エゴ・ラッピンの新展開に期待
  今年の音楽シーン最大の収穫はEGO−WRAPPIN’(エゴ・ラッピン)のメジャー展開といっても過言ではないだろう。インディーズシーンでは知る人ぞ知る存在であり、昨年9月発売のミニアルバム「色彩のブルース」はインディーズの常識を覆す驚異的な売れ行きと絶大な支持を得た。

 自らのレーベル「Minor Swing」を立ち上げてのメジャー第1弾フルアルバム「満ち汐のロマンス」(ポリドール)はジャズ、ブルース、キャバレー音楽、昭和歌謡、スカミュージック…と、それまでのエゴの音楽性を凝縮した名盤となった。

「色彩のブルース」は映画「リング」の中田秀夫監督の「サディスティック&マゾヒスティック」の主題歌に起用、鈴木清順監督の「ピストルオペラ」の主題歌も中納良恵が担当した。
 そして今年11月にリマスタリング発売されたマキシシングル「色彩のブルース」も好調で、オリコンチャートを上昇中だ。

 エゴ・ラッピンは大阪出身の中納良恵(ボーカル、作詞・作曲=27)と森雅樹(ギター、作曲=27)のユニット。アコースティックを基調にしたサウンドは若者はもとより40〜50代にも支持されている。

 その理由は楽曲のよさももちろんだが、”よっちゃん”こと中納良恵のボーカルの魅力に負うところが大きい。そのハスキーな歌声は時にクールに激しく、時に甘くせつなく表情豊かに変化する。まさに天性の歌姫。
「ハスキーな声は生まれつきなんです。幼稚園の頃は、階段の踊り場に腰掛けて都はるみや石川さゆりの歌を歌っていたそうです。踊り場だと、声が反響して上手に聞こえるらしいんですね。ハハハ」。

 深夜、音を消したテレビ画面を見ながらビリー・ホリディなどジャズボーカルを聴くのがよっちゃんの”癒しの時間”。「音楽意外あまり趣味がなくて……」と言う森さんの”マイブーム”は泡盛。「沖縄に行った時、勧められたらハマってしまって。居酒屋に入るとついメニューにあるかどうか目が行っちゃうんですよ」

 いつか海外でライブをやって、自分たちの実力を試してみたいという2人。
「目指すのは永遠に残るスタンダードな曲作り。そのため来年も自分たちのペースを崩さず、地道にやっていきたいですね。いい意味でファンの期待を裏切る活動ができればと思います」

 2002年はエゴ・サウンドが日本中を席巻する年になりそうだ。
(2001.12.27)