原点ヒメマス物語
10月10日 十和田湖 気温ー℃
 昨年(2004年)1匹の魚に出会うまで釣りはバスしかなかった。それまでの僕はバスの獰猛な引き・絞りの虜になっていた。もちろん、周りからの反感は強かったが。しかし、たまたま見たニュースで十和田湖のヒメマス豊漁の話を聞き、なぜかそいつに興味を持った。調べれはそいつは、淡水魚の中で1番美味しいらしい。サビキで釣るのが一般的らしいが、僕はエサ釣りは嫌いだ。さらに調べればそいつはスプーンでも釣れることがわかった。さらに興味がわく。今週末は紅葉狩りを兼ねて十和田湖に行ってみよう。当時はバスのタックルしか持ってなかったがラインだけ換えれば何とか軽量のスプーンを投げることはできた。リールとロッドのパワーは少々あり過ぎたがドラグ調整で何とかなるだろうとシーズンオフに入っていたタックルを引っ張り出し、釣具屋にラインとスプーンを買いに走った。そして週末ありあわせのタックルを積んで車内泊の1泊2日の十和田湖に向かった。すでにもう紅葉狩りなどどうでもよかった。

行程

 1日目夕方十和田湖着。湖畔のコーヒーショップに入り店の主人に情報を聞く。主人は鯉釣りをしているらしがそいつはやたと走るらしい。確実なフッキングが必要らしい。さらに期待は高まる。店を出た後、あらかじめ調べておいたポイントへ下見に行く。すでに日は落ちてしまって周りの地形がかすかにわかる程度だった。直感的に明日はここでやろうと思い近くのキャンプ場へ。駐車場で就寝。
 2日目朝5時起床。天気はやや曇り。ベタ凪。思ったより冷える。朝食・洗面を済ませた後、前日のポイントへ移動。昨日は見えなかったが流れ込みがあった。6時開始。1時間経過アタリなし。2時間経過ライズが起きた。やはりいる。かなり岸よりだ。ガツン!ヒット!強めのフッキングを意識し合わせる。ゆっくりと大きく絞る。おかしい。もっと鋭く走るものだと思ってた。魚体が見えた。なんだこれは!?写真で見てきたヒメマスとは全然違う。(後で調べたらそれはブルックトラウトというものらしい)リリース。それから間もなくコツン!コーッン!ヒット!小刻みに絞り走る。ヒメマスだ。銀色の魚体が跳ねる。また、走る。なかなかのものだ。興奮してきた。慎重にラインを寄せて無事にランディング。銀色に輝くきれいな魚だ。その後はあの引きを味わいたくて無我夢中で投げ続けた。コンスタントにヒットした。しかし、バラシも多かった。計9匹あげた。大釣果だ。夕方、ハッチが起きた。湖面に無数のライズが起きる。もうスプーンには興味を示さなくなっていた。帰りの車内で何度もあのハッチとライズを思い出す。こいつらはフライの方が釣れるんじゃないか?淡水でもいいファイトする魚はいる。もうバスは卒業しよう。来シーズンからフライを始めよう。そう心に誓った。