2009年8月   3泊 飛鳥Ⅱ 横浜→熊野→浜島→横浜

 

1 花火クルーズはお得
 
夏になると、あちこちで花火大会が開催されます。
しかし、有名な花火大会になると、会場は数万人の人出で大混雑。

行きの電車は満員、シートで場所取り、トイレに並び、ビールを買いに並び、迷子になり。
花火の楽しみよりも疲労感の方が強くなります。

しかも、終わったあとの交通機関はさらに大混雑。
押し合いへし合い、何とか電車に乗り込んだら、シャツの背中にはタコ焼きのソースがべったり。

「あああ~ 疲れたぁぁ~。 早く家に帰って寝たい!」

と、思ったことはありませんか?


そんな方にお勧めなのが、客船の「花火クルーズ」

確かに花火大会の時は、屋形船やクルーザーで花火を見るツアーもあります。
屋形船は結構豪華な料理も出ます。

ブルーシートに座っての見学に比べたら、かなりお殿様ですが、そのお殿様も時間は2時間程度。
花火が終わったあとは船を降ろされ、庶民に戻って駅まで歩くことになります。



それに比べ、客船の花火クルーズでは、デッキの上から文字どおり高みの見物。
終わったら、そのまま自室に帰るもよし、バーで飲むもよし。

翌朝目が覚めれば、部屋ごと次の目的地に到着。
客船クルーズの中でも、花火が絡むとお得に感じます。


前おきが長くなりましたが、今回は飛鳥Ⅱの「熊野大花火クルーズ」に出発です。

横浜大桟橋の 飛鳥Ⅱ 今回の予定航路


飛鳥Ⅱの出航は17時。
乗船は15時半からなので、出航までに船内の探検を行います。
3年ぶりの「飛鳥Ⅱ」なので、船内は結構忘れているものです。

スーツケース2個分の、荷物の整理も必要です。
「たかが3泊4日で、大型スーツケース2個?」なのですが、部屋ごと荷物ごと移動できるので、
軽くする必要もなく、何でもかんでも持ち込んでいます。

船室には今日の予定表が届けられているので、早速確認。
夕食は1回目と2回目があり、1回目は17:30 2回目は19:45から。
我家は事前に「2回目」を予約してあります。

今日のドレスコード(服装指定)は「インフォーマル」。
結婚式の2次会程度の服装ですね。
サンダル履きで乗船したので、夕食までには着替えが必要です。


今回の「熊野花火」には日本のクルーズ客船3隻が勢ぞろいします。

「飛鳥Ⅱ」と「ぱしふぃっくびいなす」は、同時刻に横浜を出航。
ほぼ同じコースで熊野沖に向かいます。

「にっぽん丸」は横浜を1時間遅れで出航しますが、全速力で我々を追い越して、
いったん四日市港に寄って乗客を乗せて、熊野で合流します。



17時。「飛鳥Ⅱ」が一足先に横浜の大桟橋を離れます。
どちらも17時出航との発表でしたので、どちらが先に出るか、なかなか興味深かったのですが、
どうやらこちらが先のようです。

「ぱしふぃっくびいなす」が続いて出航。
飛鳥Ⅱの後ろに続いて、ベイブリッジをくぐります。 なかなか豪華ですね。

ベイブリッジの外には、18時入港予定の「にっぽん丸」が待機しています。
「にっぽん丸」は18時入港で急いで乗客を下船させた後、19時にはカラ船で出航。

四日市まで回航しながら掃除を行うようで、ギリギリのスケジュールでしょう。
にっぽん丸船長は、我々2隻の出航を、イライラしながら待っていたのではないでしょうか。

「ぱしふぃっくびいなす」も横に並んで航行します。


甲板で、「ぱしびい」の撮影に夢中になっていましたが、今日はインフォーマルに着替えてのディナーです。
急いで展望風呂に入って、着替えなければなりません。

飛鳥Ⅱの展望風呂は12階の後方にあります。 我が家の船室は8階の後方。
エレベーターで直接上がれるので便利です。

船の長さは200m以上。
前の方の住民は、後ろのエレベーターまで、不動産広告だと徒歩3分ですね。

実はこのこの12階。 展望風呂以外の部分は、屋根の無い屋上部分になります。
これで皆さん迷います。
エレベーターは3箇所に有るのですが、最後方のエレベーターしか12階には行けません。

