第3の関門


 駅を降りると、若者は近くのCDショップに入った。「NO MUSIC NO…。音楽のない生活なんて…」

 CDの棚を眺めていくと、「めったに見かけない貴重品」のコーナーに目的のモノがあった。

「懐かしい! ビニール樹脂のレコードだ。この女のコは70年代に一部ファンに絶大な人気があったっけ。”私、ダンスはまく踊れないの”と言ってたな」
 ダンナは「傘がないんだ。でも行かなくちゃ」って歌ってたし…。

 「あの夏の光と影はどこへ行ってしまったの♪」

 歌声が聴こえて来たので、振り向くと同じ顔をした女のコが3人並んでいる。

「いったいどれがホンモノなんだ」

 若者は手を伸ばし、その中の一人の女の子の手をとった…。