カーシャンプーと石けんの洗浄力はどの程度違うか(2005/7/7)
カーシャンプーに使う石鹸の候補がそろったので洗浄力と使い勝手のテストをしてみた。
洗浄力テスト
| 濃度(水/洗剤) | 液体石けん (台所用) | 粉石けん (スノール) | 液体合成洗剤 (ウイルソン、カー用)
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| 20ml/cc | ○ | ○ | ○
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| 40ml/cc | ○ | ○ | ○
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| 80ml/cc | △ | ○ | △
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| 160ml/cc | × | △ | ×
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| 320ml/cc | × | × | ×
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水温21℃、手にサラダ油を塗って洗浄した場合
上記の洗浄力は手に付いた油汚れが完全に洗い流せることを基準にしており、想定としては最も濃いケースとなる。合成洗剤は従来との比較のためにテストした。
液体石けんの洗浄力が概して劣るのは、含まれる石けん成分が少ない(約70%が水分)ためである。カーシャンプーは台所用の合成洗剤に比べると相当希釈されているが、それで液体せっけんの原液と同程度のようである。
カー用の合成洗剤の標準使用量は4L/70mlだから、57ml/ccとなり、私がテストした油汚れの限界レベルに近いこともわかった。
洗濯用の計量スプーンが1.25cc/gであったから、粉石けんをカーシャンプーと同じ洗浄力で使う場合、70ml/1.25/2 = 28g 必要となり、洗濯用の計量スプーンに換算すると4Lの水に対しスプーン1杯程度(ひと匙20gの場合)でいいようだ。
ランニングコストは、カーシャンプー(ウイルソン)が\580/800mlより、一回の洗車コストは、70*580/800 = 51円/回。これに対し、洗濯用の粉石けん(スノール)が\1510/2.1kgより、一回の洗車コストは、28*1510/2100 = 20円/回と半分以下となる。スノールは家庭用としてはかなり高価な商品だが、カーシャンプーの方がさらに高価である。
スノールは水に溶けにくいが、まず少量の水に入れて分散させ、加熱&溶解したあとで所定の濃度に薄めればOKだ。加熱は電子レンジが便利である。最初にお湯で溶かそうとすると粒同士がくっついてゼリー状になり、かえって溶けない。スノールを水に溶かすのが面倒な人は、無添加の液体石けんを使うといいだろう。これはカーシャンプーと全く同じように使える。
究極のボディケア4〜理想的なカーシャンプーとは(2005/6/30)
カーシャンプーの主成分である合成界面活性剤は、塗装を腐食することをこちらで述べた。では、どのような洗剤がいいのだろうか。ここはやはり、天然成分由来の石けんに注目したい。
石けんも合成界面活性剤も、相手に吸着したり、界面を活性化させる働きは同じである。しかし、決定的に違うのは、石けんは「希釈すれば活性を失い(界面活性剤の特性が無くなる)、塗装に悪影響を及ぼす残留物が残らない」点にある。これが、石けんが皮膚や環境に優しいといわれる理由だ。合成界面活性剤は、希釈(水洗い)しても活性を失わないため、様々な問題を起こすと言われている。
石けんには、洗濯用、台所用、身体用いろいろあるが、純粋に石けん成分だけのものであれば、作られた用途に関係なく万能に使える(写真参照)。
しかし、青空駐車の場合は、石けんで洗うだけでは不十分である。というのも、屋外では藻類やカビの繁殖が避けられないからだ。バンパーやエアロパーツの継ぎ目などが黒っぽくなるのは、溝部分に土埃が溜まり、そこに染みこんだ水が乾きにくくなって、カビが繁殖するのも原因である。これに対する一番の対処法は、ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)の利用である。※1
写真は、クルマの洗浄に使える石けんの候補。粉と液体とあるがどちらでも良い。粉石けんは安価で、ハイターと合わせて使っても市販のカーシャンプーよりずっと経済的である※2。
ハイターはカビ取りや殺菌の万能ケミカル。ハイターと名の付く商品は多いが、必ず写真の物を使う※3。
※1 こういう話が話題になると、ハイターは金属を腐食するとか、中和の結果出来る塩が害になるとか、過剰反応する人が現れる。これらの影響は濃度によって違う話であって、程度問題をきちんと理解しなければならない。正しく使えば、ハイターは無害で便利な殺菌剤である。次候補として過炭酸ナトリウムが挙げられるが、効果が弱くコスト面でも不利だ。
※2 石けんはクルマのボディに限らず、身体にとってもやさしいので、皮膚に慢性的な問題を抱えている人はすべて石けんに切り替えると改善することがある。
※3次亜塩素酸ナトリウムを含むハイターのほかにいろいろあるが、次亜塩素酸ナトリウムを含まないものや、界面活性剤を含むものもあるので要注意だ。こういった余計な添加物を含む物は洗車用に使えない。ただの「ハイター」と書かれているもの(写真参照)を使って欲しい。
漂白用に売られているハイターの成分は、次亜塩素酸ナトリウムNaOClと水酸化ナトリウムNaOHの混合物である※4。いずれも有機物と反応する性質があり、藻類やカビの細胞膜を破壊する。
ハイターを使う際には希釈倍率が重要だ。500〜1000倍程度が適当であり、(水1Lに対して1〜2ml)計量スプーンなどを利用してきちんと量ってもらいたい。この程度の濃度であればウレタンのスポンジも痛めず、皮膚への刺激も少ないため、手袋は必ずしも必要ではない。
