「・・・・・・・・・・・」

闇の世界の中で2つの者が対峙する。

月は出ている、しかし、その光の色合いが普通の月とは違う。

赤い、そう真っ赤な光。

赤と、そして黒の世界で今、一つの命が消える。

「・・・・・・・・・・・」

同時にその者たちは突撃した。

相手の命を奪う為に・・・・・・

跳躍、交差、一閃、着地・・・・・・・・・・

静寂、そして倒れる音。


赤と黒の世界が割れていく。

勝った者は己の武器、大鎌を収縮させ、腰部分に付けた。


そして勝者は日常の世界へと帰還する・・・・



月明かりは紛れも無く色の無い光。



そしてその者は月の夜を跳躍しながら何処かへと消えていった。



新HP誕生記念
電波王道学園物戦闘系恋愛
シリアスギャグ代理人ゲストSS

THE Darkness Or Light

第1回:【始まりは学園とオリキャラ】



「・・・・・・こんな時間か。」

目覚ましがなるよりも早く私は起きていた。
今日から新しい学園生活だと言うならば、確かに納得ができる。

カーテンを開けて窓を開ける。
朝の涼しい空気が顔に、そして部屋全体に入ってくる。

今日から私の高1としての学園生活が始まる。





私の名は【烏羽 僧慈】(からすば そうじ)
今日から黒月学園高校1年生となる、まぁ世間的に見ればどこにでもいるような学生だ。
私は中学は別の土地にいたのだが親の仕事の都合上、
高校となった時にこちらに引っ越してきたのだが、
その肝心の親は現在海外へ出張中。
いったい何しに引っ越してきたのかわからなくなるものだ。

「これが黒月学園か・・・」

丘の上にある学園を見て溜め息をつく。
でかい、それも相当。
いったい何があるんだか・・・

「さて、教室は、と・・・」

そこで小柄な女性の見事な突きで背が大きめな男が悶絶してるのを見たが無視。
関わるとろくなことが無いことの典型的なパターンだ。
そして体育館で校長、【緒島 みみみぃ】氏と教頭、【黒澤 郷子】(さとし)氏の
あまりあり難くない話を聞いて教室に行く。
クラスは結構広く、人数はざっと見て30後半といったところだろう。
さっそく女子同士が話し合っているが男のほうは意外と少ない。
本を読んでいる者、歩き回っていてこける者、なぜか壇上で漫才を始める者・・・

大丈夫か?このクラスは・・・・





その後、何事も無く時は進み、家に帰る。
あまり野郎との会話は無かった。
強いていうなら【浅禾 斗鬼雄】(あさか ときお)なる男が座席で斜め前にいるのだが
それのあっち系の話をこちらに振るのは勘弁してほしい。
本人が気さくな人物なだけにそこが痛いと思ったりした。

腹が減ったので事前に炊いておいた米と冷蔵庫にあるもので夕飯を食べる。
この時、9時。
風呂に入り、テレビを見て、暇を潰していたのだが小腹がすいた為、
近所のコンビニへ何かを買い出しに商店街に行く事にした。
この時、時刻は11時を回ろうとしていた。






「・・・・・・?」

私は夜の商店街を歩きながら不図思う。

おかしい、どう考えてもおかしい。

コンビニはこんなに遠くは無い。
それに周囲の風景が動いていない。
私はきちんと歩いている。
足を止める。
そして振り返る。
しかし、そこには今来ていた道ではない。
あるのは闇、そう漆黒の闇のみ。

「・・・・・・夢でも見ているのだろうか?」

独り言。
そして前に一歩足を踏み出すと世界が一変した。

「!?」

今ある全ての景色が赤の世界に変貌した。
全て赤の世界に・・・

夢ならばこのまま体験する気力などない。
さっさと目を覚まして欲しい。

しかし、この肌に来る寒気は果たして夢か?
否、これは現実だと判断する。
さっきまで風など吹いていなかったのだから。

そこで私は近くに何かがいるのを感じた。
いや、単に本能で感じたに過ぎないかもしれない。

「・・・・・・・」

気配は複数ではない。一つだ。
前から来る。
そして視界に足音を鳴らしながら悠々とその主は来る。

しかし、それは人ではない。

「・・・・・・これは驚いた、まさか生の人狼を見るとはね。」

そう、黒い毛だらけの体。
赤いギラギラと光り、こちらを威嚇する赤い瞳。
その鋭さは遠めにもわかる爪。
獲物を待ち遠しく感じているであろう牙と口。
並みの人間とは比べられない太い、黒い足。

まさにホラー映画ならばいるであろう人狼が私の前にいる。

「グルルルルルルル・・・・・」

人狼はニヤリと笑った気がした。
つまり、私を狩る気だ。
さすがに普通なら私でも落ち着きが少し欠けたかもしれない。
だが、私にはこの自分の人生の最後になりえる局面が冷静さを失わせなかった。

