今回のご紹介は「つぶ焼き」。
これは室蘭名物・・・・と言うわけでもなく、北海道全域にある料理ですが、室蘭はかつて近海の底引き漁の基地ともなっていた時期もあり、比較的安価でつぶ貝が市場に出回っておりました。
現在は大き目の「真つぶ」が刺身用で1ヶ1500円もする高値になって、とても気軽につぶ焼きなんて言えなくなりましたが、自分が子供の頃は近くにある室蘭水族館につぶ焼きのお店があり、よく遊びにいっては1ヶ20円〜100円(大きさで変る)のを食べていましたね。
一口につぶ貝とは言っていますが、エゾバイ科の貝でエゾボラ(真つぶ)、シライトマキバイ(灯台つぶ)、ヒメエゾボラやエゾバイ(磯つぶ)と種類が分かれております。
磯つぶ等は、昔近所の磯場で潜って採っては海岸で焼いて食べておりましたね。
ただ・・・・このつぶ貝、実は毒があるのを皆さんご存知でしょうか?
自分らは俗に「キモ」といっていた部分(唾液腺)に神経性の弱い毒があり、当たると運動神経末梢麻痺、たとえて言えば酒に酔ったような症状になり、視力低下、散瞳、頻脈等を起こすので注意が必要です。
自分の友人も釣りにいった帰り、浜で漁師から買って下処理をせずにそのまま焼いて食べ、見事に救急車で病院へ搬送されました。
昔の浜っ子たちは年長者にこういうところの処理の方法を実地で教わっていたため、当たる人はいませんでしたが、最近はそういうことも絶えてきたように思えますね。
ちなみに戦時中酒が手に入りにくかった時代、わざとここの部分を食してから少ない酒を飲みまわしていたことがあったとか・・・・。

さて、つぶ焼きです。
前述の室蘭水族館のつぶ焼きのお店はいまだ健在で、数年前友人家族と久しぶりに行ったときズラリと並べられて焼かれているつぶを見て、たいそうノスタルジックな感傷にひたりましたね。
値段は1ヶ数百円とお高くなっておりましたが、味はまったく変わりがありませんでした

居酒屋のつぶ焼きと違ってさっと焼いて出すのではなく、ズラリと並べながら何時来るかわからない客を待って焼いているため、つゆが干からびない様に随時差し水やつゆの追加をしながら焼いており、それがまた身によくしみこんで香ばしい香りと味になっているようです。


最近はあちこちの海岸の景勝地でつぶ焼きが売っておりますが、つぶの品質、焼き方はやはりこの室蘭水族館のが一番かな?と思っています。

こちらは2003年の展示会の時、亡き前会長が皆を地球岬に案内してくれた時の写真です。
ここでもつぶ焼きを頂きましたが、ここのはちょっとつゆが薄めでしたが・・・・・・・・でも晴れ渡った青空と海風の下、皆でいただく名物つぶ焼きはやっぱり美味しいですね〜!
室蘭の風景