わたしの好きなオルガン音楽だ。
私の好きなオルガン音楽を紹介していこうと思います
その2:深き苦しみの淵より、我汝を呼ぶ・BWV687:教理問答コラール集・クラヴィーア練習曲集第三巻より/J.S.バッハ作曲
Aus tiefer Not schreu' ich zu dir BWV687 : Choralberatbeitung aus dem dritten Teil der "Clavierubung" / J.S.Bach (comp)
この曲はバッハがライプツィヒのトーマス教会で専属作曲家を務めていた時に編纂した曲集「クラヴィーア練習曲集第三巻」に含まれる曲です。曲集のタイトルページには「教理問答歌、およびその他の歌にもとづくオルガンのための種々の前奏曲から成る。オルガン演奏に熟達した人の心を慰めるために作曲されたものである」と記されています。
教理問答とは、キリスト教の教えを信徒に理解してもらうためにまとめられた問答集です。例えばカトリックの教理問答は「キリスト教とは何ですか:(答え省略)」や「諸聖人のなかで最も優れている方はどなたですか(答えは聖母マリア)」という問答が書籍にまとめられています。では教理問答歌とは?。それは十戒、使徒信条、主の祈り、洗礼、悔悛、そして聖餐に関わる歌を指します。一般にはルター派の「教理問答集」のテーマにそった曲が有名で、歌をモチーフにしたオルガンコラールが編まれています。
さて、教理問答コラール集には二つの「深き苦しみの淵より、我汝を呼ぶ」が収められています。BWV686とBWV687がそれにあたりますが、BWV686のほうは悲痛な叫びが描かれたような曲、BWV687は少し落ち着いて精神の内部を自ら洞察していくような曲だと思います。
本当に辛いことがあってドーンと落ち込みたい時にはBWV686、普通にオルガン音楽の深さを愉しみたい時にはBWV687かなぁと勝手に思っていたりするのですが、伝統的な手法かつ非常に複雑な対位法が使用されたBWV687は、オルガン演奏に熟達した人の手によって幾重にも表情を変えていく興味深さのある曲かもしれません。
[おすすめCD] バッハ・オルガン作品集 :BMGファンハウス P2005 (1991年に発売、2005年に再発売。BVCD-38111)
演奏はグスタフ・レオンハルト(オルガン)、オランダ・アルクマールの聖ローレンス教会にて、ハーヘルベール=シュニットガー制作のオルガンを使用。
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