2005年10月  7泊 サファイアプリンセス ロスアンゼルス→メキシコ→ロスアンゼルス

第1章 意外に早かった再乗船

「1生に1度贅沢して、外国船のクルーズに行こう」
と言って乗った、6月のサファイア・プリンセスのアラスカクルーズ。
それからたった4ヶ月後。意外に早く2回目がやってきました。

と、言うのも旅行会社の営業の上手さ。
前回のクルーズから帰ると郵便受けには旅行会社からの分厚いパンフが。

「サファイアはアラスカのシーズンオフはどこ行くの?」
「メキシコらしいよ」
「メキシコ? いくらだって」
「チョット待って。えーと・・・ えっ? 13万?」
「13万? 7泊で?」

と言った会話がなされた我家は、スーツケースの鍵を開ける前に次のクルーズの検討に入りました。
正確には138,000円。
これは日本船の3泊分にしかなりません。
ロスまでの往復航空券と港までの送迎。それにサファイアの7泊が付いて138,000は格安です。

「しかし。どうせなら1生に1度、バルコニーつきの部屋に乗らないか」
と、再度「1生に1度」が登場。
今回は奮発して4万円アップのバルコニー付きになりました。


1日目 17時 ロスアンゼルス 出航
2日目 終日航海
3日目 終日航海
4日目 プエルト・バジャルタ 入港
5日目 マサトラン 入港
6日目 カボ・サンルーカス 入港
7日目 終日航海
8日目 7時 ロスアンゼルス 入港

出航の1時間前に乗船
ロスの港は警備が厳しく、ターミナル内は撮影禁止です。サファイアの雄姿を撮りたかったのですが残念。

4ヶ月前に充分探検した船内なので、記憶は新しく迷うことはありません。
まずは部屋に直行。12階の205号室。
船首から2番目の部屋。おまけにかなり上階にあるので波が高いと揺れそうです。

ダイニングは船の後方に集中しているため、食事のたびに長い廊下を歩く事になり、
「遠いな~」と何度も愚痴る日が続きます。




カードを差込みドアを開けます。
前回と同じ右舷のためブルーのカラーリングです。
ちなみに左舷はピンク系のカラーでした。

「おお~ バルコニーだ~」
初体験のバルコニー部屋。とにかくバルコニーに駆け寄ります。

「凄ーい! あたしこれからは絶対バルコニー付きが良い」
女房は大はしゃぎ。
「だけど、日本船では乗れねーぞ」
日本船だとバルコニーつきの部屋は限られ、最低でも1泊6万円。

人間、一度良い思いをすると忘れられなくなりそうで、チョット恐ろしいかも。
焼肉屋で、特上カルビを頼んだら、次回から普通のカルビでは満足出来なくなるようなものです。

7泊の航海中「4万円差の元を取ろう」と、長い時間この白い椅子でふんぞり返る事になります。



第2章 お楽しみは24時間食べ放題

今回は我家にとって初めての添乗員同行での団体旅行。

しかし団体旅行と言ってもそれは船に乗るまでの事。
乗ってしまえば個人の自由で動けます。

食事も最初の夜だけ総勢30人が集まりますが、後は自由。
他のダイニングに行きたい人は自分で予約を取ればOK。時間は5:30から10:00まで。
予約が無くても少し待てば入れるようです。

