サッカーのテレビ観戦

11月19日(水)の夜、日本代表対カメルーン代表の試合がありますね。会場は大分県ですからテレビ観戦される方が多いと思いますが、いつも日本代表を応援しながらテレビ画面に映るボールの行方を追いかけている方に、たまには観戦テーマを決めてこんな風に見てみるのもおもしろいかも、といった見方を紹介致します。(ビールでも飲みながら、へたくそーとか、きめろーとかテレビの前で言いながら、見ているのが一番楽しいのかもしれませんが・・・)

フェイント
いろんな選手がいろんなフェイントを結構使っています。得点シーンを期待して画面を眺めていると、その時はもちろん目に入っていても後で印象に残っていないことがあります。今日はフェイントを見るぞと決めて、意識してみると結構普段練習している「シザース」とか「またぎフェイント」などをプロの選手が使っているのがわかります。相手ゴール近くにドリブルで攻め込んでいる選手を、フェイントするかなという目で観察してみてください。

ボールを持っていない人
テレビでの観戦には自ずと限界がありますが、それでもボールを持っているプレーヤー以外の選手が映っていることがあります。ボールを持っている人よりも、持っていない人の動きにより注目して見てみるのもおもしろいと思います。指導者用語では「オフ・ザ・ボールの動き」ということになりますが、ボールを持っていない人の動きによってそのチームのサッカーの質の高さが分かるといっても過言ではないでしょう。

首振りとルックアップ
サッカーに限らず、ボールゲームではまわりを見て状況を把握することは大切なことです。よく上手な人を「後ろに目がある」などと言いますが、そうした選手はやはりいつもまわりを見ているのだと思います(目で得られた情報をもとにして次の状況を推測したり、予測したりする能力ももちろん高い)。カメルーン戦は中田英寿選手も出場するようです。彼はよくボールに絡むのでテレビにもたくさん映ります。きっとわかりやすいので中田選手の首振りとルックアップに注目してみるのもおもしろいかもしれません。

首振りとルックアップに関連して、またまた湯浅健二著「サッカー監督という仕事」(新潮社刊)の一節より。ご参考まで。

「中田って、ホント絵になりますよね」
友人の写真家が話しかけてきた。
「彼は、ほとんどのケースで胸を張り、顔を上げるような自然体でプレーしているんです。ボールを持っても、持たなくてもネ。どんな状況でも常に首を振っているともいえるんですが、だから写真の被写体としても最高なんですヨ・・・」
友人が説明してくれる。ナルホド、被写体としてというわけか。

ボールを持った状態でのルックアップやパスを受ける前の首振りプレーは、基本的な技術だと捉えるべきなのである。ボールを扱うテクニックが上手くなって経験を積めば、自然と周りが見られるようになると言う日本の監督は多い。

私はそうは思わない。ルックアップや首振りプレーは、常に意識させていなければ、決して自然に出てくるという「オートマティゼーション」のレベルまで高めることはできない。だから監督は、どんな技術レベルの選手を扱うにせよ、ルックアップを、「強烈な刺激」を伴ったカタチで常に意識させていなければならないと思うのである。

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