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| 建築屋日記 | |
| 夜逃げ | 借金が払えず夜逃げした後。住んでいた家はどうなるのか |
| 用途地域 | 土地には、場所により建ててはいけない建築物があります |
| 現場で火事 | ラブホテルの工事現場で火災発生 |
| オプション工事 | ハウスメーカーでの建築は |
| 土地の値段 | 開発現場の土地値はどうやって決める? |
| 建売住宅が安いわけ | 最近の建売住宅はなぜ安く売れるのか? |
| 家を買うときの注意点は | 家を買うときは周りの環境に注意 |
| 手抜き工事業者との対決−1 | 知り合いの家がなんと手抜き工事で大揺れ。工事業者との補償交渉はどうなる? |
| 手抜き工事業者との対決−2 | いよいよ対決の日です。結果は? |
| 手抜き工事業者との対決−3 | なんと、ケリがついたはずだったのに、建設業者が逆切れ? |
| 手抜き工事業者との対決−4 | ようやく決着か。 |
| 緊急特集 建築士の構造計算書偽造事件について |
| 夜逃げ |
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| 用途地域 |
| 土地には用途地域というものがあり、規制により建てられる物と建てられない物があります。 「第1種低層住居専用地域」から「工業専用地域」まで12種類に細かく分かれ、面倒な規則で縛られます。 住居専用地域にパチンコ屋や高層マンションが無いのはこの為です。 そんな用途地域で失敗したお話。 ある地主さんから「倉庫」の建築を頼まれ設計を始めました。 最初にやることはこの「用途地域」を調べ予定建築物の可否を検討します。 この用途地域。 簡単に調べるのは市や区が発行している「都市計画図」を見ます。 地域ごとに色分けされたカラーの地図です。 しかし、このカラーが見にくい。 12種類の地域が 薄い緑・緑・黄緑・深緑などと不親切に似通った色で分かれていますが、地図が古くなると色あせして同じ色に見えてきます。 今回の土地。 調べてみると「第2種中高層住居専用地域」という長ったらしい名前の地域。 建築基準法では倉庫は建築可能になってます。 予定通り設計して「建築確認申請」を行政に提出します。 この申請が許可にならないと建物は工事をすることができません。 さて、急いで書類を作り提出して数時間後。会社に帰った私のところに行政の担当者から電話がありました。 「先ほど提出されたJさんですね」 こんなときの電話はろくなことがありません。 「先ほどの倉庫の申請ですが 受付できません」 「・・・ええっ? 何でですか」 たんなる訂正や記入漏れは良くあることですが、受付できないとはどういう訳でしょう。 「ここの用途は 2種じゃなくて1種中高層です。倉庫は建てられませんよ」 「・・・・・・・・」 参りました。どうやら色あせた地図を見て緑と薄緑を見間違えたようです。 しかし、いまさら地主さんに「倉庫はできません」とは言えません。 こんなとき。頭の回転は超特急に早くなるものです。 左手で受話器を持って、右手で建築法規の「虎の巻」をめくります。 「受付できませんので 取り下げに来てください」 「・・ちょっと待ってください ・・・これは・・・これは 倉庫じゃなくて車庫です」 第1種中高層住居専用地域は倉庫は建築不可能でも、なぜか車庫は可能なのです。 「車庫って 申請書には倉庫って書いてるし 図面はどう見ても倉庫じゃないですか」 「いや、それは書き間違いです、車庫のつもりが間違って倉庫って書いちゃったんです」 とんでもない言い訳ですが、押し通すしかありません。 「これからすぐ訂正にお伺いします」 あわてて車を飛ばして書類と図面の訂正に行きました。 どう見ても倉庫の図面に 取ってつけたように車の絵を書いて「車庫」と記入。 「この奥は倉庫ですよね」 担当者はしつこく聞いてきます。 「いや これは車の部品を置く場所で あくまでも車庫の付属です」 「車庫にキッチンがあるんですか?」 「これは車を洗ったあと手を洗うんです」 「こんな奥に車が入るんですか?」 「ここはバイク置き場です」 「本当に車庫ですね」 「本当に車庫です」 なんとか許可はおりて、建築工事も無事に完了。 このあと車庫に荷物を保管するかどうかは、地主さんが決めることです。 (注) 最近はネットで用途地域が検索できて、こんな失敗はなくなりました。 また確信犯で倉庫で申請して、許可後に規制のもっと厳しい工場にするなんてこともあったような・・・。 |
