飛行機のページ

飛行訓練のコーナー

1  序章 11 中間チェック
2  初飛行
3  航空特殊無線
4  ファーストソロ
5  右ラダー
6  コンピューター
7  アライン
8  ショートフィールドランディング
9  訓練シラバス
10 飛行機とパラシュート

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 「旭伸航空アイランダー」搭乗記

フライトシミュレーターの世界
 本田エアポートでアクロ  レインボーブリッジをくぐる
 ルクラに着陸  ジャンプラン
 石垣空港の滑走路
 B24を撃墜
 香港カーブ
 敵空母を雷撃

序章
中学生の頃だったでしょうか、TVで「GOGOスカイヤー」と「虹のエアポート」というドラマを見てパイロットに憧れるものの、学力および視力が足らず断念。

マイナーな雑誌「ヒコーキ野郎」や「翼」 (今はともに廃刊ですが) を読みふけり、脳内パイロットで各地の航空ショーに出没していました。

とうぜんライセンスを取りたかったのですが、この視力不足が致命的で、自家用の裸眼基準にギリギリの視力では将来的に悪化した場合飛べなくなることもあると思い、なかなか訓練に踏み切れませんでした。

しかし・・・

2001年に視力の基準が緩和される事となり、「夢の夢」と思っていたパイロットが「夢」程度の近い存在に見え、ついに飛行機の訓練を開始。

「とりあえずソロまで」と始めた訓練も シラバスが進むにつれライセンスが「夢」でなく「目標」になってきました。

 
初飛行
クラブに入会したあと手始めに「練習許可証」なるものを申請します。
そのためには専門医院で航空身体検査を受けなくてはなりません。

心配だった視力をはじめ 心電図や脳波やらオドロオドロシイ検査が盛りだくさん。
検査数週間前から酒を断ち、遠くを見て視力を鍛えます。
結果は何とか合格。この儀式は飛行機に乗る以上毎年行わなければなりません。

さて、無事訓練生となったものの 、これから何をすべきなのか?
我がクラブでは「訓練シラバス」がきっちり決まっており、車と同じで1段階、2段階と進んでいきます。これが実に80時間分。
当然足踏みもあるので 100〜150時間が目安となります。

いよいよ待ちに待った訓練開始です。
最初は見学程度かと思ったら、いきなり左(機長席)に座らされ、「じゃあ、フルパワーにして!」と教官。
スピードが上がり55ノットになったら 「操縦桿引いて!」であっという間に離陸。

「なんだ簡単じゃん」と思ったのも最初の3分。
頑張れば頑張るほど飛行機はまっすぐ飛びません。高度・速度・針路を必死で合わせ、初の3次元体験に戸惑います。

パワー足すと機首を左に振るので常に右足でラダーを踏まなくてはならないし、旋回すれば高度は狂い「高度見て!」「ほらほらスピードチェック!」と教官から絶え間なく指示。
無線では何を言われているのかサッパリ分からず、訓練空域をグルグル飛んで「今どこに居る?」と教官に聞かれ「・・・・畑が見えます」

訓練のシラバスでは19時間後には単独飛行が待ってます。

普通にまっすぐ飛ばすこともできず、「狭い滑走路に飛行機を降ろすなんて100時間早い、あとたった19時間で単独飛行ができるなんて無理」というのが、初飛行の正直な感想でした。

航空特殊無線
飛行機を操縦するために必要なのは飛行機の免許だけではありません。

飛行機に備えてある無線機やトランスポンダーなどの機器を扱う資格も必要になります。
しかもこの資格は 初めて一人で飛ぶ「ファーストソロ」までに取らなければなりません。

飛行機は車と違い、一応のレベルに達すると教官なしで飛ぶことができます。
そこで先に無線の資格が必要になるわけです。

試験は年3回しかありません。落ちると自分の「ソロ」も遅れるので勉強はまじめにやります。
無線では A・B・Cを アルファー ブラボー チャーリー と発音します。聞き間違い防止のためです。
このチェックを実技試験で行います。

