| フライングクラブ競技会参加報告 |
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| 第1章 こんなんで飛べるのか? |
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私の所属するフライングクラブの先輩から、仕事中に電話があったのは競技会の1週間前。 「参加者が足りないんで、競技会に出てくれる?」 競技会とは、セスナで着陸の腕を競う競技。 滑走路にハシゴ状に線を引いて 10点 9点 8点と区分け。 車輪がついた位置の点数が高いほうが勝ちです。 まあ、飛行機のダーツでしょうか。 3回の異なる着陸方法で降りて、総合得点で競います 参加資格は、単独飛行可能者以上。 つまり、私のような無免許でも、隣に教官が乗るので、訓練の名目で飛ぶことができます。 ただし、教官は一切操縦しないので、「最低でも1人で飛べる人」の条件はありますが。 実のところ最近、体調やら仕事やらお金やらを言い訳に 、操縦桿を握らなくなって1年以上。 いきなり競技会に出る腕は無いのですが、また飛べるとなったら体に操縦感覚がよみがえってきて 「出ます!」と答えてしまいました。 さあ、「出ます」はいいのですがこれからが大変。 1週間で操縦を思い出さなきゃなりません。 そこで考えたのが PCのフライトシミュレータ。 これで感覚を取り戻し、手順を復習します。 会社のPCに マイクロソフトのフライトシミュレーターをインストール。 オプションの「関東シーナリー」も追加。 競技会場の「本田エアポート」も実写のように鮮明に再現されています。 とにかく覚えるのは基本的な手順。 離陸の手順 タワーに無線入れて・・・エンジンチェック・・・誘導路を通って滑走路に入り・・ 「あっ! ここで無線入れるの忘れた」 滑走路に入ったら、白線をまたいで離陸準備。 またまたエンジンチェックと計器チェック。 「テイクオフ!」と無線を入れて フルパワー! プロペラ回転の影響で機体が左に振られるので、右のラダーを踏んで白線の上を走ります。 55ノットになったらゆっくり操縦桿を引いて、機体が地面を離れるのを待ちます。 浮き上がったら操縦桿のトリムを調整。 「クライムチェック!」 またまたエンジン計器のチェック。 75ノットで上昇し、500FTになったら15度バンクで第1旋回。 飛行場をぐるっと回ってもう一度着陸するまで約6分。 高度は? スピードは? もうすっかり忘れていますが、がんばって予習します。 |
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そんな訳で、あっという間に競技会の朝。 5時に起きてまず天気予報をチェック。 「晴か雨か?」 ではありません。 「風はどっちから吹いてる?」 がポイントです。 飛行機は風に向かって飛び上がったり降りたりします。 会場のホンダエアポートは、南北に伸びる滑走路が1本。 実は、滑走路に着陸する向きによって、得意不得意があり、 自分はなぜか北に向かって着陸するのが得意なんです。 地上の目標物の関係や、風の巻き込み方もあるんでしょう。 NHKの天気予報では、今日は北風。 「よしよし」 自宅を出て飛行場に向かうかと思ったら、 なぜか職場に行き、フライトシミュレータを入れたPCをオン。 最終仕上で、今日の予報の北風をインプット。 南から北に向かって着陸の練習をしてから飛行場に向かいます。 普段なら一般道で向かうのですが、今日は「訓練」のため高速道路を使います。 まず車の速度を着陸速度の60ノット(110キロ)にセット。 走行車線と追い越し車線の白線をまたぐ練習。 着陸の基本は滑走路の白線をまたぐこと。 少しでも横風になるとこれが難しくなります。 今年から競技会は「飛形点」が導入されたので、これが出来ないと 減点の対象となります。 高速道路の白線のはるか遠く、滑走路エンドの600m先を想定して、 目のピントを合わせ、 「チェックエアスピード!」「フレアー!」 と声を出し ハンドルを軽く引きます。 飛行機ならこれで 「キュッ!」と接地のはず。 この訓練でETCから950円が引かれました。 60ノットで飛ばしたので、職場から飛行場まで30分程度。最短記録です。 最近訓練をサボっていたので、敷居の高ーい飛行場の事務所。 バツが悪いので 「どーもー!」と愛想良く入っていきます。 さあ、受付を済ますとようやく大会が始まります。 この時点で心拍数は 毎分100回以上。 こんな緊張で、本当に飛べるのでしょうか。 |