| 現場で火事 |
| だんだんとバブルの化けの皮が剥がれ、そろそろ景気が悪くなってきた10数年前。 自分の会社で設計したラブホテルの建築会社が倒産して工事が中断。 仕方が無いので会社から現場監督として私を含め3名が現場に出向することになりました。 私のいた会社は建築の計事務所。 建設会社ではないので、いわゆる建設免許はもたず、早い話がモグリの監督でした。 このラブホテルは鉄筋コンクリート4階建て。 コンパネと呼ばれる型枠を組んで、その中にコンクリートを流し込みます。 1階作るのに約4週間。 これを4回繰り返して4階建ての原型が完成します。 コンクリートが固まるとこの型枠をはずします。 現在は経費削減がうるさく、各階使い回しをするのですが、当時はそんな事は考えず1階外すごとにバンバン捨ててました。 外した型枠は現場の空き地に山と積むことになります。 その量は半端じゃなく、それだけで建売住宅が1戸造れそうな分量です。 当時はダイオキシン問題など関係なく、山と積まれた型枠を少しずつ崩し、隣に寄せてガンガン燃やしてました。 そんな ある日。 いつもどおり朝8時に現場に出社です。 いつもなら職人さんが仕事の準備をしているのですが、今朝は違います。 それになんとなく現場が広くなったような・・・・ 私を見つけると先に来ていた親方が飛んできました。 「監督さーん。 あれ見てよ」 親方の指差すほうを見ると、昨日山と積んであった使い古しの3階の型枠がまったくありません。 「あれ 親方あ 型枠片付けてくれたの」 邪魔な古い型枠を処分してくれたのかと思ったのですが、その隣においてある、これから4階で使う新品の型枠までありません。 「親方あ 4階の型枠は?」 「なに呑気な事言ってんだよ。昨日の夜全部燃えちまったんだよ」 「・・・・・・・」 親方の話によれば、昨夜遅く型枠から火が出て、古い型枠と新品の型枠が燃えてしまったとの事。 当時は職人が現場事務所に勝手に住み込んでいたので、その職人から親方に連絡が行き、自分たちで消火しようと思ったものの手が付けられずに消防車を呼んだと聞いてビックリ。 なにせこちらは無免許のモグリ監督。 保険やら労災やらの話になったらゴメンナサイでは済みません。 おまけに現場の隣は建築に反対していたウルサイ親父がいる一般住宅。 「どうしよう・・・警察が来たら『僕はバイトなんで何も知りません』ってとぼけようか」 何とかしなきゃと、あわてて近所の酒屋で1升ビンを買い、消防署にお詫びに行きました。 当然、酒1升だけでは誤魔化しきれず、コッテリしぼられ始末書を書かされたうえ、「これを貼っておきなさい」と『火の用心』のポスターをたくさん持たされてしまいました。 原因は私が前日帰るときに、隣で燃やしていた廃材の火を完全に消さなかったため、数時間後に隣に移って発火したと考えられます。 『ラブホテル建築現場で火災・近隣の反対を押し切って建築・建設会社は無免許・原因は監督の過失』 新聞記事が目に浮かびます。 「参った〜・・・もうだめだ〜」 これでこの現場も会社も終わったと思いました。 しかし。 今考えると大変な事件なのですが、当時はおおらかだったのか場所が田舎だったからか、なんとこの後不思議とおとがめなし。信じられません。 今なら 警察・労働基準監督署・建築課などから痛い目に会うのは必至です。 消防署からの帰りにもう一度酒屋に行き、今度は初期消火に頑張ってくれた職人さんのために酒を買いました。 数時間後。 現場事務所で事務処理をしていたところに親方がやってきました。 「監督さーん。だめだよ あの連中に酒やっちゃー」 昨夜頑張ってくれた職人さんたち。 酒を手にしたとたん昼前から酒盛りになり、午後の仕事ができないほどすっかり出来上がっていました。 「まあ、今日はしょうがないか・・・」 |