「すみません。 お風呂はどこですか?」
その屋上にいたら、お風呂道具を持ったご婦人に声をかけられました。

「お風呂が12階にある」と聞いて、屋上のテニスコートのあたりを、タオルを持ってウロウロする人を
この後も結構見かけることになります。
         

(生ハムと梨のハーモニー ・ ニース風サラダ ・ フィレ肉のステーキ ・  レモンメレンゲタルト)


飛鳥Ⅱのディナーは、前菜やメインを選択できます。
注文がかたよった時、足らなくなったり、残ったりしないんでしょうか。


食後に自室に戻ると、「おやっ?」
ベッドメーキングが出来てましたが、なぜか2つが、くっついたベッド。

「もしかして、新婚さんと間違われたか?」

若そうに見えたらくっつけるのか?
苗字が同じならくっつけるのか?

どんなお客の場合、ベッドをくっつけるのか、基準を聞いてみたいですね。
       

(昼は離れていたベッド 夜はくっつきました)

  

星が綺麗なようなので、11階最前方の甲板に出てみます。
船は15ノットで航行中ですが、風が後方から15ノット。相殺されて甲板はまったくの無風。
まるで止まっているようです。

静かな空には満天の星。

こんな夜中に甲板に出ているのは、よっぽどの物好きだなと自己満足していたら、
しばらくして我家の後から1組のご夫婦が甲板に出てきました。

「あれっ? Mさん」

7年前に にっぽん丸の済州島クルーズで一緒になったMさんでした。
以前のクルーズでも行動パターンが一緒で、しかもマニアックな場所でしばしば出会ってました。

800人も乗っているのに、今回も初日からマニアックな場所で一緒になるとは嬉しいです。


2.熊野沖まで終日航海
     

前夜は夜食まで食べて、遅くまで起きていたのですが、 貧乏性なので朝は早く起きてしまいます。

カーテンを開けると遠くにかすんだ陸地が見えます。
横浜を出て12時間以上。 そろそろ愛知県沖か?

室内のTVには現在位置が表示されるチャンネルがあります。スイッチ入れたら。

「あれ? まだこんなとこ?」

船はまだ伊豆半島を回ったばかり。今は静岡沖です。
夕方までに熊野沖に行けばいいので、急ぐ旅ではありません。
速力はノンビリの15ノットになっています。


朝食は5階のダイニングで和食を食べるか、11階のカフェで洋食バイキングを食べるか、
あるいは両方でも可能です。

早起きして甲板も散歩したのでお腹は減ってます。
和食をたいらげ、カフェのデッキに出て、海を眺めてコーヒータイム。

コーヒーだけと言いながら、バイキングなのでついつい食べて肥ります。

(ダイニングの和定食 ・ カフェの洋食バイキング)



このクルーズには フジテレビの「早く起きた朝は」取材で、松居直美、磯野貴理、森尾由美の
3人が乗っています。

出航のときから撮影が始まってますが、スタッフは一般乗客にえらく気を使っているようです。

街中のロケであれば、「止まって止まって」と通行人をさえぎり、横柄な態度で道を独占していますが、
今回は「飛鳥」側から注文が出たのでしょう、スタッフは遠慮がちに撮影しているのが分かります。

もちろんドレスコードも乗客と同じ。
普段はボロ服のベルトにガムテープを吊るした格好のADもインフォーマルの日は、ネクタイ姿です。
  

 
航海中は色んなイベントがありますが、その中でも我家が必ず参加するのは
「次の寄港地の観光案内」

2日目は熊野沖に停泊しますが、花火を見るだけで上陸はしません。
上陸するのは3日目の「浜島」になります。

「浜島?」 「何処?」 「なにがある?」

地図を見ても何も無いところ。
当然、飛鳥が着けるような桟橋も無いので、テンダーボート(救命艇)で上陸客を、港までピストン輸送します。

浜島到着は7時らしいですが、実際に上陸できるのは9時過ぎになります。
「浜島」とやらで何をすべきか。



観光案内の説明役は地元の若い女性が2人。
1人は海女さんの格好をしていますが、もう一人は普通の格好。

「本当は私も海女さんの格好をするはずだったんですが、船に乗る時忘れまして・・・」
と言ってましたが、本当は着るのがイヤだったのかな?

