ヘリ墜落事故の真相究明と再発防止を求めるための
訴訟の進行状況
被告は、信越放送(SBC)、国、中部電力、中日本航空の4者
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東京高裁の判決日が4月27日(火) 16:00に決まりました。
私達原告は、再発防止に向けて私達の主張が受け入れられた形での判決が欲しいだけで、早く判決が欲しいとは思っていません。
妹の事故の原因は、被告4者の複合的かつ横断的な違法性に基づいており、そのため争点が極めて複雑なので、
合議に時間がかかっていると思われ、また判決が良い方向に向かっているのだと思います。
したがいまして、裁判官には納得のいく結論が出るまで合議を尽くして欲しいと思います。
なお、判決を前に、以下の事実が判明いたしました。
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妹の事故の事故調査委員会メンバーの加藤晋氏について、妹の事故直後2004.04.27付の日乗連ニュースによると
この時点において、
加藤氏は、航空機に関する専門知識を全く持っておらず、
また過去に関連する部署に付いたことも無かったそうです。
つまり、そのような人物が事故調査を行ったということであり、
その当然の帰結として、本件訴訟で私達原告が調査し得た情報すら記載されていない
報告書が出来上がったのです。
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JR尼崎線の事故の情報漏洩問題を行ったとされる楠木行雄氏@元運輸省航空局長は、
亡くなった妹の事故調査報告書作成者でもあります。
国は自らの責任で、被告4者へ同様の情報漏洩の有無を当然調査し、公表すべきです。
- 判決
NEW!
2008年7月31日(木) 9:50〜
東京地裁(鶴岡裁判長)による判決は以下の通りでした。
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SBCについて
原告主張を却下。
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国について
原告主張を却下。
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中日本航空について
勝訴。
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中部電力について
勝訴。
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SBCに対しては、p31〜44に記載されている。p42では
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被告信越放送社内においては、取材スタッフに対し、「いい絵を撮れ」という要求が出され
取材スタッフとしても、それに答えるため、ヘリコプターの取材等の際に、できるだけ低空飛行を
行おうとする傾向があった可能性があることは十分に考えられるところであり、原告らが、
これを本件事故の大きな原因であると捉え、被告信越放送の責任を追及しようとすることも、
心情的には理解できるところである。
としながらも、我々原告の提出した証拠が匿名であることのみを理由に、一方的に長岡デスクの
明らかな偽証を信用し、判断を行っています。
この他にも、以下のような判断が示されているが、これらから分かることは以下の通りです。
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本件訴訟で我々原告が終始述べてきた、「各被告単独ではなく相互に関わる責任があること」について
全く理解できていないこと。
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原告の示した証拠・陳述書などについて、全てに目を通し、判断したとは到底思えないこと
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文脈を理解した上での判断が全く出来ていないこと。つまり原告とSBCが提出した証拠・陳述書および証言
について、SBCの偽証が明らかであるものが多数存在し、それについてSBCは反論も出来なかったという
事実を目の前にしていながらも、そのような被告SBCの証拠の1部だけを引用し、原告の適正な反論については
全く触れていないまま、判断を下していること
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不思議なことに、なぜかSBCの主張のみを採用し、また理解を示した上での判断でしかないこと
では、これらの例を以下に示します。
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ヘリコプターによる飛行や、これを用いた取材は、機体の整備等を十分に行い、周到な用意をした上で
定められたルールに従って行うならば、安全性を十分に確保し得るものであると考えられており
(p.35)
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まず、中日本航空の故鈴木機長と整備士がヘリ出発までにあった時間はわずか15分で、これは原告の提出した
ヘリ航空関係の専門家の証拠によっても、「準備には不十分な時間」であることが示されています。