| オプション工事 |
| 「もしもし、私、建設会社に家を頼んだんですが、約束どおりに造ってくれないんです」 と、私の勤める会社にご婦人から電話がありました。 私の勤めていた会社名は公的な機関と紛らわしい名前のため、こうした相談事やクレームの電話が良くかかってきたもんです。 「坪50万円で頼んだのに、どんどん追加になるんです」 ご婦人の話を要約すると。 坪当たり50万円で30坪。1,500万円の住宅を注文したのだが、窓1つ、ベランダ1メートル延長、などの他 軽微な変更で次々と高額の請求をされたとの事。 ハウスメーカーで注文すると良くあるトラブルです。 ハウスメーカーの「1棟 1,000万円!」 と言うのは本当に基本プランの家だけの価格。 門やフェンスは当然別途工事。 「お宅の場合、道路から住宅本体まで3メートル離れているので、この3メートル分の水道管とガス管の工事は追加料金となります」 このように道路の水道本管から家までの引き込みの数メーター分も追加料金となります。 ラーメン屋で「お客さんすいません、ウチはワリバシ別料金で50円いただいてます」 という店があるでしょうか。 メーカーも基本プランだけでは商売になりません。 オプションが増えればそれだけ利益につながります。 『香港2泊3日 格安29,800円!』 で香港に行ったら、オプショナルツアーをさんざん勧められ、指定された土産屋で買い物をさせらるようなものです。 もっともハウスメーカーも勝手に工事するわけでなく、契約前に追加分はちゃんと説明するのですが、お客さんはあまり聞いていないようなので悪いのはお客さんなんですが。 「部屋が狭くなったのに、逆に追加って言われたんです」 と電話のご婦人。 「狭くなったって どういう訳ですか?」 「窓際の天井が斜めになってるんです」 ああ〜なるほど。解りました。 東京都では建設場所によって「第1種高度斜線」という地域があります。 住宅地で自分より北側にある住宅に太陽をを当ててやるために、北側の屋根を削らなくてはならないという規制です。地面から5メートル上がって 10:6の勾配で斜線が上がり、これを超えては建築できません。 そんなわけで 北側窓際の天井が一部斜めに削られるわけです。 さて 電話のご婦人の場合。 勝手に削られ部屋が狭くなった上に追加料金を取られるのは納得できないとの事ですが、これは仕方ありません。 ハウスメーカーの場合、基本料金で建つ住宅はデッコミヒッコミの無い建物。 このように変形する場合は狭くなっても「追加」と解釈されます。 当然これも事前に説明があるはずですが、2次元の図面では素人さんには解る訳ありません。担当の営業マンか設計士がちゃんと説明すべきです。 メーカーの場合、この種の追加工事は必ず発生します。 敷地が傾斜しているので ウン万円 (平らな土地なんて無い!) 窓を1箇所大きくしたら ウン万円 (これくらいサービスしろ!) ベランダを延長したら ウン十万円 (そんなにかからない!) 洗面台1箇所追加で 十数万 (実際の施工費の数倍!) 押入れ無くして ウン十万 (逆に安くしろ!) よく考えて契約しないと、結局は地元の工務店に頼むより最終的には高くなってしまう事もあります。 住宅メーカーや工務店選びは、事前に充分に検討にしましょう。 |
| 土地の値段 |
「なんでウチが坪60万なんだ。隣は坪100万で売ってたぞ」 ある地主さんのところで土地を買う交渉中に、地主さんが言った言葉です。 100万円と言うのは最終的に一般のお客さんに売るエンド価格のこと。もちろん道路に面しておりインフラの整備も完了しています。 今回こちらは荒地を買うのだから同じに思ってもらっては困ります。 今回900坪を坪当たり60万円で買いました。 5億4千万円になります。 これが線を引いて分けただけで9億円になれば何の苦労もいりません。 開発現場はこれからが大変。 まず市や都に開発申請を行います。 ゴミ置き場や道路の幅にも細かい規定があり、開発業者の自由にななりません。 