これが、プリンセスの売り「お好きな時間にお好きな人と」の「パーソナルチョイス」。

同じ時間に同じメンバーで食べたい場合は予約の時に「シーティング」を選びます。
格式の高い船はこのスタイルが多いようです。

我家はもちろん「パーソナルチョイス」を選択。
サファイアには5つのダイニングと、24時間バイキングのレストランがあります。
ここまでは船賃に込み。

さらに追加料金を払えばイタリア料理とステーキハウスのレストランも利用できます。
今回は、前回行けなかったこの追加料金のレストランに行くもの目標。



乗船から1時間。
午後5時にサファイヤはロスの港を出港です。

「デッキから遠ざかるロスの街並みを見ながら、シャンパンで乾杯だ!」
と、思ったのですが、初日は5時半に団体でレストランを予約してあるとの事。

出航をノンビリ見ている余裕はありません。
急いで着替えてレストランに行かなくては。

しかし・・・・
「そういえば、まだスーツケースが届いてないぞ」

乗船前に港で大きな荷物は預けることになっています。
これをポーターが部屋まで運んでくれるのですが、なにせ3,000人分。
遅い乗船だった我家の荷物は、しばらく届きそうにありません。

今日のドレスコードは「スマートカジュアル」
事前の案内には「男性はジャケット等」と硬いことを書いていますが、スーツケースが間に合わないのなら仕方がありません。

成田から10時間、エコノミークラスの狭い座席でヨレヨレになったシャツのままでダイニングに急ぎます。




前菜はサーモン。チキンスープ。サラダ。メインはローストビーフをチョイス。

前回のクルーズでも味には大満足。
今回も期待を裏切りません。

後で聞いたところによると、7泊8日の航海中に食料の補給は行わないとの事。
冷凍の肉魚はともかく、野菜の鮮度をどうやって保つのかが不思議です。

団体のメンバーはクルーズのベテランが多く、他のクルーズ船にも数多く乗船しているようですが、その中でもこのサファイア・プリンセスの料理の評価は上々。

大満足のディナーですが、考えたら今日は飛行機の中で軽食を食べただけ。
胃袋にはまだまだ余裕があります。

「さーて、デザート食べに14階のバイキングにでも行こうか」
と思ったのですが、時差ぼけのせいか普段とは違い食欲より睡魔が強かったようで、バイキングは翌日の楽しみに取っておくことになりました。



第3章 終日航海とフォーマルデー

本日は終日航海日。

朝7時。ベッドから起きあがり、昨夜のうちに届いていた船内新聞に目を通します。
この船内新聞、今日1日のイベント予定が英語で書かれていますが、サファイアには日本人コーディネーターも乗船しており、日本人客には日本語訳の新聞も届けてくれます。

「今日のイベントは?」
というのが今までのクルーズの朝一番の会話でしたが、今回は先にやることがあります。

「その前に・・・・バルコニー開けろ!」
今までは窓なし部屋か、窓があっても開かない小さな窓。
しかし今回は違います。

「おお~」
大きな窓を開け外気を取り込みます。感動の一瞬です。
部屋は往路は西側となり、残念ながら日の出は拝めないので、帰路が楽しみです。



天候は曇り。海面に波は無いようですが、うねりが有るようで11万トンのサファイアは結構揺れています。
うねりに合わせ船首が持ち上がり、次にスーっと落ちて「ドドーン」と海面を叩きます。
船首から2番目の部屋なので、モロにうねりの影響を受けてしまうようです。

この揺れと時差ぼけで、珍しく女房はダウン。
イベントどころではありません。
結局、朝食のバイキングには1人で行くことになりました。

14階にある「ホライズン」。ここが24時間のバイキングレストラン。
右側と左側に同じレストランがあり。ピーク時以外はメンテのため片側営業になります。
ここは後方になるので、今日のようにうねりがあってもあまり揺れません。

ここで大きなお皿に盛り付けた料理は、隣のプールサイドで食べることも出来るし、自分の部屋に持ち帰って食べる事も出来ます。



食後の運動のため、毎回通ったのがブリッジの上にある開放デッキ。
特にウイング(左右に張り出した部分)の上は開放感抜群。

左の写真は、右のウイング上から後ろを見たところ。
この位置から船尾までは250m以上。不動産広告で徒歩3分。実質5分と言ったところでしょうか。
午後になって復活した女房が、部屋のバルコニーから手を振ります。