洗濯物でも漂白が毎回必要ないように、ハイターは必ずしも毎回使う必要はない。ボディのコンディションをみながら利用頻度を調整して欲しい。
※4ハイターの残留物は、水酸化ナトリウムだけである(次亜塩素酸ナトリウムは揮発するため残らない)。ハイターが濃すぎると、アルミ部品(ラジエータなど)やメッキパーツなどの非鉄金属と反応して変色させるので注意して欲しい。
ハイターは、石けん水を作るときに、上記の割合で一緒に混ぜてしまえばよい。石けんを溶かすには湯が良いが、ハイターに含まれる次亜塩は水温が高いと活性を失うため、ぬるま湯に留める必要がある。
何もしないメンテ法案では、ボディの洗浄はせずに、天然のコーティング被膜を保護に利用することが、ポイントの一つとなっている。しかし、これを続けると溝部分に土埃が溜まりやすく、カビや藻類が繁殖する恐れがある。そこで、月に一度、ハイターを上記倍率で希釈した物をスプレーし、5分〜20分程度(乾燥しない時間、季節によって異なる)程度後に水をかけて洗い流せばよい。これを続けていると、親水性を持った理想的な無機コーティング膜が出来てゆくと考えられる。
鳥の糞や虫を除去する際にもハイターの希釈水は役立つ。塗装の表面はミクロの穴が沢山開いており、水洗いだけではそこに染み込んだ酸性物質の除去と、塗装の侵食を防ぐことが出来ないからである。虫痕除去用のケミカルは、「見た目」除去できるが、酸性物質はそのまま残ってしまう。虫痕の影響を確実に除去するためには「中和」が必要だ。
上記の希釈濃度はカビの発生を予防する程度のものである。既にカビているものを綺麗にするためには、カビキラーに近い濃度が必要だ。それは、ボディにとっても害を与えかねない。
いずれにしても、ハイターの混入は自己責任で実施して欲しい。
参考資料
石けん百科
石けんの性質から理論まで幅広い情報が充実している
日本石鹸洗剤工業界
界面活性剤の働きが詳しく述べられている。
究極のボディケア3〜従来の常識は正しいか(2005/6/27)
みなさんは、
「カーシャンプーやワックスを使って手入れをすればするほど、塗装が痛む」
と聞いたら、どういう反応をするだろうか。「そんなこと言うヤツは、聞いたことがない」「手入れをしない方が、痛みも早いに決まってるだろう」などの声が返ってきそうである。
長い間、常識と考えられてきたことが間違いで、実は逆効果だった、という話は、ままあることだ。「手入れをしなければ、痛みも早い」といのは、誰か確認した人はいるのか。この論理はわかりやすいから、皆が「その通りだろう」が思って疑わなければ、間違いは永遠に訂正されないままだ。
現在、クルマの手入れを扱うほとんどの記事が「汚れを放置するのは悪い」とし、こまめなケア(カーシャンプー&ワックスがけ)を勧めている。つまり、塗装の劣化を防ぎ、長持ちさせたいのなら、こまめに洗い、月に一度はワックスをかけなさい、というが、今の常識である。そのための、「洗車のコツ」なるものを書いた書き物は、山ほどある。
カーシャンプーやワックス、水性ツヤだし保護剤など、ケア用品の害について主張する人はほとんどいない。こういう趣味の世界には専門家が少なく、素人だけで集団を作るケースが多い。そこでは技術に無知なライターが幅をきかせ、おかしな常識や宗教がまかり通ることが多い。世の中にはそんな商品が多いが、業者に責があるわけではない。業者は、それが良かろうが悪かろうが、単にユーザーに迎合した商品を作るだけなのだ。
なぜこんなことを言い始めたか、というと、私が、常識と矛盾する経験をしたからだ。
私は過去、毎週カーシャンプーをかけてクルマをせっせと洗い、1ヶ月に一度、ワックスなりコーティング剤を塗布していた時期がある。他人が見たら、それこそ「病的」と思われるくらい、クルマを一生懸命手入れしていた。
ところが、1年も経つと、ボディにクレータがたくさんみられるようになり、ワックスがけの度に、この窪みが目立ってふき取りが大変だった。特に、プラスチック製のエアロパーツ(リアウイング)のクレータがひどかった。ゴム製モールにもクレータが出来、爪でボロボロと崩れた。
4年もすると、樹脂製のエアロパーツの塗装に深刻な問題が生じた。塗装が剥げてきたのだ(プラスチック製のパーツはボディより塗装が弱い)。
同年式のクルマを駐車場でみかける機会もけっこうあった。塗装やゴム部品の劣化に悩んでいたから、他車のコンディションには興味があった。
「私ほどマメに手入れする人は少ないだろう、私のクルマがこんなにひどいのなら、他のクルマはもっとひどいに違いない」
そう思って他人のボディを観察してみると、期待は裏切られた。それほど手入れしているように見えないのに、クレータなど塗装の問題がほとんどなく、プラスチックやゴム部の劣化も明らかに少なかったのだ。5年目の車検の時、ディーラから借りた同年式の代車を見たときが最もショックだった。手入れを手抜きされてきたこのクルマの方が、ずっとコンディションが良かったのだ。そこで、この差はいったい何が原因だろう、と考え始めたのである。
ボディに付着する汚れをそのまま放置しておいた場合、どのような不都合があるだろうか。そもそもボディに付着する汚れは、無害な物と有害な物の2種類に分かれる。汚れ成分の大半は無機の土埃であり、これは取り除かなくても何の問題も起こらないことは、誰でもわかるだろう。
それ以外の有害成分は微量だし、汚れの皮膜も雨が降る度に剥離し再生を繰り返すから、それほど問題になるようにも思えない。
鳥の糞や虫痕だけ注意してこまめに取り除いてやれば、問題なく維持できるはずだ。ひっとしたら、青空駐車においては、これは究極かもしれない。これを、「何もしないメンテ法案」と名付け、実際に取り組み、実証したのが次の写真である。
これは、自分のクルマを使って「何もしないメンテ法案」でそろそろ5年になるトランク上面部とそれにつながるエアロパーツの塗装部分である(R34スカイライン)。