土地を平らにならし、ガス・水道・電気を引き、道路を舗装し下水管を入れます。 雨水の浸透枡や防火水槽も必要になる場合もあります。 市によっては公園を作れだの緑を植えろだの金のかかることを言ってきます。 5億4千万で買ったこの土地には次の経費がプラスされます。 開発設計費 500万円 開発工事費 5000万円 税金・登記 1000万円 金利 500万円 仕入・販売経費 5000万円 利益 4000万円 合計すると7億円になります。 元の900坪で7億なら坪当たり77万円ですが、900坪の土地から道路・ゴミ置き場等で約2割は取られてますので残ったのは700坪。 結局エンド価格は坪100万円になります。 決して安く買って高く売っている訳ではありません。 しかし逆の場合もあります。 「ウチの隣のAさんが、おたくに売ったそうだが、俺んとこも買ってくんねえか」 そう言って条件の良い土地を売ってくれるオイシイ話もあります。 そんなときはAさんとの契約書を見せて、「内緒ですがAさんからは坪60万円で買ってます、お宅様は条件が少し良いので坪65万円で買いましょう」 土地の価格は近隣との比較だけでは決められません。 売り買いの時には複数の意見を聞いて充分検討しましょう。 |
| 建売住宅が安いわけ |
| 私の勤めていた会社は建売住宅の販売を行っていました。 2000年ごろの相場は多摩地区の郊外の物件で、 土地35坪×80万円+建物25坪×50万円=原価4,050万円。 これに経費や利益を乗っけて 「販売価格4,980万円から」と、うたってました。 これが3年前には販売価格3,980万円となり、2年前には3,480万円。 ついに昨年2,980万円が登場し、これに対して私の会社は対抗手段無しと判断。 結局会社倒産となった訳です。 最近の情報では2,480万円も登場しており、いったいどんな建物か不気味です。 さて、なぜこんなに安く売る事が出来るのか? もちろん土地価格の下落で仕入れがしやすくなったことが1番の要因です。 坪80万円の土地も坪50万円になりました。 大地主さんには悪いですが、土地が安くなるのは良いことで不動産会社もお客さんも得をします。 しかし、ここから先が問題です。 土地価格の下落だけでは「ニッキュッパ」なんて価格にはなりません。 ここ数年で大きく変わったのは建物の工事費。 住宅建築は工程が複雑で、色々な業種の職人が出入りするため人件費がバカになりません。 工事は最初に「基礎屋」が基礎を造り、「大工」が柱を立て木工事を完成。 平行して「設備屋」「電気屋」が入り、仕上げで「クロス屋」が内装のクロスを貼ります。 外壁は「サイディング屋」「タイル屋」「左官屋」が仕上げます。 最後に「外構屋」がフェンスや門を作って完成。 ここまでちゃんとした職人が関係すると工事費は坪あたり 安くても40万円から50万円。 このような複雑な工程が建築費が下がらない要因で、この人件費を抑えるために「何でも大工」が何でもこなせば当然安く仕上がるどあろう、と考えた建売会社があります。 最初に若い人や転職組を短期間の養成で「何でも大工」に仕上げます。 今まで大工の日当はおおよそ業界で決まっており、最近では日当2万円が東京多摩地区の相場です。 (バブルの頃は4万円でしたが) ところが短期養成の「何でも大工」は日当1万から1万5千円。 おまけにその日当でサイディグも貼れば少々のタイルも貼ります。 人件費は大幅にカットできます。 仕上がりの良さはこの際関係ありません。 材料も安くなりました。たとえばアルミサッシ。 某大手建売屋さんはサッシメーカーに自社用のサッシを特注で作らせます。 特注と聞けば高く感じますが、この場合は同じ規格で大量生産させ一括購入するため逆に安くなります。 さらに裏技で、サッシのアルミを薄く作り、これでさらに安くなります。 「A建設のサッシは『Aスペシャル』と言って、アルミの肉厚が薄いんだよ。だから取り付けのときに気をつけないと、ねじれてしまうんだ。」 と知り合いの大工に言われたことがあります。 工期の短縮も工事費削減になります。 「工程75日」と決めたら、雨が降ろうと槍が降ろうと工事を続けます。 