晋山式(しんさんしき)について
曹洞宗は釈迦牟尼仏より代々受け継がれてきた仏法であります。
和が国では、今から768年ほど前に、高祖道元禅師さま(福井県・大本山永平寺)によって開かれ、4代目の
太祖瑩山禅師さま(神奈川県・大本山総持寺)が盛んにされました。
曹洞宗の一ケ寺の住職となるためには、所定の修行を積み、教師の資格を得てから規則により申請して、
初めて曹洞宗管長より住職の辞令が交付されます。その後最初に行う儀式が「晋山式」です。
晋山式とは、お寺の住職が決まって、正式に就任する時の儀式で「、住職就任式」ともいうべき式であります。
本日、新命方丈様は安下処(坂田清一様宅)を出発、臼井隆久様宅前で鉄古典獅子連、お稚児さん、
梅花講員と合流して皆さんとともに晴れやかに行列を組んで進みます。緑・黄・赤・白の錦幡をひるがえし、
随行を伴い、大傘に飾られ、多くの檀信徒・御寺院方の出迎える中を宗英寺の山門に到着します。
新命方丈様は山門頭での法語を唱え大擂鼓の鳴り響く中を、先導される和尚様方と共に本堂に入ります。
本堂において管長様のお代理(宗務所長老師)より、緋衣被着許状(赤い衣を着てもよいという許可証)
を手渡されます。
許状を頂いた新命方丈様は、香を捧げて御本尊様に就任のご報告の三拝をし、當山の伽藍をお守り下さる
大権修理菩薩さまに一山の安泰を祈り、達磨大師さま、当寺の御開山、歴代の住職の方々に就任の
ご報告と共に信念を申し上げ、国土の隆昌と国民の安泰を念願し、仏道の興隆と当山の吉祥、檀信徒
各家の家紋繁栄とをお祈りされます。
晋山上堂(しんさんじょうどう)について
晋山式の式典に続いて晋山上堂の儀式が行われます。曹洞宗に於いては、この式典が最高の式であり「大和尚」
という宗門最高の法階資格を得られ、一寺の住職としての一世一代の晴れの盛典であります。
結制とは、かってインドにお釈迦様のご存命の頃、雨期になると外に出ての修行もままならず、一カ所に集まり
お釈迦様の説法を聞いたり問答をしたりする雨安居という九十日間の修行期間があり、その期間中大変多くの人が
集まりますので、多くの取り決めごと「制」を結んで、共に生活をしたのです。これを結制といいました。
今でも本山など修行僧が集まっているお寺では古式に則り年二回行われている行事です。しかしながら、一般の
お寺では行じ難く、主に問答を中心とした、新命方丈による上堂の法要と、首座和尚による法戦式を行うように
なりました。
これから行なわれる晋山上堂の儀式は、新命方丈が平常は御本尊様を奉安している高い須弥壇の上に登り、
大勢の寺院、檀信徒の方々の前で謹んで香を焚き、国土の隆昌と仏法の興隆を願い、併せて檀信徒各家先祖
代々の霊に対して供養すると共に檀信徒各家がますます繁栄されるよう、また当山がいよいよ各位のお力によって
護持発展いたしますよう心から祈念いたします。次にお釈迦様をはじめとして両大本山の御開山(道元禅師・瑩山
禅師)様、歴代の住職方に報恩供養の香、また、檀信徒各家のご先祖様への供養のお香をそれぞれ焚き、最後に
ご自身のお師匠様に対し報恩感謝の誠を捧げます。その後、住職となる為永年研鑽を積み重ねてきた学徳、力量
あるいは抱負を高い壇上から堂々と発表し、若い修行僧たちに強く、あるいはやさしく教示して禅の真髄を把握
させようと、鋭い問答を取り交わします。了って仏法の教えをまとめ、感謝の言葉を述べ、祖師の言葉を引き、
説法の締めくくりを致します。