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飛行機を操縦するために必要なのは飛行機の免許だけではありません。
飛行機に備えてある無線機やトランスポンダーなどの機器を扱う資格も必要になります。
しかもこの資格は 初めて一人で飛ぶ「ファーストソロ」までに取らなければなりません。
飛行機は車と違い、一応のレベルに達すると教官なしで飛ぶことができます。
そこで先に無線の資格が必要になるわけです。
試験は年3回しかありません。落ちると自分の「ソロ」も遅れるので勉強はまじめにやります。
無線では A・B・Cを アルファー ブラボー チャーリー と発音します。聞き間違い防止のためです。
このチェックを実技試験で行います。
試験前は町を歩いていて横文字を見るたびに「マイク・アルファー・チャーリー」などとブツブツ練習することになります。
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「じゃあこのまま行きますか?それとも休んでから行きますか?」
と教官に聞かれ、「へっ? 行くってどこにですか?」 と とんでもない返事をしてしまいました。
憧れのファーストソロ。それなりに夢を持っていたのですが 肝心な答えが「へっ?」だったとは。一生の不覚。
この日は20時間目。一応シラバスではソロ予定なのですが、途中で風が変わりランウェイチェンジになったため「今日のソロは無いな」と言う思いが頭の中にありました。
「今の調子で飛んできなさい」と教官。
気休めにしかなりませんが、教官が降りたあと右の教官席には鉄アレイを置いてバランスを保ちます。
なるべく右側の空席を見ないように いつもどおりに大声でチェックリストを読み上げます。
「JA39××SOLO TAKE OFF 」と機番の後に「ソロ」をつけ無線を出します。
フルパワー! エアスピードチェック! ここでチラリと右を見ると教官席には誰もいません。
このまま飛んで良いのか? と思いながら操縦桿を引き機体は地上を離れます。
もう戻れません。何があろうと自分の力で着陸しなくてはなりません。
「ファーストソロの時は大声で歌おう」と決めていたのですが、そんな余裕はありません。
5分ちょっとで飛行場を回って着陸態勢に入ります。
もう右の空席を見ている余裕はありません。「65ノット」大声でスピードチェック 高度チェック。
機軸合わせて 「パワーカット!」 軽く操縦桿を引いて・・・・
教官がいないぶん機体が軽いのに加えタイミング悪く軽く追い風になった為 なかなか接地しません。
600メートルの滑走路。半分までに接地できなければ「GO AROUND」(やりなおし)です。
こんな時、操縦桿を引くと失速し落着。押すと前輪から接地し これまた事故になります。
「がまん がまん」と言い聞かせ しばらく水平に飛んだ後 「ドシャッツ!」と接地。
「やった〜」と思うまもなく 機軸がずれて完全に滑走路の左側通行。
地上では車のように操縦桿を回しても意味がありません。足のラダーで機軸をコントロールします。
そんな事は分かっていても足は動かず 「どうしよう どうしよう」と言いながら 何とか滑走路内で停止。
汗びっしょりですが とにかくやりました。
当日の気温は観測記録の40度だったそうです。
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飛行機のトレーニングは大きく、離着陸訓練・エアワーク(空中操作)・ナビゲーション(野外航法)に分かれます。
ファーストソロまでは機体の操縦になれるため簡単なエアワークと離着陸訓練をメインに行いますが、ソロに出ると訓練はもう一段階進み、スローフライト・ストールといった本格的なエアワークに入ります。
まずはスローフライト。
セスナ172の場合 ノーフラップで55ノット。フルフラップで45ノットです。
まず高度1、500ft巡航95ノットで安定させます。なれないとこれだけでも大変。
いつまでも安定せず「何やってんの?」と教官に怒られます。
そして遠くに目標を決めるか、分かりやすい様にDG(コンパス)で真北や真南に針路を合わせます。これをしないと後でとんでもないことになります。
「エリアクリア!」とこれから進む空域を確認。パワーを巡航の2,200回転から1,500回転に落とします。当然機体は速度を失い機首を下げようとしますが、降下してしまったら話になりません。
機体を支える為に操縦桿をどんどん引いていき機首上げの状態で55ノット近くまで速度を落としたら少しパワーを足し,速度を安定させます。このとき機首が上がる為、プロペラの影響で機首は左に向こうとする為、右足でラダーを踏み針路をキープします。
機体はアップアップの状態でジタバタ揺れ、速度が失速に近づくと「ミーーーーー」と
警報が鳴り出します。
「外を見て姿勢をキープして!」教官は言います。しかし高度と速度が気になり 目は計器をにらんだまま。
「方位ずれてるよ!」またまた教官です。
高度と速度だけに気をとられると針路がおろそかになり、とんでもない方向に向かって飛んでいきます。
ここで先刻の前方目標が重要になってきます。
「ハイ上昇して」
この速度のまま上昇します。上昇だからといって操縦桿を引いてはいけません。パワーを足し姿勢を変えないように上昇します。
「もっと右ラダー」
パワーが上がるとプロペラ後流も大きくなり、かなり右足を踏んでやらないと機首が左へ左へずれていきます。
この右ラダーが曲者。