試験前は町を歩いていて横文字を見るたびに「マイク・アルファー・チャーリー」などとブツブツ練習することになります。

ファーストソロ
「じゃあこのまま行きますか?それとも休んでから行きますか?」
と教官に聞かれ、「へっ? 行くってどこにですか?」 と とんでもない返事をしてしまいました。

憧れのファーストソロ。それなりに夢を持っていたのですが 肝心な答えが「へっ?」だったとは。一生の不覚。
この日は20時間目。一応シラバスではソロ予定なのですが、途中で風が変わりランウェイチェンジになったため「今日のソロは無いな」と言う思いが頭の中にありました。

「今の調子で飛んできなさい」と教官。
気休めにしかなりませんが、教官が降りたあと右の教官席には鉄アレイを置いてバランスを保ちます。

なるべく右側の空席を見ないように いつもどおりに大声でチェックリストを読み上げます。
「JA39××SOLO  TAKE OFF 」と機番の後に「ソロ」をつけ無線を出します。

フルパワー! エアスピードチェック! ここでチラリと右を見ると教官席には誰もいません。
このまま飛んで良いのか? と思いながら操縦桿を引き機体は地上を離れます。

もう戻れません。何があろうと自分の力で着陸しなくてはなりません。
「ファーストソロの時は大声で歌おう」と決めていたのですが、そんな余裕はありません。
5分ちょっとで飛行場を回って着陸態勢に入ります。

もう右の空席を見ている余裕はありません。「65ノット」大声でスピードチェック 高度チェック。
機軸合わせて 「パワーカット!」 軽く操縦桿を引いて・・・・
教官がいないぶん機体が軽いのに加えタイミング悪く軽く追い風になった為 なかなか接地しません。

600メートルの滑走路。半分までに接地できなければ「GO AROUND」(やりなおし)です。
 
こんな時、操縦桿を引くと失速し落着。押すと前輪から接地し これまた事故になります。
「がまん がまん」と言い聞かせ しばらく水平に飛んだ後 「ドシャッツ!」と接地。
「やった〜」と思うまもなく 機軸がずれて完全に滑走路の左側通行。

地上では車のように操縦桿を回しても意味がありません。足のラダーで機軸をコントロールします。
そんな事は分かっていても足は動かず 「どうしよう どうしよう」と言いながら 何とか滑走路内で停止。

汗びっしょりですが とにかくやりました。

当日の気温は観測記録の40度だったそうです。

右ラダー

飛行機のトレーニングは大きく、離着陸訓練・エアワーク(空中操作)・ナビゲーション(野外航法)に分かれます。

ファーストソロまでは機体の操縦になれるため簡単なエアワークと離着陸訓練をメインに行いますが、ソロに出ると訓練はもう一段階進み、スローフライト・ストールといった本格的なエアワークに入ります。

まずはスローフライト。
セスナ172の場合 ノーフラップで55ノット。フルフラップで45ノットです。

まず高度1、500ft巡航95ノットで安定させます。なれないとこれだけでも大変。
いつまでも安定せず「何やってんの?」と教官に怒られます。

そして遠くに目標を決めるか、分かりやすい様にDG(コンパス)で真北や真南に針路を合わせます。これをしないと後でとんでもないことになります。

「エリアクリア!」とこれから進む空域を確認。パワーを巡航の2,200回転から1,500回転に落とします。当然機体は速度を失い機首を下げようとしますが、降下してしまったら話になりません。

機体を支える為に操縦桿をどんどん引いていき機首上げの状態で55ノット近くまで速度を落としたら少しパワーを足し,速度を安定させます。このとき機首が上がる為、プロペラの影響で機首は左に向こうとする為、右足でラダーを踏み針路をキープします。

