ある日突然
物凄いオモチャを貰った。
でっかくってかっこよくって
そんですんごい強いヤツ。
オモチャは好きだ。
ゲームならもっといい。
敵を倒すやつがいい。
簡単すぎない、ハラハラできるヤツ
そして最後は、勝てるやつがいい。
それを、全部条件そろえた『遊び』だったんだ。
初めのうちは慣れなかったけど
そのうちすぐに『高得点』が出るようになった。
楽しかったよ。すんごく。
こっちがハンデやってるのも、すごく気持ちよかった。
ただ途中で
ラスボスクラスが出てくるまではさ。
『…何故闘う!』
共同周波を使って、『敵』が話しかけてくる。
男の声だったけど、ボクにはそんなこと関係ない。
所詮『敵』なんだし
煩い。
別にいいじゃないか、闘う理由なんて。
ボクもオルガもシャニも
皆『楽しいから』闘ってるんだ。
『敵』が、余計なこと首突っ込まないでよ。
『敵』は『敵』らしく、『プレイヤー』に倒されれば良いんだ。
真っ赤なゲージがオモチャ内でテカテカ点滅する。
薬が切れてきたのかも
…眩暈が、する。
「殺らなきゃ殺られちゃうだろ!?」
こんな簡単なことなのに
そんなことも解らないの?
最近の『敵』はだめだなぁ。
ヤバイ。
ちょっとパワーゲージ減りすぎちゃったかな?
本格的に気分も悪いし。
でも補給に戻るのってターン使うし、面倒くさいンだよね。
まぁいいや。
『リセットボタン』を押せば全部オッケーだ。
パワー満タンになって、お前のコト倒してやるから
待ってれば良いよ。
「殺られないけどね!」
カチッと音をさせて世界が光る。
そうとも、殺られない。
お前なんか、『次』で倒してやるから。
お前を倒して、ボクは次のステージに進むんだから。
…アレ?
ボクのライフポイントは
残りいくつ?
なにをすればいいのかなんて しらなかった
どうすればいいのかなんて かんがえなかった
いきることはおっくうで
あるくことはめんどうくさくて
ただ いつもいつもそうおんにまみれて
それがいちばんしあわせだった
ただときどき
はなが ちるのとか
たいようがしずむのとか
あめがやむのとか
そんなのがいちばんきれいで すきで
ずっとずっと
そういうのなら みていたいとおもった
いきるいみなんてしらない
いきるいぎなんていらない
だれもおれをひつようとしないなら
そんなかしが よくきくきょくにあって
おれもそうだとおもってて
でも
こんなきれいなものなら
いつまでもみていたいとおもった
いつまでも
いきていたいとおもったんだ
だから おれはころすよ
それがおれがいきていい ってあかしなら
いきていることをかんじられるなら
おれはころすよ
いっぱいいっぱい
これからもたくさん
きれいなものをみるために
きれいなものを
みていたかったのに
ああでも
コレも
きれい。
叫び声は届かなかった
映像が目ン玉通って、脳味噌にたどり着いて
反応して、跳ねっ返って声になって
でも、その前に爆炎は瞼を焼いて
俺の叫びだけ、宙を切って
「嘘だ」
そんなことしか思えない
まさかまさか
ありえねぇ
動揺が心臓を鷲掴みにして
息をするのも引きつって
嫌な汗が、俺の頬を伝いやがる
「ちくしょぉぉぉ!」
自分が死なないなんて思ってない
死ぬやつなら飽きるほど見た
飽きるほど、殺してきた
戦闘後の格納庫
慌しく連れてかれる死体どもを見て
せせら笑って
それでもちゃんと知っていた。
そうとも 俺も いつか死ぬ。
でもなんでだろう。
それでも俺は
心のほんの片隅で
アイツだけはなんでか
『死』から 除外してたんだ。
「…あ?」
頬を流れていたものは汗じゃなかった。
そんなんじゃなくて
俺にはありえないようなもので
それに気付いた瞬間
そのまま、鈍い衝撃とともに火花が散って
世界は
くそうくそくそくそうくそう!!
なんでこんなことになったんだ?
どうしてこんなことになっているんだ?
僕の計画は完璧だったはずだろう?
いつだって僕の言うことは正しくて
いつだって僕のやるコトは成功したはずだ
この『ビジネス』だって、コーディネーターどもを殲滅して
それでより一層僕の名が高まって
そしてまた悠々と歩く日々が続くはずだった。
否、今まで以上の日々が約束されるはずだったんだ。
それが何故だ?
何故こんなことになった?
こんな辺鄙な宇宙の真ん中で
何故僕が藻屑となって消えなきゃならない?
僕は何も悪くなんかないのに!!!