午後のイベントはプールサイドでのカクテルコンテスト。
バーテンさんたちが、踊りながらビンを投げ、シェーカーを振り観客をわかせます。

その後は乗客にカクテル名を当てさせ、正解した乗客にはそのカクテルがサービスされるようですが、英語の分からない当方にはチンプンカンプン。

その他イベントは多数ありますが、我家は「英語が分からなくても楽しめるもの」という基準で選ぶので、
コントや講演会には行く機会がありませんでした。

 


ブラブラ船内探検をしている間にもう夕方。
今日はフォーマルデーなので早めに部屋に帰って支度します。

女房も私も服の持ち合わせが無く、前回とまったく同じ格好。
シャツからネクタイまで同じです。



さて、お待ちかねのディナー。
毎回メニューを見て迷うのですが、今回は珍しく失敗。

メニューには日本語訳もあるのですが、表現が微妙。
「ライスとロブスターソース」
と書いてあったので
「これはロブスターの餡かけチャーハンだな」と勝手に解釈

それならばと、聞いたことの無い「マヒマヒ」という魚を注文。
これもマアマアでしたが、驚いたのは隣の方が頼んだ「ロブスター」。

勝手に解釈した「餡かけチャーハン」ではなく、ちゃんとしたロブスター。
ライスはほんのチョットの付け合せ。
「こっちのほうが良かった」と思ったので写真だけ撮らせて頂きました。




その他、メニューの解釈を間違えると、ヨーグルトドリンクのような甘いスープや、デザートと間違ったのではと思ってしまうフルーツが前菜として出てきます。まあこれが外国では楽しいのですが。



ディナーのあとはキャプテンのウエルカムパーティー。

吹き抜けになっているセンターホールのバルコニーで、主要幹部とキャプテンの紹介があります。

そのあと乗客の国籍が発表。
20近い国の乗客数が読み上げられ、自国が呼ばれると、あちこちで小さな拍手が起こります。



そして
「JAPAーN。Seven・・・・」

「えっ 17って言った? 70か?」
我々の団体が30人なので17の訳がありません。
「ならば70人、意外に多いねえ」

しかし我家以外の拍手は聞こえません。

最後に「USA 2×××」
ホールは大歓声に包まれました。

フォーマルパーティーは夜遅くまで続きます



第4章 今日もまた終日航海
サファイアは、ロスからメキシコまで1000マイルを一気に下ります。
北緯35度から20度まで。

東京から台湾くらいの緯度差があります。
20ノットで走っても50時間。そのため本日も終日航海。

終日航海の朝はゆっくり始まります。 
しかし、いつまでも寝てはいられません。

「トントントン」とドアを叩く音。
寝ぼけた目で、ドアスコープを覗きます。
ドアの外に立っていた人は、のはモーニングサービスの配達でした。

「あたし、バルコニーでモーニングサービス食べたい!」
と女房の提案で、実は前夜ドアノブに注文伝票を掛けておきました。
バルコニーを充分活用するつもりです。

パン。ジュース。コーヒー。フルーツ。ヨーグルト程度ですが、部屋まで持ってきてくれます。


これがなんと無料。
ペットボトルの水を頼むと3ドル近くするのに、モーニングサービスがタダとは不思議です。

もちろんこれだけでは足らないので、この後14階のバイキングで、卵とソーセージを中心に食べまくります。



今日は遅く起きたくせに、すでに2食。
3食目となるランチはプールサイドの特設カウンターへ行くことにしました。

メニューは日替わりで、今日は「メキシカン」
明日の上陸を前に、気分を盛り上げてくれます。

前日の「寿司」は今ひとつの様でしたが今回は期待が持てます。

3食目の「メキシカン」を食べた後は、隣のバイキングでサラダとデザート。





さて、サファイアには別料金のレストランがあると書きました。

そのひとつがステーキハウスの「スターリング」
予約が必要なので予約センターに電話をしたのですが
「今日は満席です」とのこと。
早めに予約をすればよかったのですが残念です。