人間が濡れるのは構わないのですが、基礎のコンクリートは実は雨には非常に弱いものなのです。 雨の中、ミキサー車が着いてコンクリートを流している現場を街中でたまに見かけます。 本当に大丈夫なんでしょうか? コンクリートを流している間は、雨に濡れると強度が出ません。 極端な話「骨粗鬆症」の基礎になります。 (注1)もちろん、ブルーシートで養生して施工する良心的な業者もいます。 (注2)コンクリートは固まり始めたら逆に水が必要です。夏は散水する事もあります。 また、大工の工事もやり直しの時間がありません。少々不具合が出てもそのまま工事を進めます。 ボードやクロスを貼ってしまえば壁の中は見えませんから。 さて、そんな訳で今年の相場は建築坪原価30万円。 土地35坪×50万円+建物25坪×30万円=原価2,500万円。 経費と利益を足して「販売価格2,980万円」の完成です。 これを買うお客さんも、このあたりを理解して購入していただければ良いのですが、クレームも多いようです。 高級レストランで1万円のステーキ。当然美味しいです。 我が家が良く行く格安ステーキ屋「どん」1,980円。これも美味しいですが1万円には負けます。 しかし、「どん」で「まずい!」とクレームを言うお客さんはいません。 建築だって同じなんです。 仕上がりが気になる方は、多少のお金を出しても建築士に設計監理をまかせ注文住宅を建てたほうが無難です。 また「3千万も出して家を買ったんだぞ」と、言うお客さんもいます。 ですがそのうち土地の値段が大半で、建築原価は700万程度。シーマやセルシオと変わりません。 ところでこの2,980万円の建売。販売会社の儲けは100万円程度です。 「端数切って2、900万円にしてくれ」と言うお客さんもいますが、値引いたら儲けが無くなります。 勘弁して下さい。 |
| 家を買うときの注意点は |
| 「もしもし、久しぶりだなあ」 と懐かしい友人から電話があると、用件は大体決まっています。 「実は今度、家を買うことになって。それで君に見てもらいたいんだが」 こんな仕事をしているので、建築や不動産の相談の電話は良くかかって来ます。 そこでいつも言っていることは、建物本体を見るのは当然ですが、周りも良く見る事。 特に臭いや騒音は、昼間では分からないことがあります。 1・「季節が変わって風が変わったら、遠くの養鶏場の臭いがしてきた。」 2・「飛行場の近くを買ったのだが、半年後に急に飛行機がうるさくなった」 3・「近くの工場の騒音が聞こえる」 4・「しばらくして南側の空き地に、マンションが建って日当たりが悪くなった」 など、後になって後悔しても遅いのです。 上記1番は良くある話です。 冬の北風のときは臭わなかったが、春になって南風になると急に臭くなったりします。 契約の時の重要事項説明では、近くの養鶏場・養豚場などの施設は説明の義務がありますが、遠くの施設に関しては全てを書くわけには行かないので省略します。 また、個人の養鶏やハト小屋はどんなに近くても報告義務はありません。ご注意ください。 臭いは風に乗って遠くからもやってきます。 住宅地図で周りを確認するか、自転車で走ってみましょう。 2番は、実は自分の会社の事。 某飛行場の近くで建売住宅を販売しました。 もちろんお客さんには「この方向××キロに○○飛行場があります」と説明しています。 お客さんも気になったようで、長い時間かけて飛んでいる飛行機を眺めていましたが、 「まあ、これくらいの音なら」とご契約いただきました。 しかし引越しから数ヵ月後。 「最近、飛行機の音が気になりだしたので、防音工事をしてください」と、電話がありました。 お客さん自ら、あれだけ時間をかけてチェックしたのに何故でしょうか。 実はこれも風向きです。 飛行機は風に向かって離着陸するのが大原則です。 冬に多い北風の日は、滑走路の南側は着陸進入なのでエンジンを絞って静かに降ります。 逆に北側はエンジン全開で離陸するので騒音が大きくなります。 そのうち季節が変わって春になって南風になると、反対に南側が非常にうるさくなります。 残念ですが契約の時はそこまでは説明しません。 