GO GIRLS 3 |
2度目の定演を迎える春。 正規の首席ビオラは、いまだ産休が明けず、いや、育児休暇か? 首席代理は、杖手の指導を受けて腕を上げていた。 しかし、実質4本のビオラでは、いかんせん、バランスが悪かった。他のパートが整えば、余計に目立つ。 対応策として、6月に予定されている定期演奏会に先立って、邦立からの入団者を5人迎えることになった。 しかし、なぜだか、バイオリンから持ち替えをするという。ビオラを心から愛する人種には、引っ掛かるものがないとはいえないが。 そこは、音楽を、フジミを愛する同志ということで、ひとつの音を作り上げるには、問題はないだろう。 音大生のリーダー役を任されている彼の後ろに、新団員が5人。 よろしくお願いしますと、深々と頭を下げたのは、彼ひとり。 その彼は、先に引き合わせがすんだバイオリンのほうが気になるらしく、ちらちらと視線が流れる。 こちらより、あちらの方が迎えるほうも受け入れるほうも、どちらをとっても大所帯である。そのぶん、大変だろう。 あとはこちらでやっておくからと伝えれば、お願いしますと、あっさり、新団員をおいていく。こちらが思った以上に、気になっていたのか。 それでも、取り残された形になった彼女らも、彼女らがうまく取り込むだろうと、楽観していた。 「ビオラの首席は・・・・・」 それすらも満足に紹介できないほど、バイオリンのほうに気を取られたていたのか。 仕方がないかと、音大生と限らずとも、フジミ史上で大量入団は初めてらしい。受け入れ態勢も整っていないだろう。 おずおずと尋ねた女の子たちに、なにを感じ取っての行動か? 穏便にすむはずの引き合わせに対し、先手必勝と杖手は立ち上がる。 「首席は、現在、育休で、休団中。 代理首席の、田尻るみさん」 代理の肩書きに、彼女たちは、戸惑う。 首席がいない。通常なら、それだけで、十分に理解の範囲外だろう。 「首席専属トレーナー、阿部栄子。 代理専属 杖手椎子」 喧嘩を売っているような物言い。 「それで、ビオラパートの、影のパーリー、裏のパートリーダー」 3人がプロであることは、すでに知られているのだろう。紹介される怪しげな肩書も、首席不在ならばと、どこか納得している。ように、見える。 と、杖手は。 「あるいは、ビオラパートという、平均年齢ちょっと高めのハレムの主 橋爪――」 なにをいいだすのか。 彼女たちは、物理的には一歩引き、精神的には、おそらく別次元の生き物に対する視線をよこす。 なににたいしてか、杖手はしてやったりと勝利を確信し、阿部はよくやったとエールを送る。 まともなはずの田尻さんは、ふたりに感謝を送っている・・・・・・・なぜだ? |
「夢の翼」でのこと。 「内海くん流のおだやかだが一歩も引かないビオラ」 と形容。 このとき、3月。11月に8ヶ月だった内海さんは、産休に入っている、はず?だよね? なのに、内海さんの名前が出てくる。 確かに、桐ノ院さんの就任当時から、ふたりきりのビオラをがんばってました。 が、今は、違う人がビオラを引っ張ってる、はず。 ああいう形容をされると、現在、がんばってる人の立場がないじゃないの? んで、考えました。 どうしたら、がんばってる人を正当に評価できるか。 そういうわけで、「あくまでも、ビオラ首席は内海さん」って形式を整えれば、努力してる人を無視しない形になるかなと。 ビオラは、全部で5人。内海さんと田尻さんは元から。M響組は、男ひとり、女ふたり。を主張。 なんですけど、いまひとつ自信がないのは、 「コン・マスの光と影」で、初見のメソッドに、「ビオラ、遅れた。タイミングを正確に」(それ、個人攻撃だよ・・・・)とか。 「バッコスの民」で、神崎ミホが、「ピッチがずれるような相手に合わせようがない」とかいってるから。 まぁ、それは、そういうことに仮定しておいてください。そーしないと、話が終わってしまう。 1:4の人数比の意味するところは、イガちゃんとは別な意味で、橋爪さんに人権はありません。 彼女たち、名前(どころか存在)も出てこないので、仮名を考えました。 「あべ えーこ」 さん と 「つえで しーこ」 さん いかにも、仮名ってカンジがヒシヒシとするんで、かなり、気に入ってる。 |
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