せっかくの観光案内でしたが、これといって収穫も無く
「さあどうする?」



「あたし、レンタカーで鳥羽に行きたい」 女房の提案です。

どうやら鳥羽には ミキモト真珠の博物館があるらしく、これがお目当て。
博物館の隣には真珠の直売所もありそうで、連れて行くと恐ろしいことになりそうです。

真珠は恐ろしいのですが、プランを却下して彼女が怒ると晴れ女の効力が無くなり、
肝心の花火の時に雨が振ることになるので、ここは黙って従います。

女房はこのプランにかなり乗り気で、レンタカーの予約をしようとしましたが、
なんと一番近いレンタカー屋まで、車で20分。

車を持って来てもらおうと考えましたが、レンタカー屋さんは、
「そんなサービスはしていません」と冷たい返事。 

「さあ、どうやってそこまで行く?」

観光案内のお姉さんに聞いたら、路線バスが出ている模様。これに乗るしかありません。
バスの発車時刻は9時25分。9時ごろにテンダーボートに乗って、間に合うのか?



まあ、上陸は明日3日目の話。まだ今日は2日目の昼。とりあえず昼飯です。

昼食も ダイニングの和食とカフェの洋食 どちらでも可能。
朝と同じく両方制覇も考えたのですが、今回は洋食だけに集中。

いつでもある「飛鳥カレー」をいただきます。ちなみに和食はザルソバだったそうです。
   

(ケーキバイキングで肥ります 飛鳥カレーは日替わりです)


    
15時。飛鳥Ⅱは、花火会場の熊野沖に錨を入れました。
あとは日が暮れて花火の打ち上げを待つだけです。

船上では、スタッフがデッキに椅子を並べています。
陸上だったら早速場所取りしなくてはいけませんが、あせる必要はありません。
何処からでも見られます。

椅子は船の左側に向けられています。
その方向が打ち上げ会場なんでしょう。



11階のカフェでハンバーガーを食べていたら、窓の外に白い大きな船が。
「ぱしふぃっくびいなす」です。

昨晩は遅くまで併走していましたが、朝起きたら見あたらず。
何処に行ってるのか水平線を探したのですが、見つけられませんでした。

白い船体はゆっくりと近づいて、ぐるっと回頭。
飛鳥Ⅱの隣にアンカーを入れたようです。

しばらくすると赤いファンネルの 「にっぽん丸」もやってきました。
我々の後に横浜を出航し、全速で追い越して四日市に立ち寄り、そこで乗客を乗せて熊野沖にやってきました。

頑張って走って来たんでしょう、最後に合流。
これで日本の主なクルーズ客船3隻のそろい踏みです。
  

(「にっぽん丸」 と 「ぱしふぃっくびいなす」) 


  
さて、気になるのは今晩のディナー。
花火大会は19:30からなので、食事が2回目の人は重なるのでは?

心配御無用。今日の夕食は17:30から好きな時間に食べることが出来ます。
5階のダイニングでも 11階のカフェでも内容は同じ。

どうせなら、花火大会の会場が見える、11階カフェの窓際を確保。
今晩のメニューは、早く食べられるようにコース料理で無く「お弁当」。

お弁当と言っても、我家が普段食べてる290円の弁当ではありません。
じっくり味わいながら食べましょう。



食べながら チラチラと会場の陸地を見ていたのですが・・・・

「なんか さっきと向きが違うぞ」

先ほどまで船の左にあった花火会場が、風向きが変わって船の向きが変ったため、
船首の錨の位置を基点に船の向きが変り、会場が後ろになってます。

「左向きに並べた沢山の椅子はどうするんだ?」
   

(和弁当の夕食 花火のようなスターフルーツと金平糖 )


   
夕食のデザートを食べながらも、船の向きが気になって仕方ありません。
既に椅子に座って、花火を待ってる乗客もいます。

座ってる人は向きに気がつかないのか、あさっての方向に体を向けて、花火を心待ちにしています。

「そっちじゃないよ」って 教えてあげたくなります。


花火をあしらった、デザートのココナツアイスを食べ終わり、我家もそろそろ花火観戦の位置を決めることに。
プールサイドで タダのビールとおつまみを配っていたので、とりあえずキープ。



