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建設業等の場合、労働保険料の計算に関する考え方の基本は同じですが、特例があります。
二元適用事業のうち林業等については、ここでは説明を省略させていただきます。
建設業は、一つの工事を行うに際し数次の請負関係(元請、下請、孫請等)にあるなどの理由から、労災保険分と雇用保険分の労働保険料を一元的に(一緒に合わせてという意味です)徴収するというルールにはなじみません。
ですから、労災保険分の労働保険料と雇用保険分の労働保険料は別々に計算し、納付します。
なお、労災保険分の保険料は元請負人が負担します。
労災保険分の保険料の計算ルールは前記と同様、
一つの事業について支払われた賃金×労災保険率で計算されます。
数次の請負関係にある場合、労災保険分の労働保険料は元請負人が負担します。
しかし、ここで問題なのは、建設業の場合、数次の請負関係にある場合が多く、
一つの工事、仮にXビル新築工事を請け負った株式会社A建設は、その工事に関与した
下請業者・有限会社Bの甲さんの賃金について、当該工事分の賃金について把握の上保険料を計算しなければなりません。
甲さんだけならいいのですが、関与する労働者が乙、丙、丁……等多数であったり、
さらに孫請けまで存在すれば実務的にその工事の完成に要した賃金を正確に
把握集計するのは困難です。
そこで、法律が認めた特例として、賃金を把握するのが困難な場合は、
請負金額に業種ごとに定められた「労務費率」を乗じて得た額を支払賃金とみなしてよい
というルールがあります。
この方法によって計算してよいわけです。
年度更新の対象となる工事は、請負金額1億9千万円未満かつ概算保険料が
100万円未満の工事であって、その年度中に終了したものです。
これらの工事については一括して保険料を計算の上申告していいわけです(例外もあります)。
説明ばかりではわかりにくいので、具体例で考えてみましょう。
【具体例】
株式会社伏見建設は、平成20年度中に次の元請工事を完成しました。下請、孫請会社が混在し、支払賃金を把握するのが困難なため、労務費率により支払賃金を算定します。
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工事番号
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工事名
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工事の場所
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期間
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請負金額(円)
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1
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国道○○号線改修工事
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山梨県○○市
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20.4.1〜20.9.30
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150,000,000
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2
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町道拡幅工事
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山梨県○○町
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20.7.1〜20.11.30
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180,000,000
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3
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○○邸新築工事
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長野県○○市
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20.7.1〜20.9.20
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40,000,000
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4
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○○邸新築工事
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静岡県○○市
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20.10.1〜20.12.20
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40,000,000
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5
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○○邸給水設備改修工事
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神奈川県○○市
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21.1.20〜21.1.25
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800,000
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6
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○○広場舗装工事
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埼玉県○○市
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21.2.1〜21.2.28
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2,000,000
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@完成した元請工事を「事業の種類」ごとに集約する。
「労務費率」は事業の種類ごとに異なります。
支払賃金を算出する場合、事業の種類ごとに元請工事を集約します。
今回は、
「道路新設事業」に工事番号2(総請負金額180,000,000円)
「舗装工事業」に工事番号6(総請負金額2,000,000円)
「建築事業」に工事番号3、4(総請負金額80,000,000円)
「既設建築物設備工事業」に工事番号5(総請負金額800,000円)
「その他の建設事業」に工事番号1(総請負金額150,000,000円)
が該当しました。
A賃金総額を算出する
@で分類の上集約した請負金額に、業種ごとに定められている労務費率を乗じて
賃金総額を算出します。算出された金額のうち千円未満の端数は切り捨てます。
B賃金総額に保険料率を乗じ、保険料を算出する
Aで算出された賃金総額に、事業の種類ごとに定められている保険料率を乗じ
保険料を算出します。
事業の種類ごとに算出された保険料の総計が、株式会社伏見建設の
平成20年度確定保険料です。
A,Bの流れを表にすると次のとおりです。
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事業の種類
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請負金額
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労務費率(%)
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賃金総額(千円)
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保険料率
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保険料額
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道路新設事業
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180,000,000
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21
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37,800
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21
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793,800
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舗装工事業
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2,000,000
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20
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400
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14
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5,600
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建築事業
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80,000,000
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21
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16,800
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15
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252,000
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既設建築物設備工事業
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800,000
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21
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168
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14
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2,352
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その他の建設事業
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150,000,000
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24
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36,000
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21
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756,000
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計
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412,800,000
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91,168
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1,809,752
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株式会社伏見建設の平成20年度確定保険料は、1,809,752円です。
平成20年度中に完成した工事のうち、平成19年4月1日以降に着工した工事については
拠出金が課せられます。
平成19年3月31日以前に着工した工事については拠出金は課せられません。
株式会社伏見建設の場合、すべて平成19年4月1日以降に着工した工事ですので、
拠出金が課せられます。
拠出金額は、
拠出金 = 91,168(千円)×0.05/1000=4,558円
です。
C前年度の精算、当年度の概算保険料を算出する
ここからは、一般の事業と同じ流れになりますので、異なる2点について説明します。
【概算保険料の計算】
新年度の概算保険料の算出に当たっては、「賃金総額」に主たる「事業の種類」の
保険料率を乗じて算出します。
労働保険料は年度終了後に精算することから、主たる事業の判断については、
実務上、事業主の裁量が認められます。
ここでは、平成20年度元請負工事の実績が2件だったことから、
主たる事業を「建築事業」とします。
平成21年度概算保険料は
91,168(千円)×13/1,000=1,185,184(円)
です。
ここでも、建築事業の労災保険率が平成21年4月1日に15/1000から13/1000に
改定されたので、新料率で概算保険料を算出しました。
【概算保険料の分割納付について】
一般の事業の場合は、概算保険料が40万円以上の場合に3回分割できました。
建設業、林業等二元適用事業の場合は20万円以上の場合分割できます。
労災保険分、雇用保険分を別々に申告納付するので、それぞれ20万円以上なら
分割納付できます。
以下は、一般の事業と同じように処理してください。
一般拠出金については、平成19年4月1日以降に開始した事業(工事)が対象です。
平成20年度中完成工事に平成19年4月1日以降着工工事と
平成19年3月31日以前着工工事が混在する場合は注意が必要です。
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