遊びの中から何かが生まれる

「遊びの中から何かが生まれる」これは1978年ワールドカップ優勝監督、セサル・ルイス・メノッティの言葉です。だと思います。検索エンジンで調べても出てこないので、もしかしたら違う人の言葉かもしれませんが、78年ワールドカップ後か79年ワールドユース日本大会のときのサッカーマガジンのインタビュー記事に出ていたと記憶しています。

座右の銘は何ですかなんて聞かれたこと一度もありませんが、聞かれたら「遊びの中から何かが生まれる」と答えようかな。なぜこの言葉を好きになったか。親や先生に遊んでばかりいないでたまには勉強しなさいと言われたときに、「遊びの中から何かが生まれる」って言葉があるんだよって答えられると思ったから。
でもいい言葉だと思います。子どもたちは友だちと遊んでいるときに、鬼ごっこでもかくれんぼでも、サッカーでも野球でも、勝つにはどうしたらいいか、どうしたら負けないか必死になって考え、時には自分に有利な新しいルールを作っちゃったりするんですよね。たまには喧嘩したりもして。そうした遊びの中から何かが生まれるんでしょうね。

ストリートサッカーというのがあります。文字通り路地などでサッカーをすることです。かつてブラジルやアルゼンチンでは貧しい地区の子たちが、ゴールもボールもないのに、路上で丸いものをボール代わりにして、どこかに適当にゴールを設定して、大きい子も小さい子も一緒になって1日中夢中になってサッカーをやっていたと聞きます。近年ブラジルやアルゼンチンでもこうした遊びは段々なくなってきているようですが、こうしたストリートサッカーからジーコやマラドーナが生まれました。遊びの中でたくましさを身に着けていったんだと思います。

用具やグランドなど恵まれた練習環境を与えられている今の子どもたちは、サッカーのプレーにおいても受身になってしまう恐れがあります。練習したほうがよいテクニックや、教えたほうがよい最低限の個人戦術というのはあると思いますが、やはり自分で考えるためのヒントを上手に与えてあげることが大切なんでしょうね。塾で勉強教わるのとは違って、子どもたちにとってあくまでサッカーは遊びだってことを忘れてはいけないんだと思います。

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