山小屋だより2009(1)
7月17日 岩場に咲くラン
今日は、梅雨末期の土砂降りでしたが、たか爺のお見舞いの約束をしていたので、山小屋へ向かうことにしました。思ったよりもずっとフットワークの軽いたか爺に一安心。
まだ、雨は本格的に降り続いています。これでは、散歩も無理なので、山野草のお店を覗いてみることにしました。裏山の池でサギソウを試してみたかったのです。ところが、行ってビックリです。レンゲショウマ・フウラン・セッコク・ウチョウランと、裏山でテストしたい野草のオンパレードです。まだ、園芸技術については自信がないのですが、植物が生息する環境については、注意して観てきたつもりなので、サギソウと共に、このすべてを買い求めて、テストすることにしました。欲しい花だったので、植え付ける場所の目星は、すでにつけてあるのです。
3種類のランは、池の畔の空石積みに苔が生えているので、この隙間に水苔にくるんで詰め込めばいいでしょう。ただし、フウランとセッコクは、カヤラン同様に着生ランです。これは通気性が必要なので、ミズゴケだけで包みます。これに対して、ウチョウランは崖の上に多いとはいえ、土に根を張ると思われます。実際、購入した株も、そのようになっているので、石の隙間に培養土を詰め、平らな部分は盛りつけて、そこに植え付けることにしました。表面は、土が流されることを防ぐ意味でも、ミズゴケで覆いました。これで完了。我ながら、良い雰囲気です。
とりあえず、来年、無事に花を咲かせてくれるかどうか? これが、第一の関門です。もしうまくいったら、来年、株を買い足して、増やす工夫をしましょう。今日、植え付けたものは、裏山の主役ではありませんが、どれもが憧れの花。我々の大きな夢です。
自生を観る前に買ってしまったフウラン。多くは、巨樹の枝に着生するようです。

イメージしていたよりも、大柄な花でした。

つい先日、自生のものを始めて観たばかりのウチョウラン。園芸品種名で売っていましたが、きっと、こんな色もあるでしょう。
花そのものは、テガタチドリなどと似ていますね。
7月4日 真・野草園構想
半月ほど前に、たか爺の家を訪れて雑談をしている際に、裏山を野草園にする担当にならないかという申し出がありました。我々としても、大いに歓迎すべき話なので、「いいですねえ」と答えましたが、どうやらこれが「水と木のフィールド」野草園担当の任命式だったようです。(笑)
「水と木のフィールド」の活動の中心フィールドについて、おさらいしておくと、まず三段の休耕田を借りて手を加えたビオトープ部分があります。中段をホタルの幼虫の飼育水路に改造し、カワニナとホタルの幼虫を放流しています。上段と下段は池にして、メダカやらトンボなどの水棲昆虫の生活できる場所を提供しています。
このビオトープ部分に接した山林を、約1,000坪、たか爺が買い求め、ヒノキなどを伐採して、クヌギやコナラなどのドングリの木や、オオムラサキが卵を産みつけるエノキの木などを植樹しています。ドングリの木には樹液を求めてカブトムシやクワガタが集まりますから、たか爺が思い描く構想や夢は、概ね想像できると思います。
私は、この山林部分を、勝手にビオトープ裏山と呼んでいますので、今後も裏山エリアと呼ぶことにします。
我々が、会員になって、この活動に参加した二年前には、すでに伐採は終わり、植樹が進んでいる段階でした。元来が、物怖じしない、図々しい性格なので、この裏山にも堂々と入り込み、植生の観察などをやってきたわけです。そして、思いがけない発見をいくつかしてきました。
まず驚いたのは、ヤマザクラやハナノキなどの巨木の存在です。元々の雑木林を切り開いて、ヒノキの人工林にする際に、勿体ないので切り残されたのでしょう。こういう樹木が多いので、ヒノキが伐採されても、森としての威厳と木陰が残されているのです。
次に気づいたのは、池や石垣の存在です。これは、どう考えても、この裏山の下半分が、昔は水田だったことを示しています。規模は小さいものの、いわゆる棚田だったに違いありません。山の中腹には、現在も細々と利用されている農業用の水路が走り、その水がこの地域一帯の水田を潤してきたようです。元々、この用水から水を曳いて水田であった場所が、いつか放棄されて、現在では、池や湿地を形成しているわけです。
我々にとって、極めて魅力的だったのは、この地形の多様性でした。単なる山腹ではなく、元々の沢地形に人間の営みが加えられているのです。だから、面積の割には、多様な環境が確保されているわけです。何よりも、植物の生育に不可欠な、水分は豊富です。