仕方が無いので一般のレストランに行くことに。
ここも予約が必要ですが、だいたい希望はかないます。

頭の中が「ステーキモード」になっているので、ここでは「子牛の骨付きロースト」を注文。
実はこれが美味かった。
今航海でベスト3に入ります。




ディナーから帰ると郵便受け(?)には明日の船内新聞と寄港地の情報が入っています。

7時前になる入港を、見るためには早起きしなくてはなりませんが、今夜は時計の針を1時間戻すので、
チョットだけ睡眠時間が増えることになります。



第5章 初めてのメキシコ 「プエルト・バジャルタ」

4日目の朝、サファイアは最初のメキシコに寄港。

「プエルト・バジャルタ」です。
明日以降はここから北上し、ロスに帰るので、ここがクルーズの最南端になります。

ここでのオプショナルツアーは、定番の市内観光の他にヨットやボートでのクルーズ。
シュノーケル等のマリンスポーツがありますが、我家が選んだのは「ビーチでの休暇」

バスで1時間ほどのリゾートホテルに移動してプライベートビーチで楽しみます。
費用は1人39ドル。
前回のアラスカの時と比べ半額以下です。



この寄港地で一番高いオプショナルツアーは「イルカの訓練士」
少人数でイルカに乗って泳ぐことが出来ます。お一人様 275ドル。

さて、ホテルに向かうバスの中ではガイドさんが注意事項を説明します。
「ここは時差がありますが 混乱するので皆さんには船の時間で行動してもらいます」
ロスを出て1回だけ時差調整で時計の針を動かしましたが、さらに時差があったようです。

その後「混乱しないように」と念を押すガイドさんの時計が実は1時間狂っていたことが判明。
バスの中は大笑いとなります。

道すがらメキシコの案内をするガイドさん。
「なにか質問ありますか?」の問いかけに、手を上げた乗客からは、
「ガソリンは1ガロン いくらですか?」

アメリカは最近ガソリンが高騰。観光案内よりガソリンの値段が気になるようです。

 


着いたホテルは雰囲気抜群のリゾートホテル。

天気は快晴ですが意外に波が高く、
泳ぐと言うよりボードで遊んだほうが楽しそうです。

波のせいで海水も濁っており、
「九十九里みたい」と言うのが女房の感想。

案内には「軽食付き」となっていましたが、なんのなんの実際は立派なバイキング。食べ切れません。



ビーチで泳ぎ、食べ、飲んで、バスに乗って港に帰ります。

出航まで時間があるので、ダウンタウンに出かけてみます。
海沿いにキレイな街並みがそろい、治安もよさそうです。

しかし珍しく道に迷いました。 
船でもらった地図を参考に、腕時計のコンパスで方位を見ながら歩いたのですが、どうもおかしい。

しかたなくサファイアの乗客らしいアメリカ人に道を聞くことに。
どうやら地図の方位が180度間違っていたようです。

「これだけ晴れてるんだから、太陽を見れば一発正解なのに」



商店街には革製品の店が多く並んでいます。
女房がショーウインドーにお気に入りの靴を発見。

価格表示は「250」
「250ドル? 高いよ」
「2ドル50セントじゃないの?」 「それじゃ安すぎ」

正解は250ペソ。米ドルなら25ドル、約3000円でした。
結局買いませんでしたが。


第6章 「マサトラン」とグリーンフラッシュ

夜の間にプエルトバジャルタから北上。
今日は「マサトラン」に上陸します。

この港もクルーズ船が頻繁に立ち寄る港で、我々のサファイアのすぐ後に「ビジョン・オブ・ザ・シーズ」が入港してきました。

サファイアと比べたらずいぶん小さく見えたのですが、
実は78,000トン。



ここでのオプショナルツアーは「無人島でのカヤック」。
港から1時間近く、オンボロの連絡船で対岸の無人島に移動。
連絡船からは小さなボートに乗り換えて砂浜に上陸します。