機体はアップアップの状態でジタバタ揺れ、速度が失速に近づくと「ミーーーーー」と
警報が鳴り出します。

「外を見て姿勢をキープして!」教官は言います。しかし高度と速度が気になり 目は計器をにらんだまま。
「方位ずれてるよ!」またまた教官です。
高度と速度だけに気をとられると針路がおろそかになり、とんでもない方向に向かって飛んでいきます。
ここで先刻の前方目標が重要になってきます。

「ハイ上昇して」
この速度のまま上昇します。上昇だからといって操縦桿を引いてはいけません。パワーを足し姿勢を変えないように上昇します。
「もっと右ラダー」
パワーが上がるとプロペラ後流も大きくなり、かなり右足を踏んでやらないと機首が左へ左へずれていきます。

この右ラダーが曲者。
極端な例は、左旋回するときに、普通なら左ラダーを踏む訳ですが、上昇しながらの場合は左を踏むのでは無く「右を少し緩める」といった感じになります。

最初のころは右ラダーを踏むことばかり頭にあり、ついつい踏んだら踏みっぱなし。
降下の時には「右ラダー 強い!」としかられます。

車には無く初めて経験する『ラダー』。
最初のうち(今でも)、頭で考えている間は「どっち踏むんだっけ?」と迷いだし機体は思うとおりに動きません。
これを克服できるのはいつの日やら。

コンピューター
コンピューターと言ってもパソコンではありません。
飛行機のナビゲーションには欠かせないプラスチック製の「計算尺」のことです。

たかが「計算尺」と侮るなかれ。
直径10センチ程度の丸い部分を、回したりスライドさせたりして目盛りを読んで、横風を受けた場合の針路や速度を簡単に割り出し、そのほか燃料計算や温度の計算にも欠かせません。

お値段も2万円と高級関数電卓より高価です。
速度×時間=距離 なんて簡単な計算も機上ではこれでやります。

「何で電卓使っちゃいけないんですか?」教官に聞いたことがあります。
その答えは「電卓は電池が切れるし壊れるから認められません」でした。
もっともこれはライセンスの実地試験での基準。

そういえば測量関係の某国家試験も、数年前までは電卓は持ち込み禁止で「そろばん」のみ持込可でした。
その後この国家試験も「電卓持ち込み可」になったので 飛行機の実地試験でも電卓可になってくれないでしょうか。
実地試験でGPS使う日が来るかもしれません。

このコンピューターに紐をつけ 首からさげて操縦席に着きます。
使うときは片手でグルグル。思わず両手を使うと、「操縦桿から手を離したら危険操作で失格!」と言われてしまいます。
この他に「チャート」(航空地図)も片手でなくてはなりません。

計算に気をとられると飛行機はアサッテの方向に飛んで行き「ちゃんと外見なさい!」と教官に怒鳴られます。

一輪車に乗って、お手玉しながら算数の暗算をする技術が必要です。
アライン
「アラインさせなさい!」 と着陸のアプローチ中に教官に怒られます。
一口で言うならば、滑走路の延長線上に機体を乗せなさい。 と 言うことです。

『滑走路の中心線をイメージで自分の所まで伸ばして、その線を自分でまたぐ』
と教科書には書いています。
色気を出して機体の中心をセンターラインに合わせようとしてはいけません。

左の画像(シミュレーター) 機体の中心と自分の座る位置ががずれているので、なんとなく違和感がありますが これで合ってます。

遠くに見える滑走路の白線を自分まで延ばすのは至難の業。
「何度同じこと言わせる。 横着するなアラインさせろ」 とまたまた教官の怒号。

(別に横着している訳ではありません、これでも自分では合わせてるつもりなんです。) と言いたいのをこらえて、教官の顔色をうかがいながらチョイチョイと修正します。

最初の頃は教官に内緒で、エンジンカウリング(車のボンネット)の上に線を引いてみたり、フロントグラスに印をつけたりしてました。
戦闘機のように照準器があればどんなに楽かと思いました。

