私の16番模型


 私が16番に手を染めたのは、昭和24年夏、中学3年の時である。
当時福岡の私立中学に在校していて、修学旅行は関西であった。
奈良、大阪、京都を回ったが、京都駅前旅館に滞在中の自由時間に友人と 二人で三条のユニバーサル模型に行き、カワイモデルのB型凸電のキットを買った が、友人は0番のED51を買った。
 この模型店は今でもあるようだが、昭和24年にあったのだから少なくとも50年以上 前からある店だ。
 その後、東京に出て高校に入り、ペーパーで自由形木造ダブルルーフの電車、西鉄100型、友人から もらった自由形Bタンクロコ、ト20000無蓋貨車などを作ったが、その後興味が飛行機に移り、 体を壊して長崎で闘病中、持っていた模型を鉄道模型をやっていた中学の先生Y氏に譲り、 鉄道模型を止めてしまった。
 しかしY氏から折角だから何か記念に残して置いた方がいいのではという勧めに従い、自由形木造 電車だけを残し、現在その1両がかろうじて手元に残っている。

 頭書に書いたように再び鉄道模型に手を染めようと思ったのは1987年頃であったが そのときの計画として作る車両は昔親しんだ熊本電鉄にしたいという思いがあった。
もともとJRや大手私鉄の長大編成ものなど手掛ける気はなかったので、ローカル私鉄の単行 または2両編成程度で運行しているこの電鉄をテーマにするのは好都合でもあった。  まず手掛けたのがEB1であったが、その時点ではは正確な図面はおろか形式図さえない 状態で、無謀にも記憶を頼りに1/80と思われる図面を引いて真鍮板にケガき、エッチング して何とか形にしたものである。
そのようにして再出発した鉄道模型であるが、16番の方はぽつぽつと作ってはいるものの 主力が5インチの方に移ったせいもあり、車両数は10両に満たない程度にとどまっている。




  EB1


 5インチ模型で最初に手掛けたのは熊本電鉄のEB3であったが、この模型のベースと なったのがモデル8で出したHOキットである。
ただし5インチの項でも述べたようにこれは熊本電鉄ものとはかなり違っていると思われた。
 それでもパンタをポールに変えたりホーンや砂箱を付けたりなど改造して少しでも電鉄の 電機に近づけるよう工夫して見た。

モデル8の日立13t凸型電機キットをベースに電鉄スタイルに仕上げたもの。
しかし凸部形状が明らかに違う。 製作は今より10年以上前で5インチの車両より先に出来ていた。

 模型雑誌も最近は殆ど買うのをやめていたがたまたま2005年暮に書店でTMSを見をめくっていると モデル8から熊本電鉄EB1が発売されることを知った。 5インチ車両の製作が忙しく、当分16番に手を出す気はなかったのだが、5インチで作ったこともあり この車両だけは何としても欲しく、東京の模型店を探し回り、目黒の老舗にあったので早速手に入れてた。
 16番車両の製作から遠ざかっていたため箱を開けてみた途端、そのパーツの小ささにいまさらながら仰天した。
取り敢えず割合簡単そうなモータボックスから手掛けたが、まず部品を紛失しないように気を遣うことが 一番であった。それでもワームスクリュー1個を飛ばしてしまい、他のモータのもので間に合わせたが、 後になって部屋のとんでもないところから発見されたという一幕もあった。
部品を無くさないコツは、半田付けする前に部品を荷造り用紙テープを小さく切ったもので抑えてから 作業することであった。
ゴマ粒ほどのハンドレールナブもこのやり方で何とか無くさず 半田付けが出来た次第である。


モータボックスのパーツをエッチング板から切り離したところ。


組み上がったボックス


キャブと機械室がやっと出来た。


ホワイトメタル部品も接着剤で着けほぼ完成。半田の付け過ぎでかなり醜いが、塗装すれば目立たなくなると思う。
出来は60点くらいと思うが、今の自分の実力はこの程度だろう。 前に作った13t機の方がはるかに出来がいい。
歳を取り、それだけ細かな作業が出来なくなったと思う。



 もうこのEB1の実車が稼動していた時代から50年以上が経過し、実物を見た人も少なくなってきたと思われるが、 中学時代の一時期、毎日のように見ていた記憶は未だに鮮明である。
 通常このような小型凸型電機のコントローラーは1個だけ側窓向に取付けられ、運転士は横を向いて運転するタイプが 多く、入替の場合、前進後進が頻繁に変わるので、この方が運転士は席を移動する必要がなく好都合であるし、 コントローラは1個で済むので経済的でもある。
しかしこのEB1は狭いキャブ内に直接制御の大きなコントローラが2基でんと据えられていた。
 このキットではポールフックが屋根の両端に付くようになっているが、実車には片側に1個のみであった。恐らく このモデルの設計者は実物を見たことがなく、乏しい写真のみで図面を引いただろうから細かい間違いは止むを得ない ことである。

{未完}


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