正直言ってマサトランの港は綺麗ではありません。
海は茶色。なんとなく下水の臭いもします。

しかし。港を離れて1時間。着いた無人島には綺麗な砂浜が。
先日のプエルトバジャルタより綺麗で、波もありません。

ここでは午前中にカヤックに乗り、午後からは無人島の探検に出かける予定。

このカヤックは2人乗り。当然女房と乗ったのですが・・・
「右強く漕げー!」
「今度はひだりー!」

気が合わない我々のカヤックは その場を回るだけです。
最後には「おまえはジッとしてろ」と言って1人で漕ぐはめに。

日本人の名誉にかけて必死で漕いで、なんとかリタイアはしませんでしたが、すでに体力の限界。
午後からの無人島探検には参加できそうもありません。



夕方、サファイアに戻って船内をぶらついているとキャプテンのアナウンスが。

「サンセット ・・・・・ グリーンフラッシュ ・・・ チャンス・・・」

聞き取れたのはこの部分だけですがおそらく
「今日は天気が良いので、日没のときに『グリーンフラッシュ』が見られるかもしれません」
と言っているのでしょう。

グリーンフラッシュとは、水平線までまったく雲が無く空気が澄んでいるときだけに見える現象で、
太陽が水平線に沈んだ瞬間に緑に光るというもの。
めったに見られるものではなく、これを見た人は一生幸せになれるという伝説もあります。



アナウンスを聞いて一番前の甲板に乗客が集まってきました。
西に進んでいるので、夕日の見える場所はここだけです。

段々と夕日が沈みます。
太陽が水平線にかかり、そして半分に。
「そろそろ緑になるか?」

しかし、なんの変化も無く最後の1辺も消え「何も起こらないよ・・」と言おうと思った瞬間。

               パッ!

