてくれる。まずは、ひと通り展示を観覧。著作、ポスター、自筆原稿、写真、三面に投影される映画、劇団万有引力の小道具etc

 寺山世界を肌で体験する美術的趣向も。
 結構大掛かりな展示物だと思ったが、今年5月の青森の展覧会の3分の1ほどとか。青森の展覧会がいかに大規模だったか。
 今思えばなぜ青森に行かなかったのか……。おそらく家人がケガで療養中だったからか。

 展示を見終えると、ちょうど万有の吉野君が通りかかったので、控え室まで案内してもらう。
 開演2時間前。ズラリと居並ぶ劇団員たちはメイクに取りかかったり、準備に余念がない。
 シーザー、根本さんに挨拶。根本さんの奥さん、子供たちも今日見に来たとのこと。しばし、シーザーたちと歓談。今回の公演の必需品は懐中電灯。「持ってこなかったらお仕置き部屋行きですよ」などと軽口。

 1830、ロビーで出演者が前準備。中庭には抽選で選ばれた観客が約200人。それを二組に分けて別々の演劇体験をさせるという趣向。
 シーザーに頼まれてビデオ撮影をすることに。

 1900まで十数分、中庭でパフォーマンス。白塗りに黒の衣装の俳優たちが敷き詰められた石の上を駆け回り、半裸の舞踏手がゆっくりと体を揺らす。

 1900、案内人・吉野の指示で、参加者は二手に分かれ、美術館へ。中は真っ暗。だから懐中電灯が必要なのだ。懐中電灯で館内の思い思いの場所を照らしながら進む観客。
 誘導された先々ではさまざまなパフォーマンスが演じられ、時に観客もまた観客役として、その中に巻き込まれる。メイク、発声、セリフなどのワークショップを織り交ぜ、演劇を体験していく観客。物怖じすることもなく、積極的に芝居に参加する観客。若者から年配の人まで、みな楽しそう。

 別の班はまた美術館のどこかで違う演劇を体験しているのだろう。

 続いて「見えない演劇」に移行。目隠しされ、数珠繋ぎになった観客は根本豊の先導で一室に閉じ込められる。
 ネモ船長が語る「ニュートリノ」論を拝聴。

 絶えず地球に降り注ぐ素粒子ニュートリノ。これまで質量がゼロと考えられてきたが、最近、質量があるということがわかったという。とすれば、宇宙の彼方からやってきて、我々の肉体を通過し、永遠の彼方に去っていくニュートリノは我々の細胞のDNAを写し取り、宇宙空間に運んでいるのかもしれない。この広い宇宙のどこかに存在するもう一人の私たち……。

 寺山修司の「コメットイケヤ」は、一人の男の蒸発と、彗星の発見の因果律をテーマにした作品だが、根本豊のニュートリノ「100万光年の彼方劇」のロマンチシズムもそれに通底するものがある。
 そのテーマのように、夜の美術館で別れた二組の観客が再び劇の終幕で再会する。目隠しを交換する観客はもう一人の自分。
 最後は参加者全員の大記念撮影。

 約2時間半の劇的体験の余韻に酔いしれるように、美術館から立ち去りがたい人たち。
 どの顔も上気し「演劇」を楽しんだ顔。これが参加型演劇の醍醐味。

 2200、撤収作業を終えたシーザーたちの車に便乗し駅へ。公演が終わったとたん振り出した大粒の雨。天の配剤か。新幹線帰京組の伊野尾ちゃんと最終前の新幹線に飛び乗り家路に。

 2345帰宅。

10月4日(土)晴れ

 1700、新宿。郡山の予定を一日延ばしても見たかったイベント。コマ劇場で「渚ようこゲバゲバリサイタル」。

 昭和歌謡の歌姫・渚ようこは大好きな歌手。それが閉館するコマ劇場でリサイタルを。しかも、ゲスト陣が三上寛、内藤陳、若松孝二、山谷初男、横山剣ときては、もう見逃したら一生の損。まさに60年代の匂いがぷんぷんと漂う顔ぶれが一堂に会するわけで、前の日からワクワクドキドキ。

 1630に到着すると、コマの前は人波でごった返している。「渚ようこ」といっても、「渚ゆうこ」と間違える人がほとんどのマイナーなイメージ。それが、コマ劇場でリサイタル。どれだけの観客が集まるのか、余計なお世話だが心配だった。しかしそれは杞憂。キャパ2000のコマに前売りだけで1500、当日を含めると1600人以上が詰めかけ、客席にはほとんど空白がない。スゴイ。見渡すとやはり中高年が多いみたい。コマ劇場についたオバサンたちも。中には横山剣目当ての若い女性客も。しかし、圧倒的に渚ようこファン。
 ゴールデン街の「汀」のママというよりも、昔からのファンにとっては、歌手・渚ようこ。

 1700、リサイタル開始。緞帳が上がると、バンドのメンバー。伴奏が始まると、ステージ真ん中のセリが上がり、スポットに照らされ、ブルーのスパンコール姿の渚ようこが登場。一曲目は軽快な「新宿マドモアゼル」。バックダンサーはサイケなパフォーマンスグループ「デリシャスウィートス」の面々。まさに60年代!
 ここから渚ようこの世界が全面展開。「歌謡曲と新宿に捧げる破れかぶれのオマージュ」!

