Acte Kobe 2000 報告

真の文化交流を目指して

四宮信隆(在マルセイユ日本総領事) 記者会見発表文( 2000 年 3月13日)


本日、ルシア・マルセイユ市助役、黒井治兵庫県パリ事務所副所長、ジャーナリストの皆様とともに、アクト・コウベ・フランスとアクト・コウベ・ジャポンの皆様をお迎えできたことを嬉しく思います。
 ご存知のとおり、マルセイユと神戸は1961年から姉妹都市として結ばれ、市や市議会、港湾関係者の交流が現在まで続いています。しかし両都市の実質的な市民交流は、1995年の神戸の大震災による苦しみの中から生まれたように思います。 アクト・コウベが生まれる契機となった、神戸の被災アーティストに対する連帯コンサートを組織したバール・フィリップスさんの活動を、当総領事館は最初から支援してきました。1997年には「フランスにおける日本年」事業として当館が主催した「日本の週末」と題する文化事業を開催し、その中で田中秀樹在ミラノ神戸事務所長による「神戸の復興に関する講演会」や、アクト・コウベによる「神戸復興写真展」を実現しました。
 98年1月には、神戸のアーティストたちから送られてきた写真と作品の展示会が、マルセイユ市と当館との協力により実現しました。
 従来の政府や地方自治体等の公的機関主導による文化交流に、アクト・コウベ芸術家交流のような市民交流が結びついて結実していくことはとても喜ばしいことです。
 当総領事館にとってもアーティストたちを毎年、お迎え出来ることは喜びです。今年は国際交流基金の支援も得るなど、パートナーも着実に増えてきています。そして、私たちが期待しているのは、アクト・コウベの精神が更に広がることです。政府や地方自治体もアクト・コウベに見られるような芸術家交流を側面的に協力、そして応援することが大切だと思います。 私は、脆弱性、連帯意識、創造性という3つの言葉で表されるアクト・コウベの哲学を評価しています。敢えて申し上げるならば、地震の苦しみから生まれた脆弱な子供(未熟児)でしたが、創造性を生かしながら、多くの友達の連帯を得て真のアーティストに成長する姿を見て嬉しく思います。
 アクト・コウベが日仏の様々な文化交流や活動によい刺激を与え、21世紀に向けた新しい文化の創造を担う団体となることを望みます。
 2001年に始まる新世紀は、マルセイユ市と神戸市の姉妹提携40周年という記念すべき年です。在マルセイユ日本国総領事館は21世紀に向けて積極的な支援を惜しまないつもりです。 ご静聴ありがとうございました。
在マルセイユ日本国総領事 四 宮 信 隆


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