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次に、「定められたルール」という何を意味するのか全く分からない箇所です。例えば中日本航空のルールだとして
業務改善勧告・命令を受けていて、しかも航空事故調査委員会によるヘリポート事務所査察の際には、
日常、存在しなかった送電情報入りの地図を、直前になって隣の長野放送の事務所のダンボールから探し出して
SBC用の事務所の壁に貼って、「普段からこのようにしてパイロット間で送電線の位置などを共有しています」などと
平気で偽証していたことを、裁判所は原告提出の証拠で知っています。
これらの組み合わせだけからでも、SBCの航空取材は極めて危険な状態であったことは容易に考えられるのですが、
裁判所はこれまでの訴訟の経過で何を見、そして何を聞いていたのか全く理解に苦しみます。
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被告信越放送においては、航空取材の安全基準や、申請手続き、航空取材に当たって必要な心得をまとめた
航空取材の手引き等を策定して冊子化し(甲13)、社員に配布するなどしていたのであるから、社内研修等についての
不備があったと断定することも困難である。なお、原告らは、被告信越放送社内で、ヘリコプター取材を決定する
システムにも、安全運航を実現する手続きは定められてなかったなどといった趣旨の主張もしているが、上記の点に
照らしてみれば、この点に関する主張も採用することはできないところである。(p38)
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まず、原告は本件事故において航空取材の指示と承認を行った、長岡デスクと菱山報道部長が、「航空取材の手引き」の
存在は知っていても内容、特に安全確認に関する項目を全く覚えていないことを本人の証言どおりに文書化し、
証拠として提出した。
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また、SBCにはそれら飛行指示を行い、飛行指示書を作成・承認するデスクや報道部長が、その役職就任時に
安全に関する何の講習も受けないまま、単に書類を受け取るだけであるという、会社としての安全管理の不備
についても長岡デスク、菱山報道部長の証言どおりに文書化し、証拠として提出した。
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さらに、訴訟の中でSBCが「社内の安全管理委員会で社員の安全管理について新しく「危機管理ハンドブック」として作成した」
と陳述したものが、単に社内情報漏洩の目的のものであって、社員の安全管理とは全く関係の無いものであること、を
現物のコピーを証拠として示した。
このような数々のSBCの安全管理体制の不備を示したにも関わらず、裁判所の判断にはそれらに関する記述は全く無い。
これら証拠は、鶴岡裁判長就任前に提出したものばかりであり、これらの内容を読んでいれば、上記のような判断には
到底成り得ない、と思います。
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文脈を理解していないままの判断である、ことについては上記aおよびbの例から明らかだと思います。
「ある証拠・証言についてどちらを信用すべきか」は、当然それまでに提出された証拠・証言の信用性に
基づくこと、これは裁判でなくとも一般的な人間関係においてごく当たり前のことです。
原告は、SBCの事故後の対応について、その余りにも不誠実な事実についても証拠として示しました。
その中には、塩沢社長を初め、証言に立った内山専務、中島常務、長岡デスク(役職は事故当時のもの)との
やり取りも当然含まれていました。彼らは証言台で宣誓したにも拘らず、偽証を行い続けましたが、裁判所には
それを見極めることすら出来なかったようです。
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SBCの主張のみを採用していることについては、全文をお読みいただければ分かると思います。ただ、確かに私達
原告の示した証言が、全て匿名によるものであったことは事実です。これによって裁判所の印象は変わらざるを
得なかったことは理解できます。(もっとも、だからと言って、原告の前で行った自らの発言を、証人出廷したときには
平然と新しい話を作り上げたSBCの3名の証人の発言のみに理解を示す、という理由には到底成り得ませんが)
この訴訟でのSBCに関する部分において、我々に足りなかったのは、
単に勇気ある証言者を結局1人も得られなかったこと
です。
これは、我々原告の不徳の為す所なのかも知れません。
ただ、このような判決を受け、控訴しか道が無くなった今、敢えて言わせてください。
SBC社員の皆様、そして妹が亡くなったときに「自分が死ねばよかった」とまで言ってくださった方々
妹は、明日はあると当然信じて出社し、自分がすべき安全管理など全く行いも日常的にしていなかった
長岡デスクの命令と菱山報道部長の承認によってヘリに乗り、無残にも死んだのです。
妹の部屋のDVDデッキには、たぶん当日帰ったら見ようと思っていたDVDが入っていました。
皆さんご自身の、そして皆さんの同僚の明日を守るために、少しは根性を見せてくれませんか。
そんなに今の自分にしがみついていたいのですか?