 得意の歌謡曲オンパレードから第一部のゲストコーナー、内藤陳と「トリオ・ザ・パンチ2008」とのコント。二部では若松孝二とのトーク、三上寛、山谷初男の歌、横山剣とのデュエットと至福の時間。アンコールはセリを3層に使い、まるでウエディングケーキの最上段に立つ渚ようこ。
 休憩20分挟み3時間。こんなにも胸ときめいた時間は久しくなかった。

渚ようこ 幕間にはコモエスタ八重樫とサミー前田のDJ。浅川マキ、原田芳雄の「愛情砂漠」、「夜明けのスキャット」など60年代の歌のリミックスなどが会場に流れる。

 中でも感動に震えたのは、寺山修司の映画「初恋地獄篇」のラストシーンに流れる「私の初恋の人は〇〇さんです、〇〇さん、元気ですか。私の初恋の人は××さんです。××さん、今どうしていますか」と有名・無名の人たちが呼びかける「初恋」のセリフに、ジェーン・バーキンの「ジュ・テーム」をかぶせたリミックスの素晴らしさ。すごい。これがDJなのだ、と感動してしまった。もう一度聴きたい、この「初恋地獄篇」。

 渚ようこの歌はどれも素晴らしい。歌の選曲はまるで、自分の分身のように、ぴったり重なる。「旅笠道中」は母がよく歌っていたっけ。「夜がつめたい 心がさむい〜♪」

 横山リエが映画「天使の恍惚」の中で歌った「ここは静かな最前線」を渚ようこが歌うと、まさに肌が泡立つような素晴らしさ。八代亜紀の「舟唄」も渚ようこが歌えば、さらに深く心にしみてくる。

 横山剣とのデュエット「かっこいいブーガルー+新宿そだち」は息もピッタリ。盛り上がりの最大風速は今公演の最大値。めちゃめちゃカッコイイ。たった1曲では惜しいが、舞台の構成上、あまりここだけ盛り上がるわけにはいかないのだろう。
 構成・演出の名前はないので、おそらく渚ようこ自身の演出か。
 人の出入り、ゲストの出入りも計算され、一瞬の緩みもないステージ。演出の才能もある。

 それにしても、今回のゲストの顔ぶれ。三上寛=青森、山谷初男=秋田、若松孝二=宮城、そして渚ようこ=山形。皆東北出身者たちだ。東北出身者にとって新宿は特別思い入れのある町。そこで二度とないリサイタル。

 で、今夜のもう一人の主役は実は寺山修司なのだ。
 三上寛の「戦士の休息」、山谷初男の歌った「菅原文太を見にゆくブルース」は寺山修司の詞。若松孝二が「自分の映画を最初にほめてくれたのが寺山修司だった」。もちろん、渚ようこも寺山修司ファン。

 会場に不在の寺山修司がコマ劇場に確実に存在した。そしてもう一人は林美雄さん。「天使の恍惚」の主題歌「ここは静かな最前線」を深夜放送でいつもかけていたのが林美雄。山谷初男も三上寛も、若松孝二も林美雄がオマージュを捧げた人たち。林美雄が生きていたら、渚ようこを強力にプッシュしただろうし、このリサイタルにも惜しみなく力を貸してくれただろう。
 
 ふと、二人が、客席のどこかに座っているような、そんな気がした。

 2030終演。
 外に出ると、偶然、見に来ていた高取さん、松田政男さんたちと出会い、一緒に近所の居酒屋へ。2300まで歓談。
 ゴールデン街に向かう高取さんらと別れて家路に。途中、高取さんから「阿佐ヶ谷の河北病院付近で泥棒事件発生」とのメール。阿佐ヶ谷か……最後まで寺山デー?

 ゲバゲバリサイタル・セットリスト

1.新宿マドモアゼル
2.新宿の女
3.サイケでいこう
4.アリゲーターブーガルー
5.カモナマイハウス
6.八木節
7.伊勢佐木町ブルース
8.港町ブルース
9.股旅メドレー(ギター仁義、旅笠道中・名月赤城山)
10.白い朝が来る
11.ここは静かな最前線
12.戦士の休息(三上寛)
13.夢は夜ひらく(三上寛)
14.ジプシーローズさんに捧げる唄(山谷初男)
15.菅原文太を見にゆくブルース(山谷初男)
16.ゲバゲバ子守唄
17.土曜の夜何かが起こる
18.二日酔い
19.本牧メルヘン
20.どうせ天国へ行ったって
21.舟唄
22.ブルースカイブルー
23.かっこいいブーガルー+新宿そだち(横山剣+渚ようこ)
24.ニュートーキョー
25.哀愁のロカビリアン
26.かもねぎ音頭
27.サヨナラ節