これならば、野草の生育条件としては、理想的なので、色々な野草が生えているに違いない。こう思って、二人で時々散歩しては、探し回ってみたのですが、その割にめぼしい発見がありません。この理由のひとつは、ご多分に漏れず生い茂る笹でしょう。これでは、日の光が地面に届かないので、多くの野草にとっては生育困難ということになります。なによりも、植物というのは、種がなければ芽を出すはずがないのですから、元来、この地域は野草の種類が豊富ではなかったのでしょう。歩いてみても、ニョイスミレの湿地タイプや、チゴザサや苔類の姿は目立つものの、タツナミソウ・ツルアリドオシが時々見つかるといった程度でした。
ところが、去年あたりから、かなり顕著な変化が目につくようになりました。おそらく、伐採された樹木が多くて、空がぽっかりと空いたような場所があります。新たに植樹するために、掘った影響なのか、そこでは笹も疎らになっています。ここにセリバオウレンの群落が誕生しているのです。よく調べてみると、セリバオウレンは用水路の管理道脇でも生えているのですが、ここの環境が改善されて、数年が経過したので、我々にも目立つ群落が形成されていたということでしょう。この付近では、タツナミソウも群落を形成しています。草本類といえども、発芽してから花をつけるまでには、かなりの年月を要するわけですから、我々が気づかなかっただけで、徐々にセリバオウレンは成長を続けていたに違いありません。環境が変われば、そこで繁栄する植物も変わってくるわけです。
野草園と呼ぶには、あまりにも狭い猫の額であくせくしている我々にとって、裏山の広さもさることながら、何よりも水の多さ、環境の多様さは憧れでした。これまでにも、野草園では、どのように工夫してみても絶対に無理というものについては、たか爺に相談して、裏山の一部を使わせて貰うということは行ってきました。裏山の野草園担当になったのですから、今後の野草園作りの主軸は、当然にも、こちらに移ることになります。
しかし、広いということは、我々夫婦の手に余るという恐れも、多分にあります。趣味でやっていることなので、完成期限とかノルマというものは何もないのですが、やはり生きている間に、それなりの結果は観たいものです。
このあたりについては、折に触れて書き連ねていくことにして、とりあえずは、笹の衰退作戦から始めていきたいと思います。とはいえ、夏の間は影も必要です。笹の刈り取り作業は、9月から始めて、年に二回程度が適当だろうと考えています。撲滅するのではなく、勢力を衰退させる程度で良いだろうと思います。
何事も、絵に描いた完全な設計図に従って、機械的に行うよりは、結果を観て、修正を加えながら、ゆっくりと行った方が、早道になるというのが、私の信念であり、やり方です。大まかなイメージと基本線だけは決めておいて、あとはトライ・アンド・エラーです。
この野草は、こういう条件に適しているので、この場所が良さそうだという知識は養ってきたつもりですが、それでも、思いがけない失敗を重ねるのは覚悟の上です。ですから、まず自分の思う場所に2〜3本移植してみて、結果を確認しながら増やしていくという方法を基本にしたいと思います。それならば、笹の刈り取り作業以前でも、やることが出来ます。
前置きが長くなりましたが、今回は、暇だったので、いくつかのテストを行ってみました。まずは、にっくきヒメシャクナゲです。霧ヶ峰で右往左往させてくれた、あの湿地性の矮性ツツジです。
この周辺で自生する植物を基本にするというわが野草園原則からいえば、これは例外です。実は相棒が、野草店で衝動買いしたものです。やむなく、ポリエチレンの庭園用の池を埋め立てた場所に植えていたのですが、予想外に生き残っています。一方、自生のものは高層湿原のミズゴケの中でしか生きられないような書き方がされています。これは、木道でも作らない限り、素人が近づけない、近づくべきではない場所ということになります。しかし、木道を作ると、すぐにでも盗掘されかねないという哀しい現実。なかなか間近で観ることの出来ない植物です。
ということで、例外指定第1号にすることにしました。本来は亜高山地帯の花ですから、標高400m程度のここでは、いささか無理がありますが、裏山ではミズゴケはあちこちで自生しています。比較的、日照の良いミズゴケの中に、文字通りに埋め込んでみました。結果や如何に?