極端な例は、左旋回するときに、普通なら左ラダーを踏む訳ですが、上昇しながらの場合は左を踏むのでは無く「右を少し緩める」といった感じになります。
最初のころは右ラダーを踏むことばかり頭にあり、ついつい踏んだら踏みっぱなし。
降下の時には「右ラダー 強い!」としかられます。
車には無く初めて経験する『ラダー』。
最初のうち(今でも)、頭で考えている間は「どっち踏むんだっけ?」と迷いだし機体は思うとおりに動きません。
これを克服できるのはいつの日やら。
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コンピューターと言ってもパソコンではありません。
飛行機のナビゲーションには欠かせないプラスチック製の「計算尺」のことです。
たかが「計算尺」と侮るなかれ。
直径10センチ程度の丸い部分を、回したりスライドさせたりして目盛りを読んで、横風を受けた場合の針路や速度を簡単に割り出し、そのほか燃料計算や温度の計算にも欠かせません。
お値段も2万円と高級関数電卓より高価です。
速度×時間=距離 なんて簡単な計算も機上ではこれでやります。
「何で電卓使っちゃいけないんですか?」教官に聞いたことがあります。
その答えは「電卓は電池が切れるし壊れるから認められません」でした。
もっともこれはライセンスの実地試験での基準。
そういえば測量関係の某国家試験も、数年前までは電卓は持ち込み禁止で「そろばん」のみ持込可でした。
その後この国家試験も「電卓持ち込み可」になったので 飛行機の実地試験でも電卓可になってくれないでしょうか。
実地試験でGPS使う日が来るかもしれません。
このコンピューターに紐をつけ 首からさげて操縦席に着きます。
使うときは片手でグルグル。思わず両手を使うと、「操縦桿から手を離したら危険操作で失格!」と言われてしまいます。
この他に「チャート」(航空地図)も片手でなくてはなりません。
計算に気をとられると飛行機はアサッテの方向に飛んで行き「ちゃんと外見なさい!」と教官に怒鳴られます。
一輪車に乗って、お手玉しながら算数の暗算をする技術が必要です。
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「アラインさせなさい!」 と着陸のアプローチ中に教官に怒られます。
一口で言うならば、滑走路の延長線上に機体を乗せなさい。 と 言うことです。
『滑走路の中心線をイメージで自分の所まで伸ばして、その線を自分でまたぐ』
と教科書には書いています。
色気を出して機体の中心をセンターラインに合わせようとしてはいけません。
左の画像(シミュレーター) 機体の中心と自分の座る位置ががずれているので、なんとなく違和感がありますが これで合ってます。
遠くに見える滑走路の白線を自分まで延ばすのは至難の業。
「何度同じこと言わせる。 横着するなアラインさせろ」 とまたまた教官の怒号。
(別に横着している訳ではありません、これでも自分では合わせてるつもりなんです。) と言いたいのをこらえて、教官の顔色をうかがいながらチョイチョイと修正します。
最初の頃は教官に内緒で、エンジンカウリング(車のボンネット)の上に線を引いてみたり、フロントグラスに印をつけたりしてました。
戦闘機のように照準器があればどんなに楽かと思いました。
自然に理解できるようになったのは着陸回数が200回を超えてから。
特に機体を意識することなく、自分の体でラインに乗れるようになってきます。
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この着陸方法は、滑走路の手前に障害物がある場合や滑走路が短い場合に用いる着陸方法です。
いつもなら3度から4度の角度で進入しますが、この場合は5度で進入。
たった1度の差ですが、見ると 「高いなー」と感じます。
いつも500ftでファイナルターンするところを 600ftでターンし、スピードも普段65ノットのところ 55ノットで進入。
55ノットとなれば失速までの余裕はたったの10ノット。
気流が悪いときは「ミッ、ミーー」と失速警報が断続的に鳴り出します。
機体も機首を上げてアップアップの状態で飛ぶため、操縦席からの視界も悪くなります。
怖いのであまりやりたくないのですが、試験科目なので練習しない訳にはいきません。
「姿勢変えないで、高度はパワーでコントロール」 と隣の教官に注意されます。
ついつい怖いので機首を下げスピードをつけてしまいます。試験では失格です。
「パワーで吊って」とも言われます。
上手い表現です。 機首上向きの姿勢は変えず高度が下がればパワーを足し、高ければ絞ります。
普通の着陸では滑走路の端でパワーをカットし接地まで惰性で飛行します。
しかしショートフィールドの場合、ギリギリの速度で飛んでいるため、いきなりカットしたら「ドシャ〜ン」と落ちる事になります。

スロットルをジリジリと絞って、ここぞと言う時にパワーをカットし接地させ、ブレーキ効果を高めるためフラップアップ。
速度が少ないのでブレーキを掛けると滑走路の半分以下(300メートル)で止まります。
向かい風が強いと200メートルでも止まれそうです。
そこで考えました。 「セスナで航空母艦に着艦できないだろうか?」
さっそくシミュレーターでやってみました。
航空母艦に30ノットで走ってもらい、向かい風を作ります。
55ノットでアプローチして艦尾ギリギリに着艦。制動フックが無いので、すかさずフルブレーキ。
なんとかなるもんです。
次回の訓練は、航空母艦に降りるつもりで気合入れて頑張ります。 |