10月3日(金)晴れ

 1600〜1730、上野でマッサージ。帰宅後、急いで病院へ。二度も往復でグッタリ。
10月2日(木)晴れ

 1500、新宿御苑。サンモールスタジオでマシュマロウェーブ「かけちがい」(作=今いそむ、演出=木村健三)。

かけちがい 新宿・歌舞伎町のキャバクラ「エンペラー」を舞台に、新宿の「主」と呼ばれる経営者と、彼を慕うボーイ、独立を企む店長と妹のキャバ嬢などの人間模様を描いたもの。
 長年、歌舞伎町で風俗店を経営してきた作家による脚本だけに、キャバクラ内部の人間関係や会話が細部までリアル。

 物語の発端と終幕で語られる一人の男の孤独な死。華やかな世界と人間臭い卑小な世界。1時間50分ほどの小品だが、芝居はハコの大きさじゃない、その中身の質なのだということを改めて感じさせる珠玉の舞台。

 キャパ100あまりの小劇場だが、キャバ嬢たちのラストショーの迫力・華麗さはどんな大きなステージにも負けてはいない。
 キャバクラ嬢を演じた6人の女優もチャーミング。トップの桜木さやかは「聖ルドビコ学園」を主宰。さすがに芝居のうまさは一頭地を抜いている。可愛さでは浦出華代と友稀サナ。元宝塚の夏空李光は大人の魅力。女優を見るだけでも幸福感に包まれる芝居。オーナーを演じた一色凉太は初めて見る俳優。実に深い人間的味わいのある役者だと思ったら、元ストリップ劇場のプロデューサーであり、刑務所暮らしの経験もある人だとか。マルセ太郎に師事し、役者に目覚め、タクシー運転手をしながら役者をやっているというから、ふところの深さはそんな経歴からか。普通の役者にはマネできない。

 木村健三も刑事役で出演。マシュマロは久しぶり……というか、もしかしたら見るのは初めてかも。手堅い演出。

 客席に渡辺哲の顔。こまめに小劇場を見ている。

 1700、新宿の喫茶店で会報の面割りと割付を検討。校了まであと1週間しかないのに。8ページを小一時間で終える。いざ腰を上げるまでが長い。

1900。シアタートップスで毛皮族「暴れて嫌になる夜の連続」。

 隣席の写真家・宮内さんにトップス閉館で飛び交う裏事情の真偽を聞く。
 右隣は町田マリーさん。今回は声の出演だけ。次回は12月新国立劇場での「黒猫」とのこと。いつも清楚で涼やかな美貌のマリーさん、毛皮に出ないのは残念だが……。

毛皮族 さて、本編。いつもの「江本純子ワンマン・ショー」は封印。俳優として「役」に徹しているのにびっくり。メタ演劇ふうの趣向も抑えた「物語演劇」。役柄のためにか、短髪にした江本純子のストイックな芝居を見るのは実に新鮮。しかも、長ゼリフが多いのに関わらず、途中でごまかすこともなく、きちんとセリフが入っている。素に戻ることもせず、終始、役から逃げ出すことをしない江本。素晴らしい。

 物語は、婚前旅行の教師の乗る豪華客船を小学生グループが乗っ取り、世界に共産主義革命の根拠地を作ろうとするもの。江本演じる霧島一子は初恋の男の子とのトラウマがもとで、共産主義同盟「革命霧島左派」を結成。愛と性の共産主義革命を目指す。その過程で、他校のグループと連合するが……。

 もちろん、連合赤軍事件をモチーフにした辛口のパロディーであり、小学生の蜂起といえば、寺山修司の「トマトケチャップ皇帝」だ。連赤+寺山修司が作品の根幹。愛と性と暴力という毛皮族のテーマにぴったり。

 「アラビアンナイト」をもじったタイトル通り、シンドバットならぬ新藤クン、アリババならぬ馬場さん(40人に増殖!)が主要な配役。最後は怪鳥まで登場し、江本が空中遊泳の大サービス。ニプレス女優たちのダンスも弾け、大団円。このダンスシーンも過去の作品のダンスシーンとは格段のうまさ。稽古の修練がうかがえるカッコよさ。

 というわけで、今回の毛皮族は力の入れ加減が絶妙で満足度二重丸。

 終演後、笹目さんと立話。「青森の寺山修司音楽会があるので郡山は行けない」とのこと。打ち上げに誘われるも、こんな状況では帰宅の道を急がざるを得ないので断念。せっかくマリーさんも来ていたのに……残念。
 帰りの電車の中から、Cメールで江本純子に「よかったよ」メール。ダメもとだったが、偶然、同じauでよかった。芝居を見た後、それが面白かったら「よかった」と伝えたいものなのだ。ちょいと興奮さめやらず。

 2200帰宅。
10月1日(水)雨

 朝、顔を洗うときの水の冷たさよ。寒い季節の到来。

 1630、早めに帰宅し、掃除、洗濯、炊事。1900に帰宅した娘と一緒に病院へ。バスで帰る道のわびしさ。

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