俺を創ってくれた父さん母さんには悪いけど
俺ってばそんなに
自分の外見好きじゃなかったりしたんだ。

そりゃ美人だってことは知ってるよ?
コーディネーターなんだし


でもね、欠点なんて捜せばあるもんでさ
それが自分ならなおさら


ニンジン色みたいな赤毛はあんま好きじゃない
目もどうせならブラウンじゃなくて翠とか青が良かった
肌の色も男にしては白すぎると思うし なんかヒョロヒョロしてない?
面長なところも自分で嫌


ま、贅沢言えばキリないのよ。
そんなの分かってる
分かってて、少し諦めて生きてきたわけさ



それがさ、まったく
ここにきて
アカデミーに来て
理想がそのまま服着てるような奴に
運命の出会いを果たしちゃったわけ。




「君、綺麗」

「・・・は?」


相手はただの単語を吐き出したままの状態で硬直した。

ま、そんなモンだろうなぁ。
俺だっていきなり初対面の奴にんなこと言われたら腰が引けるさ。
しかもヤローだもん。裸足で逃げ出すっつーの。

でもこちらとら初対面じゃないし
むしろアカデミーの入学式からずっと目が釘付けなんですよ。
だからこんな席がバラバラでもいいっていう授業を狙って
教師が『自習』って大きく黒板に書いたのを見計らって
君のお隣に潜り込んだ次第なんです。

ま、そんなこと 知っちゃこっちゃないッスよね。


まだちょっと不審げに俺を見る相手に
俺は人好きのする(らしい)笑顔を向ける。
相手はそれを見て、少し警戒心を解いたようだ。
ちょっと躊躇いがちに笑顔を返される。
こんな時だけは、俺をこんな顔に創ってくだすった両親様に感謝します。

「うん、やっぱり綺麗だと思う。美人」

「…そら、どうも」

ニコニコしたまま言えば
相手は少し照れたような、ぶっきら棒のような口調で応えた。
おお、声も中々色っぽいじゃないか。
初めて聴いたけどいい感じ。


改めて、間近で見れば
彼はやっぱりものすごーく俺好みでした。
いや、正確には
俺の欲しいもんをめちゃくちゃ持ってました。


まず目に付く褐色の肌
中々いないよね、珍しい上にすんごい綺麗。
短めの髪は、金の糸みたい。
眠たげに見えるタレ目は、同じく金の睫毛に縁取られて
アメジストみたいな透明な色。
そして制服の上からだって分かる
細くて、だけど均整の取れた体つき。


「…羨ましい」

そう言って俺は机に突っ伏す。
馬鹿馬鹿しいとは思ってるけどさ。
欲しいと思ってるものをこうまで見事に見せ付けられると
嬉しいけどちょっと凹みます。
こんな自分に自己嫌悪が湧いてきます。

無いものねだり、隣の芝生は何とやら。

分かってますって、はい充分。
…それでも羨ましいもんは妬ましいなぁ…



すると、急に
髪の毛をグっと引っ張られた。

「…っいで!」

不意打ちに思わず声を上げる。
何事か、と見れば
愛しの君が俺の髪の毛掴んでました。

「な、なに・・・?」

涙目で訊ねれば、相手は溜息をついて手を離した。
頭皮が取れるかと思ったぞ。
抗議を言葉にしようと口を開けかけたら
それより先にあっちが話した。

曰く


「俺は、アンタの方が羨ましいんだけど」


俺はきっとアホ面だったと思う。
そして
「・・・は?」
と、さっき彼が言ったばかりの言葉を繰り返してしまった。
彼はマジマジと俺の頭を見詰めて、憮然とした様子で言う。

「俺も、そんな髪が欲しい」

「…これが?」

俺は自身の、忌まわしい赤毛をつまんで訊く。
彼は大きく頷く。

「癖っ毛、やなの。そんな真っ直ぐな、綺麗な髪が欲しかった」

彼も自分の髪の一端をつまみ、嘆息した。
そりゃ色こそ赤いけど
俺の髪の毛は結構細くて真っ直ぐで。

でも、そんなの
俺に言わせて貰えば


「君に似合ってて…凄くイイと思うんだけど?」


そう言うと、彼はやっと片目を細めて
嬉しそうに微笑んだ。
そして


「…うん、俺もアンタが何悩んでるか知らないけど」

「アンタはアンタで凄く綺麗だと思うよ」



俺は彼に見惚れました。
そんな風に言ってくれる君が

やっぱり
一番綺麗だな って。




人は皆違うもんで
それは当たり前なんだけど
手に入らないものを人は欲しがるもんで

でも、俺は


君が綺麗って言ってくれた『俺』を
少しは誇ってみよう、と思った。




「あ、ありがとう…」
俺は顔の火照りを感じて俯く。相手は、俺の様子に少し笑った。

「どういたしまして。あ、俺はディアッカ・エルスマン」
自己紹介されて、俺は気づく。
まだ名乗ってもなかったんじゃん。

「俺ラスティ、ラスティ・マッケンジー」

息を吸って、彼を見詰める。


「以後よろしく…ディアッカ」



それから

俺のコンプレックスがチャームポイントに変化して
俺がディアッカを追い回して親友の座を勝ち取って
俺の憧れが、見事恋心に昇華するのは

そう遠くない話。















■コンプレックス、前作がえらく気に食わなかったのでネタから全て改ざんです。
…改善されてると嬉しいなぁ…

ラスディアです。
そして、
いえーい!ラスティ捏造!!!(親指立てて)
明るい人ってことなのでおべんちゃらっぽくしてみましたが
私の喋りにものそく似てしまったんですが。

あんまりキャラ分かってない人を出すモンじゃありません。
ましてや一人称を任せるなんて・・・!(死)
つじあやの女史の『風になる』を聴きながら書いたら、いい感じにノーテンキっぽくなりましたなぁ・・・。
つーか、声も色っぽいって・・・ラスティさん
あなたの声も笹沼さんって知ってましたか。(悲鳴だけだけど)

こうしてディアッカさんは天然で男を悩殺していくんですよって話でした。
じゃ!(脱兎)