一瞬、グリーンの光が見えました。
とたんに沸き起こる歓声と握手。

「えっ? 今のがあれ?」
時間にして0.5秒。カメラには捉える事が出来ませんでした。

ちょうどディナーの時間でもあり、これを見た人は30人程度。
後で見ていない人に話したら結構羨ましがられました。






第7章 「カボサンルーカス」入港

メキシコ最後の寄港地「カボサンルーカス」

「ここらで終日航海がほしいね」と言うのが女房の意見。
3日連続の上陸はさすがに疲れます。

おまけに毎回オプショナルツアーではマリンスポーツ。結構体力使ってます。

さらにメキシコの太陽を甘く見ていた私は、顔と上半身は日焼けで真っ赤。
「肩触るなー」と悲鳴を上げるほどになっていました。

「船で寝ててもいいんだけど~」
と言う女房の気持ちも分かりますが、ここは今までの寄港地の中で一番海が綺麗と言われている場所。

「ここで降りないと元取れないぞ!」と気合を入れて上陸の準備を始めます。



カボサンルーカスの港は小さく、サファイアは接岸できません。
そのため沖に停めてテンダーボートでの上陸となります。

3,000人からの乗客を運ぶので、ボートはフル回転でピストン輸送。
下から見上げるサファイアは迫力満点です。

ここでのオプショナルツアーは「シュノーケルとセーリング」

大型ヨットで1時間ほどのクルーズを楽しんだ後、港から離れた湾に行き、そこでシュノーケルを楽しみます。

カボサンルーカスの海は見事なブルー。
ヨットから海に入ると魚の大群が。

小魚ではありません「石鯛?」「サバ?」と言うくらいの魚が群れを成して泳いでいます。

網を入れれば何人分の刺身が造れるでしょうか。



今回のヨットツアーにはビデオカメラマンも同乗。
乗船から下船直前までの映像がDVDで販売されます。

前回のクルーズではカメラを意識しなかったので、自分たちは映っていませんでしたが、今回は要領が分かり、カメラの前でポーズをとります。

これだけ目立てば充分。下船時のDVDが楽しみです。


今までの寄港地では夕方までに帰船ば良かったのですが、ここでの出航は14時。

「最終寄港地の出航は14時となります。明後日の朝にロスに着くためには全速で走っても、この時間に出ないと間に合いません。」と キャプテンのスピーチがありました。

シュノーケルを終えて、ヨットは港に帰ります。
もっと街中も歩きたいのですが、帰りのボートには長蛇の列。時間はもうすぐ13時。
これに乗らない訳にはいきません。

「帰るか・・・」
後ろ髪を引かれる思いで列に並びます。



船に帰ったのは13時半。
ほんとうなら全員が帰船しなければならない時間ですが、我々の後もさらに列は長くなり、ボートのピストン輸送が間に合わないようです。

出航を見ようと、いつものようにブリッジ上のデッキに上がります。
出航時間を1時間過ぎてもピストン輸送のボートは途切れません。

遠くには数台のジェットスキーが遊んでいます。
突然、そのうちの1台が、サファイアに一直線に近づいてきました。

その時・・・・

遠巻きに止まっていた黒いモーターボートが、猛スピードでジェットスキーに追いついてきました。
黒いボートには銃を手にした兵士らしき男たち。

何のボートか分からなかったのですが、警備の警察か軍隊だったのでしょう。

ジェットスキーとサファイアの間に割り込んで、なにやらジェットスキーの男に怒鳴っています。
「ここに近寄るな!」とでも言っているのでしょうか。



治安も良好で、パスポートも持たず、ほとんど荷物検査も無く上下船していたので、実感は無かったのですが、ここは国境でした。

1時間以上遅れて、ようやくサファイアは出航しました。
これでメキシコとはサヨナラです。

あれだけ念を押して14時出航にこだわっていたのですが、結局1時間以上の遅れ。
明後日のロス入港は間に合うのでしょうか。

さあ、今夜はフォーマルパーティーです。




第8章 初めての「サバティーニ」

カボサンルーカスを出航し、シャワーを浴びたら急いでフォーマルに着替えます。
今晩はキャプテン主催のカクテルパーティーです。

前日、自室の郵便受けに入っていた招待状を持って会場に急ぎます。
今日のパーティーは2回以上乗船すれば招待されるらしく、数十回の乗船記録を持つ御夫婦がステージで紹介されています。

ざっと見たところ、日本から参加したツアー客も半数近くが参加しているようです。
キャプテンが入り口で迎えてくれるので、タイミングを見計らって記念に写真を1枚。



さて、今日のディナーはイタリア料理の「サバティーニ」を予約。
直前だとなかなか予約が取れないのですが、以前ステーキ屋の予約で失敗して懲りたので、女房が数日前に電話して予約していました。

この「サバティーニ」
いろいろ聞くところによると、日本人では食べられない程の量が出るそうです。

「前菜は勝手にドンドン持ってきて、それだけでお腹いっぱい」
「3時間もかけて食べる」
「日本人で完食できたら、大食い選手権に出られる」

と、経験者に脅かされ、サバティーニ独特の注文ルールを教えてもらいます。



緊張して店内に入り、ボーイさんに案内され席に着きます。
「ここは初めてですか?」と聞かれ 「ではここの仕組みを説明します」とボーイさんは続けます。

イタリア語と英語の混じったボーイさんの言葉は、ほとんど理解できませんでしたが、事前の情報と照合すると次のようになります。

「前菜8品は全部持ってくるので、好きなだけ食べて下さい」
「スープとサラダは注文があれば持ってきます」
「パスタも3品全部持ってきます」
「メインは1品を選んでください」
「デザートは盛り合わせを持ってきます」



まだ何も注文していないのですが、事前の情報どおり、さっそくボーイさんが、お皿に前菜を盛ってくれます。
「美味い・・・」
美味いのですが、お皿いっぱいの前菜はこれで1品。

