「剣道の打つべき機会」
剣道の初,二段の昇段試験学科に
「剣道の打つべき機会について5つ以上書きなさい。」
と言う問題があります。
剣道でお相手を攻撃するには、打つべき機会があり、いつでも、
何も無いのにお相手を攻撃しても当たらず、それは無駄であり
苦しいだけで何もなりません。
打つべき機会を知り、その機会をシッカリ捕らえ打たなければ、
当たらず一本にならず勝つ事は出来ないのです。
ではどんな時が打つべき機会であり、打たなければ成らないのでしょうか?。
              
打つべき機会
1 お相手の出頭しらを打て。
2 お相手の技が尽きたところを打て。
3 受け止めたところの裏を打て。
4 居着いた所を打て。
5 虚を打て。
6 疑惑の心の生じた所を打て。
7 四戒(驚、懼、疑、惑)の心の生じた所を打て

8 お相手が息を深く吸ったところを打て。
9 長い気合の声を発した所を打て。
* 四戒とは、驚き、恐れ、疑い、迷い、を言う。
以上が打つべき機会と言われています。
この事を少し分かりやすく解説致しますと、
1 お相手が攻撃の為、技を起こして来る、打って来る、その一瞬の先
  にお相手を打つ事です。
  お相手が攻撃の為、打って出ようとすると必ず、剣先が上下、左右
  又、身体の部分が動きます、その動きの一瞬を捕らえて打つ。そ
  の一瞬を捕らえる為には、常に気合いを充分(十分)に入れ一足一刀
  の間合いに詰め、いつでも打ち込む事が出来る心と身体の構え、
  体制が出来ていなければ成らないのです。
2 お相手が打って出て、その技が尽きたところ打つ。
  剣道は攻撃をしている時は、呼吸は止まっているか、あるいは息 
  を吐いている時である。
  鋭い気合いで呼吸を停止し打ち間からお相手を攻撃すると、
  一本、二本・・・と攻撃していると、吸い込んだ息が苦しくなり動きが鈍
  くなる呼吸をする為に攻撃を中止せざる終えない、その時技が止ま
  る、その技が止まった時が打つべき機会です。
3 攻撃を受け止めた所の裏。
  面を攻撃され受け止めたその裏、小手か胴 。
  小手を攻撃されたのを受け止めた、その裏、面。
  胴を攻撃され受け止めた、その裏、面。であり一瞬に継続して裏を
  打つことが必要です。
4 (2)の技の尽きた所を打て、によく似ていますが、呼吸はまだ尽きて
  いないがお相手の攻撃をよくしのぎ耐えると、お相手が攻撃する所が
  無くなり、攻撃を中止する。その技の止まった所をすぐさま反対に攻撃
  します。
5 虚とは、お相手の気力が充実していなく、攻撃して来ても気が抜け途
  切れ,途切れの技しか出て来ない、その途切れ途切れの弱った所を
  打ちます。
6 面を打っていけば胴を抜かれるのでは無いだろうか?出小手を打た
  れるのでは無いだろうか?等、お相手の心や態度に疑い、迷い、
  弱気な心の生じた所を見透かして打ちます。
7、8 お相手が大きく呼吸したり、長い気合を掛けた所を打ちます。
  攻撃をする時は、呼吸は停止しているか、吐き出している時であり息
  を吸い込んでいる時は身体は停止して動けません。だから、呼吸は
  常に正常であり、お相手悟られ無いようにしなくてはいけません。
9 その他補足
  以上のようなところが、剣道の打つべき機会でありますがこの打つ
  べき機会は、点状で現れるのでは無く、線上で現れてきます。
  この線上で現れる打つべき機会を一瞬のうちに捕らえ打つのです常
  に一足一刀の間合いにお相手を攻めお相手にその打つべき機会を
  作らせ、線上に出来た打つべき機会を間髪入れずに打つかでありま
  す。又、反対に自分自身がこの様な事をすれば、お相手から打たれ
  るので、自分自身はお相手の打つべき機会を見つけ打ちますが、お
  相手には打つべき機会を与えては成らない事を充分に気を付けなけ
  ればいけません。やはりこれは、毎日の訓練(稽古)によって頭と
  身体に憶え込ませることが必要です。 
   
   平成11年6月1日号 白剣 剣報より
        文 一岡 正紀            
白剣 剣報

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