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| 第2章 久しぶりの操縦桿 |
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競技内容は 離陸後3回の着陸で競います。 まず離陸し、900ft(300m)で場周経路をぐるっと回って 1回目 ノーマルランディング。 これは普通の着陸。フラップを30度に下ろして65ノットで 進入します。 そしてタッチアンドゴーで再離陸。 2回目 ノーフラップランディング フラップが壊れた事を想定し、使わないで降りてきます。 フラップは低速で飛ぶための大事な道具。 これを下ろさずに不用意にスピードを下げると失速し墜落します。 そのため普段より速い速度で進入するので、 ターゲットを狙うのが辛くなります。 またまたタッチアンドゴー。 3回目 270度着陸 まず、高度1500ft(500m)で滑走路に直角に 進入します。 滑走路の真上に来たら、エンジンカット。 これ以降は着地までエンジンは使えません。 グライダーになってターゲットを目指します。 緊急着陸の訓練で使うワザです。 直角に進入してから 90度旋回を3回行って着地するので 270度着陸と呼ばれます。 受付が終わり、飛ぶ順番のくじを引いたら14番目。 参加者は31人なので、いい場所です。 風も期待通りの北風。 つまり北向きの離着陸となります。 ・・・しかし・・・ ここでとんでもない発表がありました。 「本日は ウエストパターンを使います」 滑走路の場周経路は、普段は東側、つまりイーストパターンです。 経験の少ない私は、西側のウエストパターンは飛んだことがありません。 自動車学校の卒検で、せっかくコースを覚えて、イメトレもしたのに、直前で、 「今日の試験は、隣町で行います。今から地図を配ります」 と言われたようなもんです。 あわてて地図を広げ、先輩たちに聞いて回ります。 「イーストパターンの北向きって、何処飛べばいいんですかぁ〜?」 大会を盛り上げるために、バーベキューコーナーもあり トウモロコシが美味そうに焼けているのですが、それどころではありません。 競技は始まりましたが、14番目の私まではまだ時間があります。 「トウモロコシ食べてね」 の甘い誘惑を断って、何とか地図を覚えました。 ・・・・・・が・・・・・・・ またまたとんでもないことが。 「次の回から ランウエイチェンジします」 「ランウエイチェンジだって?」 つまり、北に向かっての着陸が、南向きに変更とのこと。 実は計測ポイントの関係で、南向きの方が、ジャッジがやりやすいんです。 そんな訳で風が微妙なときは南向きに着陸するんですね。 さて、これで経路も変更。 せっかく作ったアンチョコは廃棄。 「ウエストパターンの南向き」という 未知の世界が待ってます。 卒検で、「さっきの隣町のコース、アレを逆に走ってね」 と 言われたようなものです。 場周経路が変わった。 滑走路進入の向きが変わった。 トウモロコシは、悩んでいる間にみんなが食べて、無くなってしまった。 もうこれ以上、問題が起きませんように。 さあ、いよいよ自分の番です。 久しぶりのセスナに乗り込みます。 座席の位置を合わせ、シートベルト。 エンジンチェックを行ってさあ出発! 滑走路の北の端から南に向かって離陸です。 「レッツゴッ!」 気合を入れて「フルパワー!」 離陸の時も白いラインをまたいで直進します。 ETCで950円払った成果はあったでしょうか。 55ノット(100キロ)で軽く操縦桿を引き、1年半ぶりの大空です。 75ノット(140キロ)で上昇し、第1旋回点で右旋回。 第2旋回が終わると巡航速度95ノット(170キロ)。 高度は900ft(300m) そうです。このセスナは意外に遅いんです。 以前、名古屋に飛んだときは、眼下の新幹線にバンバン抜かれました。 「なんとかなるじゃないか」 久しぶりの操縦桿でしたが、体は覚えていました。 久しぶりの空ですが、感傷に浸ってる時間はありません。 