 「風を考えて、ベストは後ろだな」

人が少なく、花火の方向を向いている後方に移動します。
11階のカフェの外には立派な椅子があるので、ここを本拠地に設定。

 「ほおーら ここがベストアングルだよ」

会場の方角を向いて、ビールを飲んで花火を待っていたのですが。

 「ん? 陸が動く?」

風が変ったのか、どうやら船が向きを変えているようです。
後ろにあった陸が、左側に回ります。

それにしてもタイミング良く、椅子の向きに合うなんて。
不思議だったのですが、船尾の海面を見て納得。

いつの間にか、タグボートが船尾をロープで引っ張っています。
風にあわせて、常に飛鳥の左舷が会場を向くように微調整。

 「さすがですね」

1人であわてて後ろに走った私がバカでした。


「ドドーーーーーンンン!」

さあ、いよいよ熊野大花火が始まりました。


(はじめは横を向いていたが 風が変わって後ろ向きに でもタグボートが引っ張って)

3.花火の始まり

  
正式には「熊野大花火大会」
「大」が付くだけあってさすがに素晴らしいです。

打ち上げは海上の台船から打ち上げ、小島からも打ち上げます。

この大会の名物は 「海上自爆!」 
すごい名前ですが、高速で走る船から海上に花火を投げ入れるそうで、駆逐艦の爆雷投下
みたいなものでしょうか。

メイン会場の海岸からは、花火の合間にかすかにアナウンスが聞こえます。
「提供は・・・・ 」と言っているのでしょうが、遠いので内容は解りません。

海上で打ち上げるので、海面に映って花火が倍になります。 お得ですね。

小島から斜めに打ち上げた花火は海面すれすれで花を咲かせます。
これまた低いので、海面に良く映ります。


打ち上げが一段落すると、いよいよ「海上自爆」です。
闇の中、海岸線に沿って小型船が高速で走っているのが見えます。

  「ドオーーーン!」 「ボオーーン!」

と連続で半円形の花火が海面に広がります。


クライマックスに近づいた頃、会場のアナウンスが カウントダウンを始めました。
海上のやぐらに置いた、大玉らしく、半径600mに爆風が広がるそうです。

「4」 「3」 「2」 「いちー!」 「・・・・・?」

何も起きません・・・・・

「導火線が長かったかのな?」と思った瞬間。


「弩おおおおおおおーーーーんんんん!」





海上に半円形の大爆発。
爆風で髪の毛が立つかと思うほどの迫力でした。



2時間にわたる花火大会も終わりました。

海岸の会場では観客が総立ちで拍手をしているのでしょう。
飛鳥Ⅱまで拍手の音が、地鳴りのように聞こえてきます。

飛鳥Ⅱの乗客も大拍手です。


その時でした。

「ぼおおおおーーーーーーーー!」

飛鳥Ⅱ ぱしふぃっくびいなす にっぽん丸が 順番に汽笛を鳴らしました。
浜の皆さんに感謝のご挨拶です。

汽笛で拍手とは、なかなか粋ですね。
 
腹に響いた炸裂音、網膜に焼きついた光の玉、そして風に乗ってやってきた火薬の匂い。
感動の花火は終わってしまいました。



が、しかし、ここからがクルーズ客船の醍醐味。

陸上の観客は、これから大渋滞の中を帰らなくてはなりません。
自宅に帰るまでに疲れてしまうと、花火の感激を忘れるかもしれません。

我家はこのまま、マリナーズクラブに飲みに行きます。
花火の感動は体に残ったままです。

マリナーズクラブは6階にあるバー。
数箇所あるバーの中で、一番落ち着いた感じのお店です。



それにしても、この花火大会、入場料は? 
「地元にお金を落とさないで、タダ見して良いのかな?」

屋台の焼きそばの売り上げに貢献する訳でもなく、お土産を買って帰る訳でもありません。
聞くところによると、浜辺の桟敷席は1マス(1坪)で1万円だそうです。

本気で心配したのですが、花火のプログラムを見て納得。
提供の欄に「郵船クルーズ」「商船三井」「日本クルーズ客船」がありました。

タダ見じゃ無かったんですね。安心しました。

飛鳥Ⅱはすでに錨を揚げて、熊野沖を後にします。
一番遠い高松に向かった「にっぽん丸」はダッシュで抜錨し、
次に遠い鳥羽にむかう「ぱしふぃっくびいなす」も続いて去ったそうです。