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中部電力に対しては、
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送電線への航空障害標識設置免除申請が「鉄塔の高さ」ではなく「送電線の地表高さ」を
基準とすることを知りながらも、それを怠ってきた事実
が認められ、相当に厳しくその違法性がp44〜p52に渡って指摘されています。
この判決に対し、中部電力は即日昼には控訴を行いました。判決文が被告中部電力に
手渡されたのは、早くとも当日10:00以降であり、2時間足らずで控訴の判断を下す
中部電力の姿勢は、これまでと同じで全く反省の念すらないことが明らかです。
このような会社がヘリや小型航空機などが飛行する場所に平気で
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航空障害標識/昼間障害標識の無い送電線や鉄塔を設置してきたこと
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そしてこのような安全という概念の無いとしか思えない会社の送電線によって
まだ26歳だった妹の命が奪われたこと
を思うと、怒りを禁じ得ません。
- 第5回和解期日
2008年3月5日(水) 10:00〜 SBC、国、中日本航空
原告は、
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SBCについて
SBCの提示した第1次和解案に対する要望書を提出し、その理由について説明しました。
さらに
・この要望案で和解できるのであれば
SBCにもメリットがあること
・
原告としては、今回の案がぎりぎりの線であって、これ以上譲れないこと
を説明しました
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被告国について
(a)現行あるいは新規の航空安全対策システムに、
ヘリおよび小型航空機を対象とすること
(b)当然行われているべきである関わらず、これまで実際には行われてこなかった
-
航空障害物の設置申請時および設置完了後に
-
航空障害標識の設置の必要性の有無を
-
現地で確認する
という基本的かつ簡単なことを実行すること
(c)航空法および航空法施工規則にて、違反者への罰則を設けること
以上を約束しない上での和解は受け入れられないこと
を明言しました。
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中日本について
(a)和解を検討したいが、中日本航空の提示した再発防止策の基盤となる国の施策の『時期』と『内容』が
全く異なり、
そのような不正確な情報に基づいた事故防止策を提示してきたこと
について疑念がある。
(b)また、原告が求めているのは
「本質的かつ包括的な再発防止策の実現」であるため、
中日本航空のみとの和解は考えていない。
よって現状では、中日本航空との和解は受け入れ難いことを示しました。
これらに対する各被告の対応は以下の通りです。
-
国
-
「従前の回答と変わらない」つまり、
「自らに法的責任は無い」ので原告が提示した
謝罪要求の条項の削除
を要求する。
以上より、今後の和解交渉について裁判所からは以下のような方針の提示がありました。
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SBCについては次回期日を設ける。
-
国については、動きが無いので現状では次回日程を決めない。
今後動きがあれば日程を調整する。
- 第4回和解期日
NEW!
2008年2月13日(木) 16:00〜 SBC、国、中日本航空
-
原告は、
第3回和解期日の裁判所との約束の通り、
被告SBC、国、中日本航空各々に対して
第2次和解案を再提出
しました。
-
しかし、被告SBCと国は
「自らに法的責任は無い」
として、
原告が提示した
謝罪要求の条項の削除
を要求してきました。
-
SBCから原告の第2次和解案への具体的な変更が示されました。
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中日本航空は
「原告の第2次和解案を持ち帰って検討する」
とのことでした。
- 第3回和解期日
NEW!