最も痛みやすいトランク上面とリアスポイラーの部分。時計はリアスポイラーの上に置いてみたところ。表面がまだらに見えるのは雲が映り込んでるためで、いずれも問題は認められない。


夜中に懐中電灯で表面を照らしたところ。普通なら5年も経てば光源の周りにクレータやヘアスクラッチがたくさん見えるところだが、注意深く観察しても、クレータはおろか、スクラッチ傷さえもほとんど見当たらない。
洗車は年に1回するかどうかであり、去年はとうとう一度もしなかった。水洗いして表面の汚れ被膜を取り除いてからいろんな角度からライトを当てたり、ルーペで観察してみたが、ウオータースポットはおろか、スクラッチ状の小キズも探すのが困難なくらいである。新車の塗装は「ゆず肌」と言われるわずかな凹凸があるが、これはそのまま残っている。
ただ、問題が無かったわけではない。時計の映り具合からすると、表面が荒れてざらざらした感じがするし、ツヤも減っている。この程度の劣化は、屋外ではやむを得ないことだろう。
リアウイングとトランクとの継ぎ目が少し黒ずんでいる。これは「カビ」が原因である。そのほか、藻類が付着してしまった部分もある。カビと藻類についての予防策は、次のトピックで述べる。
世間では、「汚れを放置するのは悪い」と言われている。確かに、何もしなければクルマは汚れていく。しかし、それが劣化に結びつくかというと、必ずしもそうはならないようだ。事実、致命的なものだけを取り除いていいれば、劣化はほとんど進行しない。こまめに洗車&ワックスかけをすれば、クルマはいつも綺麗だろう。しかし、劣化は確実に促進されてしまう。
(2006/10/29補足)
新車から6年目を迎え、ボンネット、天井、トランクの上面をミガキに出したところ、新車を超える鏡面になった。以前、R32をミガキに出したときは、クレータが深くて取りきれず、残念な経験をしているだけにとてもうれしい。
究極のボディケア2〜ワックスをかけると塗装が痛む(2005/6/25)
ボディケアの究極は、「何もしないこと」だと、2年前にこちらで紹介した。しかし、未だに多くの人が喜んでワックスやコーティング剤を塗り、保護しているつもりでいるのが現状だ。そこで今回は、これについてもう少し補足しよう。
- 塗装の劣化要因
- ボディケアが問題になるのも、結局のところ、青空駐車などによってクルマが汚れるところに発端がある。青空駐車の場合、ボディを痛める要因には次のものがある。
- 鳥のふん、虫痕
- 酸性雨
- 紫外線
- 鉄粉
1 は即取り除かないとマズいが、最近の塗装は優秀であり、あとのものはそれほど大した被害を受けない。上記以外にもタール、ピッチがあるが、これらはむしろ保護の役目を果たす。
ところで、世の中には、これらよりもはるかにボディを痛める要因がある。それが次のものだ。
- 石油系溶剤
- 合成界面活性剤
1 はコーティング剤やワックスに含まれ、2はワックス、カーシャンプー、水性のツヤだし保護剤等に大量に含まれる成分である。これ以外にも、およそケア用品と呼ばれるもののほとんどが、これらの成分を含んでいる。これらは、人間が塗らない限り、決してボディに接触することはない化学物質である。
- カーシャンプーやワックスの弊害
- カーシャンプーを使って洗車すると、界面活性剤が残留して塗装を侵食し、シミやクレータを作るという。これは、「水洗いの不十分」によって起こるといわれる。だとすれば、どうしたら十分な水洗いをチェックできるのだろうか。
合成洗剤で手を洗った時のことを思い起こして欲しい。泡は洗えばすぐに流れるが、ヌメリはなかなか落ちない。食器の場合も同様で、一時期洗剤の残留濃度が問題になったように、どんなにすすぎ洗いしても残留をゼロにすることは困難である。これは、界面活性剤が物体に強固に吸着する性質をもつからだ。
カーシャンプーも同じように、泡はすぐに落とせても塗装に吸着している残留成分を完全に落とすことは難しい。多くの人が、泡が見えなくなったところで「水洗い完了」と判断しているのではないだろうか。
ワックスやコーティング剤に含まれる石油系溶剤は、灯油とほぼ同じものである。通常、灯油をボディにぶっかけてそのまま放置する人はいないだろう。しかし、コーティング剤やワックスを塗るのは、これにほぼ等しい行為だ。溶剤の害に比べたら、酸性雨などミネラルウオータみたいなものである。
カーシャンプーやワックスに害があるといっても、その程度は小さいし、問題が起こらないケースもある。例えば、洗車が数ヶ月に一度だったり、ワックスを頻繁にかける人でも、ガレージを持っていて紫外線にさらされない保管状況であれば、問題が起こる可能性は低い。結局この問題は、青空駐車の環境で、過剰な手入れを長期間続けることで起こるのである。
手入れの好きな人は毎週一生懸命ボディを洗い、ワックスをかけている。界面活性剤を塗ったところへワックスを塗ると、それがワックスの内側に封じ込められてしまう。この後、ガレージ行きなら問題ないが、屋外だと紫外線が当たることで劣化が促進されるようだ。
結局、洗ったりワックスを塗る回数が多ければ多いほどボディは痛み、気が付いてみれば、クレータだらけという悲劇が起こるのである。
ワックスの主成分、ロウに保護効果があるのは確かだが、それは、「ナマ」で使った場合の話だ。ワックスを塗りやすくするために使われているこれら添加剤は、本来の保護作用をはるかに上回る害をボディに与えてしまう。結局ワックスも水性ツヤだし保護剤同様、その効果は「つや出し」だけであり、これと引き換えに相手を劣化させる、「ツヤだし劣化剤」なのである。
※塗装の表面が劣化し、クレータ状に剥離してしまった状態をいう
- 天然のコーティング膜に注目する〜青空駐車でクルマを長持ちさせようと思ったら、汚れを味方に付けよ
- 青空駐車のクルマを洗車しないで放っておくと、表面に薄い汚れの皮膜、「天然のコーティング膜」が出来る。何もしないメンテ法案では、この皮膜を利用する。この皮膜は次のような特性を持っている。
- ほとんどの成分が塗装に対して無害である