自然に理解できるようになったのは着陸回数が200回を超えてから。
特に機体を意識することなく、自分の体でラインに乗れるようになってきます。
ショートフィールドランディング
この着陸方法は、滑走路の手前に障害物がある場合や滑走路が短い場合に用いる着陸方法です。

いつもなら3度から4度の角度で進入しますが、この場合は5度で進入。
たった1度の差ですが、見ると 「高いなー」と感じます。

いつも500ftでファイナルターンするところを 600ftでターンし、スピードも普段65ノットのところ 55ノットで進入。
55ノットとなれば失速までの余裕はたったの10ノット。
気流が悪いときは「ミッ、ミーー」と失速警報が断続的に鳴り出します。

機体も機首を上げてアップアップの状態で飛ぶため、操縦席からの視界も悪くなります。
怖いのであまりやりたくないのですが、試験科目なので練習しない訳にはいきません。

「姿勢変えないで、高度はパワーでコントロール」 と隣の教官に注意されます。
ついつい怖いので機首を下げスピードをつけてしまいます。試験では失格です。

「パワーで吊って」とも言われます。
上手い表現です。 機首上向きの姿勢は変えず高度が下がればパワーを足し、高ければ絞ります。

普通の着陸では滑走路の端でパワーをカットし接地まで惰性で飛行します。
しかしショートフィールドの場合、ギリギリの速度で飛んでいるため、いきなりカットしたら「ドシャ〜ン」と落ちる事になります。

スロットルをジリジリと絞って、ここぞと言う時にパワーをカットし接地させ、ブレーキ効果を高めるためフラップアップ。

速度が少ないのでブレーキを掛けると滑走路の半分以下(300メートル)で止まります。
向かい風が強いと200メートルでも止まれそうです。

そこで考えました。 「セスナで航空母艦に着艦できないだろうか?」

さっそくシミュレーターでやってみました。
航空母艦に30ノットで走ってもらい、向かい風を作ります。

55ノットでアプローチして艦尾ギリギリに着艦。制動フックが無いので、すかさずフルブレーキ。
なんとかなるもんです。

次回の訓練は、航空母艦に降りるつもりで気合入れて頑張ります。
訓練シラバス
私の通うフライングスクールでは、入学からライセンス所得までに細かく訓練のシラバスが決まっています。
基本的に1回ほ飛行時間は1時間。
ただし車の教習と違ってきっちり時間を計って、1分単位で精算します。

最初の5時間は基本的な空中操作。水平飛行や旋回の練習をして飛行機の動きに慣れさせます。
6時間目からは訓練時間のうち半分は空中操作を行い、早めに飛行場に帰って後半は離着陸の練習が始まります。
30分間で4〜5回の「タッチアンドゴー」を繰り返します。

最初は操縦桿に手を添えるだけですが、次第に慣れてくると教官が軽く補助をする程度で着陸できるようになり、
50回も着陸すると 「いま私は触ってなかったよ。自分ひとりで降ろしたよ」と教官に言われるようになります。

こうなるともう単独飛行は近く、20時間目あたりで「一人で飛んで来い」となります。
私の場合は71回目の着陸が終わった後で言われました。

その後、単独と同乗を繰り返し、25時間目からナビゲーションが始まります。
今までは飛行場の回りで訓練していたのですが、これからは航法計画をたててポイントを廻って帰ります。
このあたりから教官の「激」も1段階高くなります。

実際の飛行訓練より、机での勉強時間が数十倍も多くなり、雨で飛べない日は教官を捕まえて集中的に座学を行ってもらいます。
自宅での予習復習も重要で、フライトシミュレータが大活躍。

基本計器訓練や高高度訓練をはさんで35時間目あたりで単独のナビゲーションに出かけます。
飛行場を離陸し、1時間以上かけてポイントを回って、200キロほど飛んで帰ります。
1人で長距離を飛んでいると、ちょっとだけパイロットになったような気分になります。
この時はファーストソロでは出来なかった歌を歌う余裕も出てきます。