営業マンもそんなことまでは知りませんが、 「風が変わる前に売ってしまえ!」と考えている会社もあるのでご用心。 さて、3番目。 住宅の現地販売会は週末に行われます。 週末は工場も休みの場合が多く、見学会の当日では気が付かないことが多いです。 近隣の工場の操業日や、トラックの搬入日を調べた上で販売会を開催する不動産屋もあります。 現地で営業マンに聞いてみましょう。ご自分でチェックすることもお忘れなく。 最後の4番目。 日当たりが良く喜んで買ったものの、数年後には隣に建物が建ち、日が当たらなくなってしまうと言う事は良くあります。 住宅地域系に建つ一戸建てなら高さ制限や斜線制・日影規制があるのである程度保護されますが、商業地域系のマンションはお互い様と言うことで日影の規制はありません。 「このマンションは南側に2階建住宅があるだけなので、下の階でも充分に日が当たる」と思って買うと、数年後に2階建住宅が取り壊されて高層のマンションが建ち、自分の部屋には日が当たらなくなります。 自分の南側の地域や高さ制限を事前にチェックしましょう。2階建てが建っていると言っても商業地域系の場合があります。その場合は専門家に頼んで、隣の土地に最高で何階まで建つか簡単に設計してもらうのも良い手です。 実は私の自宅はマンションの9階です。 購入時には南側の地域や、市の指導要綱を調べました。 南側は駐車場と複数の一戸建てが建っているのですが、最悪、この土地が将来的に開発され一筆になった場合でも、最高でも8階程度しか建たないと判断したからです。 また土地登記簿で所有者も調べ、複数の所有者に分かれていることも確認しました。 所有者が別れていると大きな建物は建てにくくなります。 ついでですが、阪神大震災の直後だったので活断層も調べ、図面を見て構造計算も簡単にやってみました。 販売事務所の営業マンは不審な顔をしていましたが・・・・ 最近はこのような下調べを代理でやってくれる建築コンサルタントや設計事務所もあるようです。 |
| 手抜き工事業者との対決−1 |
| 「子供が机で消しゴムかけると、家が揺れるんです。見に来てください」 と、知り合いのSさんから連絡をもらいました。 消しゴムで家が揺れるなんて大げさな。と思いながらも心配なので急いでSさんの家に行くことになりました。 郊外の住宅地に建つ、木造3階建て、買ったばかりの新居です。 「さあどうぞ、中へ中へ」 Sさんに案内され、3階の子供部屋へ。 「じゃあ消しゴムかけますね」 Sさんが子供机の上で消しゴムをかけると・・・・ 「・・・えっ? 地震か?」 なんと消しゴムの動きにあわせて家全体が揺れます。 消しゴムでこれなので、ためしに柱を押してみると、ユッサユッサと家は大きく揺れ始めます。 この揺れ方は半端じゃありません。 在来工法の木造住宅には、柱と柱の間に「筋違(スジカイ)」という斜めの部材が入り、これで横揺れを止めることが出来ます。 木造3階建ての場合は、構造計算をおこなって筋違の位置や大きさを決定します。 この計算書は建築確認申請を行う場合に必要な書類で、役所や検査機関に提出します。 (規模は違いますが、例の偽造事件で有名になった「構造計算書」です) ![]() 上の写真は別の新築現場。 今回の場合、計算は合ってるようですが、実際の施工で手を抜いた恐れがあります。 壁や天井を張ってしまった後では、確認のしようが無いのですが、今回は仕方がありません。 「天井に点検口を開けましょう」と天井に数箇所穴をあけます。 そこから天井裏をのぞいてみると・・・・ 「あれっ? ここ筋違が入ってませんよ!」 設計図にはっきり書いてある位置に、筋違がありません。 さらに図面どおりに入っていたと見えた筋違も、よく見たら固定のプレートがガタガタ。 指で簡単にビスやナットが外れます。 「Sさん。これじゃあ揺れて当然です」 おまけに、「あらら〜 これじゃ梁成が足りません」 なんと図面では24センチあるはずの梁成(梁の高さ)が18センチしかありません。 梁の場合、幅はともかく高さを縮めると強度が大きく落ちてしまいます。 