野草の森から2014(5)

6月24日 昆虫の躍動

昨夜、来年のゲンジボタルを確保するためのホタルの捕獲を行いましたが、ちょっとした異変がありました。ビオトープのホタルが異常に少ないのです。事前の調査である程度は予想していたのですが、やはりビオトープ内では必要量を確保できません。やむなく周辺まで手を伸ばしてみると、川筋と水路にかなりの数が流出しており、必要量は十分に確保でき、事なきを得ました。今年はビオトープの水路脇も草刈りをしたので、翔を休める場所を求めて、周辺に流れたようです。この時期にしては、夜も肌寒い日が多いので、羽化するホタルの数も少なめかも知れませんが、総数が分散してしまったので、より少なく感じてしまったということのようです。
ゲンジボタルと共に、この季節の風物詩になっているのがハッチョウトンボですが、こちらの方は順調に数を増やしています。


早朝、湿地を訪れると、沢山のオスがとまっています。日が当たり始めると、テリトリー争いを繰り返し、分散してしまうので、まだ動き回れない早朝が狙い目です。

  
溜め池の畔では、今年もカキランが咲き始めました。
  
野草の森でも、溜め池でも、ノハナショウブが咲いています。
  
バイカツツジもひっそりと咲き始めました。
  
コマツナギとノアザミも咲き始めています。

  
この時期は、小さなトンボが元気です。アオイトトンボやキイトトンボは、あちこちで交尾する姿が目立ちます。

ハッチョウトンボ


6月14日 生命輝く季節

梅雨の時期は鬱陶しい季節と考え勝ちですが、花散策を始めて以来、もっとも美しい季節のひとつではないかと考えるようになりました。たしかに雨が降っている時は、撮影には厳しい条件が重なります。しかし、梅雨の晴れ間の瑞々しい輝きは最高です。水分が豊富なので、目立つ花が多いのも嬉しいところです。ターゲットを生き物一般に広げてみると、生命が輝いている季節だという想いは一層膨らむばかりです。


私が管理を引き受ける前から進出していたイチヤクソウですが、ここ数年、あちこちで群落を作るようになりました。
  
早春の花の多くが衰退している一方で、初夏の花の多くは元気です。キソキバナアキギリも勢力を広げています。
  
しばらく野草の森から姿を消していたギンリョウソウも何年ぶりかで復活しました。
  
クモキリソウも、去年から復活し、順調に広がっています。
  
ツルアリドオシも急激に勢力を広げてきました。そこには大事にしたい花が咲くので、単純には喜べませんが・・・。
  
梅雨の季節を代表するササユリとシライトソウ。周辺では一進一退を繰り返していますが、野草の森では広がっています。
  
その一方で、衰退傾向の顕著なタツナミソウ。ウツボグサはこれからでしょう。

例年だとゲンジボタルが飛び交う時期なのですが、出かけてみて愕然としました。光っているのは5匹程度でしょうか? ここ数年の記録を見ても、一週間以上早い時期から光っています。もう全盛期に入っている予定でした。単純に遅れているのか? それとも今年は成虫になる数そのものが少ないのか? 半月ぶりに訪れた身には判るはずもありません。しかし、その夜は思いの外に涼しくて、肌寒さを感じる程でした。地元の人に訊いてみても、今年は寒いと感じていることは間違いなさそうです。単純に遅れているだけだと信じておきましょう。
その一方で、ハッチョウトンボの方は、従来から生息していた湿地でも、最近住み着いたビオトープでも、元気に飛び回っています。例年よりも早いことはあっても、遅いことはなさそうです。このトンボは、先ずオスが湿地に現れ、少し遅れてメスが現れるという印象があるのですが、すでにメスの姿も認められます。まだ身体の色が薄い個体もいますが、交尾。産卵をしている姿も目撃しました。

  
日本最小のトンボであるハッチョウトンボ。赤いオスに続いて、縞模様のメスも現れてきました。
  
ベニシジミ・マメコガネも恋の季節到来。
  
アオイトトンボやイチモンジチョウの姿も増えてきました。
  
用水路を覗くと、オタマジャクシも大きくなり、ドジョウの姿も久しぶりに見ました。

増補版ブログ


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