そして40時間目あたりで「中間チェック」に合格すると教官の「激」がさらに高くなり、訓練も一段と厳しくなります。
ナビゲーションも遠くに行くようになり、他の飛行場にも着陸します。
1回あたりの飛行時間も長くなって財布がどんどん軽くなます。

中間チェックが終わったあたりで航空局の学科試験を受けることになります。
学科合格の有効期間は2年間。
2年以内に実地試験に受からないと、また学科からやり直しです。

ナビゲーションも難しくなり、通称「山ナビ」と言われる山岳飛行。「海ナビ」と言われる洋上飛行。
60時間目あたりで「大島チェック」と言われる大島空港への単独飛行審査に合格したら、
いよいよ実地試験に向けての総復習が始まります。

そして教官の「激」もピークに達した頃に「ファイナルチェック」 スクールの卒業試験です。
これに合格したら航空局の実地試験を受けます。

ここまでストレートで行けば80時間
まあストレートで進む人はほとんどいません。
週1回飛べる人でも最低100時間

私のように間隔があけば150時間程度はかかるでしょう。
今(2005年5月)ちょうど半分くらいでしょうか。

ん〜。先は長いです。
飛行機とパラシュート
私の訓練する飛行場では、スカイダイビングの訓練も行われています。
と、言いますか、私の場合はスカイダイビングを長年やっていて、同じ飛行場で飛行機の訓練を始めたわけですが・・・・。

実はこれがちょっと問題なんです。

スカイダイビングのパラシュートは飛行場の真上で降下し、滑走路の近くに着地します。
当然この時は危険なので飛行機は飛べません。

『××分後からパラシュート降下を実施します』と無線で案内が流れると、離着陸は禁止となり、上空を通ることも出来ません。
タッチアンドゴーを行っている機体は、一旦場周経路から離れて待機場所で旋回し、パラシュートの全員着陸を待ちます。
また飛行場に帰るため近づいていた機体も着陸を待たされます。

ナビゲーションで教官から怒鳴られてヘロヘロになって、ようやく飛行場に帰ってきても、
『パラシュート降下をはじめます』と無線が入ると 「ありぁー。 タイミング悪りーなー」となります。

もちろんこの待機時間も訓練時間なので1分で約700円が飛ぶことになるので、5分待機で3,500円。
帰ったら居酒屋で、女房に安酒でもおごらなきゃと思っていたのがパーになります。

本音は「パラシュートは邪魔だなあ」と、思っているパイロットが多数でしょう。
新会員の挨拶のとき「実は私はスカイダイバーです」と言ったら、先輩たちが一瞬引いた理由が分かりました。

飛行機を操縦する人はパラシュートの動きが読めず怖いでしょうし、スカイダイバーは飛行機なんぞ眼中に無く、上空で待機していることすら知りません。

「なんとか溝を埋めなきゃ」と、私も考えたのですが、技術的なことは面倒ですし分かりません。
そこで考えたのが一番簡単な方法 『合コン』 でした。
パイロットは男性が多く、スカイダイバーは女性が多いので名案だと思いました。

個人的に親しくなれば、訓練のとき空いているセスナの後席にスカイダイバーを同乗させるとか、逆にスカイダイビングの降下地点にパイロットを呼んで、降下のタイミングや動きを説明するとか、色々手はあると思うのですが。

数回の合コンを行いましたが、その後どうなったかは最近サボりがちの私には分かりません。
中間チェック
訓練開始から2年3ヶ月。飛行時間55時間。
いよいよ中間チェックを受けることになりました。

実はこの頃、着陸に全く自信が無く、チェックはおろかソロもできないような状況でした。
原因は近くばかり見ているので機軸が合わなかったからです。

これを克服するためにチェックの前数ヶ月、集中的にタッチアンドゴーの練習を繰り返し、ようやく教官から「じゃあ次回、中間チェックですから」と、お言葉をいただきました。