2008年1月15日(火) 15:00 SBC、国、中日本航空
2008年1月21日(月) 16:30 中部電力
-
原告は、
被告から提出された第1次和解案を考慮した和解条項の変更を行った
第2次和解案を再提出しました。
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原告の第1次和解案に対して、
余りにも抽象的な回答しか提示されなかった被告に対しては、
具体的な和解案の提示と原告の第1次和解案への具体的な回答を求めました。
-
国と中日本航空の提示した再発防止策の基盤となる国の施策の『時期』と『内容』について、
双方の提示情報に大きな相違があったため
両者に対して、その理由の説明を求めました。
-
「中部電力は『謝罪を飲めない』との回答で和解は難しい」
とのコメントが裁判長よりありました。
すなわち被告中部電力は、和解交渉の継続を実質的に自ら打ち切りました。
-
被告から原告に対して「和解条項の絞込みと優先順位付け」の要求があったこと
を裁判所経由で伝達されましたが、
-
和解内容は、謝罪と再発防止の2つに絞っていること
-
2つに絞ったのは、前の裁判長の指示によるもので、当然被告も了承済みなはずであるにも関わらず、
この要求をする理由が全く理解に苦しむものであること
-
第1次和解案を見れば、条項が絞られていることは分かるはずであるが、なぜ被告が「和解条項の絞込みと優先順位付け」
を要求するのか理由が分からないこと
を裁判所に強く訴えました。
その結果、とりあえず
原告が、第2次和解案(被告4者全てに対する和解案を各被告の章に分けて提出したもの)
を中部電力を除く各被告3者別につの文書にすること」
で裁判所と合意しました。
- 2007年12月12日(水) 12月17日(月) 第2回和解期日
被告4者が和解案を示しました。
しかし、第1回和解期日から1ヶ月もあったにも関わらず、被告によって内容のレベルは余りにも異なっています。
- 2007年11月9日(金) 11月20日(火) 第1回和解期日
原告が裁判所の和解要請に対して最終弁論期日(第11回 2007年10月18日)に提出した
に対して被告4者が応じる姿勢を示しました。
しかし、最終弁論期日から3週間もあったにも関わらず、被告4者のいずれからも「和解案」は示されませんでした。
- 2007年5月31日(木) 第8回期日
証人尋問が行われました。
-
被告SBC(3名)について、以下の点を中心に尋問を行いました。
-
事故当日の取材飛行を行ったデスクの安全管理義務違反
(社内規約に記載の安全確認を日常的に実施しないまま、航空取材指示を行ってきた事実)
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会社としての航空取材に対する安全管理体制の不備
(「飛行指示書」に安全確認実施の欄すら無いこと、航空取材指示を行う役職者への安全管理義務に関する講習も行わず
その結果、漫然と安全確認を行わずに役職者が飛行指示を出していたこと)
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高性能防振装置付航空取材用カメラシステムの未導入の理由
(社内外からの導入要請、自社設備では低空飛行を余儀なくさせられる事実認識
そして1994年当時(ヘリの更新時期)同県内他放送会社に比べて圧倒的な余剰資金にも関わらず、
自ら「航空取材は重要」と過去の訴訟にて証言したはずの「高性能防振装置付航空取材用カメラシステム」の導入を
なぜ怠ってきたのか)
-
社長以下幹部の事故後の遺族に対する不誠実な対応
(被告SBC提出の陳述書によれば
「原告が事故以前からSBCに対して悪感情を抱いており、事故後その悪感情を増殖させている」のであって
被告SBC社長以下幹部の対応は「問題が無い」とする、全く事実と異なる陳述をなぜ繰り返しているのか)
- 被告中部電力(1名)に対して、主に以下の点を中心に尋問を行いました。
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送電線への航空障害標識設置免除申請が「鉄塔の高さ」ではなく「送電線の地表高さ」を
基準とすることを知りながらも、それを怠ってきた事実
-
被告国(1名)に対して、主に以下の点を中心に尋問を行いました。
-
危険な送電線があったことの認識
知りうる契機として以下の4つがあった事実。
@設置免除申請の内容、A業界からの要望、B現実に事故が起きていること、
C事故後の調査結果、膨大な量の違反があったこと
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「送電線等の航空障害標識のあり方検討会(2002年〜)」において
高圧線の視認性を高める措置を講じてもらいたいとの記載があったこと
それにも関わらず、本件事故が起こるまで送電線への航空障害標識設置の確認を行ってこなかった事実とその理由
-
ヘリの送電線接触による墜落死亡事故が、過去に何件も発生していたにも関わらず
送電線への航空障害標識設置の管理を怠ってきた事実とその理由
-
原告からは、父政ェが主に被告SBCの事故後の不誠実な対応について証言を行いました。
これは、被告SBCが自ら引き起こした死亡事故であるにもかかわらず、全く反省の意が無く、
無くなった志奈と遺族に対して、余りにも不誠実な対応を取り続けてきたばかりか
