越途峠

 越途の巨石を背後に庚申さんが祀られている。延宝二年(1674)に建てられたもので首之村の文字が見える。
 
 拝立の方から七曲りの坂路を登ってここを越したもので、馬牛をおった人、荷物を背負った人々が越途を越して坂路を下り船江に至り荷物の薪炭、木炭、農産物(椿、三ツ又、こんにゃく等)を船に渡して、米、油、魚類等を担いでまた坂路を登って越途で一服し七曲りを降りていった。茶店があって道行く人の憩いの場であったとか、今九十歳位の人々は、炭を運びに行ってこの茶店でお菜を食べたという。
 
 現在は県道が下にできたため通る人もなく、うっ蒼と繁った樹木の中で庚申塔と大師さんが、時た参詣する人を待つかのようにひっそり立っている。
                    「穴吹町誌 第八編 地域誌 (八) 首野」 より


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