「これって、これで1品って事?」
「こんなのが あと7皿もでるの」
「パスタも3品でるらしいよ」
「このペースじゃ前菜の完食も難しいぞ」

3皿目あたりで「困ったことになった」と思ったのですが、
最後の4品は1皿で出てきて少し安心 

 



前菜をクリアすると次はパスタです。パスタは3品。
これもボーイさんが盛ってくれますが、「少なめ少なめ」と頼まないとメインが食べられません。

スープとサラダは残念ながらパス。
メインはロブスターとホタテ。

「ロブスターは2匹。ホタテは8つ」と情報を得ていたので安心して注文できました。




お腹は120%満腹なのですが、最後のデザートがこれまた美味。

これで料金 1人20ドル。
都内でこれだけ食べれば、いったいいくら取られるか。 充分元はとりました。



さて、フォーマルパーティーは始まったばかり。
これから長い夜が始まります。



第9章 フォーマルパーティーとシャンペンタワー

サバティーニで満腹になり動きが緩慢になりましたが、これからがパーティーの始まり。

メインホールではシャンパングラスの積み上げが始まりました。
メインホールにはフォーマルドレスとタキシードの乗客が集まってきます。

悔しいですがアメリカ人はタキシードが似合います。
数時間前は、大きなお腹の海パン姿でビールを飲んでいたオヤジさんが、タキシードを着ると、とたんに紳士に変身。

1時間前からグラスを積み上げ、カウントダウンでシャンペンオープン。あとはホールで踊り続けます。
シャンペンタワーの前ではカメラマンが待機。希望者が続く間はタワーは壊しません。
一段落するとタワーのグラスを回収するし乗客に配ってくれます。

 


しかし早めにもらわないと、「グラスの中身ないよ」となります。
下段にはシャンペンはあまり入っていません。
「もう一個もらって、足せばいいじゃん」と、フォーマルパーティーに似合わないセリフも出てきます。

今日は久しぶりに遅くまで部屋には帰りません。
ベッドに入ったのは0時過ぎ。


翌朝8時前。
いきなり部屋の電話が鳴りました。心当たりはありません。

「ハッ ハロー?」寝ぼけて出たのですが相手は遠慮無く英語でまくし立てます。
「・・・シャンペン・・・ルームサービス・・・」

そういえば今朝は「シャンペンブレックファースト」をルームサービスで頼んでいました。
電話の内容はどうやら 

「今日はシャンペンブレックファーストの日ではありません」
「しかし一般のブレックファーストに追加でシャンペンを付ければ似た様になります」
「ただしセットメニューのサーモンは付きません」
「それでも同じ25ドルですが良いですか?」

どうやらこんな事を言ってます。

今回、「バルコニーでシャンパン」と言うのが希望であった為、この条件でもOK。



早速バルコニーで乾杯。
「おそらくバルコニー部屋は一生乗れないから、心して飲め」と、だんだんと気分は帰宅ムード。

明日の早朝にはロスに入港。
エコノミーの狭い飛行機で帰国して、時差ぼけのまま仕事をしなくてはいけません。

王様気分も今日が最後です。

 



第10章 ロス入港、しかしその後・・・


シャンパンブレックファーストで目を覚まし、最後の終日航海を楽しみます。

下船まではまだ24時間もあるのですが、気の早いことに10時から日本人コーディネーターによる下船説明会。
下船の順番や荷造りの方法など、聞いておかないと後で困ります。