「・・・世の中は本当にわからないものだ。
 こんな試練じみたものを私に提供する。
 これを切り抜けた先に何があるのか・・・・・
 知っているのか?人狼君。」


返答は突進してからの爪の横削ぎだった。





「・・・【狩場】を確認。
 既に不幸な人が一人入っちゃってるみたいね。」

ビルの屋上から何気ない夜の商店街を見る一つの影。
しかし、その目にこの世の世界を見てはいない。
赤と黒の世界が瞳に映っている。

「・・・確認した。
 いいのか?学園の生徒のようだぞ?」

影の耳にある丸い機械、小型無線からは仲間と思われる声がした。
影の主は薄く笑い、答えた。

「そう、なら少しの間様子見でもしようかしら。
 もしかしたら凄い実力者かも知れないわよ?」

「・・・本気で言っているかどうかはさて置き、さすがにそれは危ないと思うぞ。
 何時からそんな性根の悪い事を・・・・・」

「あら、あなたのような根性を36782回ぐらい曲げた人に言われたくはないわね。」

「はいはい、わかりました。
 お願いします、助けてあげてください。」

「・・・まぁ冗談はさて置き、行くわ。」

影はビルから下の闇へと跳躍した。
音もせずに道路に見事に着地し、腕に装着していた短い棒を握る。
するとその棒は伸び、大鎌となった。

「古の者が古来より使いし狩りの世界。
 我はその狩猟者を狩る者なり。
 我は闇にして闇にあらず、人にして人にあらず・・・
 今ここに、蛮族の聖域への扉を開け・・・・!」

影、否、女は鎌で空間を横に斬る。
すると、そこには次元が斬れたかのように世界が歪む。
その切れ目からは赤と黒の世界が見える。

「さて、今宵の夜の生贄は誰かしらね・・・」

女は躊躇うことなくその切れ目の中に入っていった。
女が入ると空間は直に元通りになった。


辺りは静けさを取り戻した。





横削ぎの一撃を後ろに跳んで回避する。
予想よりも速い動きに、少し上着のコートを持っていかれた。

「グルルルルルル・・・・」

人狼はこちらを睨む。
姿勢を低くした時、私は近くの横手の路地に逃げ込んだ。
それに気付き、跳躍し、追いかけてくる人狼。
狭い路地の為、体格のでかい人狼は肩が入れずに入り口でこちらを睨む。

とりあえず時間稼ぎはできた。
私は路地を抜ける。

人狼はビルの屋上へと跳躍し、路地から出てきた私目掛け頭上から来襲する。
その爪の一撃を服を気にせずなんとか避け、私は奴の目にコートを被せた。

「!?」

人狼は慌て、コートを取ろうとするが顎の所に袖の部分を巻きつけ、
さらには多少チャックを閉める事により、容易には取らせないようにする。
この手段を一瞬でできたことに多少の己への疑問を感じたがそれどころではない。
目や顎に己の鋭い爪が入らぬよう慎重に人狼はコートを斬っていく。

その隙に私はまた、別の路地へと逃げ込む。
どこかに出口はないものか、と私はいろんなところを走った。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・」

闇雲に走ったところで何が起きるという訳でもないだろうがとにかく
奴との距離は多少でも離さなくてはいけない。

公園の中に入った。
そこで息を整え、走ろうとするが後ろにドスンッ!!!と
何かが着地する音が聞こえた。

「グルルルルルルルル・・・・」

先程の人狼だ。
どうやらコートは時間稼ぎにはなったが結局は無駄になった訳か。
奴の鼻の存在を失念していた。
この世界は奴の世界。
匂いならばどこにいてもわかるということか。

「・・・・・・ここまでか?」

いや、私はまだ死ねない。
私にはやることがまだある。
転校してこの地に来て二日目から不可解な出来事で死にたくは無い。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

奴が来る。
何か策は無いかと周囲を見回す。
くっ、私はまだ・・・・・・・死ぬ訳には・・・・・




「普通の人にしてはやるわね、君。」 



目を瞑る瞬間、女の声の幻聴が聞こえた気がした。




・・・・・・・・・?痛みがこない。

目を開けると、そこには大鎌を持った女性が人狼の爪を鎌で押さえていた。

「グルルルルル・・・・キサマ、ナニモノダ?
 コノセカイニハイッテクルトハナミノニンゲンデハナイナ?」

人狼は聞き取り難い日本語で女性に問う。
私はただただ唖然と見ていた。

「そうね、確かに普通の人間じゃないわね。
 でも、あなた達化け物とも違うわよ。
 まぁ、夜の蛮族という意味では同じかもしれないけど。
あなたたちの中では【死神】とか呼ばれてた気がするけどね。」