- 不透明であり波長の短い光を吸収しやすい(紫外線を通しにくい)
- 酸性雨の害を軽減(濃縮される際、汚れに含まれる有機物が先に犠牲になることで塗装へのダメージが軽減される)
- 完全な親水性がある(水玉のレンズがまったく出来ない)
- 除去しても自己再生する
ツヤは期待できないが、保護作用は、ヘタなコーティング剤以上である。あるメーカが、ウオータースポットを再現しようと、何ヶ月も屋外に放置したが、なかなかできなかったという。これも、上記の保護作用で説明できよう。
汚れの被膜はほぼ完全な親水性があり、水膜が薄く広がって乾燥時間が非常に早い。これは、部分的に汚れを洗浄した部分に同じように水をかけて比較すると、一目瞭然である。中途半端な親水は害になる。大きな水の塊が出来て、乾くのに時間がかかり、濃縮される残留物の濃度も高くなってしまう。ワックスをかけたクルマは、雨が降る度に水滴をふき取らなければ塗装にダメージを与える。しかし、汚れの皮膜があれば、その必要がない。
汚れの皮膜は無機の土ホコリに由来するものが多く、それ自体は無害である。ただ、工業地域が近いと、塩や酸が付着する場合があるが、微量なため、溶剤や界面活性剤に比べれば害は少ないのではないか。気になる人は、新車のうちにプロのコーティング※をしておくと良いだろう。
※世の中いろんなコーティングがあるが、成分や能書きは無視してよい(実際、どれも大差ない)。耐久性や性能に最も効くのは被膜の「厚み」である。出来るだけ厚い被膜を作るものを選ぶことが重要だ。
何もしないといっても、鳥のふんや、虫痕だけは、直ちに除去しなければならない。そのために、トランクに水を入れたペットボトルを常備しておけば万全だ。
- 何もしないメンテ法案に適した塗装色
- こういうボディケアが成立するには、クルマの方が汚れが目立たない色である必要がある。メタリックシルバーやメタリックグレーは目立ちにくく、お勧めだ。
黒やグリーン、青などの濃い色は汚れが目立ち、青空駐車では一週間で見るに耐えない見栄えになる。こういう色は紫外線による退色や老化も早く、手入れしなければ擦り傷が目立つようになり、手入れをすれば劣化を促進するという悪循環に陥る。濃色車は、青空駐車には向かない色である。
黒塗りの高級車は金持ちの車というイメージがあるが、濃色の高級車をつねにピカピカのまま乗れるのは、やはり屋根つきのガレージを持っていて、手入れを他人任せにできる人、つまり金持ちだけに許される色だろう。
最後に
どんなに一生懸命洗車しても、他人が感心してくれるケースは少ない。洗車も結局は、自己満足だけの行為である。
<参考になる記事>
モービルクリーンベース
ボディのダメージサンプル写真が豊富
自動車評論家はなぜ絶滅したか(2005/6/5)
オーディオ評論家が絶滅したといわれて久しいが、絶滅の波は自動車評論家にも押し寄せている。クルマ雑誌の中で自動車について書いているライターは存在するが、評論家だけで食べている人は、ほぼ絶滅したようだ。
自動車評論家が絶滅した最大の理由は、自動車技術が急速に進歩して、技術抜きでは自動車のことを語れなくなってしまった為だろう。ほとんどの評論家が技術に素人で、新しい知識に付いてこれなくなったのである。
近年の自動車技術、計測、シミュレーション、燃費改善に関する技術の進歩はめざましいものがあり、新しい技術も次々と生まれている。そんなところへ、舶来物を未だに信奉し、個人の主観だけで国産車を論評した書き物を出すと、しらけてしまう。
自動車メーカでは、ずいぶん前から、この手の評論家を無視しているが、世間では未だ、熱心な信者は多い。しかし、今後は世間でも、ほとんど相手にされなくなるだろう。
これからの時代に必要なのは、自動車評論家ではなく、「自動車技術評論家」である。技術の評論家になるには、単なる自動車好きや、レースドライバーからの転身では、難しい。その資格のある人は、幅広い技術的知識を持った、技術系出身の人間である。
そのタマであるが、今のところ、唯一の人物に、ボンバー池田という人がいる。私はこの人の本を買って読んでみた。中身は結構いいところを突いているものの、本人に良識が欠けているのか、その文章や表現に問題があって、世間ではまったく相手にされていない。
以前、どこかの評論家が、「自動車評論家になるには、どうしたらいいでしょう」というQ&Aについて解答していたのを読んだことがある。「自分の視点をもて」「文章力を磨け」は、どの評論家にとっても共通する要素といえる。
池田氏の場合は、自分の視点を持ち、技術の本質をよく突いている。しかし、その文章がすべてをダメにしている。彼の本「クルマ業界さん、いい加減にしてください」は、誰の添削もアドバイスも受けずに、そのまま出てきたものだろう。それにしても、この本、本人も出版社も、こういう恥さらしな本をよく出したものだと、関心する。
スポーツカーとは何か〜疲れるクルマはスポーツカーではない(2005/2/5)
クルマのことをよく知らない人に、スポーツカーって何?と聞くと、「加速のいいクルマ」「スピードの出るクルマ」などという返事が返ってくることが多い。これはあまりにも寂しい認識である。そこで、どんなクルマがスポーツカーといえるのか、おさらいしてみよう。
スポーツカーに関係する要素には次のものがある。
1.各操作入力に対する応答の早さ
2.各操作入力のリニアリティ
3.エンジン音、排気音(エキゾーストノート)
4.スポーツムードを演出するデザイン
5.動力性能(パワー、トルク)
6.車重、慣性モーメント
7.スタビリティ
8.快適性
9.ライフスタイルの演出
スポーツカーにはレース(競技)をするためのクルマという意味もあるが、本記事では、レースをしない(公道しか走らない)一般ユーザを対象にしている。1〜4は「スポーツフィール」を形成する要素であり、5〜7は「スポーツ性能」に関する要素である。「スポーツフィール」と「スポーツ性能」の要素をバランスよく備えているクルマは、自分の意のままにクルマを操れる「人馬一体感」があって、運転そのものを楽しいと感じさせてくれる。「スポーツカー」とは、そんなクルマのことをいう。