「あ~あ もう下船かあ~」 
「まだまだ。日本国内のワンナイトクルーズだと、まだ乗船もしていない時間だぞ」

「元取ったか?」
「充分元は取りました」
「もう一生乗れないかも知れないんだから、後悔しない様にな」
クルーズの最後はいつもこのセリフです。



最後のディナーはステーキをチョイス。
ステーキハウスの予約が取れなかったのが、今回唯一の失敗。
ずっと後悔していたのですが、これで少しは気分も落ち着きます。

前菜のサラダは1週間前にロスで積み込んだものだそうですが、不思議なくらい新鮮です。
厨房見学で聞いたところによると、冷蔵庫の温度は1度単位で管理しているとか。



ディナーを楽しんだ後、これまではカジノかバーだったのですが、今日はこれから大仕事が待ってます。

「遊んでないで手伝ってね」
と女房に怒られながら、帰りの荷物をパックします。
今日の夜までにスーツケースを廊下に出さないといけません。

この荷物は基本的にそのまま日本まで開けなくても良い物を詰め込みます。
間違って全部詰め込むと、でパジャマで下船することになります。



最終日。早朝6時。まだ暗いうちにロスに入港します。
隣には「クリスタルハーモニー」が停泊中です。

もうすぐこの船は大改装されて、「飛鳥Ⅱ」として日本にやってきます。
日本では「飛鳥」が一番人気のようで、この「飛鳥Ⅱ」も初航海は予約でいっぱいのはずです。



さて、入港してもすぐに下船ではありません。
なにせ3,000人も乗っているので、指定された時間に下船しなくてはなりません。

それまでは14階のバイキングレストランで最後の食いだめです。

「どうせ空港で時間あるんだから、空港でゆっくり食べようよ」と言う女房の意見を聞いて、最後のバイキングはほどほどに。
しかし、これが大失敗でした。



予定より1時間遅れで下船。そのまま空港に移動かと思ったら入国審査が長蛇の列。
1週間前にアメリカを出国して、メキシコに上陸しているので、ここでは再入国と言うことで検査があります。

それにしても列が進まない。
「帰りの飛行機大丈夫?」 だんだん心配になってきましたが、まだまだ余裕はありそうです。

1時間以上並んでようやく窓口に。
「住所はどこですか?」と担当官は聞いてきます。
「パスポートに書いてるだろう」と言いたかったのですが、一応ちゃんと説明します。

「SAITAMA? 東京までどれくらいですか?」
急いでいるのに、くだらない質問をしてきます。
後で聞いたら「結婚してどれくらい?」「子供はいるの?」と聞かれた人もいたとか。

入国審査からようやく開放されてバス乗り場に急ぎます。
しかし・・・



「バスがいないじゃん!」

なんと、我々の上陸が遅れたので、予約したバスは帰ってしまったとか。
飛行機が出るまであと3時間。
セキュリティーチェックが厳しそうなので、2時間前には着きたいところです。

個人旅行なら勝手にタクシーにでも乗っていくのですが、今回は初めての団体旅行。
添乗員さんに任せるしかありません。
「タクシーで個々に行こうか」「ミニバンに分乗して行こうか」と意見が出たのですが、結局別のバスを呼んで急いで空港へ。

しかし空港に着いてからがまた大変。
航空会社のカウンターに行く前に手荷物チェック。

いったんチェックを受けたら、もう自分で触ることはできません。
警備の担当者がカウンターまで運んでくれるのですが、「あなたの荷物はどれですか?」と聞かれ、
似たようなスーツケースのネームタグを確認しようと触ったら・・・

「ノーノーノー! #$%:@*・・・」
いきなり怒鳴られました。
警備の担当者はかなり殺気立ってます。



やっとのことでカウンターでチケットをもらったのですが、搭乗開始まであと30分しかありません。
「飯はどおするんだよお」
ここから先にまたセキュリティーチェックが待ってます。

ベルトも外して、靴も脱いで、ポケットの中身も全部広げて、やっとのことで搭乗場所にたどり着いたのですが、昼食の時間はありません。
おまけに、まともなものを食べられる場所も無く、アメリカ最後の食事はスナック菓子とミネラルウォーター。



「サファイアのバイキングでもっと食べてくれば良かった・・・」

王様の生活から一気に貧乏生活に逆戻り。
おまけにこれから10時間以上のエコノミー席が待ってます。

「次はどうする?」
「その前に借金返さなきゃ」

帰国したら、カードの請求がドッとやってきます。
次のクルーズはいつになることやら。