裁判所に対してすらも、自らを正当化するために虚偽の陳述と作り話による、原告への
批判を繰り返すばかりであるために、真実を証人尋問の場で直接証言せざるを得なかったためです。
- 2007年2月22日(木) 第7回口頭弁論
次回、いよいよ証人尋問開始が決定されます。
現時点では、被告SBCからは3名、被告中部電力、被告国からは各1名、そして原告からは1名の証人が予定されています。
被告SBCは、昨年の第4回口頭弁論において、3名の証人に対する証拠申出書(主尋問内容を記載したもの)を提出し、
その中で尋問内容については「追って提出する」としていました。
しかし、その後一向に提出されなかったため、原告代理人より、被告SBCに対して早急な提出を要請し、
その結果、5月2日になってようやく提出されました。
なお、被告中部電力、被告国からは裁判所の指定どおり、2月22日付で完全な体裁での証拠申出書が提出されています。
被告中部電力は、自らが証拠として提出した、運輸省大阪航空局発行(平成10年11月作成、つまり本件事故の6年前)の
「「航空障害燈及び昼間障害標識を設置しないことについて」の申請方法について(送電線鉄塔等)」という申請書フォーマットに
記載例として、明確に「送電線」の「地表からの高さ」を記載するようになっているにも関わらず、今度は
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仮に航空局が、航空法施行規則通りの解釈をしていたとするなら、同申請において鉄塔の高さのみならず
送電線路の地表からの高さの記載も必要となるところ、両地方航空局から、被告中部電力に対し、
送電線路の地表からの高さを記載するように指示された事実は一切無い」
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「航空局側が中部電力と同じ解釈に従って、標識設置免除の許可を行ってきた」などと、国に責任を押し付けようとする主張
の両方を展開してきました。
前者の主張は、明らかに自己矛盾しており、後者は責任の転嫁以外の何物でもありません。
これらも最近になって再浮上してきた「電力会社の隠蔽体質」の一端ではないのでしょうか。
原告は、被告国に対して、被告国(運輸省航空局)が、昭和59年に取材飛行の安全確保について
関係諸団体にたいし要請を行ったとされる通達の内容の公表と通達の現物を証拠として提出することを求めました。
この通達は、本件事故に関わる被告らの責任を議論する上で、関連する内容が含まれている可能性があるためです。
- 2006年12月21日(木) 第6回口頭弁論
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原告から証人申請(原告および各被告の証人として要請する人物の申請)を裁判所に提出しました。
裁判所は「次回口頭弁論にて証人決定を行う」としながらも、原告が要求している
証人に対して、「うち4名は採用予定ではない」ことを示唆しましたが、原告としてはこれを受け入れることは出来ません。
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被告中部電力が、第5回口頭弁論後に提出された書面において
「航空障害燈及び昼間障害標識を設置しない物件」のNo.81の欄外記載について、
「地上が60メートルを超える」とは「鉄塔の地上高さが60メートルを超える」との趣旨である
と主張してきました。
それに対し原告より、欄外記載は
物件No.81 架空線(地上が60メートルを超える架線)の総延長42,737メートル」
であって、
「被告中部電力の主張は、自らの主張に合わない書証について、
明白なその記載内容すら無視した暴論を展開していると
言わざるを得ない。」
との反論を行いました。
- 2006年11月16日(木) 第5回口頭弁論
- 原告が第3回口頭弁論にて要求した内容について被告SBCは
事故当時の専務、常務、デスク3名が
陳述書(乙第5〜7号証)を裁判所に提出しました。
しかし、その内容たるや
-
事故後に上記3名が原告に対して行った発言と明らかに異なる証言を行う
-
原告が発言してもいない内容をでっち上げ、かつ事実の経緯を都合の良いように
つなぎかえる
により、作文されたものです。
「時にマスコミは事実を歪曲させ、発言内容すら巧妙に操作して、異なる事実を作り上げる」と
言われますが、乙第5〜7号証はまさにその典型的な例で、しかもその「失敗作」と言えます。
正直に申し上げて、乙第5〜7号証を最初に読んでの感想は下記の2つです。
-
マスコミの人間が、この程度の作文しか書けないとは情けない。
-
亡くなった志奈は、この程度の文章力しかない上司に取材内容の校正を受けていたのかと
可哀想であり、また志奈自身も歯痒く思っていたことだろう。
被告中部電力提出の証拠資料である「航空障害燈及び昼間障害標識を設置しない物件」の
No.81の物件欄に「送電線」と記載された上で、注釈欄に
「物件No.81 架空線(地上が60メートルを超える架線)の総延長42,737メートル」
と記載されていました。
この証拠資料により、被告中部電力がこれまで行ってきた主張とは異なり、
「被告中部電力自らが地上60メートルを超える架空線について、
航空障害燈及び昼間障害標識を設置する義務がある
ことを認識していたこと」
が明らかになりました。
- 2006年9月28日(木) 第4回口頭弁論
NEW!