このあたりで、着陸前チェック! パワーを絞って第3旋回点で右旋回。 ココから降下開始。 通常着陸なので フラップはとりあえず20度に下ろします。 滑走路の位置と、高度計とスピード計を交互に確認。 ・・・・しかし・・・ 「風に流されてる?」 地面の動きが予想と違います。 「ウインド 330 アット 5」 タワーから無線が入りました。 願っていた北風が今頃出てきました。 北風5ノットです。 ・・・・が・・・・ 既に進入は北から南に向けて実行中。完全に追い風です。 最初にも書きましたが、飛行機は向かい風で降りるのが基本。 追い風だと進入中に後ろから風に押され、着陸距離が長くなります。 滑走路は充分に長いので、安全上は問題有りませんが、 ターゲットを狙う今大会においては、かなり不利です。 「って事は・・・」 ターゲットの手前を狙うしかありません。 ですが、あまりにも手前だと、それこそはみ出して危険です。 隣の教官に「操縦代われ!」と言われて 即失格になります。 そうこうしている間に最終旋回点。 ココで高度は500ft(150m) フラップを30度に下げ、速度は65ノット。 毎分500ftで降下。 「よし、手前ギリギリを狙おう。早めにパワーカットだ!」 そう決めたのですが、1つ、肝心なことを忘れていました。 |
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| 第3章 着陸 |
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いつものように、滑走路の手前の芝生の上で、パワーカット。 スロットルを絞って、エンジンはアイドリング状態に。 着陸のときは、両足の「ラダー」で機軸をあわせ、 操縦桿の左右の動きで「エルロン」を使って、機体の傾きを修正し、 操縦桿を引いたり押したりで「エレベーター」を動かし、機首の上下を合わせます。 両手両足と頭をフル回転させて、とにかく忙しい数秒間ですが、 パワーカットした後は、エンジンの事は忘れ、機体の動きに集中します。 「パワーカット」 頭の中のイメージでは、機体はスムースに滑空状態に移るのですが、今日は違いました。 「エッ? 沈んだ? 」 滑走路の手前で機体が スッと沈みました。 このままでは滑走路の手前に落ちてしまいます。 追い風を考慮し接地点が伸びないように、普段より早めにパワーカットしたのですが、 大事なことを忘れていました。 「重かったんだー!」 普段の訓練は教官と2人で行いますが、今日は競技会の為、後席に次の選手が乗っています。 オモチャのように軽いセスナなので、1人増えただけで、沈みが速くなり、 重心も後ろにずれてしまいます。 「パワーカットが早すぎたぁ〜」 おまけに焦ったようで、一瞬機を抜いた隙に、センターラインから機体がずれてしまいました。 センターラインを車輪でまたがないと減点です。 「たあ〜〜〜」と言ってる余裕はありません。 機体を傾けセンターラインに合わせ、ラダーを踏んで機軸も無理やり合わせます。 頭の中で「ヤベヤベヤベー」と思っている間に、車輪が「ドシャッ!」と接地。 接地ポイントは 10点の手前に降りてしまい6点 。 6点ならまあまあなんですが、これでは飛形点はボロボロです。 まあ、滑走路の手前に落ちて失格(と言うよりも事故)にならずに良かったです。 さあ、このままフルパワーで再離陸。 もう1周回って、2回目の着陸を行います。 上昇中に隣の教官の顔を 横目でチラッと見ます。 訓練なら隣の教官から、思いっきり怒鳴られる位の低いアプローチでした。 さて、2回目は「ノーフラップランディング」 普通は着陸速度を遅くするために、主翼の後ろからフラップと呼ばれる、小さな翼を下ろします。 しかし機械に故障はつきもの。 そのため、このフラップが無くても降りられるように普段から訓練します。今回はその訓練の延長。 2回目の着陸に備え、1周約6分の場周経路を回りながら、手順を考えます。 1回目のようなミスは出来ません。 ここでまたタワーから無線が入りました。 「風は北から6ノット。 さっきより強くなっています」 さらに追い風が強くなりました。 このノーフラップ着陸は、アプローチ速度がノーマルより5ノット早く、滑空比が良い為に、 ますます着地点が伸びそうです。 