水槽のセットアップ手順



 新しく60cm水槽をセットアップする機会があったのでその手順をご紹介します。水槽を新規にセットする際の参考にしてください。以下の記載内容を実際に実施する場合は、あくまでご自身の責任において行ってください。

また、下記の経緯と結果は当方の水槽において確認されたものであり、他の水槽で同じように実施していっても、実際の結果が報告通りにならない場合がありますのでご了承ください。



砂の準備 (1999/8/29〜8/30)

 今回は水草水槽にするので砂がいる。砂はいろんなものが市販されているが、大磯砂(中目)を使う。大磯は最も無難な砂として評価が定まっており、自然な色合いも魅力だ。

比較的安価な砂だが使い込むと熟成されて最高の砂になる。荒さは3種類あり、細目が最も水草に適するが、今回は中目(平均粒径4mm程度)を使う。これを15Kgと、大きめのバケツを2個用意する。

 大磯砂はそのままでは使えないので前処理が必要だ。まずは、ざるに入れてお米を研ぐような要領で少しずつ洗う。このとき目に付いた貝殻は取り除いておく。作業はゴム手袋をして行う。これをしないと手の皮や爪を痛めてしまう。

 大磯砂はカルシウムを含んでいるため長期にわたり水質をアルカリに傾ける傾向があるため、次の手順でカルシウムを抜くことをお勧めする。

 強塩酸の量は、200cc/10Kgが基準量である。まず十分大きなバケツに水を5リットル/10Kg 入れ、強塩酸を入れて良く攪拌した後、砂を静かに入れる。強塩酸は印鑑があれば薬局で手に入る。

 砂に強塩酸を入れると、写真のようにプクプクと泡が出てくる。12時間毎に砂をよく攪拌して泡抜きを行い、攪拌時に泡が認めれられなくなるまでこの作業を繰り返す。

 処理が完了したら、大量の水で徹底的にすすぎ洗いをする。処理廃水は、石灰等で中和して捨てる。塩酸処理の最新情報は、こちらをご参照ください。

強塩酸の取り扱いは極めて危険です。この作業はあくまで自己責任で行ってください。






水槽の初期セット (1999/8/30)


 今回使用する濾過器は、汲み上げ式の上部濾過器なので、濾材の構成は底部にスポンジ濾材を敷き、その上にセラミック製のリング濾材、さらに2〜3mm目くらいのネットを載せる形にする。写真は見やすいように3分の1ずつ順番に重ねていったもの。

 外部式パワーフィルタの場合は吸水口にプレフィルタ(目の粗いスポンジ)を付けて濾過層には全てスポンジ濾材を詰める。

 スポンジ濾材は生物濾過を担当するのでたっぷりと入れる。セラミックリングは上から重力落下してくる水を適度に偏流させ、スポンジ濾材にうまく供給する役割をもつとともに生物濾過もする。これは写真のように下のスポンジ濾材を軽く覆う程度に敷けばよい。最上部のネットは物理濾過を担当する。ゴミはこのネットだけ外して洗うことでバクテリアを損なうことなく簡単に除去できる。吸水口にプレフィルタが付けられればネットは不要だ。

 濾材のセットが終わったら水のガイドプレートをはめてみて、濾材との隙間(水の落下距離)をみる。これが10〜15mm程度ならOK、隙間が狭いようならスポンジ濾材の量を減らして調整する。

 今回使用したスポンジ濾材は自作の洗車スポンジ濾材だが、裁断が面倒な人はエーハイサブストラットで代用できる(但し性能は落ちる)。セラミックリングはブルーバルに付いてきたものを使ったが、エーハイメックでもよい。ネットは台所の流し用のものを流用。2mm〜3mm目くらいのものなら何でもよい。 

 濾材をセットしたら砂と水を入れる。砂は全部入れるのではなく、1Kgくらいは袋に入れて取っておくと良い。砂を敷くとき傾斜を付けよ、とかよく本に書いてあるが、メンテするうちに平らになってしまうので、最初から平らにしておけばいいだろう。

 水を入れたらその他の器具をとりつけてヒータと濾過器の電源を入れ、水を回す。水が加熱されてくると大磯に残留している塩化水素のせいで塩酸臭がする。これを逃がすため蓋のたぐいは全て取り払い、エアレーションを強くしておく※。

エアレーションの方法は、外部式であれば排水パイプを水面から上に配置、上部濾過器なら出口のパイプを取り払い直接水が落ちるようにしておけばよい。





パイロットフィッシュの投入 (1999/8/30〜8/31)

 バクテリアは魚を入れないと発生しないので、できるだけ早く魚を入れたいが、残留塩化水素が心配なのでとりあえずアカヒレを2匹入れて一晩様子を見る。無事だったら、本格的にパイロットフィッシュを投入する。
 今回投入したのは、

 パールグラミー*1
 ブラックネオン*4
 グローライトテトラ*3
 アカヒレ*2(最初に追加したもの)

の計10匹。どれも水質の悪化に強い魚たちだ。今回はいろんな種類の魚を混ぜてみたが、もちろんどれか一種類だけでも良い。エサは毎日朝少しだけ与える。
 酸素はバクテリアの繁殖に必要なのでエアレーションは引き続き行う。ただ、照明はつけていない。