カキランは、この付近では、かなりよく観られるランです。ビオトープの池とよく似た場所にも、いっぱい自生しています。そこと同じ方角の水際付近でテストしてみます。
コミヤマカタバミも、ある所にはいっぱい咲いていますが、わりと自生場所は少ないようです。何故か野草園でもうまくいっていないので、裏山の比較的湿って、暗めの場所に移植しました。
ヤマオダマキ。多い場所では、道路脇の舗装の脇にすら咲いています。ミヤマカタバミに比べれば、乾燥気味で、日照の良い場所に移植してみました。
中学生の頃、守山のモウセンゴケを友達と見に行ったことが、何故か印象に残っています。そこは、湿地ではなく、岩の隙間から水が染みだす程度の場所でした。裏山でも、こういう場所はいっぱいあります。いつも湧き水が絶えず、アリノトウグサが進出している場所に、テスト的に移植してみました。
コミカンソウ。おそらくは史前帰化植物と思われ、大事に守るべき植物とも思われませんが、最初にビオトープの通路で見つけて以来、衰退傾向にあるようです。原因は、踏みつけ? それとも、頻繁な草刈り? どちらも、正解とは思われません。ものは試しで、もう少し湿って、踏みつけられない場所に移植してみました。
6月20日 そろそろ園芸技法も
おそらく地球の巨大な重力に逆らって動き回る必要がないからだろうと思うのですが、植物は動物に比べると、かなりシンプルな身体のつくりになっていると思われます。いってみれば、コンピュータを駆使した精密機械と、手作りの道具みたいな違いがあります。植物は、シンプルであるが故に、我々が失ってしまった能力を確保しています。その代表例が全能細胞です。
もともと、たったひとつの細胞から、我々の一生もスタートするわけですから、細胞は、どんな種類の細胞にもなりうる性質を持っているのですが、我々の身体は、あまりにも多様な精密部品で構成されているので、ごくごく初期の段階で、これは血液になる細胞、これは筋肉になる細胞という風に決めておかないと収拾がつかなくなるわけです。ところが植物の場合は、部品の数が少なくなるので、あまり慌てて決める必要がないのでしょう。その結果、どんな種類の細胞にもなりうるという全能性を、確保しておくことが出来たのでしょう。
だから、植物は、枝が折れてしまっても、その付近から新しい枝を伸ばし、新しい葉をつけることが出来ます。それどころか、条件さえ整えば、折れた枝を地面に突き刺しておくと、そこから根を出すということすら出来るわけです。こういう性質を園芸の世界で利用したのが、挿し木という方法です。
植物の多くは、種を蒔いて発芽させ、苗から育てるという方法以外にも、色々な方法で育てることが出来るわけです。種から育てるのは、有性生殖の方法ですが、こちらはクローン増殖、無性生殖の方法になります。クローンと聞くと、気味が悪いとか、危険だと考えている人が多いようですが、花見の代表格のソメイヨシノや西洋アジサイは挿し木でしか増やせません。自分では子孫を残すことも出来ない生命の欠陥商品を、綺麗だといって観ていることになるのです。
さて、講釈はこれくらいにして、我が野草園には、この付近にいっぱいあるチチブドウダンとモミジイチゴがありません。花も綺麗なこれらは、是非とも欲しい樹ですし、モミジイチゴの実は美味しいのです。ということで、挿し木の練習の対象にこの二つを選んでみました。
早速インターネットなどで、挿し木の一夜漬け勉強をしてみました。時期は、やはり梅雨の季節が一般的には良さそうです。
方法は、まず二年目あたりの枝を20cmくらいの長さで切り取ります。我々は、表皮の色で判断するくらいしか方法がないので、あまり自信がありません。
切り取った枝の一番根元から出ている枝の2cmほど下の幹を、カッターナイフでくさび形に尖るように削り取ります。葉っぱは、3枚程度残せば十分なので、それ以外はむしり取ります。これを水を入れたバケツに2時間ほど浸しておきます。
植え付けは、雑菌のいない綺麗な土が良いようです。我々は、市販されている挿し木用の園芸土を買って使いました。一番下の枝が、表面になる程度に差し込んでおけば終了です。
風当たりや直射日光は避けるようにして、乾燥させないように2〜3ヶ月育てます。この間は、引き抜くことは厳禁。当たり前ですね。こうして、9月に植え替えます。果たして成功するか?