ああそうだ、僕は悪くなんかない。
悪いのは軍だ。
無能なこのドミニオンの艦長だ。
そして
愚かで罪深いコーディネーターどもだ。
そうとも僕は悪くなんかない。
悪いはずがない。
「私」は完璧なんですから。
だから死ね。
僕以外は皆死ね。
悪あがきなんてするんじゃない。
内臓をぶちまけて
真っ赤な血を飛び散らして
死んで、死んで、死ね死ね死ね死ね死ね死ネシネ!!!
僕は生き残る。
僕だけが生き残る。
みんなみんな
僕の思い通りに動けばいいんだ!!
『…君、勝てる勝負しかしないタイプ?』
ああ そうとも
悪いかい?
それは 僕だよ。
視界が暑い
真っ赤に燃える
煙が嫌なにおいだ
ここまで来て、俺は死ぬのか
あの男とも決着はついていないのに
他人のために死ぬヤツの話とか読んだりして
俺は「馬鹿だなぁ」って思ったもんさ
生きているなら、好きな奴はこれからも出来るし
時間をかけて傷は塞がるんだから
自分が生きることこそが
戦争で一番大事なんだし
でもなぁ、気がついたら飛び込んでたんだよ
砲火に包まれそうな艦体を見た瞬間
お前の顔が頭よぎってさ
止められなかった
馬鹿みたいだよ、本当に
ごめんな、坊主
ここまで来て、多分俺は
お前に最後の
一番辛い仕事を任せたい
なんだかんだ言って、俺はお前に頼りっぱなしだよな
ああ熱い
もう、汗も出ない
マリューは泣くかな?
それとも、もう泣いてるかな?
ゴメンとかは言わないぜ?
怒られる筋合いもないからな
ああでも しまった
忘れてた
これじゃあアイツ
MS乗りもキライになっちまうかもな
これでいい
これで愚かな戦争はおわるんだ
私がずっと
20余年間信じてきたものは
全部音を立てて崩れてしまったけれど
私自身ももう
終わってしまうけれど
でもそれでいい
こんなに晴れやかな気分は久しぶりだ
ずっと立て込んでいたからな
でも、それももう終わるのか
あの子はちゃんと脱出できただろうか
この もう動かない私の足の分
彼女の足が速く走ればいい
愛しい人に
早く逢えればいい
「 」
小さく呟く
目の前の半狂乱の男に聞こえぬよう
今この瞬間だけは
あの人の名前は私のものだ
戦争なんかせず
戦いなんて見ず
そうやって生きてこれたら幸せだったかもしれない
でもそうしたら
私はあなたに逢えなかった
(…生まれ変わった時にでも、逢えればいい)
そうしたら、今まで出来なかったことをたくさんしよう
甘いものをたくさん食べて
スカートやワンピースを着てみて
自分の意外と言われる乙女チックな趣味も…あなたになら まぁ、ある程度は晒してもいい
そこまで考えて苦笑した
自分らしくもなさに
(いや、これが、本当の私だったりしてな)
息を吸い込む。
自分の血が、真っ赤な玉になって宙を舞う。
体中がズキズキしたが、もうそれもサヨナラだ。
そして、それでいい。
「…討てぇぇ!!!マリュー・ラミアス!!!!」
そう叫んだ私は
今までで一番綺麗な笑顔をしていた。
霞んでいく視界の中で
尚 眩い、光の洪水
あなたの声が届いた。
全ての愚かな人々へ
全ての悲しい人々へ
全ての優しい人々へ
まっくらやみを突き抜けて
たったひとつの光になれ
あの人を導く光になれ
無音の世界にこの唄よ
響いて 奏でて
そして とどけ。
■49話追悼。
衝動に任せて、見てすぐに。
クロチョ(自爆だと思ってた)も一応つけてみました…
…ほんとう、もう…!(泣き崩れ)
クロチョは自爆、とのことで、クスリで大分錯乱していたか
それとも本気で敵には倒されたくなかったのか。
今回は前者バージョンで。
そしたらズラさんに負けす劣らずのトリッキーに…!(悲鳴)
御免、クロチョ。ちゃんと君のことも好き。
シャニ坊。
平仮名…そんな気がした。(おい)
もっと君には話して欲しかった。
死ぬ間際までこんな美醜にこだわってそう、と勝手に思った。
オルさん。
あっけなさ過ぎて…何もいえません。
なんだか彼のだけ腐女子向けっぽいけど、そんなつもりはなかったんですが…あわあわ。
実は情に厚い子だと嬉しかった。
ズラ様。
人間の愚かさの集大成。
まるでラピュタのムスカのよう。
ムウラ兄貴。
貴方は最後まで兄貴だったかと。
後悔のなさそうなあの声が耳に焼きつきます。
強く生きて、マリューさん。ムウマリュ好きです。
ナタルさん。
相手はお好みで。
軍人として育てられ、それを盲目的に信じてきた彼女にとって
最期の瞬間の『地球軍』はどう映ったのか。
彼女は最期まで真っ直ぐで美しかったです。
好きだ!(叫)