今日の夜食が気になりますが、夕方から飲みすぎました。
今晩はおとなしく寝ることにします。

4.浜島に上陸

   
今日は「浜島」に上陸です。

飛鳥Ⅱは大きすぎて港に入れません。 沖に止めて、テンダーボート(救命艇)で上陸となります。

「何時に上陸できるかな?」

飛鳥Ⅱには800人の乗客が乗っています。
ボートでの上陸は時間がかかるので、オプショナルツアーを申し込んだ人から、優先的に下りることになります。

先日調べたバスの時間は9:25発。
一般乗客の上陸は9時ごろなので、ギリギリ間に合うか?



飛鳥Ⅱは浜島沖に錨を入れて、ボートの用意を始めましたが、
我家はこれから朝食です。

カフェでバイキングなので、毎度毎度食べ過ぎますね。
帰ったらしばらく「茶漬け」です。


(今日の朝は洋食バイキング ・  テンダーがおろされます )



オプショナルツアーの下船客が一段落して、我家の下船の順番が来ましたが、時間は既に9時過ぎ。

港からバス停まで10分と聞いていましたが、それ以上あればアウトです。
テンダーボートは飛鳥Ⅱを離れ港に向かいます。  が・・・

「結構遠いし・・・遅いよ」

なかなか港は近づきません。見た目よりかなり沖なんでしょう。
やっとの事でたどり着いた港は、辺鄙な場所。
数隻の漁船と、昆布を干してる漁師さんがいるだけ。

飛鳥Ⅱに乗っていた観光案内のお姉さんが、
「何も無くて すみません」と言ってましたが、そのとおりです。



バスの発車まで 「あと5分しかないじゃん」

もらった地図を片手に急ぎます。
「最初の信号を右って・・・・信号無いじゃん」

田舎なので、「最初の信号」はかなり先です。



考えが甘かったようです。
バス停に着いたときは、バスは既に出た後。
次のバスまで・・・「1時間待ち?」

仕方が無いので、タバコ屋で聞いたタクシー会社に電話します。

「浜島のバス停まで1台・・・」
と交渉するのですが、どのタクシー会社も返答は同じ。

「今日は豪華客船が入港していて、みんな貸切で出払っています」
「・・・・・」



途方にくれる我々の前にバスが来ましたが、これは反対方向行き。
その後も電話をかけ続け、やっと見つけたタクシー会社がOKの返事。
迎えに来てくれるそうです。

これでなんとか、最寄の大きな街まで行けそうです。

タクシーで3,500円。
一番近い近鉄の「鵜方駅」に到着。

浜島の岸壁からは 飛鳥Ⅱが手配したシャトルバスが、志摩スペイン村に往復します。

この「鵜方駅」を通るので、途中で降ろしてと言ったのですが、残念ながら却下されました。
もう少し融通効かしてくれれば、ありがたいのですが。



さて、ここからはレンタカーで鳥羽を目指します。
鳥羽の港には 昨夜一緒だった「ぱしふぃっくびいなす」が錨を下ろしています。

そう言えば、我家がクルーズに夢中になったのは、8年前にこの「びいなす」で、
鳥羽に来たのが始まりでした。

鳥羽では観光案内所のお姉さんに聞いた、地元の寿司屋に行きます。
観光客は行かないような小さな店。

いかにも職人と言った雰囲気の大将が握ります。


(鳥羽沖の「ぱしふぃっくびいなす」 ・ 寿司は 牛肉のアブリ入り)

  

せっかくここまで来たからには 伊勢神宮に行かないとバチが当たりそうです。
が、もう時間がありません。

4時迄に港に行かないと、飛鳥Ⅱに帰れません。
そうなったら着替えもないまま、電車で帰ることになります。

ガンガン飛ばして鵜方の駅でレンタカーを返して、またまた3,500円も払って
タクシーで港に向かいます。

レンタカー代とタクシー代。
鳥羽の寿司は、いったい幾らになったんでしょうか。

浜の近所で遊んで、お昼は飛鳥に戻れば、昼食はタダだったんですが。
ちなみにこの日の昼食は「鰻重」だったそうで、ちょっと悔しいです。



さて、港に着いたのは最終のテンダーが出る20分前。
なんとか電車で帰らずにすみました。

飛鳥に戻ったら、カフェにパソコン持ち込んで写真の整理とハンバーガー。
ビールも頂きます。(これは別料金)

