
「恥ずかしい話私は現在、セラピスト(療法師)整体師、ヒーラー(癒し)、レイキマスターとやたら肩書きついてしまいましたが、首のヘルニア、腰のヘルニアを治すために取得した資格の数々です。」
それとなくネットを眺めていたら、上のような文章が目に留まりました。ここで「資格」と呼ばれているものは、実は「国家資格」ではなく、民間資格といわれるものです。このような癒し系、医療系の「民間資格」はたくさんあり過ぎて、その正確な数さえつかめません。これらは資格といっても、経営法を中心としたごく短期間の研修だけで与えられているものがほとんどです。
リフレクソロジー、カイロプラクティック、アロマセラピー、トリートメント、リラクゼーション、ヒーリングなど、急にカタカナのお店が街の中に増えてきましたが、これらもやはり民間資格、つまり無資格のマッサージサロンなどです。法律上、治療の目的で開業を許されているのは、医師を除けば、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、灸師、柔道整復師、これら4つの国家資格だけです。
ここまで書いてくると、「えっ、うっそー、私が勤めているサロンは、政府が認めてるって聞いたよ」なんて声が聞こえてきそうです。あっ、ほら、やっぱり聞こえてきました (^_^) たぶんキミが勤めているお店の店長さんはそう言うでしょうね。
それはきっと「内閣府認証」のことを言っているのでしょう。それなら国家資格とは関係ありません。僕もあるカイロプラクティックのホームページで、この内閣府認証という言葉を初めて見たときは、いつの間に整体やカイロが国家資格になったのかと驚いてしまいました。試しにキミのお店が所属している団体のホームページを見るとわかります。どうでしょう、一番目立つところに誇らしげに「内閣府認証」と書いてありませんか。この団体に限ったことではありません。国家資格を持ってない人たちの団体はたいていこの内閣府認証という言葉を宣伝に利用しています。
ではこの内閣府認証というのは何でしょうか? 結論から言うと、別に何の意味もありません。つまり、お店が所属している団体がNPO(特定非営利活動法人)になっていて、その設立の際、内閣府の窓口に書類を提出したという、単にそれだけのことです。書類さえきちんと揃っていれば、特に立派なことをしている団体でなくてもNPOには認証されるのです。
実は、このように内閣府認証を国家資格と誤解させることを意図した表現など、内閣府認証を悪用する事例が増え、問題にもなっています。このような団体や業者に消費者が騙されないように、内閣府のNPO公式ホームページの中の「特定非営利活動法人一覧」のページには、
「(注)ここに表示されている団体に対して、内閣総理大臣がお墨付きを与えたわけではありません。」とわざわざ明記しています。
こうして設立された癒し系のNPOの団体が日本中にたくさんあって、それぞれの団体が整体師とか○○療法師といった資格?を発行しているというわけです。こんな資格?をいくつ持っていたところで、素人(しろうと)であることに変わりはありません。
近ごろにわかに増えてきたさまざまな癒し系のお店は、名称こそトリートメント、リフレクソロジー、カイロプラクティックなどと耳新しく新鮮ですが、実際にしていることはマッサージまたはそれに類似したものがほとんどです。では、そのマッサージはだれがしても問題ないのでしょうか。いえ、もちろんそんなことはありません。鍼灸(はりきゅう)を無資格で行う人はさすがに殆どいませんが、マッサージとなると軽く考えられる傾向があるようです。
少々堅い話になりますが、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の第一条に、「医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。」と定められています。
それで、この頃の無資格の業者さんたちは、摘発を警戒してか、マッサージの代わりにボディケア、トリートメント、リラクゼーション、リフレクソロジーなどという言葉を使うようになりました。でも、どんなに名称を変えたところで違法なことには変わりはありません。
「私は別に国家資格を持っていなくてもよいのではと思う。有資格者の中には、「国家資格をもっていない店なんか危ない」と声を大にして言う人がいるが、国家資格を持っていれば危なくないのかということである。」
これはあるブログに書いてあった文章です。おそらく無資格の多くの業者さんたちは同じ意見なのではないでしょうか。でも、よく読んでみると、おかしな言い分ですね。どこがおかしいかをわかりやすくするために、「国家資格」の部分を「運転免許」に置き換えて読んでみることにします。
「私は別に運転免許を持っていなくてもよいのではと思う。運転免許を持ってる人の中には、「無免許運転なんか危ない」と声を大にして言う人がいるが、運転免許を持っていれば危なくないのかということである。」
どうでしょうか。本当は次のように考えるべきですよね。「免許(国家資格)を持っていても運転(治療)には危険が伴う。ましてや無免許で運転(治療)するなど危険極まりない行為なので、必ず免許(国家資格)を取るべきである。」
語るに落ちるというか、実は彼はここで、「無資格による治療行為が危険というが、危ないことにおいては有資格者でも同じではないか。」と言って、治療行為に危険が伴うことを自身で認めてしまっています。そうなんです。彼の言うとおり、国家資格を持っている人でも事故はあり得るのです。だったらなおさら、無免許による治療は危ないということになります。私は声を大にして無免許マッサージや整体・カイロは危険だからやめましょうと申し上げます。時々ニュースにもなるように、どんな大病院の名医であろうと、事故を起こす可能性はあります。しかし、もし国家資格のない者が医療行為によって患者さんにケガを負わせた場合、これは事故ではなく犯罪になってしまいます。患者さんと自分自身の安全のためにも、マッサージサロンなどで働いている方は、ぜひ国家資格を取って欲しいと思います。
「えーっ、でも、私たちがしてるのは治療じゃなくて癒しだからぁー・・・」 これは、無資格のお店で働いているある女性が資格の有無を患者さんに問われたときの返答です。この頃よく使われる『癒し』という言葉は、おもに精神面を指しているのでしょうか? 仮にそうだとしてもマッサージサロンのようなお店では、患者さんの体にまったく触れないということはないでしょう。ごく軽くさする程度でも、安易に他人の体に触れることは避けるべきです。確かに、軽く触れる程度ではケガをさせることはありません。でも、白衣でも着て患者さんから先生と呼ばれているうちに、徐々にその気になって、大胆になってしまうことはないでしょうか。それに、患者さんから強く体を押すように求められれば、商売上応じざるを得ないでしょう。
それと、患者さんの立場から考えることも大事だと思います。私は患者さんを治療していて、少しでも気になるところがあれば、病院で検査を受けるように勧めています。また、患者さんのほうでも、治療家に自分の体の悪い箇所を見つけてもらえることを期待しているものなのです。でも、資格も持っていない素人では、当然その期待に応えることはできません。
免許については、前に引用した法律の第二条で次のように定められています。「(前略)三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣の認定した養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師試験、はり師試験又はきゆう師試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。(以下省略)」
このつたない文章をお読みの方の中にはマッサージサロンなどの関係者もおられることと思います。もしみなさんに対して失礼な表現がありましたらお許しください。ただ、国家資格を取得することの大切さはご理解いただけたかと思います。政府が正規に認可した鍼灸マッサージの専門学校等の情報が、 鍼灸専門学校(国家資格)の選び方 鍼灸師が教えますに掲載されています。よく街中で、「○○整体・カイロプラクティック学院」などの看板を見かけますが、こういうところでいくら学んでも国家試験の受験資格は得られませんのでご注意ください。事故などによって患者さんに取り返しのつかない苦痛を与えないためにも、ぜひ国家資格を取って、きちんとした知識と技術を身につけてくださるようお願いいたします。
※ご来院の際は、予め電話予約をお願いいたします。
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■水戸鍼灸院 院長 葛野隆紹
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(マタイの福音書 5:4)
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