女性は薄く笑った。
人狼は目を細くした後、目を大きく開いた。
まるで誰だかわかったかのように。

改めて女性を後ろから見る。
服装は黒一辺倒。
髪は長い。
なだらかな黒い髪が印象的な女性だ。

「・・・ナルホド、キサマがレイノ。
 ・・・・・・・コヨイハコウザメダナ。
 ヨルニヒソミシ【黒翼の死神】ヨ、マタアオウ。」

「何よ、結局私の事知ってるんじゃないのよ。」

人狼が後ろに跳躍し、闇に消えていった。
女性はその行き先を凝視し、こちらに振り向いた。

「まぁ、あいつが向こうにいるから追わなくていいわね。
 それよりも問題はこっち。」

女性はちょっと怖い笑みをしていた。
顔は黒のバイザーのせいでよくわからないが。

「・・・・・・こういう場合はいろんな質問をしていいのだろうか?」

とりあえず言ってみた。
無駄な気が少しした。

「う〜ん・・・・・・とりあえず、却下。」

ゴスッ!

返答に鳩尾に女性の見事な一発を貰い、私は気を失った。






赤の世界はまるでガラスを割ったかのように崩れていった。
何時もの光景だ。
そして、私は現実の世界に戻る。

奴はどうやら空間を削除したようだ。

今宵は満月。
地面に倒れている男子をどうしようか多少考えるが、やはり彼に任せよう。
女の私がどうして男を背負ってその家まで届けなくてはいけないか?
否、そんなことはもちろんない。

「ふぅ・・・・・・・悪ぃ、逃げられた。」

馬鹿が戻ってきた。
しかも最悪なことのたまって。

「・・・・・・とりあえずボディに二人で二発ずつかな?」

「いや、どっかの誰かが行く前に腹に一発きついのをかましたせいだと
 私はここで述べよう。
マジでありゃきたぞ、あれぐらいのでも逃すぐらい。」

「・・・・・前言撤回、二人で5発ずつ。」

「・・・・・わかりました。その男子を運ぶので勘弁して下さい。」

馬鹿は諦めたようによいしょっと声を出して男子を肩に持ち上げる。
普通の人なら片手で持つのは無理だけどこの馬鹿ならではのことだ。
しかし・・・・荷物と同レベルに見えてしまう。

・・・・・・・・・・・・・いや、同レベルか。

「しっかし、こいつも気の毒だな。
 この町に来て二日でこんな目に会うなんてな。」

馬鹿が苦笑した。
確かに、相当運が悪い。
当たったのが大した者で無いのがせめてもの救いか。

「でも生きてるんだからいいじゃない。
 見てたけど結構やる人みたいだしね・・・」

「人員が少ないうちらの同士にしたいってか?」

「それは彼次第ね。」

そして私は己の家に帰ることにした。
報告はどうせこの馬鹿がいる事だし必要はない。
ビルの屋上へと跳ぶ。

「明日遅刻すんなよ〜。」

下から馬鹿の声がする。

「あなたこそ遅刻はしないようにね。
 明日辺りから生徒会の選挙よ!!!」


私はそれだけ言って夜の町を建物から建物へと駆けていった。



今日の黒月学園新聞【黒海】第1号

*芸術部が我が高で女子ミスコンを開催しようとしたところ
副生徒会長二人を中心とした生徒会に撲滅されたことがわかった。
これには生徒会長も協力して秘密裏に開始までに準備を進めていたようだが
副生徒会長【月川 深月】(つきかわ みつき)氏、【白羅 猶哉】(はくら なおや)氏、
両名に発覚。
それにより生徒会長【碑澄 黒子】(ひすみ くろこ)氏を筆頭に芸術部部長などの
主犯格が粛清を受けた。
この発覚の裏には会計【守鷹 zケニー】(かみたか)氏や
校長【緒島 みみみぃ】(おじま)氏の
裏切りがあったせいとも言われているが定かではない。
相当学園内での反響が凄かったため、我々はその日を
【馬鹿がお仕置きされた日】と名付けることにした。
黒子氏の言い訳を最後に載せよう。
「いいだろぉ!?どっかの学園じゃ普通にやってたんだぞぉ!!!
 貴様らには男のロマンというものがわからんのか!そもそも・・・(以下省略)」
個人的にも新聞部的にも残念な事だった。
ついでに写真部も残念だと言っていた。

○今日の生徒会長名言

「今月の食堂の献立は私の愛妻弁当です(ハーと)」


第2回へ続く。





後書き

ちわ、ご無沙汰の代理人です。
この度、みみみぃがHP新しくしやがったんで今までのを全部無しにしてのゲストです。
すいませんね90000や70000期待してた人たち。
これでも見て勘弁してくれい。
さすがに50000は責任を持って終わらしますのでご安心を。

ちなみにこれ、たぶんそう簡単に終わらないからそのつもりで待ってて下さい。
現在、私の中ではこのHPが終わるまでぐらいを考えてます。(笑)
んじゃ感想、不満、不評などなどは小説感想掲示板でお願いねぇ〜。
ちなみに喧嘩うってくるのは勘弁ね。

え?あのよくわからない最後の新聞は何だ?
さぁ?よく私もわかりませんなぁ〜(ニヤリ)






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