平成12年9月8日
 更新

 

「バイク」

僕が生まれて初めてバイクに乗ったのは中学3年の時だった。

田舎のばあちゃんの家に遊びに行った時に、従兄弟のバイク(原付き)に乗せてもらった。

大人達に見つからないように近くのコンビニまで運転した。

そこは田舎道で、初めて運転したのに時速60キロを振り切ってしまった。

「すごい!気持ちがいい!楽しい!!バイクが欲しい!」

その夜、何度も風をきってバイクを飛ばしたことを思い出しては寝つけなかった。

親に言ったってどうせ危ないからやめとけって言われるのがおちだろう。

この出来事から僕のバイクに対する情熱は大きくなっていった。


 
 高校1年の時、とうとう原付バイクの免許を取りに行った。

それも平日の火曜日に親にだまって学校を休んでから取りに行ったんだっけ。悪友3人と。

後で父親にしこたま怒られた。「学校まで休んで親に相談もせんで。バイクなんか買わせんぞ。」

「高校では免許とったらいけんっちゅう校則はないけんね」と反論した。親父は呆れていた。

僕は勢いで買わないと反対されると思い(すでに反対されてる(爆))

一ヶ月間、引っ越しのアルバイトをしまくって、とうとう新車を買ってしまった。

ホンダDio 50cc。(スクーターである)
 
 友達のほとんどはただの足として近所を徘徊していたが、僕は違った。

たかが50ccの原付バイクだというのに何故かこいつに乗って何処までいけるだろうか、と考えていた。

あの時、田舎で体験したあの爽快な気分をもっともっと感じたい。

 ふと気付いたら、同じクラスの友達の中にバイクのことで自分によく似た感情をもつ奴が2人いた。

昼休みなどにバイクの話やツーリングの話しで盛り上がった。

そして、遂に冬のある土曜日。とうとう親に黙って僕ら3人はバイクに乗って旅に出た。

めざすは北九州から片道約500キロ離れた熊本県阿蘇山

50ccのバイクでどこまでいけるか、そして何を感じるか。僕達の心はすごくわくわくしていた。

生まれて初めてのわくわく度だった。


 
 大きなダム。深い森林。長いトンネル。せせらぐ綺麗な川。そして雪道。

途中友達がバイクで転倒したが大事にはいたらなかった。

阿蘇に入るまで峠を何度も越えた。手も寒さの為凍りつきそうだった。

普通の布手袋では寒いはずだったし、50ccのエンジンではもう限界だ。

既にアクセルを全快に回しても30キロも出てなかった。体も寒さで固まってバキバキに痛い。

すると・・・ついに見えた。

「噴煙だ〜〜!」

外輪山からみた阿蘇の山ははっきりと煙を立ち上げていた。

僕らはバイクを止めてしばらくボーと突っ立っていた。そして一斉に

「ヒュ〜〜〜」「おっしゃあ〜〜」「うぉ〜〜」

 泣きそうに感動したのを思い出すなあ。

バイクにはぶつかった虫がたくさんへばりついていたので雑巾で拭いてやった。

その後、阿蘇山頂まで登り写真をたくさんとった。

草千里、米塚、火口、どこも来たことがあるのに初めて来たような感動だ。
 
 山頂に着いた時はすでに夕方近かったのでその日は当然帰れそうもなかった。

みんな着替えなど持って来ておらず、慌てていろいろ考えた。

すると近くに風呂があって寝るだけのユースホステルがあった。

一人2千円だったので帰りのガス代を考えると、ここか野宿かどちらかだ。

やっと家に電話を入れる。「阿蘇?バカやないんか?」と続けようとした親父は

「気をつけろよ」と言ってくれた。

その時になってやっと親にとんでもない心配をかけてる事に気付いた。


 
 次の日、国道57号沿いにある「腹いっぱい母の味」とかかれた定食屋にはいった。

「たかなめし定食」・・本当に大盛りの高菜めしに、冷奴。

どんぶり茶わんに肉と卵がたっぷり入った味噌汁。刺身こんにゃく、漬け物。一生忘れない。

日常生活から離れてるから?今まで食べた中で一番うまかった。

「うめ〜〜」「またこうな!」

「この寒いのにどこから?」と店のおばちゃんに聞かれ

「北九州から!」と答えると「その小さいバイクでか?」「そうばい」「帰りはきいつけないよ。」

と言ってくれた。そしてその店を出た。疲れきったボロボロの体なのに気分は良かった。他の2人もそんな顔だ。


 
 自宅に帰るのが恐かった。殴られるだろうか、久々に。

「おかえり〜〜阿蘇はどうやった?お土産は何?」

はさすがにないやろう。

やっと北九州に帰り、僕らは固い握手をかわした。何かをやり遂げた清清しい気分だった。

後は家に帰るだけ・・・

家に帰ると親父が待っていた。何故か黙ってる。やっぱり怒ってんだろうな。

すると思いがけない言葉が。「バイクは楽しいやろ?」「へっ?」拍子抜けだ。

「バイクに乗るなとは言わん。けど親に行き先を知らせていけ。俺も昔はバイクに乗りよった。

楽しさはわかる。俺も親の反対を押し切ってバイク買ったけの。」

親父の免許証を見せてもらうと確かに自動二輪の免許があった。しかも排気量無制限のやつ。

初めて知った。

「お前に見せるとすぐバイク欲しがるやろうと思ってみせんやった。子供にはあんまり乗って欲しくないもんやけ」

子供が出来た今になっては胸が痛い言葉だ。


 
 最後に16歳の時経験したこのバイク「原付きツーリング」

今でも僕の中でバイクに対する情熱を揺るぎないものにしてくれた。

その後250ccに乗り換え、数々のツーリングに行った。

しかし、この阿蘇での出来事、これに勝るツーリングはない。

子供がいなくなって40才ぐらいになったら絶対ハーレーを購入してこの時の感動をもう一度味わいたいな。

しかし、子供には取りあえずバイクの免許がある事は内緒にしとこっと。(笑)

当時、心配をかけた両親に頭があがらない今日この頃です・・・ (;^_^A

とーちゃん、かーちゃん、ごめん。

バイクヤローもヨロシク!!

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