信じられぬものを目にした。

紺碧の宇宙で、圧倒的に数の多い敵軍に対し
大立ち回りを演じる4機のMS。

一体は爆破されたはずのストライク。
一体はストライクに良く似た10枚羽根のMS。
一体はそれと対のような赤いMS。

そしてもう一体は。



俺は絶句し
ハンドルを握り締めた手からは、ゆるゆると力が抜けるのがわかった。
耳元から冷たくなり、心臓が早鐘のように警報を鳴らす。


『何故』
『どうして』

そんな陳腐な台詞しか思い浮かばない。

『信じたくない』

喉はカラカラと渇いた。




殺せ殺せと声がする。

頭の中で、ガンガンぐるぐる。

怨嗟を叫び、毒を含み
身体の底から、内臓の奥から

殺せ殺せと声がする。


『だって』

“声”は語る。

『だってあれは裏切り者だろう?』

にんまり、下劣に口を歪め。

『お前のことを、裏切ったのだろう?』

さも可笑しくて、堪らないと言うように。

(…違う!)

胸元に爪を立て搾り出す。
それすらも嘲笑い、“声”は言う。

『ならば奴はどうしてあんなところにいる?何故お前と敵対している?』

『…お前の他の、誰と共に戦っている?』



「・・・やめろっ!」
胃の腑を突き上げる嘔吐感。
耳をふさいでうずくまる。
しかし呪詛は歌うように頭に直接流れ込む。

殺せ殺せと。
裏切り者は、殺してしまえと。

ゲラゲラ、いまや頭を割らんばかりに響く声。

涙の滲む眼でもう一度
いやに鮮明に映し出されたモニターを見上げる。


どんなに望んだだろう、彼の生還。
何度夢想しただろう、彼の笑顔。
どこに居たって、いつも彼の影を追い求めてしまった。
どんな時だって、彼の幻聴を捜してしまった。

そして今目の前にいるのは
懐かしく、見るだけで甘やかな感情を胸に広がせる機体。
甦る、愛しい彼の姿。


こんなにも、狂おしいほどに
お前を待っていたのに。


「・・・どうして・・・ディアッカ・・・!」


どうしてこんな

残酷な再会。


掠れた声は耳障りで
まるで身体を駆け巡る“声”のようで
俺はもう一度固く身を縮める。

噛み締めた唇は、濃い血の味がした。


耳奥ではまだ

殺せ殺せと 声がする。










■イザッカ出会い編フライング…!
本編で出たらまた笑えるんだろうなぁと思いながら書きましたよ(笑)
二人の再会には大いに期待です。
ここまで病め!とは言わないが、イザークさんにはいっぱい悩んで欲しい♪
そして悩んだ末に是非AAに来てください。(本音が)
とりあえず早く出会って白黒…!