また、スポーツカーと混同されすい言葉がいくつかあるので、整理しておこう。
- GTカー
GT=「グランドツーリング」のことで、長距離を高速かつ快適に移動できるクルマ。例:レガシィ、ステージア
- スポーティカー
外見だけをスポーツカーに似せたクルマ。ちょっとスポーツな味付けをしただけのクルマ。例:現行セリカ
- レーシングカー
レースをするために作られたクルマ。
上述した1〜7の各要素について、以下に詳しく述る。
- 1,2.操作系の応答とリニアリティについて
- アクセル、ブレーキ、ステアリングなどの操作に対する応答や、リニアリティが高いと、クルマを自分の意志通りに操れる性質が高くなる。こういった特性はレベルの高いクルマだけが備えているものなので、ファミリーセダンや軽自動車しか乗ったことのない人には、ピンと来ないかも知れない。
私の試乗記事で、ステアリングフィール、ブレーキフィールなど必ずチェックしているは、このような点に注目しているためだ。これらのポイントについて以下に説明する。
- アクセルフィール
- アクセル開度に対して出力がリニアなことが問題となる。ちょこっと踏むだけでグワっと出力が出るもの、最初の開度が大く踏み込んでもほとんど変わらないものは適さない。
- ブレーキフィール
- 踏力に対して制動がリニアなことが問題となる。ちょっと踏んだだけで強い制動がかる(カックンブレーキ)、フワフワで感触に乏しい、強めに踏むとすぐABSがかかるものは適さない。良いものはブレーキパッドがディスクに触れる微妙な感触まで足で感じ取ることが出来る。
- ステアリングフィール
- センターから切り始めたときの応答、途中から切り増ししたときの応答、反力が問題となる。ステアリングフィールは、パワーアシスト機構だけでなくサスペンション、タイヤ、車体などすべてを総合した結果として表れる。
センターの遊びが大きい、ステアリングがやたら軽く手応えが無い、直進性が強すぎるものは適さない。重すぎたり、軽すぎるのも問題だ。良いものは、タイヤの接地感や路面の感触までステアリングを握る手のひらに感じ取ることが出来る。
- シフトフィール
- MT,ATがあるが、ATはパワーロスが大きく応答も鈍いため適さない。ATやCVTのマニュアルモードは応答が遅いうえにタイムラグが大きく、使える物は一つもない。所詮はオマケ機能である。
MTのシフトフィールは、ゲートの入りやすさ、入れた時の感触、音、レバーを動かした際のゲートの滑らかさが問題になる。段数は5段がベスト。6段は操作は煩雑になり、構造が複雑なため入りが渋いものが多い。レバーやストロークには適度な長さがあって、短いほどいいという物ではない。短すぎると操作に余計な力が必要になり、入りも渋くなりやすい。
シフトフィールはクルマを操る喜びを得る上でとりわけ重要な要素である。どんなに立派なシフトも応答が遅かったり入りが渋いと楽しさは半減してしまう。
- クラッチフィール
- 踏力が問題で軽めがよい。やたら重たい強化クラッチは疲労に繋がる。強化クラッチはジャダーが出やすいこともマイナスポイントだ。
- ハンドブレーキフィール
- あえてこだわるなら引くときのラッチ音、解放時の音と剛性感に注目してほしい。シルビアやスカイラインなどの日産車は解放時に「キン!」という小気味よい金属音がしてなかなかよい。
- 3.心地よいエンジン音、排気音(エキゾーストノート)について
- エンジンフィールについては、回転数に対するトルクの出方の均一性(谷がないか)、高回転での音色や音量の変化が問題になる。ターボはその性質上、低回転のトルクが細くトルクの出方も不自然なため、NAがベストである。回転をあげるとエンジンが苦しそうな音色を出したり、うるさいほど音量が増大し不安を感じさせるものは適さない。
エンジンの方式や気筒数は無関係と言っていい。多気筒が必ずしもよいとは限らない。BMWのように4気筒でも文句なくいい物が存在する。
排気音は室外の音を良く聞かせるオープンカーにとって重要となる。この点、ロードスターはよく出来ている。
- 4.スポーツムードを演出するデザインとは
- エクステリア、インテリアの両方に関係し、中から見た外の景色や、ヒップポイント(座面の高さ)のほか、シートのホールド※といった機能的なデザインも関係する。これらがよく作られていると、シートに座るだけで乗る人の気分を高揚させる。スポーツカーのカラーに赤がよく使われるが、これも気持ちを高揚させる演出の一つである。
スポーツカーにはスポーツカーらしいボディデザインが望ましいが、エアロパーツやホイールを変えてドレスアップしたところで一般からの注目度は低く、自己満足に終わるのがオチだ。
※シートの重要性について
滑りやすいシートはそれだけで走る気力を萎えさせてしまう。シートはホールドがよく、疲れにくいことが重要である。コーナリング中の横Gを支えるには肩のホールドが重要になる。膝で支えるためのアクセサリもあるが、実際肩の方がずっと支えやすい。シートに座ったら、背中が左右に滑りやすくないか、肩をシートの左右に押しつけた状態で、ハンドル操作に支障がないかがチェックポイントだ。高級車には皮シートの設定もあるが、滑り止めのない皮シートは、スポーツカーのシートには適さない。
- 5.適度な動力性能(パワー、トルク) 必要以上のパワーはかえって害になる
- スポーツカーというと、真っ先に目がいくのは「何馬力」といったスペックだろう。スポーツカーにとってパワーは大切な要素だが、走りの気持ちよさと、馬力の大きさは必ずしも比例しない。高性能なクルマに乗ったことの無い人は、スポーツカーに「加速感」を期待し、これに憧れるケースが多い。しかし、過剰な加速感は多くの人にとって不快だ。例えば、R32 GT-Rは目の前がブラックアウトしそうになるほど強烈な加速をするが、吐き気がして楽しむどころでは無くなってしまう。