導入後の様子 (1999/9/1〜)

1999/9/2
 水中をただよう細かい粒子が吸着or沈殿して水が澄んできた。
 現在の水質は、PH5.8、KH1以下、GH1以下、亜硝酸=測定限界以下、アンモニア=測定限界以下となっている。水道源水のPHが6.3だから、PHが下がっているのは残留塩化水素、あるいは何らかの反応生成物のせいだろう。この酸化成分の抜き方は、大磯砂のカルシウム抜きを参照して欲しい。

1999/9/5
 PH6.2、KH1以下、GH1以下、亜硝酸=測定限界以下、アンモニア=わずかに検出?
アンモニア濃度はテトラの試薬で比色により判断しているので微妙なところ。

1999/9/8
PH6.5、亜硝酸=わずかに検出、アンモニア=検出されず
 亜硝酸もテトラの試薬だが、かすかに色づいている感じだ。濾材を目で見た感じではとくに変化はみられないが、アンモニアの硝化プロセスは終わってしまったのかも知れない。

水槽の様子
 実はメイン水槽でトリミングした水草を植えてしまった。本来最初は濾過の立ち上がりに全力を傾けるべき※だが、水草を捨てるのがもったいないという事情からやむおえずこうなってしまった。

 今回はグロッソを植えるので、肥料(テトラ イニシャルスティック)をピンセットを使ってグロッソを配置するエリアにのみ、グスグスと埋めていく。埋める間隔は、5cmくらい。底埋め式の肥料はコケの原因になるので、分量にはくれぐれも注意する。グロッソを植えない場合はこの工程は必要ない。

 上部濾過器の場合は奥の光が弱くなるので、後景には光量不足に強い品種、成長の早い品種を植える。今回は、

 後景:サジタリア*18、ハイグロフィラ・ロザエネ*4、ジャイアントアンブリア*1
 前景:ウオータ・パコパ*2、グロッソ

となっている。サジタリアは生育条件が良いと爆発し、水面に届くくらい葉長が伸びるので前景には使えない。
 グロッソはとにかく光量不足に弱いので左右の端を避けた前景に配置する。水草の育成に関する詳細は、こちらを参照。
 水草を植えたら排水でCO2を逃がさないために水を濾過装置の底面が水没するまで一杯にいれる。排水口から泡が出なくなったらOKだ。照明も用意して今日から点灯させた。

※濾過が完成していないうちに水草を入れると不具合が起こる。バクテリアが繁殖するためには酸素が必要で、エアレーションが有効だが、エアレーションするとCO2を発散させてしまい、水草の生育が鈍って、コケやすくなる。


1999/9/9
 水面が油膜でびっしり覆われているのが観察された。特に問題ないのでそのままにしておく。肥料を入れたせいで水がやや濁っている。

1999/9/11
 PH6.9、亜硝酸=0.2mg/L。亜硝酸は確かに上昇している。PHは水草にC02が消費されて上昇。水草のためには換水(CO2補給)をしたいが、バクテリアのエサになる亜硝酸が減るのでしないでおく。水面の油膜は減ってきた。

1999/9/13
 PH7.0、亜硝酸=わずかに検出。亜硝酸が急激に下がった。濾材を確認してみると、セラミックのリングは変化がないが、底に入れたスポンジ濾材がやや茶色がかっているのが確認できた。ただ、砂のバクテリアはまだこれからのようだ。
 ちなみにKHとGHは相変わらず1以下のレベルをキープしている。
 水面の油膜は完全消滅した。

1999/9/16
 PH6.8、亜硝酸=0.2mg/L。14日から亜硝酸がもとのレベルに戻った。この前の数値は何だったのだろう?
 昨日からイースト菌発酵によるCO2添加を開始、PHが下がったのはこれが原因だ。
 水槽の壁面に茶色いコケが急速に増加。よく見ると砂の表面や水草にも付いている。今まで一度も換水していないため水の富栄養化が進んでいるようだ。今日は1/4程度の換水を実施した。コケ掃除にオトシンやエビを入れたいところだが亜硝酸がこのレベルでは入れることができない。そこでメイン水槽からレドランションの稚貝を5匹程度投入した。

1999/9/17
 PH6.6、亜硝酸=測定限界以下。亜硝酸レベルが下がった。今度こそ完成か?13日に一度下がって上がってきたのは、エサの量を増やしたのが原因かも知れない。

 水草はどれもとても美しく育っている。イースト菌によるCO2添加はそれほど強力ではなく、連続添加しているに関わらず酸素の泡は確認できない。

1999/9/18
 PH6.7、亜硝酸=測定限界以下。亜硝酸が2日連続で下がっていれば濾過は完成したと言って良いだろう。とはいっても、いきなり大量の魚を追加して水槽負荷を増やすのは禁物だ。

 濾材の様子はこんな感じ。セットアップ時の写真と見比べて欲しい。だいぶ茶色くなっていることが解る。これが水槽の命であるバクテリアだ。
 魚はどんな様子かというと、ブラックネオンが1匹、体に白いカビがついたが他は全く異常なく、死魚は1匹もでなかった。

まとめ

今回のリポートは、60cm水槽にパイロットフィッシュ10匹という条件における水槽立ち上げの貴重な一例になると思う。


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