建築確認書や計算書を基に、現在の状況を入力しなおして耐震診断をすると、新築なのに判定は「0.8」 これはいわゆる手抜き工事なのですが、不思議なことに役所の「検査済証」が発行されています。 おそらく役所は検査の時に気がつかなかったのでしょう。 「Sさん、このままだと危険なので、設計会社・販売会社・建築会社それに検査した役所も呼んで、今後の補償について話し合いをしましょう」 規模は違いますが、例の事件と同じです。 夕方のTVでよくやっている「欠陥住宅特集」も頭に浮かびます。 「さて、どうやって交渉すれば、Sさんにとって一番良い結果になるか・・」 皆を呼んで対決する前にSさんと綿密な作戦会議が必要です。 続く |
| 手抜き工事業者との対決−2 |
| 業者との対決の日。 「Sさん、どうすれば気が済みますか?」 事前にオーナーSさんの希望を再確認します。 この場合対処方法としては、次の方法が考えられます。 @ 契約解除で全額返金+慰謝料の支払請求。 簡単な補修程度では済まされない場合、この対応になります。 例の偽造マンションがこれになります。 A 完全なる補修 一般的に、補修で済む場合は構造を再計算して不良箇所を補修します。 当然その間はオーナーに迷惑をかけるので、+慰謝料も発生します。 B 金銭で解決 補修工事が軽微な場合や、オーナー自ら他業者に発注する場合、その費用を払ってもらいます。 自分の信頼できる業者に任せたい時や、自分で直してしまう場合がこれです。 本当に軽微な場合は、お金だけもらって工事をせずに、他の事に使っても問題ありません。 今回のSさんは、引越しも面倒なのでとAの全面補修を希望したので、こちらも希望の方向に話を誘導します。 会議の参加者は 販売業者・建築業者・設計事務所・そして意外にも役所の建築指導課が来ました。 役所がこのような席に来るのは珍しいのですが、最近の偽造事件でかなりピリピリしているようです。 役所としても「完了検査」の見逃しがあったので責任は重いのです。 まず初めに、役所に検査の内容を確認します。 「検査された方は、筋違や梁成を見逃したのですか?」 「いや・・・短い時間なもので・・・設計監理者を信用して・・・・」 たしかに建築士が設計監理報告を出すので、役所としては書類の不備をチェックする程度。 数分の検査で全てチェックできる訳がありません。 ここであまり役所をいじめると、あとで別の物件でしっぺ返しを食らうので、ここでは貸しを作っておきます。 施工会社は 「大工が独断でやった。大工の勘違いだ。」と大工さんを悪者にします。 設計事務所は 「困りました・・・」と責任を認め、早くも対応策の計算を始めます。 販売会社は 「まったくの勘違いです。本当にわざとじゃありません」と 偽造マンション等とは違うことを、 何度もアピール。 結局、各社とも言い訳を言ったものの、こちらの主張が当然勝ち、希望通りに全面補修の約束をもらいました。 工程として @ 内装を一部壊し、現況の構造を再確認。 A プレート等のナットは全て締めなおし。 B 筋違の足らないところは、構造用合板等で補強。 C 梁の足らないところは、別の部材を抱き合わせて補強。 D 工事後は構造を再計算し確認する。 E 上記の報告書を役所に提出。構造変更として変更届を提出する。 かなりの大工事。施工会社にしてみれば数百万円単位の出費です。 なかなか上手くいきそうですが、実は問題は Eにありました。 役所は一度下ろした「完了済」の証書は、たとえそれが間違いでも変更できないとのこと。 変な話ですが、このまま危ない家に住むのが合法で、補強して構造を変えると「違法改造」で非合法になるのです。 しかしここで改造にも役所のお墨付きをもらわないと、Sさんが今後この住宅を転売する時に、非常に不利になってしまいます。 仕方が無いので役所と交渉し、「変更届の提出と受理」で決着をつけました。 これなら公的な書類として将来的に残ります。 さて、今回の交渉はスムーズに進みましたが、じつはこの施工会社と大工さん。この近辺で数軒同じような3階建てを建てています。 「他からはクレーム無いんですよ」 と言ってましたが本当かな? お客さんを上手く言いくるめたんじゃないのかな? |