ビオトープ裏山の野草園担当になってくれという、願ってもない要請を受けたので、引き受けようと思っています。猫の額の野草園から、広大な面積の野草園になると、いかに早く安く増やすのかが最大の問題です。園芸のテクニックは、やはり必需品になります。まあ、給料を貰うわけでもないので、そこは気楽にやりたいと思いますが、少しずつ園芸の勉強もしていかなければ・・・。あとは、イノシシの食害対策をどうすればいいのか・・・。わが人生、いよいよ夢の途中です。
挿し木する用意の出来たチチブドウダンの枝。挿し木したポット。
5月31日 チャレンジ
このところ、毎年カヤランを観に行くのですが、枝打ちされたヒノキの枝にカヤランがよく付いています。このまま放置すれば、枯れてしまうのは間違いないので、拾って帰って、裏庭でなんとか育てようと試みていました。
園芸的な手間暇をかければ、なんとか枯らさずに花を咲かせることも可能だったのですが、手を抜くとやはり駄目で、三年目に枯れてしまいました。本を読んでも、やはり乾燥した場所では無理なようですし、夏場の暑さにも弱いようです。野草園でも無理と思っていたのですが、ビオトープの裏山には池や湿地もあるので、なんとかならないかと持ちかけてみたところ、勝手に使ってもよいとの返事を貰いました。
昨年、早速湿地の近くのノキシノブなどがついている樹に絡ませてみたのですが、あっさりと失敗しました。西日の当たる方向に絡ませたこともありそうですが、やはり空気中の湿度も不足していそうです。
そこで今回はもう一工夫。西日の当たる方向を避け、水苔にくるんで、枝に縛り付けるという方法をとってみました。カヤランの根は気根なので、水に浸すと枯れてしまいます。しかし乾燥すれば、やはり枯れてしまいます。園芸では、水苔に包み込むという方法は普通に行われるので、水苔の保水性と通気性に期待しつつ、絶妙のバランスを保とうという意図なのですが、果たしてうまくいくものかどうか? これでうまくいかなければ、滝のようないつも水飛沫が飛び散る場所を探すしかなさそうです。でも、我々の知っている自生地は、ある程度大きな川の畔のヒノキ林ばかりなので、ある程度湿気があって、温度はあまり高くならない、そしてくっつきやすいざらざらの枝という条件を確保すれば、なんとかなると思われます。
先週、これを行って、今回、様子を観察しましたが、少なくとも去年よりは良さそうです。もちろん、最低1年は経過しないと、結論めいたことはいえません。時々覗いてみては、一喜一憂したいと思います。

3月15日 苗の補植
猫の額のようなスペースなので、これはもう夢物語になってしまうのは百も承知ですが、我々のイメージでは、我が野草園は花壇や展示館ではありません。自然のミニチュア・自然回復の拠点といったイメージだけは持ち続けたいと思っています。この周辺の在来種の野草が咲き乱れる場所にしたいわけです。
しかし、野草という観点から観ると、この地域は種類も量も豊富であるとは思われません。どうも伝統的に、樹木の方を大事にする傾向があるようです。樹一本、首ひとつと言われた木曽檜の影響なのでしょうか? 猫の額であるが故に、逆に、季節を変えて色々な花が咲いて欲しいという気持ちも強くありますし、個人的に大好きな花は、たとえ本来はここで咲くものでなくとも、ここで咲いて欲しいという気持ちも否定できません。この地域の花を基本にしながらも、それらの花は、自生種のイメージに近い園芸種を買い求めて、採りいれていこうというのも当初からのイメージでした。
ただし、あまりにも園芸テクニックを駆使して、無理矢理残すのは止めておこうと思っています。環境的に無理があるものは、所詮はいずれ衰退してしまうものです。高山植物はおろか、湿地植物も、ここで永続的に生育させるのは無理でしょう。土壌条件などを工夫して、一応の挑戦はしますが、その後の管理は最低限に抑え、駄目ならばあっさりと諦める。これが基本方針でした。ともかくあまり焦らずに、経過を観察しながら、残すべきものを決めていこうということでした。