最終旋回も終わり、滑走路北側の「太郎右衛門橋」で300ft。なかなか良い角度です。 普段よりかなり速い速度で数字の「14」が近づいてきます。 早くパワーカットすれば、1回目のように手前に落ちそうになり、遅いと遠くへ行き過ぎます。 滑走路の端っこでスロットル絞って 「パワーカッ・・・・・」 先ほどのミスがあったので 今回は一呼吸置いて 「・・・ット」 ユックリと操縦桿を引いて「フレアー」 滑走路の端をクリア。 6点 8点 10点 を通り越した〜 と、その先の8点で「キュッ!」と接地。 まあ、さっきよりは上手くいきました。 さあ次は、難関の「270度着陸です」 |
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| 第4章 大会終わって |
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「270度着陸」とは、エンジン故障を想定した緊急着陸訓練。 高度1500ft(500m)で滑走路に横から進入。 真上に来たらパワーカット。 カットといっても、訓練なのでスロットルを絞ったアイドリング状態。 いざとなれば、フルパワーにして上昇出来ます。 もちろん競技では、スロットルに触れば即失格。 さて、場周経路を遠回りして1500ftに上昇。 ホンダエアポートの西側から、真ん中めざし直角に進入。 真下は見えないので、近くの景色から想定してパワーカット。 これから接地まで約2分間、スロットルは触れません。 95ノットで飛んでいた機体は、エンジン絞ると機首を下げ、急降下しそうになります。 操縦桿を軽く引き、トリムを調整、65ノットに調整。 60ノットを割ってしまうと、失速速度に近づくので、危険行為とみなされ これまた失格になります。 まずは第1旋回点で左に90度旋回。 が・・・ これが焦っていたのか早すぎました。 前のグループの先輩たちの技を盗もうと、下から見上げて、旋回のまでの秒数を計っていたのですが、 実際に操縦桿を握ると、頭から秒数など吹っ飛んでしまいます。 滑走路に滑り込む為には、高くても低くてもいけません。 低くなると滑走路に届かず、高くなって無理に機首を下げると、スピードが付き過ぎて 滑走路を通り越します。 私のように内側をショートカットして回ったら、最終的に高度が高くなりすぎです。 帰朝席は左側。左旋回なので、目視で滑走路を確認しながら降下しますが、横ばかり見ていると 高度も速度も狂ってきます。 おまけに気持ちが焦って、だんだん滑走路に近づいて内回りになってしまったようです。 距離を目で測って、高度計を確認。 1000FTで 第2旋回。 が・・・ ここでもまた内側に食い込んでしまい、どお考えても高すぎです。 「うわ〜〜高い!」 旋回してしまった以上はどうしようもありません。 仕方が無いので、空気抵抗を増やすためにフラップを20度。 それでも足らずに、最終旋回点を大回りして高度を処理します。 この辺は パラシュートの着陸と同じ感覚。 目安にしていた「太郎右衛門橋で500ft」はすっかりオーバーの700ft。 最後の手段で 操縦桿を左に切って、ラダーは逆の右足を蹴って、機体を横滑りさせます。 スリップ着陸という技で、機体を横滑りさせることで、空気抵抗を増やして高度を落とします。 しかし、時すでに遅し。 どう考えても滑走路を飛び越えてしまいます。 「教官 ゴーアラウンドしまーす」 滑走路手前で宣言し、自己判断で着陸中止。 実はこれでも1点もらえます。 無理をして先に教官に着陸中止を宣言されたら0点。 さらに無理しすぎて危険な操縦と判断されたらマイナス5点です。 降りるべき滑走路は無常にも、はるか下を通り過ぎて行きました。 そんな訳で、私の競技はこれで終わりました。 成績は 飛形点の悪さと、最後の着陸中止が響いて 31人中27位。 ブービー賞ももらえずに、商品は参加賞のみ。 ちなみに1位の商品は 「ミニ耕運機」 本田宗一郎杯なので、スポンサーのHONDAからの豪華商品でした。 1年半ぶりの操縦桿でしたが、体は忘れていないものですね。 次に飛べるのはいつになることやら。 |
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