2004年06月 おにようず 萩→見島→萩


私が初めて乗った船は、萩と見島を往復する離島航路。約40年前の話。
生まれて初めて乗った船と言うより、もしかすると初めて乗った交通機関だったかもしれません。

山口県萩の港から、北に向かって約40キロ。

当時は100トンの「見島丸」で2時間半~3時間。
これでも初めての鋼鉄船と言う事で、新鋭船だったようですが、 波の高い日本海。
記憶は薄いのですが、木っ端のように揺れたようです。

ブリッジは丸見えで、「チンチン」とテレグラフ動しているのが見えました。
停泊時は、機関室のドアも開けっ放しで、「ガチャガチャ」とディーゼルのカムが動いているのが見えた記憶があります。



その後、この航路に120トンの「たちばな」が登場し、 約2時間に短縮。
それでも、日本海の波には勝てません。



そこで登場したのが高速船「おにようず」
「おにようず」とは見島名物の鬼の顔を書いた凧のことです。

258トンの高速船は最高速力23ノット。
大きさも速力も、40年前の見島丸の2倍以上。

甲板位置も高く、少々の荒天でも波を切って進みそうな精悍なスタイルです。



この「おにようず」実は自動車も積むことが出来ます。
後方のスロープから乗用車2台が積載可能なので、フェリーと呼んでも良いのでは。

萩港を出航するとしばらくは大人しく走りますが、湾を抜けると
2,000馬力のエンジン2基がフル回転。
上甲板にも波しぶきが飛んできます。



船内は1階中央部がカーペット敷きの部屋。
さすがの新鋭船も揺れる時は揺れるようで、座敷の上には洗面器が並びます。

2階は椅子席。窓際に座っても波しぶきで外は見えないので、上甲板に上がりましょう。
23ノットの風圧は強いので注意が必要です。



萩を出て小一時間。 前方に見島が見えてきました。
「おにようず」は湾の入り口まで全速で駆け込みます。 

萩港から見島港まで70分。見島丸の時代から考えると随分楽になりました。

1日に3往復。 夏のハイシーズンは、1日に4往復となります。



40年前は電気も無かった島ですが、最近は「見島牛」やマグロで有名になり、観光客が大勢やってくるそうです。
島内には高校が無いため学生は萩の寮で生活し、週末だけ帰島するのでしょうか。

島からの帰りの便では、テープを持って送る光景が見られます。