航空取材のあり方について
航空取材の安全のために
----なぜ我が妹 志奈はわずか26歳で死ななければならなかったのか----
2010年8月18日、香川県多度津町佐柳島近くの瀬戸内海で海上保安庁のヘリコプターが送電線に衝突して墜落し、
搭乗していた5人の尊い命が失われました。本件と同じように送電線に昼間障害標識が設置されていなかったため、パイロットが
送電線の存在に気付かなかったことが根本的な原因だと思われます。
海上保安庁の上記事故の現場では、送電線に昼間障害標識は設置されておらず、送電線を支える鉄塔に航空障害灯が
設置されていたとのことです。鉄塔への航空障害灯の設置は、本件事故後、昼間障害標識に代替する手段として法的に
認められたものです。しかし、今回の事故でも明らかなように「見えないのは送電線」なのです。
この航空法改正は明らかな「改悪」です。
また、26日付の読売新聞には「ヘリ墜落事故で海保、障害物をデータベース化へ」という記事で、
「海上保安庁が全国の管区海上保安本部に対し、航空機やヘリが運航する場合に障害となる送電線や、
鉄塔の写真、図面などを、各管内でデータベース化するよう指示し、今後、全国で共有し、安全運航に役立てる」
と書いていました。これは本来、国自らが行うべきことであって海上保安庁という国土交通省の1所轄機関が行うものでは
無いはずです。しかも海上保安庁がデータベース化したとしても、また「国防」を理由に、民間の航空事業者にも配布、
共有されるものになるか、極めて怪しいものです。
国としては、事故防止のための障害標識のあり方について再度徹底的に検討せざるを得ないはずです。
私たちは、妹 志奈の無くなった事故を受け、同様の事故を二度と発生させてはならないという思いで訴訟を提起し、
事故の再発防止のために事故発生の原因を解明し、責任の所在を明確にするために訴訟を遂行してきました。
その最中に、またしても航空障害標識の設置されていない送電線にヘリコプターが接触するという本件と同様の事故が
再発してしまったことは、言葉では言い表せないほど悔しいです。
もし、本件の第一審、あるいは、控訴審において、国の責任を認め、「昼間障害標識の設置を徹底させるべきであった」
との判決が下されていたならば、国はその時点で代替手段としての鉄塔への航空障害灯設置によって航空機のパイロットに
どの程度注意を喚起することができるか、について再度見直しをせざるを得なかったでしょう。そして、その見直しを
していたならば、海上保安庁の上記事故現場のような鉄塔間の距離が1179メートルもあるような場所においては、
単に鉄塔に航空障害灯を設置するだけでは注意喚起として不十分であるとの判断がなされ、上記事故現場にも送電線そのものに
昼間障害標識が設置されていた可能性が大きいと思います。そして、昼間障害標識が設置されてさえいれば、
今回の香川県沖での事故は防ぐことができたはずです。
この事故によって、5人もの尊い命が失われたのです。ご遺族の方々のお気持ちは察するに余りあります。
国土交通省は、いったい何人の人を殺せば、送電線への昼間障害標識設置を電力会社に義務付けるのでしょうか。
そして、あと何人の遺族を作れば、送電線情報の入った地図データベースを作成し、一般の航空事業者に配布・共有するので
しょうか。
行政の責任を糺すことは最高裁判所の使命です。本件訴訟において、その使命が十分に果たされることを望みます。
NEW!
事故に関する情報提供をお待ちしております。
また、訴訟に関する情報は
「NPJ 弁護士の訴訟日誌」でも紹介されています。
2003年 最後の夏
--地方発のドキュメンタリー番組制作への 夢と希望に
満ちあふれていたのに--
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【HP立ち上げの趣旨と経緯】
- 趣旨
このHPの趣旨は以下の2つです。
- 志奈が亡くなった事故について、少しでも多くの情報を皆様より頂きたいこと
- 航空取材がこれまで、いかに危険な状態で行われてきたか、を多くの方に
知って頂くこと
是非とも情報のご提供を:
kazunori_miyoshi@kxa.biglobe.ne.jpへお願い致します。
- 経緯
私の妹 志奈は、「事故で亡くなった」のではなく、
「起こるべくして起こった事故で、SBC、国、 中部電力、中日本航空によって殺された」のだ、
ということが以下のように明らかになってきました。
- 私の妹 志奈は、
2004年3月7日午前9時52分頃、長野県木曽郡南木曾町読書で、
航空取材中のヘリの墜落事故により、
わずか26歳という若さで亡くなりました。
信越放送株式会社(SBC)という長野県内の放送局に就職して
もう少しで3年という時でした。 ヘリに搭乗していた4名全員死亡という、極めて悲惨な事故でした。
取材目的は国道で発生した交通死亡事故を正午のニュースに載せるためでした。
妹が亡くなったヘリ墜落事故は、
その後長野県警および長野地方検察庁松本支部により、
「被疑者死亡による不起訴処分」との判断
が下されました。
長野県警の捜査において重要証人の
一人が矛盾した証言をしていたにも関わらずです。
私たち遺族は、
事故後の信越放送(SBC)の責任者による
航空取材に至る経緯説明の不十分さ、 対応の不誠実さ、さらには事故当日の記者会見で
「全責任は中日本航空にある」という、 自社の社員の安全管理義務を
放棄したとしか言えない発言に
怒りを覚えました。
その後、亡くなった妹の友人・知人の方々からの
情報などから、航空取材を
取り巻く環境は、 極めて不安定な基盤の上に構築されており、「いつ事故が起こってもおかしくない」、
というより、 「事故がこの程度で済んでいるほうが奇跡」としか言いようのない状態であることを
認識するに 至りました。
ここに至り、
(2) 今後2度と志奈のような犠牲者と私達のような遺族を出さぬよう、 再発防止のための本質的な対策を
関係者の方々に講じていただくために、
民事訴訟を提起し、現在係争中です。
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