パワーについては「大は小を兼ねる」と考える人がいるかもしれない。しかし、パワーが大きいほど足が固められ、タイヤの扁平率も高くなる傾向にあり、乗り心地(快適性能)やステアリングフィールの悪化を招く※。この点から、必要以上のパワーは無駄なだけでなく、スポーツフィールの多くを失う原因になることを知っておいてほしい。
※大馬力のクルマには扁平率の高いタイヤが付いてくることが多いが、205/55よりサイズアップしたり扁平率をあげると路面のおうとつにハンドルを取られやすくなって不快である。
- 6.車重、慣性モーメントは小さいほどよい
- 車重と慣性モーメントは運動性能に決定づける要素であり、車重が軽く慣性モーメントが小さいことは、加減速のみならず、操作入力に対する応答の早さ、出足など、あらゆる面にプラスとなる。
インプレッサSTiのように装備を後付して100キロ重くなったケースがある。装備を増やすのは簡単だが、軽量化はそう簡単に出来ない。100キロの重さは、加速時に数百キロの重さに等しくなる。「軽い」ことは、いかなる装備、パーツよりも価値あることを知っておいてもらいたい。
スポーツカーに許される最大重量は、これまでの経験上、1.3トン前半が限界であって、車重が1.4トンを超えるといくらパワーがあってもいろんな操作に対する応答が鈍い。慣性の大きさを、パワーで補うことはできない。
- 7.適度なスタビリティ
- クルマのパワーに対して適度なスタビリティというものがある。パワーに対してタイヤのグリップが勝ち過ぎていると、つまらない、面白みのない結果になる。
ハイグリップを特徴とするスポーツタイヤは、必ずしも必要ではない。
駆動方式はFR,RRが望ましい。4WDは加速や悪路走行といったクルマの性能を高めることに有利だが、スタビリティが高すぎて面白みの無い結果になりやすい。
- 8.快適性能について
- エンドユーザーが楽しむスポーツカーでは「快適性」も必要な条件である。ロードノイズが大きい、突き上げが強くて乗り心地が厳しい、操作系が重くて疲れるようなクルマでは、「走りを楽しむ」ことが出来ない。
- 9.ライフスタイルの演出について
- スポーツカーは、「カッコいい」ライフスタイルを演出できる道具だ。これをうまく利用すると、見る人の「視線」「表情」によってうれしい気分になれる。これは上述したクルマ自身の特性はあまり関係なく、外部に与える印象だけで決まる。つまり、「見た目」「音」「値段」といったものだ。クルマだけでなく、オーナーの見た目も関係する。顔は変えることができないから、服装や身だしなみなど「センス」が重要になる。しかし大抵は「成金」「クルマおたく」「ヤンキー」のどれかになってしまいがちだ。
クルマをカッコよく乗りこなすためには、オーナーもセンスを磨く必要がある。クルマの方、色やホイールなどアクセサリの選び方にも「センス」が問われることは同じだ。
- 10.タイム(速さ)は重要でない
- 競技目的でクルマを求める人はごく一部だ。ところが世間では、「速い」だの「遅い」だの、「どこぞのタイムが何秒」とかいった議論が活発で、速さがスポーツカーの重要な指標と思いこんでいる人が多いようだ。速さに関する性能は、公道しか走らないユーザにとって本来どうでもよいことである。それに、速さを追求すると、5項でも述べたように乗り心地やステアリングフィールなど、「走りの楽しさ」を生み出す多くの要素が犠牲になる。
インプレッサSTi、ランエボなどは、どちらかといえば競技向けのクルマであり、「走りの楽しさ」を求めるエンドユーザが選択するクルマではない。
エンドユーザがスポーツカーに求めるのは、結局「気持ちの良い走り」ではないか。ところが、多くの人が「気持ちの良い走り=大パワー」と勘違いし、大馬力のクルマをフンパツして買って、普段はその性能を生かす機会もなく、厳しい乗り心地を我慢しながら乗っているケースが多いように思う。
上記の特性を頭に入れた上で、自分に合ったスポーツカーを探して欲しい。パワー、車重、スタビリティがバランスしているクルマは軽く感じられ、キビキビ思い通りに走れる。低速でも十分な体感加速度が得られ、ゴーストップの多い日常ユースでも運転の楽しみを存分に味わうことが可能だ。
R34純正タイヤの共鳴音〜インチダウンとメリット(2004/12/18)
私のクルマ(R34 GT-V)は4年が過ぎ、タイヤもそろそろ寿命が来たようだ。GT-Vのタイヤは純正でヨコハマA-041 225/45ZR17が付いている。まだ溝は残っているが、ゴムが硬化して表面にひび割れが多数みられるようになった。タイヤノイズは50km/h以下のときよく耳に付くが、このタイヤは、30〜40km/hのとき、不快な共鳴音が発生する。録音して周波数分析した結果がこちらである。

ヨコハマA-041 35km/hにおける室内騒音(WaveSpectraによる。0dB=94dB,NoWaitに相当)
118Hz付近にピークがあることがわかる。
走行ノイズはMDレコーダ(シャープのMD-DR7がよい)で録音してパソコンのLine入力端子から取り込むことで簡単にWAVデータに変換できる。マイクロフォンは小型のラベリアマイクを使用、襟元に付属のクリップで取り付けて録音した。
そこで、タイヤ交換を考える。GT-VはNAだが、足回りはターボと同じため、パワーに対して明らかに足回りが勝ちすぎている。そこで今回は、サイズダウン(扁平率のダウン)を検討する。サイズダウンするとタイヤの幅が減るので、足周りへの負担が減る、轍にハンドルが取られにくくなる、燃費が改善される、乗り心地がよくなる、タイヤの価格が安くなるなど、多くのメリットがある。ステアリングインフォメーションやハンドルに対する応答性については悪くなる方向にあるが、そもそも225/45なんてタイヤは公道では不要だし、すぐに慣れてしまうだろう。
サイズダウンする場合は、タイヤの外径を同じにするのが鉄則である。225/45R17と等価なサイズは、205/50R17もしくは、205/55R16があり、後者はGT-Xの純正サイズに等しい。たとえ外径が同じであっても幅が純正より細くなるようなサイズダウンをすると危険だから注意して欲しい。