ふと隣のテーブルを見ると、「早く起きた朝は」の3人が。
松居直美、磯野貴理、森尾由美 ですね。

撮影ではなくプライベートのようで、今日の日替わりメニュー 「ザルうどん」を食べています。

「お昼はソーダ水だけだった」と言っているのが聞こえましたが、何処に撮影に行ったんでしょうか。


(テンダーで飛鳥Ⅱに帰ります ・  夕食前にビールとハンバーガー)


  
カフェでは、毎日出るハンバーガーの他に、日替わりメニューもあります。
この後ディナーが待っていますが、ついつい本日の日替わり「たこ焼き」も
食べてしまいます。

冷凍の「たこ焼き」ですが、きれいなお皿に盛り付けると
チャンとした料理になりますね。

パソコンで写真整理しながらビールを飲んでいたら、船内にアナウンスが流れました

「○○様、いらっしゃいましたら、係員に申し出てください・・・」
どうやら、まだ浜島から戻ってこない人がいるようです。

もう最後のテンダーボートも終わっています。
もしかしたら、今頃、浜島の岸壁で、干してある長い昆布を、大きく振っているかもしれません。



出航予定の5時。

いつの間にか、飛鳥Ⅱはゆっくりと動き出しました、船長からのアナウンスが流れます。

「全員が確認されましたので、本船は浜島を後にします」
さっきの○○さんは、船に戻っていたようです。

帰ったときは乗船カードを、機械にかざして読み込むのですが、読み込みのエラーだったのでしょうか。

○○さん、浜島の岸壁で 昆布を振らなくて良かったですね。

さあ、今日のディナーは?


(シーフードのパイ包み焼き  ・ イベリコ豚のロースト)


  
今日は洋食です。

メインは「イベリコ豚」 「手なが海老」 「リングイネ」から選べますが
やっぱりここは 「イベリコ豚」ですかね。

良く見ると、ヘルシー料理として、チキンや温野菜の文字も見えます。
チキンも捨てがたいのですが、ヘルシーでは満足できそうもありません。



最後の夜は夜食も楽しみます。
本日のメニューは 冷やしきつねうどん・シュウマイ・中華ちまき。

ケーキやフルーツもあります。

帰宅したらしばらくは経済ダイエットで、夕食は茶漬けになるので、
今日までは肥っても大丈夫。

食べ物も、思い出も、全て脂肪に変えて蓄えましょう。

5.横浜に帰港


   
最後の朝。
目が覚めると飛鳥Ⅱは三浦半島を回って、東京湾の入り口にさしかかります。

飛鳥Ⅱの入港は 朝9時。 他の客船と比べ、とにかく早いです。

ユックリしたいのですが、大きな荷物は7時までに廊下に出さなくてはなりません。
急いで荷造りをしますが、毎回女房に怒られます。

「ちょっとぉ 邪魔だから、手伝わないんだったら甲板でも行ってきなさい」

女房の有り難いお言葉に甘えて、甲板で最後の余韻を楽しみます。
浦賀水道に入った飛鳥Ⅱは、制限速力の12ノットに落とし航行します。

マストには黒い円筒形の物体が2つ。
これは全長200mの「巨大船」をあらわすもので、掲げる義務があります。

「私は巨大船です」の印ですが、いちいち掲げなくても、
船体の大きさ見れば、分かりそうなもんですが。

その他にも 3種類の信号旗 「第二代表」 「O」 「S」が揚がってます。
これはこの先 「私は横浜大桟橋に向かいます」の意味です。

これを見れば浦賀水道を出て、どっちに舵を切るか分かりますね。
   


(「第2代表」 「O」 「S」 ・  部屋のTVに航路が映し出されます)


   
ベイブリッジが見えてきましたが、カフェはまだ開いています。
9時に入港しても、自分が下船するまでは食べ放題。

下船は値段の高い部屋の順番に始まります。
スイートの乗客から下船し、10階、9階とアナウンスがあります。

8階の我家に順番が回ってくるのは最後の方。

夢のような生活も、ついにロスタイムに入りました。
あと数分でおしまいです