いつでも、どんな時でも
彼が見ているのは。
「ディアッカってすごいよな」
唐突にアスランが、手と目線は思いっきり(ハロとかいう)作りかけのロボットに集中しながら言った。
僕は何か借りようと、品定めをしていた本棚から目を離し問う。
「なんで、ですか?」
「イザークと側に居れるから」
「・・・ああ」
イザークの側に、の前に『あんな』という言葉が入るんだろうなぁと苦笑。
いつもなんだかんだ言ってイザークに絡まれるアスランは、正直彼のことが苦手だ。
僕から控えめに見たって彼は高飛車で情緒不安定で闘争心が強い人だと思うし。
だからそんなイザークといつも共に行動できて
時には諌めることのできるディアッカをすごい、と言っているんだろう。
「あの人のこと、手綱握れているなんてディアッカくらいですよね」
「そうだな。気が向いたら助け舟出してくれるし。本当にたまにだけど」
「あはは、そうですね。それに、いつもべったりって訳でもないんですよね」
「いつも一歩だけ引いた位置でいるんだよな」
「イザークを見守っている、みたいな?」
「そうそう」
言ってからアスランは少し吹き出した。
だけど、僕はそれを少し複雑な気持ちで聞いていた。
いつでもイザークの側にはディアッカが居て
いつでも2人は行動を共にしている。
廊下で、食堂で、つかず離れず不思議な距離で一緒にいて
そして時々、どきっとするような近しさを見せる。
小さく触れ合う手。耳元に唇を寄せる仕種。
他者には侵入を許さない
2人だけの空気。
「…ディアッカって、きっとイザークのことしか見えてないんでしょうね…」
思わずポツリと呟いてしまった。
言ってから後悔して、小さくアスランを盗み見る。
嫉妬しているみたいに聞えただろうか。
ところが予想に反し、アスランはキョトンとした顔をして「何故?」と訊いてきた。
僕はその返答に毒気を抜かれてしまった。
「いや・・・だって、そんな彼の行動を熟知できて毎回フォローできるなんて…
やっぱりディアッカはイザークのこと…その、よく見てるんだろうなぁって…思って…」
後ろめたくてしどろもどろに応える。
しかしアスランは怪訝そうに顔をしかめる。
そして言った。
「何言っているんだニコル。確かにディアッカはイザークのお守りが巧いけれど…」
「いつも見ているのはお前じゃないか」
「…え?」
一瞬意味が理解できず、聞き返す。
アスランは相変わらず不思議そうに
「俺が気付いたときは大抵お前を見てるぞ?」
と言う。
時間差で首の辺りから熱さが生まれて、僕は硬直した。
そんなまさか。
だって、僕が彼を見るときは
彼は僕から目をそらすじゃないか。
でも
でももしかしてそれは。
グルグル混乱する僕に向かってアスランは
また当然のような顔で止めを刺す。
「ディアッカはお前のこと好きなんだろうな」
僕は、そのままソファーに撃沈した。
知らなかった事実に動揺し
あらぬ期待に胸を高鳴らせ
顔面をきっと、トマトのように朱に染めて。
終わってしまえ…
■ディアッカじゃなくてアスランの自室(笑)
なんだか甘いディアニコ書きたいなぁ、と思って衝動的に。
すれ違うこの2人って大好きです。
きっとディアッカはディアッカでニコルはアスラン好きなんだと勘違いしてることでしょう(爽)
文がおかしいのは眠いって事で勘弁してください…;