査定目標には 『技倆および判断が全過程の2/3に達していること』とあります。

課目はエアワークが スローフライト2種類・ストール3種類・ローワーク2種類・緊急操作。
離陸が 短距離離陸
着陸は ノーフラップ・スリップ・ノーマル・最後は短距離着陸。

さあチェック開始です。
緊張して離陸。「フルパワー!」 ラダーで機軸を必死で合わせながらチラリと速度計をチェック。
「チェック エアスピード・・・えっ? 」 どう考えても40ノットは出ているのにメーターの針は「0」

まだ滑走路は半分以上残ってます。
「スピードメーター故障!離陸中止!」と叫んでスロットルを戻そうとしたとたんに、今まで死んでいた速度計の針がいきなりビッと50ノット近くに。
ここで迷いが出ました。おそらく原因はピトー管(速度センサー)に虫でも詰まっていたのでしょう。

虫が取れたならこのまま離陸を続行しようか・・・・しかし滑走路はそろそろ中間点だし・・・・

「止まる気ならさっさと止まれ!」と教官の怒号で我に帰ってパワーカット。ブレーキ。
「メーターの故障に気が付いて中止を宣言したのは正解。しかし止まると宣言したら必ず止まりなさい」と後で叱られました。

気を取り直して再離陸。

ここからは教官は何も言いません。自分で「○○をします」と宣言しチェック項目をクリアしていきます。
地形や風の状態を考えないと上手くいきません。
次の項目までに時間をかけると「先を考えろ」と怒られ、急いで次の項目に入ると安定せずに失敗します。

先の先を読んで、頭の中で組み立てないとスマートには飛べないのです。
この辺がパイロットに一番必要な事なんでしょう。

ボロボロになってエアワークのスローフライトが終わった時、なんの予告も無く教官はいきなりスロットルを閉じます。
「ハイ! エンジンフェール」
エンジン故障の緊急操作をチェックされます。

この場合、何が何でも滑空比の一番良いノーフラップ65ノットの姿勢にします。
スローフライトが終わったあとはフラップは出ています。
このときに緊急操作するとフラップを上げるのを忘れるのですが、これには気が付きました。

「フラップアップ。65ノット降下姿勢良し!」
「エンジンフェールチェック・・・・・・・」 と頭の中で再始動のチェックリストを確認します。

「再始動不可能!」と教官に言われたら、再始動をあきらめ不時着の準備をします。
無線で緊急事態を宣言し(もちろん真似だけ)燃料コックを閉じエンジンのマスタースイッチを切ります(これも真似)

本当に不時着するわけにはいかないので、ある程度でフルパワーで上昇します。
それまでにこの作業を終わらせるのは、よほど手際よくやらないと時間が足りません。

ここまで1時間。本当にヘロヘロになり喉はカラカラ。
これから飛行場に帰ってタッチアンドゴーのチェックです。

こんな時に限って10ノット近い横風が吹いています。
しかし着陸は、ここ数ヶ月の特訓で自信があります。なんとか頑張り数回のタッチアンドゴーを終えチェック終了。
緊張の連続だった飛行時間は1時間33分。 (6万円です 女房には言えません)

さて結果は・・・

「離陸時の判断はマイナス。エアワークはマイナス。課目の組み立てもマイナス。緊急操作もマイナス。」
「・・・・・・・・・・・」
「まあしかし、地形確認はOK。無線もOK。着陸はこの横風であそこまで降ろせたらOK。差し引きかろうじて合格です」

地形確認はなんといっても十数年ここでスカイダイビングをやっていたので間違いはありません。
無線も古くからエアバンドを聞いていたので自信があります。

まあ、地形や無線といったチェック項目を作って、なんとかこじつけで受からしてくれたの言うのが本当のところでしょう。
さあいよいよ訓練も厳しくなってきます。