この基本方針そのものを変更するつもりは現在もありませんが、なるべくいじらないということで、伐採した樹木の切り株も残したままという手抜きで行ってきました。どの樹木を残すべきかも決まっていない段階では、これも悪くはなかったのですが、そろそろそれも決まってくると、毎年伐開するのも無駄な作業ですし、切り株周辺には、硬すぎて多くの野草が生育できないスペースが残ることになります。何よりも切り株そのもののスペースもバカになりません。名古屋の庭から移植したり、新しい苗を購入するたびに、少しずつ掘り起こして、土壌改良とスペース作りをしてきたのですが、そろそろ、それを行うと、すでに植えてある苗を傷める程度に増えてきました。そこで今後は、補植を行う際には、ある程度計画的に、大きめのスペースを生み出しておくことにしました。地盤そのものが、あまり風化が進んでいない花崗岩なので、野草を植える場合は、腐葉土や培養土で置き換えなければならないという意味では、ほぼ例外がないわけです。入ってきて欲しくない帰化植物などが入りやすくなるというようなリスクもあるわけですが、トータルに考えれば、メリットの方が大きいでしょう。
今回は、14日は、あまり天気も良さそうではないので、名古屋の庭に残っていたものや、新たに購入した苗を補植し、15日はホタルの幼虫の放流というのが、当初の予定でした。ところが14日は思いがけない霧氷もどきの出現で時間を食い、作業開始が遅れました。移植すべき場所を物色すると、セリバオウレンの近くが適当と思われるのですが、ここには纏まった切り株が残り、早く掘り起こしておかないと、広がったセリバオウレンを傷めてしまう恐れが強くなることが判りました。ところが、これを行うと、穴を埋めるための培養土が不足してしまいます。かくして作業中断。15日の午後に培養土を購入して、続きを行うことになりました。それほど大きな切り株ではないように見えても、これを除去するのは、かなりの重労働です。まして病み上がりで、体力が極端に落ちている身ですから、予定時間を大きくオーバーし、投入した培養土も14リットル袋が5袋でした。農作業というのは、色々な意味で大変なものです。
本当のところ、たか爺のように一山買い求め、沢や池もある場所で野草園作りをしたいのですが、これは残された時間や財力と体力を考えても断念するしかないでしょう。やはり現在の猫の額が、我々には相応しいと思われます。所詮は暇つぶし、体力管理に過ぎないのでしょう。
でも、やっている間に、全くのゼロでもないかもしれないという気持ちも、少しずつ湧いてきています。たとえば、ギフチョウです。これまであまり頻繁に来ていなかったせいもあるのでしょうが、去年はギフチョウをずいぶん見かけたような気がします。ご存じのように、ギフチョウの食草はカンアオイです。これは我が野草園にも元々ありますし、去年調べてみたら、たか爺の裏山にもずいぶんありました。あまり明るい場所を好む野草ではありませんが、やはりある程度伐採した場所の方が分布密度が高いように思われます。成虫になった蝶は、やはり花の蜜に集まります。ずいぶん以前から伐採してきた我が野草園は、コバノミツバツツジの多さでは、この付近でも有数のものだと自惚れています。我々が勝手に行ってきた作業が、ギフチョウを増やすことになったのかどうかは、まったく定かではありませんが、我が家にギフチョウが訪れてくれるようになったのは間違いなさそうです。
ささやかな行いの積み重ねが、予期しない好結果をもたらしたり、逆に想定外の災いをもたらすことは、意外に多いのではないでしょうか? いずれにしろ、一年後には、次なるステップに入ってきたいと思います。

掘り起こした根。生み出されたスペースには、ニリンソウとミヤマカタバミを補植。
