世は無情だった。

一人の人間が消えようとも何も変わらないのだから・・・

その人間が再び戻る事の無い光、

戻る事の無い日常・・・・・

運命とこれを呼ぶのか、否か。

必ず光と闇は衝突する事となる。

止まった時はいつか再び動き出す。

彼らの時も今、動き出す。





死と隣り合わせの世界の中で・・・彼らは再会を果たした。






THE ENDLESS NIGHT SPIRAL
序章【再会】



秋の夜の風が俺の体を通り過ぎていく。
心地よさを感じつつもその感覚に酔いしれず俺はターゲットに狙いを定める。
一発だ、それだけで全ては終わる。

照準にターゲットが合う。

風道も全てOKだ・・・・

ドゴォォォン!!!

もう撃てば見ずとも解かる。
直に俺はライフルをしまい、狙撃場所から離れた。


階段を下りきり、少し離れた路地裏に止めておいた車へと急ぐ。

そこへ・・・・


カチャリ

背後から銃が構えられているのに気がついた。
俺はすぐに手を上げた。
迂闊だったな、もう警察の動きがこちらを掴んでいたのか。

「そのままよ・・・・・あなたが今度で5件目の連続殺人の犯人ね。」

女の声が背後から聞こえる。
年は20代前半だろうか?
それにしては聞き覚えのある気がする、いや気のせいのはず。
今の俺に警察の知り合いなどいるはずが無い。

「何が目的かは知らないけどこれであなたもお終いね、こっちを向きなさい。
 顔はちゃんと拝んであげるわ。」

俺は振り向き様に女を地面に押さえつける。
無論、顔を見られる以上この刑事には死んでもらうことになる。
顔面に銃口を突きつけ、相手の顔を見る形になる。

「くっ!?」

「っ!」

そこにいる女を見て俺は流れを変えざるおえないことになる。
俺はこの時点で暗殺者失格なのだろうと直感させられる。

俺は・・・甘いのだろう。

「・・・・・・・直人?」

「人違いだ。」

俺は押さえを解き、銃を仕舞いながら立ち上がり車へと急いだ。
押さえていた女刑事、いや、鏡花はそれに気づくと急いで立ち上がり、追ってきた。
俺が路地裏の車のドアを開けると同時にその場所に鏡花もたどり着いた。

「・・・直人、まさかあなたが犯人だったとはね。」

俺は車を背にして彼女を見た。
3年前よりも大人びた鏡夏の姿がそこにあった。
俺は彼女に銃口を向ける、これ以上は寄るな、という意思表示の為に。

「まさかお前が刑事になっているとは思わなかったな。
 小さい頃の夢は叶ったわけか。」

「そうね、でも今はちょっと後悔しているかしら。
 あなたとはこんな形で再会はしたくなかった。」

少し鏡夏が笑みを零した。
それはお互い様だ、誰がこんな展開を予測できただろうか?
昔の幼馴染が3年振りにこんな再会をするなど。

「直人、4年前のあの事件から姿を消したあなたがなぜこんなことをしているの?
 私は・・・あなたが死んだと思っていたんだから!」

鏡花の目から涙が一滴落ちた。
俺は自分が動揺しているのがわかっていた。
しかし、それに流されるわけにはいかない。

「・・・答えるわけにはいかない。」

トリガーを握る手に自然と力が入ってしまう。

「直人!」

「すまん、鏡花。俺は・・・俺には、やらなくてはいけないことがある。」

足を一歩踏み出した鏡花の近くに弾を一発撃ち込む。

「っ!?」

「来るな鏡花、俺はお前を撃ちたくはない。」

「直人・・・」

「この事件には関わるな、鏡花。
 次に会った時にはお前を撃たなくてはいけない。」

「・・・・・・」

「もしくは俺を撃て鏡花、そうすればこの事件は終わる。」

俺は車に乗り、エンジンを入れ、車を出す。
暗がりの中にいる鏡花を一目だけ見て俺は夜の町へと出た。



一目見た鏡花は・・・・・泣いていたように見えた。





第一幕【鏡花】に続く





後書き

展開的にどうもおかしい気がするがシカトシカト。
大丈夫、まだなんとかなるはず・・・・・・・・ならないかなぁ。


戻る