- 原告が第3回口頭弁論にて要求した下記事項について未だに回答が無いため、
被告SBCに対して、再度要求を行いました。
- 請求の原因第3 3項の「現場の状況」について不知との答弁を行っている。
自らの会社の従業員が墜落死した地点であり、幾度も報道もされている現場の
状況について知らないというのは、事実か。
被告の第3回口頭弁論での答弁は真摯なものと認められない。
再度、事故現場の状況について明確な答弁を行うことを求める。
- 原告らは、SBCが作成した航空取材マニュアルをもとに、
@デスクは、送電線の危険性、目的地付近の送電線の場所の確認、目的への接
近方法及び離脱方法の確認などについて
十分に打ち合わせる必要があったが、
本件ヘリコプター取材においては、長岡デスクはそれを怠っており、
菱山部長
は長岡デスクがそのような打ち合わせを行ったか否かを確認していないこと。
A被告SBCは、航空取材マニュアルについて、十分な社内研修を行っていな
いばかりか、これを精読するようにも指導していない。
Bその結果、菱山部長及び長岡デスクは、送電線について自ら調査し、また、
被告中日本航空及び搭乗員に注意喚起する必要があることを認識していなかった。
C菱山部長及び長岡デスクは、航空取材マニュアルを通読すらしていない可能
性がある。
という具体的な主張を行っている。これらの主張についても被告SBCは明
確な反論をしていない。被告自身の認識する事実関係を明確な形で主張するべ
きである。
- 原告らは訴状において、
「被告SBCの社内では、1996年に長野放送とテレビ信州のヘリコプター衝突事故後、
当時の報道部員が、3軸ジャイロカメラ防振装置を導入しないと被告SBCでもヘリコプター事故が起きると
公言して同装置の導入を求め、それ以降、労働組合などがカメラ防振装置を改善するよう要望してきたが、
被告SBCはコストを理由に採用しなかった。」と主張した。
(求釈明)
@被告は高性能カメラ防振装置の導入を何回検討したのか。
A被告が新しいカメラ防振装置の導入を検討したのは、それぞれいつか。
B検討のきっかけは何か。
C導入を求めたのは誰か。導入の根拠を説明した文書はあるか。
あるとすれ
ば、その標目と作成者を明らかにされたい。
また、これを書証として裁判所
に提出されたい。
D労働組合から意見を聴取したか。
E労働組合は、いつ、どのような意見を述べていたのか。
F高性能カメラ防振装置の導入の提案について社内のどのような機関にお
いて、検討がなされたのか。
また、検討を行った時期、機関の構成と参加者
名、責任者を明らかにされたい。
G結局検討の結果採用されなかったのはどのような理由からか。
被告SBCは、以上の問いについて、明確な形で答弁するべきである。
- 被告SBCは書面にて、
1. 社長が、松山での通夜および告別式に参列する意思が無かった理由
および
2. 報道局長が「反面私達も被害者です」などと原告の面前で言い放ったこと
に関して、
それぞれ次のように釈明しました。
- 当初、信越放送(SBC)では近く社葬を実施する予定であったため、専務は原告らに対し、
社長は松山での葬儀には出席しない旨を伝えた。
- 原告らに殺人者呼ばわりされた報道局長は、「私どもも社員とスタッフを亡くし被害者だと思っています」と
苦しい胸の内を吐露したが、3人(専務、報道局長、報道部長)とも「取材中の事故で志奈さんを死亡させてしまいました。
誠に申し訳ありません」と真摯な態度を示している。
しかし1の社長の判断は極めて理解しがたいものです。
- 社員が亡くなっていながら、「社葬をするから松山での葬儀に参列しない」
などという
理屈が世間一般になぜ通用すると思っているのか。
- この理屈を恥ずかしげも無く、裁判所に提出した書面で述べているが、
被告SBCという会社は、
このような不思議な理屈がまかり通るような会社なのだろうか。
- このような理屈を社長が述べている事実を被告SBC社員はどのように受け止めているのか。