前者の場合は、適合リムサイズに気を付けないといけないが、純正17インチホイールのリムサイズ(7.5)に対し上限で適合するので、見た目に違和感が出るかもしれない。後者の場合はインチダウンになるのでホイールが新たに必要になる。この際16インチにした方がホイールが軽くなって体感的な動力性能がよくなるかもしれないが、カネもかかるので今回は前者で検討を進めた。
次にタイヤ選びだが、205/50R17はあまり流通していないため選択肢が少ない。無意味なスポーツタイヤを除くと、ミシュランのプライマシー、ヨコハマdBユーロ、ブリジストンB500Si、ピレリP7※1しかないようだ。今回は最も安いB500Si(約1.7万円/本)※2を購入して付けてみた。
実際の写真がこれである。タイヤに対してリムの幅が大きめのため、まるでヤンキーセダンのように台形になってしまった。そのせいで、見た目は純正の45以上に扁平に見える。

純正の225/45R17 から 205/50R17にサイズダウンしたところ。
交換前と同条件におけるノイズの測定結果がこちらである。

ブリジストンB500si 35km/hにおける室内騒音(WaveSpectraによる。0dB=94dB,NoWaitに相当)
問題となっていた118Hzの共鳴音が完全に消えていることがわかる。もっと細かい分析も可能だが、アナライザの能力的な限界により、今回は無理である。
轍に対する反応が穏やかになり、ハンドルも少し軽くなったようだ。燃費の向上も期待できるが、数字に出るほど効果が現れるかどうか、今後の楽しみである。
なお、ショップによってはタイヤ交換の後、つや出しのために水で乳化させたシリコンオイルを塗られてしまうことがある。これはゴムを劣化させる原因になるので、塗布を最初から辞退するか、塗布されてしまった場合は水で洗うのを忘れないで欲しい。
タイヤ交換とインプレッション(2005/1/23)
轍(ちょっとした路面のおうとつ)にハンドルをとられなくなったのでステアリングフィールがとても良くなった。上記のスペクトラム分析でもわかるように気になるロードノイズもなく、とても快適である。
公道を走るスポーツカーは、タイムを競うものではない。スポーツカーのフィールを楽しむものである。それに公道は道が平坦ではない。タイヤの幅や扁平率が高いと、見た目はいいかもしれないが、ちょっとしたおうとつにハンドルをとられたり、突き上げがキツかったりして、不快な思いをすることがある。特にハンドルをとられることは、ステアリングインフォメーションや応答を問題にする以前に、フィールそのものを台無しにしていたことが、よくわかった。そんな意味からも、今回205/50R17に思い切ってサイズダウンしたことは、正解であった。また、このサイズは、スポーツフィールを犠牲にしない最大に近いサイズであることも、わかった。
GT-Vは17インチが標準でついてくるが、ホイールの慣性モーメントが大きいせいか、加速がちょっと重鈍に感じる。R34NAの場合、ベストは結局、通常モデルに付く205/55R16ではないだろうか。NAに17インチは大きすぎる。16インチならば、もう少し加速が軽快になり、クルマの重さを感じることが少なくなるのではと予測する。
あと、R34はどのモデルもアンダーがきつく、フロントが重く感じる原因の一つになっている。これを解消するため、後輪だけグリップの低いベーシックタイヤにインチダウンするという手もある。これなら純正の足回りをいじらずに済むし、元に戻すことも容易だ。
※1 サイズ表にないが、カタログには載っているので記入漏れだろう。
※2 カー用品店でブリジストンのタイヤを買うとネットで見る値段よりかなり高い場合がある。これは、ブリジストンの卸業者がタイヤを安売りしないよう、小売店に圧力をかけていることが原因らしい。
スポーツカーにはハイグリップタイヤが適当か〜その2(2004/12/15)
前回の記事はこちら。
私はいままで、様々なタイヤを履いた経験があるが、タイヤは結局のところ、たとえスポーツカーに乗っていても、サーキットで走ることがないならベーシックグレードの安い物で十分である。その理由は次の通りだ。
- 扁平率やグリップの高いタイヤは、足回りへの負担が大きい。(クルマが早くヤレる)
- 公道では、スポーツタイヤの性能を発揮できない。
- スポーツタイヤは短命で、ベーシックタイヤとすぐに性能が逆転してしまう。
- グリップが高いタイヤほどロスが大きくて馬力を喰われる。
- プレミアムタイヤの寿命は、ベーシックタイヤと変わらない。
- プレミアムタイヤとベーシックタイヤとの、体感的な差は、とても小さい。
1について、扁平率やグリップが高いことは、足回りやボディにかかる反力も大きいことを意味する。タイヤは消耗品であるが、クルマはそうではない。クルマを長持ちさせようと思ったら、出来るだけグリップの弱いタイヤをセレクトするのが正解である。
2について、スポーツカーを買った人がスポーツタイヤを選ぶのは、
「スポーツカーは、スポーツタイヤを履かないと性能を発揮できない」
「スポーツカーにはスポーツタイヤを履かなければならない」
というように、単純に考えてしまう人が多いからだろう。しかし公道はタイムを競う場ではない。前のクルマの続いて走るのが普通である。
3について、タイヤのグリップは、経時変化が大きい。いくらグリップの高い商品を買っても、その性能が発揮される期間は短かく、すぐにベーシックタイヤと性能が逆転してしまう。ベーシックタイヤの初期グリップは高くないが、長期間安定するのがポイントだ。
4について、タイヤは、グリップが高いものほどころがり抵抗も大きく、駆動ロスが増え、馬力が食われることを意味する。スポーツタイヤとエコタイヤでは、ころがり抵抗係数が2割以上違う場合があり、これはエンジントルクの1割以上のロスに相当する※。