| 手抜き工事業者との対決−3 |
「じゃんぷらんさん。ウチに来てくださいよ」 しばらく経ってSさんから電話がありました。 「ああ〜Sさん。補修工事終わりましたか?」 「とんでもない。まだ工事終わってませんよ。そんで工事業者とケンカして、ほったらかしです」 スムーズに進んだかに見えた前回の打ち合わせ。 あれから2ヶ月。補強工事ももう終わった頃だと思ってました。 ところがなんと、建設業者が逆切れ。 @ 建物を一部解体しての全面的な構造補強。 A 役所に対する変更届。 B 耐震強度の再計算で問題なきことを証明。 これが我々の要求でした。 しかし、打ち合わせの席上一旦は了解した工事業者ですが、実際はやる気も無く、 「今工事をすると、ご迷惑おかけして奥さんも大変でしょう」 「計算が難しいんですよ」 「すぐに壊れる訳じゃないから」 言い訳にもならない言葉を並べ、なかなか進みません。 再三再四の催促に、ようやく補修工事を始めた業者は、いい加減な補修を繰り返し、怒ったSさんはついに建設会社の社長と大喧嘩。建設会社社長は逆切れしてしまったらしいのです。 現場に行って見ました。 「見てよ じゃんぷらんさん」 なるほどSさんの言うとおり、一応補修はしてあるのですが、まるでいい加減。 壁紙は雑に切り裂き、パッチをあてたような補修。 「こんなところに柱立てて、補強のつもり?」 まったく意味不明の構造補強。構造計算無視です。 建設会社に電話をしました。 「新規に構造計算はしましたか?」 「・・・・・・・」 「役所に変更届、出しましたか?」 「・・・・・・・」 答えられる訳がありません。 再計算すれば、ほとんど作り直すくらいの大工事になります。 「じゃんぷらんさん。しかたありません。出るとこ出ましょう」 Sさんはついに裁判を決断。 「いや、待ってください。 その前に慰謝料の請求書を送って、それから決めましょう」 長引く裁判より、裁判をネタに現金をもらった方が早いと考えたからです。 裁判している間に、大地震でも来たらおしまいです。 「Sさん。私が請求書の原案を書きますから」 さて、いくらにしようか。 @ 工事はこちら側で別会社に発注するとして、その見積もり。 A その間の仮住まい家賃。 B 当然慰謝料 C 建物の資産価値が落ちるので、その補償。 D 忘れちゃならない、第3者耐震診断費用 (これが、じゃんぷらんの報酬) 当然、数百万円になりますが、不動産会社にしてみたら、裁判起こされてイメージが悪くなるより、 金で解決したほうが嬉しいはずです。 もちろん金額は妥当な数字で、脅しではありません。 Sさんは、私の書いた請求書に若干の上乗せをして、不動産会社に送りました。 返事はまだ帰ってきません。 |
| 手抜き工事業者との対決−4 |
「じゃんぷらんさん。業者から金額の提示がありました」 と、Sさんから電話がありました。 こちらからの請求額の6割程度でしたが、業者も逆切れ状態。Sさんも疲れ果て。 これ以上は面倒だと判断し、この条件をのむことにしました。 しかし、これで一件落着と思っていたら、またまたSさんから電話。 「業者が送ってきた合意書の内容が気に入りません」 お互いで取り交わす合意書の条文を良く見ると、なるほど業者の反省が見られません。 @ 補償工事は完了 A 補償料○○○万円を支払う B お互いにこれ以上文句は言いません。 と言った内容が書かれていましたが、これではSさんが、単にクレーマーのような内容です。 そこで合意書に下記の内容を追加してもらうことに。 @ 今回の原因は業者の違反建築にある。 A 今回の場所以外の保証は、購入時の契約どおりとする。 @はこちらが被害者であると言う事を、文書ではっきりさせるため。 Aは、契約時には構造体10年保証、それ以外は1年から2年保証となっていたため、 今回のどさくさにまぎれて忘れられるのを防ぐため。 思ったほどの金額は請求できませんでしたが、一応構造の補修は完了。 慰謝料もそこそこ請求。 まあ、こんなもんでしょう。 それにしても気になるのは、この業者の建てた住宅が沢山あること。 ほかの住宅でも同様の手抜きがありそうですが、文句が出てないのが不思議です。 |