MY FAVORITE SONGS |
桑名晴子「MOON LIGHT」@徳間ジャパン 初盤は80年頃? 92年にCD化。桑名正博の妹・晴子のアルバムの中ではこれがベスト。「ほうろう」(細野晴臣)「ウララカ」(大瀧詠一)、「DOWN TOWN」(伊藤銀次)、「あの頃のまま」(呉田軽穂=松任谷由実)、「I LOVE YOU」(つのだ☆ひろ)、「ムーンライト・サーファー」(中村治雄=パンタ)、「夜の海」(下田逸郎)と名手の曲がそろっている。夕暮れ時に、駅の雑踏で再会した学生時代の友人とすれ違いながら”人生の一節、まだ卒業したくないボクとたわいない夢なんかとっくに切り捨てたキミ”と青春の挽歌を歌うユーミンの「あの頃のまま」は「いちご白書をもう一度」と対をなす曲。 |
シリア・ポール「夢で逢えたら」@ソニーレコード 77年リリース盤のCD化。97年発売。プロデューサーは大瀧詠一。エコーを多用した”フィル・スペクターサウンド”全開の一枚。シリア・ポールは「モコ・ビーバー・オリーブ」のオリーブ。大瀧詠一が再発ライナーノーツで「自画自賛」しているように、今でもまったく古びない上質のポップサウンド。「Walk With Me」「Oh Why」「恋はメレンゲ」など胸キュンのポップス満載。このアルバムの4年後にかの名作アルバム「ロング・バケーション」が生まれるわけで、すでにその香りを内包した傑作。 |
Bernadette Peters(バーナデット・ピータース) 「I’ll Be Your baby Tonight」 10年ほど前に偶然、買った「bernadette peters」というタイトルの輸入版CDがお気に入りでよく聴いていたのだが、なかなか新譜が出ない。去年、タワーレコードに問い合わせたら日本では発売されていないという。直接、アメリカから取り寄せてもらったのが、これ。日本語表記さえ統一されていないようで、あまり売れていないシンガーかと思ったらこれが大間違い。なんと、彼女は2000年に「アニーよ、銃をとれ」で米演劇界の最高賞・トニー賞主演女優賞を受賞したベテランミュージカルスターになっていたのだ。1984年にはカーネギーホールでリサイタルを開き、そのライブ盤も素晴らしい出来。 |
坪田直子「ピーターソンの鳥」@キングレコード 元「東京キッドブラザース」の坪田直子、元日大全共闘議長、秋田明大。異色の顔合わせによる映画「ピーターソンの鳥」(1976年)の主題歌。青春の痛みを歌う坪田直子のボーカルはリリカルでせつない。収録曲「黄昏だけなら生きてもいい」を聴くたびに、かすかに残る青春の残照に胸がふさがれる思いがする。キッド退団後、一時「行方不明」が伝えられたが、その後、結婚し、今はCMのナレーションで活躍している。 ナイアガラ・トライアングルVOL.1@ソニーミュージック・エンターテインメント 初盤は1976年にコロムビアからリリース。大瀧詠一、伊藤銀次、山下達郎の3人が組んだ日本ポップス史上最高のアルバムだ。参加ミュージシャンも吉田美奈子、坂本龍一、吉田健、林立夫、細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、大貫妙子と「ココナツバンク」「はちみつぱい」「シュガー・ベイブ」「ティンパンアレー」「キャラメル・ママ」等伝説的なバンドの流れを組む実力派たち。 81年にソニーから再発。86年にCD化されたが、どうも初盤と違うバージョンとしか思えない曲(幸せにさよなら)があり、首をひねった。レコードはすでに手元になく、検証できず。95年の再発のライナーノーツを見たら、やはり86年盤はリミックスした曲が入っていたという。私の耳がおかしかったわけではないと、ひと安心。95年盤は76年盤のオリジナルマスター。 ライナーノーツで大瀧が言ってるが、この直後に山下達郎が初アルバム「サーカス・タウン」をリリースし、その音楽性が今に至るもまったく変わっていないというのはスゴイ。 「夜明け前の浜辺」は今まで聴いた中で最高のラブソングだし、「遅すぎた別れ」での吉田美奈子のスキャット、達郎のボーカルは息もぴったり。 どの曲も遊び心いっぱいで作られた傑作ばかり。こんなアルバムを飄々と作ってしまう大瀧詠一、やはりタダモノではなかった。 |