是非とも、被告SBC社員の方々のご意見を伺いたいものです。
また、2の報道局長の発言のくだりも、その前後の「事実」を全く説明せず、
さも原告が悪いかのような
卑怯としか言いようの無い、いつもの被告SBCのやり口です
。
もっとも、それを鵜呑みにする受け手も受け手ですが。
これらの事情に関しては、訴状や裁判所に提出した過去の書面でも述べていますが、第5回口頭弁論にて
改めて詳しく「事実」を述べる予定です。
原告より、国と中部電力に対して、「昼間障害標識の設置が免除された送電線」
(被告 国が第3回口頭弁論にて提出した証拠資料)のうち、中部電力に関するものの
所在および免除申請書・免除決定書の内容の提示を要求しました。
これに対し、驚くべきことに被告中部電力は、事故現場や送電線の様子など出すつもりは無いと
主張。
裁判所より提出を要請された。
毎回のことであるが、被告 中部電力は、自身の公共安全への責任および義務について、
全く考えていないとしか思わざるを得ません。
2006年7月20日(木) 第3回口頭弁論
- 被告へ4者への反論書面を提出
- SBCから国内放送会社における高性能カメラ防振装置の導入率の資料提示
● しかし、なぜかNHK各局を除いた民放(それも1部)のみの資料で、
このため一見、高性能カメラ防振装置の導入率が低く見える。
それでもなお、
53.42%もの導入率に達している。
さらに「NHK各局を含めると大きく導入率が上がる」ことを我々原告は確認している。
国から以下の4資料が証拠として提出された
● これらの資料は、「中部電力の航空障害設置基準解釈に関する詭弁」を証明する重要なものである
- 航空障害灯及び昼間障害灯標識届出等の手引き(H13年6月作成)
(国土交通省が航空法及び同法施行規則の条文や申請書のひな形等を記載した手引きを作成した証拠)
- 「航空障害灯及び昼間障害灯標識届出等の手引き」作成のお知らせ(H13年7月作成)
(国土交通省が上記手引きを高層建築物設置者等に送付した証拠)
- 障害灯関係届出の手引き配布一覧(H15年4月24日)
(国土交通省が上記手引きを志奈が亡くなった事故の約1年も前に中部電力に送付した証拠)
- 航空法規解説(財団法人 航空振興財団作成)
(昼間障害設置等に関する法解釈の内容)
中部電力からは以下の3資料が提出された
- ヘリコプターに対する送電線事故対応防止PRの実施状況(H18年7月5日作成)
(中部電力が航空機の送電線への衝突を防止するための活動を実施していた事実)
- 陳述書(H18年7月12日作成)
(中部電力が航空機の送電線への衝突を防止するための活動を実施していた事実)
- 陳述書(H18年7月12日作成)
(中部電力が所有する架空線のうち、国の定めた航空障害標識等設置基準を上回る高さの物件が1,2000箇所も存在し、
そのうち未設置物件が驚くべきことに117箇所もある事実)
● 資料1、2は、タイトルだけ見れば
「中部電力がいかにも送電線事故対応防止を
行っていた」ように読めるが、
では実際に「どのような内容について」
「どれくらいの時間をかけて」「具体的に誰に対して」行っていたか
という最も重要な記載が無い。また、PR回数も極めて少ないと言わざるを得ない。
● 資料3は、中部電力が所有する架空線のうち、
国の定めた航空障害標識等設置基準を上回る高さの物件が1,2000箇所も存在し、
そのうち未設置物件が驚くべきことに117箇所もある事実を自ら示すものである。
中部電力としては、この基準がH17年1月の「航空障害標識に関する航空法施行規則改正」後から適用されると
言いたいのであろうが、
国の提出した4つの証拠がある以上、これ以上の詭弁は通用しないであろう。
2006年5月18日(木) 第2回口頭弁論
送電線への航空障害標識設置基準をめぐって国と中部電力が真っ向から争う主張を提示
2006年3月19日(木) 第1回口頭弁論
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