2月15日 春先のお手入れ
2月中には、春に備えて野草園の手入れを終える予定だったのですが、今年はどうも春の訪れが早そうです。いささか焦って、早めに終えてしまうことにしました。これまでにも少しずつはやってきたのですが、まとめて整理しておきます。
まずは移植です。去年の結果を観て、植栽場所が悪かったと思われるものを、順次移植しました。
去年購入したナツエビネは、日当たりが良すぎたようで、危うく死にかけました。西陽の当たらない樹木の影に移しました。
ホンシャクナゲは購入して5年以上になりますが、一度も花を咲かせません。これは建物の影になる斜面の上、法肩に植えてありました。自生のシャクナゲを観ても、日照は十分だと思われるのですが、斜面の上の方は乾燥するので、これが最大の原因ではないかと思われます。また地盤も固すぎるように思われます。実際、樹高はほとんど伸びていません。そこで斜面の下の平坦な部分に、穴を深めに掘って植え直しました。少し時期が遅すぎたので、今年は無理としても、来年はなんとか咲いて欲しいものです。
また、アキチョウジなどのシソ科の花も、斜面の上にあったのですが、シモバシラが出来ません。試しに、これも斜面の下に移動しました。
次は毎年行っている除草・伐開です。笹や要らない樹木を切り取って、日照と風通しを確保します。去年は少しやり過ぎた感があるので、今年はやや控えめにしました。夏場には影が必要な植物も多いようです。
最後に肥料をやります。腐葉土・化成肥料・油かすを適当にばらまいておきました。
野草の場所が分かっている付近は、落ち葉をどけておきます。これは発芽障害を避けるためです。落ち葉は分解されて腐葉土になると、最初の頃は信じていたのですが、現実は一向に分解されずに積もるだけです。おそらくミミズとかゲジゲジのような掃除屋さんが減ってしまったのが原因ではないかと思われます。生態系が健全な頃は、速やかに分解されていたのかもしれません。しかし生態系がズタズタになってしまった現在では、あちこちで落ち葉がうずたかく積もっています。これでは小さな草花は発芽出来ないと思われます。
近頃、イノシシが異常に増えています。たぶん天敵が少なくなってしまった結果です。イノシシは好んでミミズを食べるようです。この結果、ミミズが減り、ミミズを食べるモグラが減り、モグラを食べるトビが減ったと考えられます。リングの一部にほころびが出来ると、全体のバランスが壊れてしまう一例です。
今日散歩していたら、地元の人たちがイノシシ狩りをしていました。私のような人間には嬉しいことではありませんが、農作物の被害以外にも、生態系の破壊という事実もある以上、必要なことのように思われます。実のところ、イノシシを撮りたいのですが、傑作をものにする前に鉄砲で撃たれてしまいそうなので、逃げ帰りました。(笑)
春先の手入れのもう一つの目的は、野草の発芽状況を確認することです。まだ早春の花しか発芽していないと思われますが、セツブンソウが二輪咲いているのは知っていましたが、より若いセツブンソウがもっとあると思っていたのに、一株しか見あたりません。少しショックです。今のところ蕾を付けているのは、紫色の雪割草だけのようです。

開花していたセツブンソウ。移植したホンシャクナゲ。
1月3日 門松
私も参加している「水と木のフィールド」の代表にして隣人のたか爺の家に新年の挨拶に伺いました。玄関には近頃見かけない立派な門松が飾られています。これは代表や事務局長さん達が年末に協力して作ったものと聞いています。中央でナンテンの赤い実が華やかさを演出しています。いつか向こうで新年を迎えることになったら、我々もメンバーに参加させてもらいたいと思っています。でも我が山小屋には、これを二つも置くスペースがないですね。
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