高いグリップが求められるのは、その必要があるケース、たとえばサーキットでタイムを競う場合である。
5について、ゴム自身の劣化による寿命は4〜5年であり、プレミアムタイヤが特別長持ちするわけではない。高価なタイヤを買って溝が残っていても、4〜5年で強制交換となる。劣化の原因は紫外線やオゾン、水分などである。
6について、私はレグノを履いたことがあるが、正直、ベーシックグレードの差は微妙だ。最初は良いと感じても慣れてしまえば一緒である。タイヤの性能は、空気圧に大きく左右されるから、この影響を差し引いてみないと、本当の差は見えてこない。
プレミアムタイヤのメリットについて、雨天時の高速走行の安定性を挙げる人がいるかもしれない。しかし、高速道路の雨天時は、スピードを控えて安全運転するのが普通だ。それに、自分に対してそんな状況が年に何回起こりうるか、考えてもらいたい。4WDについても、これと同じようなセールストークを聞いたことがある。4WDも、降雪地域以外のほとんどの人にとって、無駄といえる。
※車重1400kg、ころがり抵抗係数0.04、タイヤ径640mmと仮定すると、ころがり抵抗係数が2割違った場合の損失トルクは、0.2*0.04*1400*9.8*0.64/2=35Nmになる。
エコカーの行方その2−小型コンパクトの時代が来る(2004/1/11)
次世代エコカーは何が本命となるだろうか。これは自動車に関係する多くの人にとって関心事だろう。
バッテリだけで走るクルマを純粋EVと呼ぼう。これはずいぶん昔からあるが、普及しない原因の一つに、バッテリに使っている化学電池がある。電池は化学反応を利用しているため、充放電の繰り返しに弱い。そこで、クルマを廃車にするまでに何度か交換が必要になり、ランニングコストが高く付くのである。最近ではハイブリッド車の数が増えてきたが、バッテリに化学電池を使う限り、同様の問題を抱えていることに変わりない。
その問題を改善する本命が、燃料電池であった。しかし、期待だけで買われた株は暴落し、燃料電池バブルは完全崩壊している。日本人の多くは、自分の頭で考えず、他人の行動に倣う習性がある。だから、皆がやり始めると、「バスに乗り遅れる」とばかりに焦って投資し、バブルの原因になっている。
燃料電池自動車については、現在、少なくとも半世紀は普及しないことが既に確定している。これまで燃料電池に投資した人たちは、これに気が付いてきて、携帯電話やパソコンなど、小型電子機器にターゲットをシフトし、少しでも回収しようと躍起になっているようだ。しかし、パソコンや携帯電話のレベルでは、現状の電池で十分、用を足りている。
EV用のバッテリとして、キャパシタはどうだろうか。これは化学電池と違って寿命が長く、廃車まで交換の必要がない。最近では蓄積エネルギーが鉛電池に匹敵するものも出てきたが、このようなキャパシタはその分他の要素が犠牲になっているのが常だ。それに、キャパシタは電圧が低すぎる。電圧を上げようとすると、コストと重量が2乗に比例して増えてしまうのである。近い将来、24V以下の鉛バッテリに取って代わることは十分考えられるが、自動車用となると、まったく不明である。
以上に述べた技術問題は、時間がたてばいずれ解決すると思うかも知れない。価格だけの問題なら確かにそうだが、技術革新が伴うとそう簡単ではない。
そこで目を向られるのが、天然ガス(LPG,CNG)やメタノール、DMEなどだが、発熱量、腐食性、貯蔵性、安全性などに問題があるものを除くと、LPGしか残らない。この従来からある何の変哲もない燃料が、消去法で行くと唯一残るのである。そして、将来の本命となりうる可能性が最も大きいとして、こちらに述べた。
今回は、将来、どのようなタイプのエコカーが主流となるか、占ってみよう。
- SUV
- アウトドア、ワイルドと言ったライフスタイルを表現できるクルマであり、パジェロの登場をきっかけに大流行したが、大きくて重いこれらのクルマは、環境問題から次第に逆風にさらされる。
- ステーションワゴン
- レガシィが火付け役でブームとなったこの種のクルマは、その存在意義が見直され、本来の営業車用途に逆戻りするだろう。
- セダン
- IIに代表されるような、より大きく、より豪華に見えるクルマを求めるユーザーは少数となり、このようなコンセプトで作られた車は、ほとんど売れなくなるだろう。
- ハイブリッド
- 「燃料電池が将来の本命、ハイブリッドがそれまでのつなぎで普及する」というシナリオが間違いだったことが判明。ランニングコスト(電池交換費用)がネックとなって需要が伸びず、今後も横ばいで推移する。ハイブリッド用の電装品や、要素部品の開発に大きな先行投資をする企業が目立つが、思ったほど売り上げが伸びず低迷。「○社に続け」と踊った会社は、すべて損失を被るだろう。
- ミニバン
- 不必要に大きいクルマを引きずり、高い燃料代を払って維持することに嫌気がさしたユーザーの買い換えが進んで、本来の需要に落ち着く。世間の環境意識が高まるにつれ、このようなクルマに乗っていることが、恥ずかしく思う人が増えるだろう。
- コンパクト・軽
- ミニバンやSUVなど、大きく重たいクルマを引きずってきたユーザーが次に気にするのが、小型軽量で燃費の良いクルマである。現在、このカテゴリに魅力的なクルマがない。というのも小型車は従来、「お金のない人が妥協して乗るクルマ」と考えられてきたからだが、新時代のエコカーとして生まれ変わるだろう。環境意識の高まりと共に、よく考えて作られた、小さくて燃費のよいクルマを求める人が増えるだろう。
というわけで次世代、エコカーの主流は、軽油(ディーゼル)またはLPGで走るコンパクト車、軽自動車であると予想する。小型&低燃費がクルマ選びの必須条件となり、新しいミニのような、小型でセンスの良いクルマや、小型の高級車といった、これまでにない新しいジャンルのクルマも生まれてくるかもしれない。
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